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ゴジラの逆襲

ごじらのぎゃくしゅう

「ゴジラの逆襲」は、1955年4月24日に公開されたゴジラシリーズの第2作目。
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概要編集

前作「ゴジラ」が空前の大ヒットとなったため急遽製作された続編で、驚くことに前作のわずか半年後に公開された。また、円谷英二が正式に「特技監督」としてクレジットされた初の作品。

本多猪四郎監督は当時『恋化粧』を手掛けていたほか、次回作に『獣人雪男』を控えていたため参加できず、『透明人間』を手掛けた小田基義監督が担当している。


ゴジラの他に新たにアンギラスが登場。大阪を舞台に怪獣同士のバトルが繰り広げられ、大阪城を破壊する。なお、作中に前作のゴジラがオキシジェンデストロイヤーで倒された事や山根恭平博士が登場する事から、前作の正統な続編となっている。その為、ゴジラ自身は前作とは別の個体である。

また海外輸出も意識していたのか、本編での銃撃戦やカーチェイスのアクション描写も多く、その後の東宝特撮路線にも影響を残した。


前作と比較して「反核」の要素は薄くなっており、ゴジラに立ち向かう人々や廃墟から立ち上がる人々を描いた前向きで、明るいトーンの作品になっている。(そのせいか、本作は後世において顧みられることが少ない作品となっている。1984年以降のゴジラ映画の多くは本作が起きていない世界線を舞台にしているのもあり、本作は他の作品より知名度が低めである)


ゴジラとアンギラスの戦いは、大阪城を完全に破壊した後、ゴジラのかみつきによるダメージでアンギラスが倒れ、ゴジラの熱線により焼却処分されてしまう。その後は、原作を担当した香山滋の二度とゴジラを殺したくないと言う思いから、千島列島まで北上して上陸したゴジラを島内に閉じ込め、戦闘機のロケット弾攻撃で雪崩をおこして生き埋めにして倒される…という結末になった(ただし死亡したわけではなく、七年後の次作にて北極海で復活を果たすことになるのだが…)。


今作は世界初の怪獣同士の戦いが描かれた作品で、ゴジラとアンギラスとの戦闘シーンでは、前作で円谷英二があみだしたハイスピードで撮影して通常スピードで再生することで4倍の遅さの動きにする手法を使う予定だったが、当時撮影助手をしていた高野宏一のミスにより、通常速度で撮影されてしまった。

本来なら再度の撮影となるミスだったが、期間と予算的に再度の撮影が難しかったであろう点の他、一番には、2大怪獣のみせる俊敏な動きが野生の肉食獣同士の戦いらしく見えて面白いと円谷英二が判断してOKを出した事からそのまま使用されている。ゆえに前作に比べてゴジラもアンギラスも異様に俊敏な戦闘を見せる。

このときの失敗が次作に生かされていくことになる。

怪獣同士の対決は初ということもあって、物語の中盤で決着がついてしまうなど試行錯誤が見て取れる。


同時上映は夢路いとし・喜味こいし主演の喜劇映画『弥次喜多漫才道中 化け姫騒動の巻』。


登場人物編集

演:小泉博

海洋漁業KKのパイロットで、敗戦前の若き日には大日本帝国海軍戦闘機乗りだった。(ただし、公開時の1955年で20代後半の年齢という設定なので、軍には在籍できたが、実戦の経験はない世代と思われる)

乗機の故障で岩戸島に不時着した小林を救助した際に、ゴジラとアンギラスを発見する。

ゴジラとアンギラスの大阪襲撃により会社が大ダメージを受けたため、北海道支社で働く事になるが、そこで軍時代の同僚の田島や池田らと再会する。

北上するゴジラを発見後、田島の操縦する戦闘機の後部座席について爆撃に参加し、小林の最期から雪崩をおこしてゴジラを生き埋めにする作戦を思いつく。

小林の弔い合戦と自らも戦闘機にのって出撃。ゴジラを生き埋めにする最後の一撃を放った。


演じた小泉博は、以降もゴジラシリーズをはじめとする東宝特撮に数多く出演した常連俳優となった。

戦前は飛行機乗りに憧れていたため、パイロット役は夢が叶った思いだったと語っていた。


演:千秋実

月岡の同僚。乗機の故障で岩戸島に不時着した際に、救助にきた月岡と共にゴジラをアンギラスを発見する。

ゴジラとアンギラスの大阪襲撃後は、月岡より先に北海道に異動した。

月岡が発見したゴジラの追跡の為に出動する際、「花嫁を探す」と豪語する見事な死亡フラグを立てている。そして出撃後にゴジラの反撃に遭い、乗機が炎上。神子島の氷壁に激突して死亡した。しかし小林の最期が、ゴジラ撃退のヒントとなる。


なお、香山滋本人が執筆したノベライズでは、既に恋人がいるらしく、恋人らしき女性の写真を有していた。また、秀美に「女の子って、どんなものを欲しがるんです?」と、贈り物の相談もしている。


演じた千秋実がゴジラシリーズに出演したのはこれが生涯唯一だが、父の佐々木孝丸は『怪獣大戦争』を初め東宝特撮映画に多数出演し、息子の佐々木勝彦は『ゴジラ対メガロ』『メカゴジラの逆襲』で主演を勤め、平成ゴジラでも『ゴジラvsビオランテ』『ゴジラVSキングギドラ』へゲスト出演、さらに『GODZILLA-ゴジラ-』では吹き替えを担当する等、親子三代でゴジラシリーズに出演している。


演:若山セツ子

月岡の婚約者で、月岡と小林が所属する会社の社長令嬢。

普段は大阪の本社で無線係を務めている。

小林が言葉を交わした最後の人間となった為、小林死亡の報を父に届けると泣き崩れた。


ノベライズでは、小林から女性への贈り物に関して相談され、「ハンドバッグや時計、靴下でもいいわ。ナイロンよ」などと答えていた。また、小林が忘れていった手帳に挟まれていた、彼の恋人らしき女性の写真を手に取るシーンが追加されている。


演:大友伸大村千吉牧壮吉広瀬正一吉田新夏木順平

大阪湾に現れたゴジラを、防衛隊が照明弾を使って誘導する事で上陸を阻止していた際に護送中の車から逃走。

そのうち3人はいすゞのタンクローリー(日本石油のいすゞ・TX型)を奪って逃走するも、港に向かっていた月岡&小林の車に警官が乗り合わせて追尾された上に大阪市警のパトカーが加勢し石油コンビナートを舞台に大カーチェイスを展開。逃走の果てに石油タンクにつっこんで盛大な炎をあげてしまい死刑執行とばかりに全員爆死、その光を認識したゴジラは大阪に上陸してしまう。

別に逃げた3人も、最期はそろって地下鉄淀屋橋駅でゴジラが天井を踏み抜いたために死亡する。


脚本の村田武雄は「極限状態の人間のドラマ」を描くためにこのエピソードを盛り込んだが、盛り込み不足になったことを残念がっていた。


演:土屋嘉男

防衛隊隊員。月岡の学友にして飛行隊時代の戦友。

T-33練習機およびF-86戦闘機で構成された攻撃隊を率いて、雪崩作戦の指揮を執る。


演じた土屋嘉男が最初の撮影に合流できなかったため、途中から登場するようになったとされている。


演:志村喬

前作に登場した山根博士と同一人物で、本作が前作の正統な続編である事を説明してくれる。でも出番は序盤のみ。

光に向かう習性があることを説明し、照明弾による海上誘導と完全な灯火管制により難を逃れることを教授する。

本作ではほかの科学者に「7000万年前から1億5000万年前の地質時代の恐竜」「ゴジラも同じ時代」と自説を否定する発言をされているが、前作で「200万年前のジュラ紀」と爆弾発言をかました山根博士が何を思ったかは定かではない。


演:清水将夫

山根博士と共に対策本部に招かれた動物学者。

ゴジラと共に現れたアンギラスの生態を解説する。前作でのゴジラに関する山根博士の学説をひっくり返したのもこの人。

むしろ本編よりも『空の大怪獣ラドン』予告編での登場(映像は本作の流用)が印象深い人物。


大阪「市」警察編集

本作でゴジラ対策本部を結成したほか、囚人の護送と脱走した囚人の追跡を担当する警察は「大阪『市』警察」である。

これはGHQからの指示で制定された旧警察法に基づいて設立された大阪府大阪市の自治体警察で、1947年から1955年まで存在していた。1949年には東京の警視庁と同じく大阪市警視庁という名前に改称されていた。

本作当時すでに大阪府警察は存在(1954年7月発足)していたが、大阪市警察は1年間の存続が決定、大阪市警察本部として大阪府警察と共存していた。

映画公開後の1955年7月に大阪府警察に統合される形で廃止された。


海外版編集

前作「ゴジラ」の海外版「怪獣王ゴジラ」の大ヒットを受けて本作もアメリカのバイヤーに買われ、海外版が作られる事になった。

海外版「ゴジラの逆襲」における本作のゴジラは「GIGANTIS(ジャイガンティス)」という別の怪獣という扱いになった。

詳細はジャイガンティスを参照。


関連タグ編集

特撮 ゴジラシリーズ ゴジラ アンギラス

怪竜大決戦:城の中で戦う怪獣映画繋がり。


初代ゴジラゴジラの逆襲キングコング対ゴジラ

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