概要
ゴジラシリーズ第6作品。
前作「三大怪獣地球最大の決戦」にて初登場したキングギドラが引き続き登場。
また、当時のSF、宇宙ブーム真っただ中ということもあり、物語全体がSF仕立てになっており、ゴジラは他の惑星で戦う(これは60年以上の歴史の中でも今作だけである)。
さらに、ゴジラが当時流行っていたシェーをするなど、その時代を反映した作品となっている。
ゴジラシリーズでおなじみの「地球侵略をもくろむ宇宙人が怪獣を操り襲来する」というシチュエーションの原点である。
同時上映は若大将シリーズの『エレキの若大将』。
あらすじ
X星に探査チームが派遣され、そこでチームの富士一夫とグレンはX星人に出会う。X星はモンスターゼロ(キングギドラ)に攻撃され、X星人たちは地下での生活を強いられていた。X星人はガンの特効薬と引き換えに、ゴジラ、ラドンをギドラと戦わせるよう申し出た。
X星人の円盤によって2体はX星へ運ばれ、キングギドラとの戦いが始まる。しかし、X星人たちにはある陰謀があった。
富士の妹ハルノの婚約者である冴えない発明家・鳥居哲夫は世界教育社の波川と名乗る女性から自身が発明した不協和音を発する女性用護身器「レディガード」の商品化契約を持ち掛けられるが、全く話が進まない。不審に思った鳥居は世界教育社の別荘がある目倉島に潜入するが何者かに捕らえられてしまう。
スタッフ
出演者
冨士一夫 | 宝田明 |
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グレン | ニック・アダムス |
波川 | 水野久美 |
ハルノ | 沢井桂子 |
桜井博士 | 田崎潤 |
X星人統制官 | 土屋嘉男 |
鳥居哲夫 | 久保明 |
自治代表 | 佐々木孝丸 |
医学代表 | 村上冬樹 |
移動司令 | 田島義文 |
世界教育社社長 | 田武謙三 |
下宿のおばさん | 千石規子 |
宗教代表 | 松本染升 |
防衛代表 | 清水元 |
世界教育社社員 | 伊吹徹 |
世界教育社社員 | 鈴木和夫 |
第一調査隊隊長 | 堤康久 |
第二調査隊隊長 | 桐野洋雄 |
婦人団体代表 | 塩沢とき |
自衛隊員 | 津田光男 |
防衛隊幹部 | 熊谷卓三 |
世界教育社社長秘書 | 宇野晃司 |
宇宙局局員 | 橘正晃 |
記者 | 岡豊 |
自衛隊員 | 緒方燐作 |
宇宙局局員 | 岡部正、古河秀樹 |
宇宙局局員 | 清水良二 |
記者 | 坪野鎌之 |
科学記者 | 伊藤実 |
ゴジラ | 中島春雄 |
ラドン | 篠原正記 |
キングギドラ | 広瀬正一 |
グレンの声(吹替) | 納谷悟朗 |
余談
本作のオープニングおよびAサイクル光線車の活躍シーンで用いられる楽曲は後年「怪獣大戦争マーチ」と呼ばれ、平成ゴジラシリーズ以降は自衛隊の出動テーマとして多く用いられる。
大元は伊福部昭が1943年に手掛けた「古典風軍楽『吉志舞』」の一節で、東宝特撮映画には1954年の「初代ゴジラ」の巡視船しきねの出航シーンなどに用いられた通称「フリゲートマーチ」、1959年の「宇宙大戦争」の戦闘シーンに用いられた通称「宇宙大戦争マーチ」を経てこの曲に至っている。
また、本作からゴジラの着ぐるみが新調されている。
新規で着ぐるみが造形されたのは、これ以前は「モスラ対ゴジラ」の、通称「モスゴジ」からで、前作「三大怪獣地球最大の決戦」では、モスゴジを改修したものを撮影に用いていた。
本作で新たに作られた着ぐるみは、モスゴジと似た造形になっている。しかし顔つき及び下半身にかけての皮膚の流れが、モスゴジと決定的に異なっている。
こちらも複数が製作された様子で、「南海の大決闘」まで使用された。
「ウルトラマン」の「ジラース」に改造されたのも、この着ぐるみ(正確にはモスゴジの着ぐるみの身体に、この大戦争ゴジの着ぐるみの頭部を移植したもの)。
ゴジラのシェーを巡っては本多猪四郎、中島春雄、有川貞昌は反発したが、円谷英二が「子供が喜ぶ」と押し切ったとされる。後年本多監督の長男本多隆司はこの「シェー」について父が相当不満に思っていた旨を語っている。
一方で発案者は円谷英二だったとも土屋嘉男だったとも言われている。
X星のシーンはP-1号の模型が大きすぎて天井が映り込んでしまうことから、井上泰幸がステージの床を掘って高さを確保した。『宇宙大戦争』の時同様問題視されたが、『怪獣総進撃』でもこの手法は取り入れられている。
歴代のゴジラシリーズは海外上映の際にアメリカ人が活躍するシーンが差し込まれたり諸事情から日本版でカットされてしまったシーンが追加される、その代わり一部人間ドラマ描写がカットされるなど著しい編集がされることが多かったが、本作の海外上映版は台詞を英語に吹替え、一部シーンを短縮したのを除けばそうした大規模な編集は見られなかったという。
ただしこれは当時北米でゴジラシリーズの人気が低迷しており、大規模な改変をしても興行成績の向上が見込めなかったためといわれている。
関連タグ
『ガス人間第一号』・『メカゴジラの逆襲』:本編上における「悲恋メロドラマ」の系譜作。
モスラ対ゴジラ/三大怪獣地球最大の決戦←怪獣大戦争→南海の大決闘