あらすじ
近未来(1965年)、日本の宇宙ステーションJSS-3を突如円盤が襲撃。反撃するも宇宙の塵と消えた。
それから地球上では鉄橋が浮かび上がり電車が脱線、客船が空を飛び山に激突、川の水が凍って竜巻のように舞い上がるなど怪事件が続発する。
こうした異変を解決するため東京宇宙科学センターで、科学者による国際会議が開かれる。
事件は全て宇宙から冷却放射線を撃ちこまれ、重力を減少させたことによるものだった。
対抗するため地球側は熱線砲を開発するも、会議に出席していたイラン代表アーメッド教授が熱線砲を奪おうと暴れ始める。教授はナタールと名乗る者に洗脳されていた。
科学センターの職員岩村幸一が機転を利かせて熱線砲を奪還するが、教授は突如飛来した円盤に焼かれ消滅してしまった。
安達博士率いる科学者チームは宇宙艇スピップ1号・2号に乗込み、ナタールの本拠地があると思われる月を目指す。
しかしその道中で岩村がスピップ号を故障させようとする。なんと岩村もナタールに洗脳されていた!
スタッフ
製作:田中友幸
監督:本多猪四郎
特技監督:円谷英二
原作:丘美丈二郎
脚本:関沢新一
音楽:伊福部昭
出演者
勝宮一郎:池部良
白石江津子:安西郷子
安達博士:千田是也
岩村幸一:土屋嘉男
小暮技師:伊藤久哉
岡田隊員:桐野洋雄
防衛司令官:高田稔
有明警部:村上冬樹
アーメッド教授:ジョージ・ワイマン
リチャードソン博士:レオナルド・スタンフォード
インメルマン博士:ハロルド・コンウェイ
エピソード
- まだ誰も月へ行っておらず、人工衛星で月の裏側の写真がやっと撮れた時代に、月面の様子を再現したスタッフの想像力は素晴らしいものがある(予告編に「これが月の裏側だ!」という宣伝文句がある)。
- 月面でのフワフワとした歩行は土屋嘉男氏が考案した。共演者もスタッフも半信半疑で当時のパンフレットにさえも「土屋はひとり悦に浸っていた」とまで書かれていたが、アポロ宇宙船の月面着陸の映像を見た土屋は我が意を得たりの想いだったと語っている。
- 当時の特撮技術の粋を凝らした本作には、戦闘ロケット対円盤の成層圏での戦闘、無重力光線による銀座大破壊など、数々の見せ場がある。
- 戦闘ロケットの発進シーンではスタジオの高さが足りず、美術スタッフの井上泰幸が独断でスタジオに穴を掘って高さを稼ぎ、守衛に見つかって本社に大目玉を喰らった。その様子を見た円谷は必死に笑いをこらえていたが、スピップ号の発射シーンで井上が「天井も空けますか?」と提案したところ円谷は「乱暴なことはやめろ!」と反対したと言われている。
- そのスピップ号の発進シーンは奥多摩の万年橋や三浦市の城ケ島大橋の上から吊って撮影している。
関連動画
予告編
宇宙大戦争マーチ
本作の戦闘シーンに多く流れる楽曲。この曲は後に「怪獣総進撃マーチ」とともに伊福部昭氏の「SF交響ファンタジー」第1楽章のトリを飾った。
大元は伊福部が1943年に作曲した「古典風軍楽『吉志舞』」と1944年に作曲した「兵士の序楽」のそれぞれ一節。
東宝特撮では「吉志舞」を引用した曲は1954年に公開された『ゴジラ』では大戸島への災害調査へ巡視船しきねが出航する場面などで使われた通称「フリゲートマーチ」が初出。その後この曲を経て1965年公開『怪獣大戦争』でも用いられ、もっぱら「怪獣大戦争マーチ」という通称で知られる。
「兵士の序楽」を引用した曲は1958年に公開された『大怪獣バラン』で海上自衛隊の哨戒艇がバランを爆雷で攻撃する場面で使われたものが初出。
「怪獣大戦争マーチ」の知名度に対し「宇宙大戦争マーチ」はその後日立のTVCMでアレンジされたものが使用されたのみだったが、2016年公開『シン・ゴジラ』のクライマックスで人類がゴジラに総攻撃を仕掛けるシーンでも象徴的に使用されている。
そのためか、バラエティ番組などでシン・ゴジラや自衛隊を題材にした際にこの曲が使用されることも多い。
関連項目
地球防衛軍(映画) - 本作の姉妹編