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概要編集

1960年12月11日公開。

東宝が制作していた特撮ホラーシリーズ「変身人間シリーズ」の第3作。

タイトルはポスターでは記事名の通り漢数字の「第一号」だが本編のタイトルバックでは「第1号」と算用数字で表記されている。いずれも「第」の字は略字。

前作『電送人間』の検討用台本と同時期に完成していたため、当初からシリーズものとして製作された。前作と同じく多忙だったため降板した本多猪四郎の代わりに福田純が担当する予定であったが、本多の監督する予定だった映画『今日もわれ大空にあり(のちに監督を古澤憲吾に交代し1964年公開)』が製作中止になった為、本多が監督を務める事となった。


アメリカで大ヒットを記録し、現地の映画会社によって『フランケンシュタイン対ガス人間』という企画が持ち込まれ、後の『フランケンシュタイン対地底怪獣』へとつながった。


あらすじ編集

東京で突如として起こった全く手掛かりを残さない連続強盗事件に警察は翻弄されていた。

犯人と思しき人物は捕まったものの、奪われた金品は発見されずに捜査は全く進まなかった。


そんな中、落ち目になった日本舞踊の家元である藤千代(八千草薫)と言う女性が捜査線上に浮上した。事件と同じ時期に急に羽振りがよくなった藤千代を怪しいとにらんだ警察は藤千代を逮捕する。

その時、真犯人を名乗る水野(土屋嘉男)という男が自首してきた。水野は違法な実験によって体を気体に変えることができる能力を得た「ガス人間」だった。愛する藤千代のために水野は自身の特性を生かして強盗事件を多発させていたのだった。

真実を知った藤千代は水野を説得するが自らの力に全能感を抱いた水野は聞く耳を持たない。事態を重く見た警察は水野の抹殺を決断する。


そして世間の批判にさらされる中で藤千代の発表会が開かれるが、観客たちは「ガス人間を出せ!」と藤千代を罵倒する。

怒った水野は観客たちの前にその姿を現した。


スタッフ編集

製作:田中友幸

監督:本多猪四郎

特技監督:円谷英二

脚本:木村武

音楽:宮内國郎


出演者編集

岡本賢治:三橋達也

藤千代:八千草薫

水野:土屋嘉男

甲野京子:佐多契子

田宮博士:伊藤久哉

田端警部:田島義文

猫背の老鼓師:左卜全

佐野博士:村上冬樹


余談編集

水野役の土屋嘉男は英語タイトルの「Human Vapor(霧人間)」を気に入っており、「ガス人間」は「なんだかオナラみたいだ」と編集中から気に入っていなかったらしい。

音楽を担当したのは宮内國郎。後に本作のBGMは彼が音楽を担当する『ウルトラQ』および『ウルトラマン』に流用された。

『ウルトラQ』で怪獣が暴れるシーンなどで流れるBGMがそれである。

『ウルトラマン』でも第10話のラストシーンや第37話のイデ再生ドラコに挑む場面などでラストシーンのBGMが使用されている。

このことから1991年に発売されたCD「ウルトラマン 総音楽集」には本作のBGMが全て収録され、本作についても解説されている。


本多自身も何かを感じたのか、後に『怪獣大戦争』と『メカゴジラの逆襲』でも「異端者の悲恋メロドラマ」を展開。独自の世界観で、悲壮な恋愛劇を丹念に描いた。


舞台版『ガス人間第一号』編集

2009年10月には時代設定を現代に置き換えて舞台化されている。岡本警部補を伊原剛志、甲野京子を中村エミリが演じたが、ガス人間は水野から脚本初稿段階での橋本という名前に変更され、高橋一生が演じた。職業も元化粧品メーカー社員の中古楽器店店員という設定になっている。

また藤千代も没落した日本舞踊の家元から10年前に解散したロックバンド「JOWKI」の元ボーカル藤田千代に変更され、中村中が演じた。

「異端者の悲恋」というテーマはそのままだが、ホラー・ミステリー調だった映画版に対しコメディ要素も組み込まれ、ガス人間の被害者として芹沢大助柏木久一郎の名前が登場したり、橋本のかつての勤務先の名前がリーゼンドルフ、岡本の携帯電話の着信メロディがゴジラのテーマなど他の東宝特撮映画へのオマージュ要素も盛り込まれている。

2010年2月にNHKの『劇場への招待』でテレビ放送もされた。


ドラマ版『ガス人間』編集

2024年5月に東宝スタジオと韓国ワウポイントの共同制作によるドラマ版の制作が発表された。

詳細は「ガス人間(ドラマ)」の項を参照。


関連タグ編集

東宝特撮

ウルトラQ

ウルトラマン

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