南海の大決闘
なんかいのだいけっとう
フルタイトルは『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』
当初はアメリカとの合作で『ロビンソンクルーソー作戦 キングコング対エビラ』という企画だったが、キングコングの版権を持っているアメリカ側がストーリーに難色を示したため、仕切り直しとして『キングコングの逆襲』を制作。没となった企画はキングコングをゴジラに差し替えてゴジラシリーズとして制作される事となった。
同時上映は『これが青春だ!』
南洋にマグロ漁に出かけたまま行方不明となっている兄の彌太を探す青年良太は兄は生きているという恐山のイタコの預言を信じ、警視庁と新聞社を頼って東京に上京する。
良太は優勝すればヨットがもらえる「耐久ラリーダンス大会」の存在を知り、その会場でギブアップしていた仁田と市野という2人の大学生と知り合う。
一同は太平洋横断ヨット「ヤーレン号」に無断で泊まり込み、オーナーを自称する吉村とも知り合った。
翌朝、一同が目を覚ますとヨットは無謀にも良太が勝手に発進させていた。おまけにラジオで吉村がオーナーではなくパチンコ店襲撃犯の金庫破りだったことまで知ってしまう。
仕方なく兄探しに付き合うことにした一同だったが、ヤーレン号は嵐に見舞われ、おまけに海の中から出てきた巨大なハサミに襲われ沈没。一同はレッチ島という島に漂着する。
そこは革命を主体にし軍事的にも強大である「世界征服を企む悪の秘密結社」的な謀略反乱組織「赤イ竹」の核兵器製造工場がある島で、インファント島の島民を奴隷として働かせている場所でもあった。逃げ出そうものなら、銃器でハチの巣にされるか近海に住む巨大エビ怪獣エビラの餌食になってしまう。
そしてその島には、以前の戦いでキングギドラを地球から追い払った後に行方不明になっていたゴジラが眠っているのだった…。
その頃、インファント島では島民がモスラの復活を願って祈りをささげていた。
- 監督は前作までの本多猪四郎から変わって『電送人間』以来の福田純が担当。キングコングが主役の予定だった経緯や作曲が『ゴジラの逆襲』・『美女と液体人間』等を手掛けた佐藤勝に変わったこともあり、本多の手掛けた作品よりも軽妙で明るい作風となっている。
- そのためか自作の『暗黒街』シリーズや『のら犬作戦』・『国際秘密警察 虎の牙』、一部キャストが重複(特に吉村役の宝田と、不参加ではあるがダヨ役の水野のキャラの要素)する『100発100中』のようなハードボイルドタッチもある東宝スパイ活劇の要素が強い。
- 福田は本作以降『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』・『地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン』・『ゴジラ対メガロ』・『ゴジラ対メカゴジラ』などを手掛け、本多と共に昭和ゴジラシリーズを中心とした東宝特撮路線を支えてゆくことになる。
- 実相寺昭雄が制作した『ウルトラQ』のドキュメンタリー「現代の主役 ウルトラQのおやじ」で円谷英二が「キングコングとモスラが出てくる映画」の話題をしている場面がある。
- 当初ダヨ役には東宝が売り出していた新人女優高橋紀子が起用されていたが、急性虫垂炎で入院してしまったためゴジラシリーズ常連の水野久美が急遽起用された。水野は前年に東宝を退社していたが、撮影前日に突然田中友幸プロデューサーから連絡があり出演が決まったと語っている。
- その後高橋は『ウルトラQ』第23話「南海の怒り」で同じく南洋の孤島の娘役を演じている。
- 市野役は当初松竹の山本豊三が起用されていたが、最終的に東宝の当銀長太郎が演じることになった。
- 良太役の渡辺徹は同姓同名の俳優とは別人で、どういった経緯で本作に参加したのか分からないとされている。
- 豊登道春の物真似があった『キングコング対ゴジラ』以降、ゴジラの仕草には時事ネタが盛り込まれるのが通例になっていたが、本作においては加山雄三による鼻をこする仕草をするシーンがある。
- 本作に登場する秘密結社「赤イ竹」は具体的にどこの国の組織なのかは説明されていない。すくなくとも核兵器を製造しているため先進国であることは間違いない。
- 本編ではゴジラを撃破するために赤イ竹戦闘機(媒体での名称)が登場するが、MiG-19とBACライトニング(MiG-21?)という制作当時は最新鋭だった機体を融合させた形状である。見た目は実在する戦闘機に似ているがオリジナルである。そして撮影に使用したミニチュアが現存する。
- 過去の東宝特撮映画で共産圏の戦闘機と言えば『世界大戦争』のモグ戦闘機があるがこれとの関係は不明。
- ゴジラが赤イ竹の戦闘機と戦う際にゴーゴーの音楽に乗って暴れるシーンもある。
- 戦闘機の他に舟艇(どう見ても外洋を移動するサイズじゃないので本部は近いと思われる)が登場するが、こちらは実際の漁船を改造したと思われる実物が登場。
- 本作のゴジラは水中戦を行うシーンがあり、『三大怪獣地球最大の決戦』のスーツをベースに潜水用の酸素ボンベを内蔵できるように改造されたスーツ(通称:南海ゴジ)で撮影が行われた。
- 2018年末に開催された『特撮のDNA展』において本作で使われた南海ゴジの頭部が展示されており、非常に劣化した状態ではあるもののゴジラの着ぐるみが今もなお現存していることが確認されている。
- ラストシーンのレッチ島が崩壊する場面は古澤憲吾監督のクレージー映画『大冒険』の流用である。
- ヤーレン号のミニチュアはその後『ゴジラ対ヘドラ』にも登場しており、現在も別作品で使用するため片側が黒く塗られた状態で保管されているとされている。
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vsエビラ(ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘)
今回は昭和ゴジラ映画より、エビ怪獣です。状況的に島からの脱出がメインで、こいつは食われそうになってます。3,851文字pixiv小説作品