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概要編集

どぶ鼠作戦』、『やま猫作戦』のヒットに乗じて制作された愚連隊シリーズ第5作。監督は暗黒街シリーズ国際秘密警察シリーズなどアクション映画を手掛けていた福田純で、福田監督唯一の戦争映画となった。

しかしその作風は、不可解な死を遂げた大隊長の遺したアヘンの争奪戦を重視したスパイ活劇という愚連隊シリーズ・作戦シリーズとしても異質なものとなっている。それだけに、極端な日本軍の戦闘シーンは少なく逆に清々しい大団円な展開になっている。

故に日活の『邪魔者は消せ』や福田監督作の『暗黒街の牙』同様に、戦争映画の皮を来た刑事ドラマ…「反戦」よりも「アヘンを含む麻薬に対する人類に発せられた警告の物語」と言えるだろう。


あらすじ編集

北支戦線の最前線・老河屯を本拠地とする河口大隊の大隊長が戦死した。

大隊長は戦局打開の軍資金として大量の阿片を集めていた。その秘密を聞きつけた地方軍閥の王虎軍は阿片の行方を探る。大隊長代理となった赤木中尉も腹心の倉野曹長とともに阿片の行方を探っていた。

一方河口大隊長の死に水を取った軍医の薮田大尉は大隊長の死に疑問を抱いていた。

そんな中老河屯にモグリの慰安手品師・雪旭斎勝々がやってきた。勝々は薮田とともに大隊長の死の真相を調べ、赤木中尉たちが怪しいとにらんだが、勝々を不審に思った倉野曹長に追い出されてしまう。

勝々は護衛に付けられた事なかれ主義な大門一等兵と協力し阿片の行方を探るが、道中で王虎軍に捕らえられてしまう。そこでふたりは王虎軍の幹部が阿片を独占し、王虎軍を乗っ取ろうとしていることを知る。王虎将軍の娘白洋と彼女を支える祭文礼は李の一派に襲われたところを秘かに抜け出した勝々たちに助けられる。そこで白洋は勝々に「大隊長を殺したのは自分たちではない」と告げる。


スタッフ編集

製作:田中友幸

脚本:関沢新一

音楽:団伊玖磨

助監督:長野卓

監督:福田純


キャスト編集

藪田大尉:三橋達也

祭文礼:夏木陽介

雪旭斎勝々:佐藤允

王白洋:団令子

赤木中尉:平田昭彦

大門一等兵:藤木悠

浅岡少佐:田崎潤

倉野曹長:田島義文

李:堺左千夫

目(さかん)少尉:伊吹徹

カズ子:北あけみ

愛国楼の親父:沢村いき雄

矢頭軍曹:草川直也

便衣の男(李の副官):稲垣隆

小町:清水由記

老婢:千石規子

王虎将軍:小杉義男

王虎の手下:成田孝

岡豊

橘正晃

岡部正

歩哨:三浦敏男

炊事兵:小川安三


余談編集

本作も『やま猫作戦』同様に加山雄三佐藤允夏木陽介の3人がメインキャストとして起用されていたが、藤本真澄プロデューサーの意向で加山は『太陽は呼んでいる』に専念するとして外され、三橋達也が起用された。同様に加山が起用されていた『暁の合唱』では黒部進が起用されている。

上記にも述べたが、佐藤・夏木・三橋らは『暗黒街の牙』にも出ておりこちらも麻薬絡みのものだった。また夏木と藤木は『Gメン'75』の結成メンバーでも知られているが、最終決戦における「さて事件の解明だが…」な逆転劇の活躍は正に「戦場のGメン」といえた。

愚連隊シリーズでも特に乗馬シーンの多い本作では、メインキャスト全員が乗馬訓練を受けた。団令子は乗馬練習のほか劇中の中国語の台詞に苦労したと語っている。

撮影は例によって御殿場で行われたが、なかなか天候がすぐれず苦労したという。

さらに撮影期間中に砧の撮影所が夏休みに入ったため撮影はさらに延びてしまい、福田監督は編集が終わったものから順次ダビングをして封切に間に合わせたと語っている。

また福田監督は『空の大怪獣ラドン』でチーフ助監督を務めていたが、王虎軍の包囲のシーンは冒頭の阿蘇山炭鉱の場面を彷彿させた。

勝々が連れていたロバは井の頭公園で飼育されていた個体を御殿場まで輸送して撮影している。

クライマックスの王虎軍本拠地は南多摩郡稲城町にあった採土場に巨大なオープンセットを作って撮影した。


福田監督は本作に引き続き『零戦決死隊』も手掛ける予定だったがこちらは森谷司郎監督に交代となり、本作が唯一の戦争映画となった。


関連タグ編集

東宝 戦争映画

独立愚連隊

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