夏木陽介
なつきようすけ
1936年2月27日生まれ。東京都八王子市出身。本名は阿久沢有(あくざわ たもつ)。自身が代表取締役を務めていたオフィス夏木に所属していた。
明治大学在学中に画家の中原淳一にスカウトされ、1958年卒業と同時に東宝に入社。同年、『美女と液体人間』で映画デビューを飾る。同期に桐野洋雄、小川安三らがいる。
芸名は中原の命名で、「夏の太陽に向かって真っすぐに伸びていく若木のように、たくましく生き生きとした俳優になって欲しい」という意味が込められている。
デビュー当時は「何かあったら辞めてやる」と軽い気持ちで活動していたが、養成所の講師を務めたベテラン俳優小杉義男相手に一歩も引かなかったり、撮影所の地主の息子である守衛の態度に腹を立ててバイクで撮影所の門の鎖を引きちぎるなどの他人に物おじしない行動がトリオを組んだ佐藤允共々「とんでもない奴が入ってきた」と畏敬の念を集めたことからいじめられることはなかったという。
1960年に『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』で主演を務めたことから俳優として活動を続けていく覚悟を固め、東宝の幅広いジャンルの映画に出演した。
1965年にはテレビドラマ『青春とはなんだ』に主演し、お茶の間でも名の知れた存在となり、翌年にはこれに肖った映画『これが青春だ!』もヒット作となる。
1973年には東宝の先輩にあたる三船敏郎から誘われて竜雷太とともに三船プロダクションに移籍。テレビドラマを主な活動の場とした。特に『Gメン'75』の小田切憲警視(メイン画像)は当たり役となった。
また無類の自動車趣味を誇り、過去に所有した車は高級車、スーパーカーなど数百台は乗り換えたと語っている。日本国内に3人しかいないメルセデス・ベンツ300SLの所有者(あとのふたりは石原裕次郎と力道山)でもあったという。また自身もラリードライバーとして1985年と1986年にダカールラリーにも出場した。
- 『美女と液体人間』(1958年):アベックの男
- 『若い獣』(1958年):川本信夫
- 『暗黒街の顔役』(1959年)
- 愚連隊シリーズ
- 『独立愚連隊』(1959年):丹羽少尉
- 『どぶ鼠作戦』(1962年):関大尉
- 『やま猫作戦』(1962年):若葉少尉
- 『のら犬作戦』(1963年):祭文礼
- 『蟻地獄作戦』(1964年):天道二等兵
- 『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』(1960年):北見中尉
- 『サラリーマン忠臣蔵』(1960年):大石力
- 『太平洋の翼』(1963年):安宅大尉
- 『青島要塞爆撃命令』(1963年):二宮中尉
- 『独立機関銃隊未だ射撃中』(1963年):小栗中尉
- 『今日もわれ大空にあり』(1964年):小村二尉
- 『宇宙大怪獣ドゴラ』(1964年):駒井刑事
- ゴジラシリーズ
- 『三大怪獣地球最大の決戦』(1964年):進藤刑事
- 『ゴジラ』(1984年):林田信
- 『これが青春だ!』(1966年):由木真介
- 『サーキットの狼』(1977年):矢田部行雄
- 『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』(2008年):鳴海長官