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ダカールラリー

だかーるらりー

パリでもダカールでもなく、南米や中東で開催されている現在のパリ-ダカールラリーのこと。

概要編集

ヨーロッパからアフリカ中部までを縦断する、ロマンとスリル溢れるモータースポーツとして人気を博していたパリ-ダカール・ラリー(通称パリダカ)であったが、年々アフリカの治安や情勢悪化が深刻化、参加者やジャーナリストが生命を脅かされたり、実際に生命を奪われてしまう事件が相次いでいた。そして2008年に、前年末のフランス人旅行者殺害事件や運営への相次ぐテロ予告などといった事態も鑑みて、開幕前日というギリギリのタイミングで中止が決定された。


この反省から、2009年から南米大陸を舞台に移して開催されることが決定した。長年築いてきたブランド力を鑑みて、"ダカール"の名は残したまま"ダカールラリー"と名乗ることとなった。実態的には開催場所が変わっただけで運営や開催時期などには変化がないため、連続記録や累積記録も"パリダカ"時代から継続して計測されている。

改称して10年経った今でも「パリダカールも通らないのにダカールって?」と批判が出ることがあるが、北米のオフロードレースはバハ半島の"バハ"、耐久レースはル・マン24時間レースの"ル・マン"をそれぞれブランドとして他のレース名につけているし、インディカーだってインディアナ州以外でも走るわけだから、むしろこうした名付け方はモータースポーツ界ではごく一般的な慣例である。さらに言うと「パリダカ」と呼ばれていた1990年代からすでにパリかダカールのどちらかが外れていたのはしょっちゅうで、マルセイユ~シャルム・エル・シェイク(2003年大会)のようにパリでもダカールでもなかった大会すらあったため、オールドファンからすれば何をいまさら、というお話である。


高原やウユニ塩湖をはじめ、南米には南米の面白さがあったが、経済的な理由により開催国数が減少。2019年にはペルー1国開催という、パリダカ時代を知る者からすればなんとも寂しい状態になってしまった。しかし競技自体の魅力は失われておらず、以降も多数のエントリーを集めている。

翌2020年からはサウジアラビアへと舞台を移している。


パリダカ時代からの四輪・二輪・トラックの3部門に加えて南米移転とともにクアッド(四輪バイク)、2017年にSSV(サイド・バイ・サイドビークル、全地形車)、2021年にはクラシックカーの部門がそれぞれ創設された。さらにSSVは軽車両(ライトウェイトビークル)部門と改称され、これがさらに市販SSVとプロトタイプに分化。さらにクラシックカー部門も追加され、現在は計8部門で争われている。


2022年に発足した「世界ラリーレイド選手権」の一戦にも組み込まれ、開幕戦として開催された。


日本ではJSPORTSがダイジェスト放送を行っている。


参戦メーカーと趨勢編集

南米に舞台を移した初年度、新型車両・レーシングランサーを投入した三菱自動車フォルクスワーゲンに初めて敗れた。フォルクスワーゲンはそのまま3連覇を果たすが、WRCに参戦するために撤退。今度はX-raidが駆使するミニが4連覇、続いてプジョーが3連覇と、スタードライバーたちの移籍事情も相まって、勝ち星が特定チームに偏る時代が続いた。プジョーは2018年大会を最後に撤退し、プジョーのドライバーを接収したX-raidの天下になるかと思われたが、今度は2012年から参戦している南アフリカ法人のTOYOTA GAZOO Racingが力をつけてきて、2019年に初優勝。トヨタは2022、2023年も連覇した。

なお2016年〜2021年は規定のバランスやコース特性の影響で4WDより2WDの方が優位となっていたが、自動車メーカーたちによる協議の末、2022年からは再び4WD有利の規則となった。

アウディが100%電気駆動のシリーズ式ハイブリッド車両で3年間のみ参戦し、最終年で電動車初の総合優勝を達成し撤退した。2025年からルノー傘下のルーマニアのメーカーであるダチアが参戦する。


四輪市販車クラスではトヨタ車体のチームランドクルーザー(TLC)がパリダカ時代に引き続き圧倒的で、2024年までに11連覇を達成している。ただし参加者の大部分がプロトタイプクラスや軽車両・SSV部門に移ってしまい、参加台数は片手の指でも余る程度になってしまっている。


二輪部門はパリダカ時代からKTMが実力はもちろん運も味方に完全無欠の連勝を重ね、まさかの20連覇まで手が届くかと思われたが、2020年にモンスターエナジーホンダがこれを見事に阻止。2021年も連覇した。ヤマハ発動機も短期間のみワークス復帰したが、優勝は果たせなかった。

他にもハスクバーナガスガスヒーローシェルコ+TVSモーターファンティックなどもファクトリーチームを送り込んでいる。


トラック部門は2009年以来ロシアのカマズ軍団が勝率8割以上という圧倒的な力を見せつけていたが、ウクライナ侵攻の影響により2023年大会からは欠場を余儀なくされ、代わりにチーム・デ・ルーイとMMテクノロジーのイヴェコが台頭している。

日野チームスガワラはベース車両の都合で10L未満クラスのみだが、パリダカ時代から参戦を継続。12連勝を達成し、総合でも最高5位まで食い込む活躍を見せ、一定の地位を築いている。2022年には10L未満クラスは消滅してしまうが、レーシングハイブリッドを採用して新たな境地に挑んでいる。

ダカール参戦回数のギネス記録保持者である菅原義正は2019年をもって引退した。


クアッド部門ではヤマハが2024年まで勝率100%で、参加者全体で見てもほぼヤマハワンメイク状態である。


軽車両・SSV部門はプライベーターでも勝負しやすいことから人気が高まり、他部門からの転向者が増えている。ヤマハもX-raidとのジョイントにより、YXZ1000Rの改造車で2021年から参戦している。

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