概要
『ギララの逆襲』とは、2008年7月26日に公開された日本の怪獣映画。
正式名称は『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』。サブタイトルは本作にゲスト出演している水野晴郎が考案したとされる『007 ロシアより愛をこめて』の邦題『007 危機一発』に由来する。
松竹映画作品で唯一の怪獣映画『宇宙大怪獣ギララ』を下敷きとし、登場する怪獣ギララの特徴も同作を踏襲しているが、内容も前作とは繋がりがなく「現代(2008年)日本にギララが初めて出現した」というコンセプトのリブート的作品である。
今作の企画は洞爺湖サミットの開催に便乗したものであり、全国公開より先となる2008年7月5日に北海道で先行公開されている。
特撮では製作費や監督の河崎実の意向もあってCGよりも着ぐるみ・ミニチュア特撮を中心とし、演出も昭和の特撮映画を彷彿とさせるものが多い。
キャスト陣に関しては主役の隅田川すみれ役の加藤夏希氏、相棒の戸山三平役の加藤和樹氏、地球防衛軍木村参謀役の黒部進氏などメイン・脇役含めて特撮作品出演経験者が多い。
さらに今作のキーキャラクターのタケ魔人の声優をあのビートたけし氏が担当し、松竹版で主役の佐野を演じた和崎俊也氏が同姓の佐野博士という役でゲスト出演している。
あらすじ
2008年夏。洞爺湖サミットの開始に時をあわせるように、北海道札幌市に宇宙怪獣ギララが出現する。逃げ帰ろうとしていた首脳達を呼び止めるアメリカ合衆国のバーガー大統領。「怪獣退治で、支持率アップだ!」と息巻いた彼に触発された各国首脳は「サミット」の看板を「G8宇宙怪獣対策作戦本部」に架け替え、数々の作戦を実行する。
しかし新型ミサイルも落とし穴も掟破りの毒ガスさえもギララには何の効果もない。
そんな中、東京スポーツの記者・隅田川すみれとカメラマン・戸山三平は、湖畔の神社で不思議な一群を目撃、全人類の命運を握ることになっていく。
登場怪獣
突如札幌市に墜落した宇宙船の残骸から現れた宇宙怪獣。詳細はリンク先参照。
身長 | 50m |
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体重 | 10,000t |
洞爺湖の湖畔にある寂れた村で祀られている守護神。普段は約50cmの木像の姿をしており、背中に生えた6本の腕には古代のオーパーツとされる傘や消火器のようなものを持っている。
村の住民たちが円陣を組んで踊りながら祈りをささげることによって光と共に巨大化する。
古代の洞爺湖に来襲したギララと戦い、これを封じたという伝承があるらしいが、タケ魔人自身はギララのことを覚えておらず「冗談じゃないよお前、オイ」とぼやいていた。
戦闘の際には6本の腕を収納して肉弾戦を行うほか、背中の後光をチャクラムのように放り投げる必殺技「八つ裂き後光輪」を使う。
登場メカニック
- AACベータ号
中国が火星探査のために打ち上げた有人宇宙船。外観は『宇宙大怪獣ギララ』のAABガンマ号に酷似しているが、エンジンと翼の形状が異なる。デザインは寒河江弘。
ノズルに宇宙胞子が付着したことで操縦不能となり札幌市に墜落。その爆発によってギララが誕生してしまった。
中国製であることが判るやG8から「また中国製か」、「パチモン」と酷評されていた。
- 特殊マイクロウェーブ波発生装置
特殊なマイクロウェーブで地下のマグマを制御する装置。開発者の深見博士は地震を抑制するために開発したと言及していた。
制御装置のプロップは『ウルトラマンメビウス』のシルバーシャークGのコンソールの流用であり、「SILVERSHARK G」の文字も映り込んでいる。
- はげわし
地球防衛軍が開発した新型ミサイル。装輪式の輸送起立発射機から射出される。日米共同作戦でギララに対して使用されるが、ギララには効果がなく食べられてしまった。
- ポロニウム210
ロシアの科学陣がポロニウムをもとに開発した放射性物質。「史上最強の猛毒」の異名を持ち、生物を数秒で死に至らしめるほどの威力を持つ。
プッチン大統領の命令で作戦地域に潜伏していたKGB工作員によってギララに対して使用されるが、ギララには眠り薬にしかならなかった。
- ダブリンVXVIII
ドイツ軍最強の化学兵器。ポロニウム210作戦失敗の後始末としてローベンブロー大統領が使用を決断。ギララの全身にパックを被せて全身に浴びせたが、起き上がったギララは笑い声をあげながら踊るだけであった。
- 精神破壊コイル
超巨大なヘッドホンの形をした電波兵器。対象をマインドコントロールする機能を持ち、ギララの頭部に被せてマインドコントロールを試みるが、却ってギララが凶暴化してしまった。
- ポテドン55号
北の某国が開発した核弾頭ミサイル。半径2kmを核の炎で包み込む限定核だが、佐野博士には中途半端と指摘されている。
議場に潜入し、通訳とすり替えていた工作員部隊「喜び組」を率いて議場を制圧して指揮権を奪った北の将軍様がギララに向かって発射するが、佐野博士から威力が中途半端なため命中しても完全な撃破には至らず、飛散したギララ胞子から大量のギララが誕生してしまうことが指摘される。
このほか地球防衛軍の通常兵器としてF/A-18やハリアー、トヨタ・ランドクルーザーやM715トラックが登場している。
DVDのパッケージには日の丸が描かれたCF-100の姿があるが本編には登場していない。
キャスト
隅田川すみれ:加藤夏希
戸山三平:加藤和樹
伊部三蔵首相:福本ヒデ
大泉純三郎元首相:松下アキラ
脇谷老人:渡辺又兵衛
ビーフストロガヌフ・プッチン露大統領:アナトリ・クラスノフ
ピッツァーノ・ピエトロ伊首相:ロベルト・コラサンティ
北の独裁者:ジーコ内山
KGB:リカヤ・スプナー
イタリア軍パイロット:テビュー・ロビン
イギリス軍パイロット:ニクラス・エリクソン
真一:藤田光斗
幼少の真一:浅野海偉
少年:吉田秀太朗
利雄:石和摂
村人:阿部能丸
通訳の女1:赤澤圭
通訳の女2:庄司ゆうこ
通訳の女3:永瀬ひかり
通訳の女4:井上晴賀
通訳の女5:河村舞子
通訳の女6:夏美れい
通訳の女7:太田衣美
通訳の女8:森下悠里
東京スポーツの記者:南郷勇一
登別の饅頭屋店員1:加藤礼次朗
登別の饅頭屋店員2:姜聖士
ギララ(スーツアクター):破李拳竜
タケ魔人(スーツアクター):岡田ゆういち
アナウンサー:有村昆
リポーター1:レイパー佐藤
リポーター2:こばやしあきこ
リポーター3:青木将彦
リポーター4:岡村洋一
記者1:DAIZO
記者2:黒澤和樹
SP1:松原智規
SP2:大島直也
上野秘書官:小西章久
相馬隊長:國本鐘建
三宅隊長:大滝明利
防衛隊員1:松田一輝
防衛隊員2:沢北翔
防衛隊員3:石坂岳史
防衛隊員4:中村尚輝
防衛隊員5:なべやかん
杉下隊員:アジャ松田
小松隊員:酒井一圭
川西編集長:井上純一
みうらじゅん(特別出演)
リリー・フランキー(特別出演)
水野晴郎(特別出演)
佐野博士:和崎俊哉
深見博士:堀内正美
牧走村長:きくち英一
森川宮司:中田博久
高峰参謀:古谷敏
木村参謀:黒部進
鳴海長官:夏木陽介
タケ魔人の声:ビートたけし
スタッフ
音楽:福田裕彦
主題歌:デブパレード「cosmic mind」
特撮:特撮研究所
特撮アドバイザー:佛田洋
監督:河崎実
余談
脇谷老人役の渡部又兵衛は当時の福田康夫首相のモノマネを持ちネタとしており、制作会見では福田首相のモノマネで出席していたが、河崎監督の意向により配役を変更された。ただしこの会見には本編で伊部首相を演じている福本ヒデが伊部の元ネタである安倍晋三のモノマネで出席しておりもともと制作会見のお遊びだった可能性もある。
通訳役の森下悠里のフランス語は当初吹替も予定されていたが、森下のフランス語が流暢だったことからそのまま採用された。一方フランス大統領役のインゴは顔がニコラ・サルコジ大統領に似ているだけのイラン人でフランス語が全く話せず、全て口パクで演じている。
北の独裁者役のジーコ内山は河崎監督の前作『日本以外全部沈没』でも同役で出演している。
G8各国首脳のテーマ曲はそれぞれの国々の有名な楽曲と伊福部昭の映画音楽やウルトラシリーズのBGMを組み合わせたような楽曲になっている。
続編構想?
河崎監督は続編として本作が遺作となった水野晴郎の追悼を意図しシベリア鉄道を舞台にしたギララ胞子争奪戦にガッパが乱入する『ギララ・ガッパ超特急』を構想していると発言したが実際に企画として進行していたかは不明。
関連タグ
宇宙大怪獣ギララ←ギララの逆襲