世界一長い鉄道の概要
ロシアの抱える鉄道で最も長く、起点はモスクワ地下鉄と接続するヤロスラフスキー駅からノヴゴロド、キーロフ、オムスク、ノヴォシビルスク、イルクーツク、チタ、ハバロフスクを経由してウラジオストクに辿る路線で世界一長い鉄道である。
シベリア鉄道をロシア語に訳すとТранссибирская магистральになる。
英語名称でも"Trans-Siberian Railway"であり、日本語では「Транс/Trans=汎(横断する)」の部分が訳しにくいため抜けている。
その路線はなんと9297kmである。
アジアロシアの大動脈でもあり、「バム鉄道」と並ぶ幹線路線であるが、多くは国境に際立って近い。(例えばハバロフスク付近は中国に近いなど。)
モスクワ市内にあるヤロスラフスキー駅からペルミまでは欧州ロシアを通りそこからウラル山脈を経由してエカテリンブルクからウラジオストクまではアジアロシアを通る。
ハバロフスクでは中国、ウラジオストクでは日本や北朝鮮からの石油や天然ガス等の物資を運ぶ役割も果たしている。
ちなみに日本からの最寄り駅はウラジオストク駅である。(特に北陸、近畿)
プーチン政権はやたらと北海道とサハリンの間にトンネルと直通鉄道を作りたがっているが、
かりに出来たとしても対関東基準では時間的な最短経路は(東京→欧州の場合)新潟か敦賀で船積み、ウラジオストクまたはナホトカで陸揚げ・鉄路発送である。ルートが大回りすぎるためで、これが最短経路になるのは北海道と東北の北部だけに留まる。この2地域ですら、出荷先がウラジオストクなどロシア極東の都市部どまりであれば現状通りの船便が最速経路となる。
EU各国と東アジアの間に路線を延ばしているため、見方によってはこの路線自体がロシアの経済資源の一つである(自国で生産・価値追加を一切していない他国産品の輸送でも運賃収入が得られる)が、軍事的観点に重きを置きすぎて尽く周辺各国と規格を変えてしまい(軌間・連結器)、結局宝の持ち腐れになっている。
バム鉄道(第二シベリア鉄道)との競合
シベリア鉄道はタイシェト以東はバム鉄道と競合しているが、距離は離れている。
こちらは国境沿いを経由してウラジオストクに行くのに対し、バム鉄道はそこより北側を経由してソヴィエツカヤ・ガヴァニ(略称ソヴィエツカヤまたはソフガヴァニ)へと向かう。
日本の石油や天然ガスはバム鉄道とシベリア鉄道から石油が運ばれていくのである。
バム鉄道は満州事変に対してソ連の輸送力強化のために建設が開始された鉄道である。
第二次世界大戦後はシベリア抑留によって多数の日本人がバム鉄道にて強制労働させられた挙げ句、多くの死者が出てしまった、日本人にとっては忌まわしい場所でもある。
しかし現在では観光目的の需要性が増している。
上述のサハリンの鉄道がリンクしている先はシベリア鉄道ではなくバム鉄道である。現在の路線網ではホルムスク(旧・真岡)から間宮海峡の対岸ソフガヴァニに連絡船が渡っているが、連絡鉄道はサハリン北部のノグリキ近くの海峡の狭いところで渡る予定のため、距離的にはさらに大回りとなる。
創作での扱い
移動距離が長いことから車両内が、サスペンスやアクションなどの創作作品の舞台となることがある。
BLOOD+
竹田青磁がプロデューサーを手掛けたアニメ。
16話「シベリアン・エクスプレス」で、ベトナムから沖縄に一時帰国した後、ロシアのウラジオストクに向かうという話の流れの中で登場した。
OVERMANキングゲイナー
文明の行き詰まりを感じた人類が、自然環境回復のためにあえて極地や砂漠などに移住した遠未来を舞台としたロボットアニメ。
ツンドラ地帯から豊かな土地ヤーパンを目指して都市ごと「エクソダス」する主人公側と、治安を守ろうとする世界政府に所属するシベリア鉄道警備隊との攻防が描かれる。
シベリア超特急
映画評論家の水野晴郎氏が監督した、列車内での殺人事件を描いたカルト映画。
さらばシベリア鉄道
松本隆が作詞を、大瀧詠一が作曲を担当した太田裕美の曲(後に大瀧詠一がセルフカバーする)。
関連動画
- 【シベリア鉄道の三等客室の様子】