概要
オホーツク海の南西部、北海道の北側に位置するロシア連邦が実効支配する島(サハリン島)、或いはサハリン島を中心とする行政区域(サハリン州)。本稿ではロシアの歴史及び地理としてのサハリン島及びサハリン洲を記述する。日本の歴史及び地理の一部としてのサハリン島の詳細は樺太を参照。
地理
サハリン州は、日本では樺太とも呼ばれるサハリン島と、クリル諸島(千島列島及び色丹島・歯舞群島)で構成される。
島の形状は南北に細長く、面積は76,400km²で北海道の面積とほぼ同じ。ほとんどは山岳地帯である。ユーラシア大陸から見ると、アムール川(黒龍江)の河口部に位置し、大陸とはタタール海峡(間宮海峡)で区切られている。最大都市はユジノサハリンスク(豊原)。
「サハリン」の呼称は、満洲語で「黒い」若しくは「黒」と云う意味。これは満洲族がアムール川(黒龍江)のことを「サハリヤン・ウラ(「黒い水」の意)」と呼んでおり、その河口の先に位置したことに由来する。
ちなみに、サハリン州はロシア連邦を構成する行政区域で唯一、全域がユーラシア大陸外にある。
歴史
かつてはアイヌ、ニヴヒ、ウィルタといった先住の狩猟民族が暮らしていた。日本では北蝦夷と呼ばれ松前藩が管轄していた。沿海州(外満洲)がロシアの領土になってからは、ロシア本土から罪人を流すための流刑地とされていた。ロシアの文豪アントン・チェーホフが当時のサハリンを訪れ、作品「サハリン島」を著している。
この時点ではサハリン島(或いは樺太)はロシア・日本の混住地とされ、領有権がロシア帝国、日本のどちらに帰属するかは明確にされてこなかったが、1875年の樺太・千島交換条約により千島列島を日本領とする代わりにサハリン島は全域がロシア領となった。上記のチェーホフの「サハリン島」は全域がロシア領となってから書かれたものである。
1905年から1946年までは、ポーツマス条約により、サハリン島は北緯50度以南が日本の領土(南樺太)、それ以北がロシア帝国(のちにソビエト連邦になった)の領土となっていた。第二次世界大戦後、ソビエト連邦が侵攻し日本人を追放、自国領に編入した。その後も当該地域をソビエト連邦及びその権益を承継したロシア連邦が実効支配しているが、日本では上記の歴史的経緯からサハリン州の全体ないし一部を日本に帰属させるべきという意見もある。
現在は石油や天然ガスの産地として経済や産業が活性化しているが、絶滅危惧種のアジア系のコククジラの保護と板挟みになっている。
余談
ピクシブ上で「サハリン」でタグ登録されている作品には『機動戦士ガンダム第08MS小隊』の登場人物であるアイナ・サハリンのイラストが含まれている。