概要
フルタイトルは「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」
「南海の大決闘」と同様に孤島を舞台にした作品で、グアムでロケを敢行したことが話題を呼んだ。
タイトルにもあるように、ゴジラの息子ミニラが登場するのだが、同時に「ゴジラはオスかメスか」というのも話題となった。予告編では「パパゴジラ」とテロップされ、監督の福田純氏も「このゴジラはオスです」と語っている。
ミニラの登場について、プロデューサーの田中友幸氏は「苦し紛れに考え出した」と語っている。しかし特技監督の有川貞昌氏は後年「私が二代目の特技監督になったので、ゴジラにも息子をというアイデアが出た」と語っている。
脚本は関沢新一氏とその弟子の斯波一絵氏の連名となっているが、実際には斯波氏の原案「二匹のゴジラ 日本SOS!!」をもとに関沢氏が執筆したものとなっている。
同時上映は舟木一夫主演の『君に幸福を センチメンタル・ボーイ』。ゴジラシリーズと一般映画が同時上映されたのは本作が最後となった。
登場怪獣
ストーリー
嵐の中を飛んでいる艦測機が、南海の孤島「ゾルゲル島」に向かうゴジラを発見した。
ゾルゲル島では今、国連主導の元いずれ来る食糧難対策として楠見恒蔵博士による放射能ゾンデを使用した天候コントロール実験「シャーベット作戦」が敢行されていた。ジャーナリストの真城伍郎はその話をかぎつけ、単身パラシュートでゾルゲル島に降下する。当初は取材を試みた真城だったが楠見に断られてしまい、楠見の助手の藤崎の勧めでスタッフとして彼らに協力することになった。
いよいよ実験が開始されるが、謎の妨害電波が発生して衛星は打ちあがらず、島には異常高温が蔓延。棲息していたカマキリがカマキラスとなってしまった。そんな折、伍郎は島に打ち上げられていた謎の少女を救う。
カマキラスが土を掘り起こすと中から卵が現れ、ゴジラの息子ミニラが孵化した。カマキラスがミニラを攻撃し始めたとき、とうとう島にゴジラが上陸した!
スタッフ
キャスト
楠見博士 | 高島忠夫 |
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サエコ | 前田美波里 |
真城伍郎 | 久保明 |
藤崎 | 平田昭彦 |
森尾 | 佐原健二 |
古川 | 土屋嘉男 |
気象観測機機長 | 黒部進 |
気象観測機操縦士 | 鈴木和夫 |
小沢 | 丸山謙一郎 |
田代 | 久野征四郎 |
鈴木 | 西條康彦 |
気象観測機無線員 | 当銀長太郎 |
気象観測機計測員 | 大前亘 |
ゴジラ | 大仲清治、関田裕、中島春雄 |
ミニラ | 小人のマーチャン |
本作のゴジラのスーツアクターはミニラとの対比から身長183cmの大仲清治氏が起用されたが、撮影の合間にキャッチボールをしていたところ、ボールを拾おうとしてマンホールに指を挟み負傷。関田裕氏に交代している。
中島春雄氏はプール撮影のみを担当している。
余談
話題を呼んだグアムロケだが、実は主演の高島忠夫氏は飛行機嫌いを理由に参加していない。田中友幸氏は「妻(寿美花代氏)の分のチケットも用意するから」と説得したが応じず、結局グアムでのシーンでは楠見役を現地のそっくりさんで補うこととなり高島氏は田中氏や共演者の顰蹙を買ったと言われている。
一方古川役の土屋嘉男氏はまだグアムに日本兵の生き残りがいるという噂を聞きつけ、冗談半分でジャングル内を「戦争は終わった」と声を掛けて回った。そのジャングルに潜伏していた横井庄一氏が発見されたのはその翌年のことであった。
藤崎役の平田昭彦氏は本作について「サービスで子供向けのゴジラを作るのはいいが、ゴジラの本質は悪の権化」と語っている。
1967年のクレージー映画「日本一の男の中の男」では植木等氏扮する主人公・小野子等が喫茶店で歌うシーンの背景で本作の映像が使われており、間接的ではあるがゴジラと植木氏の共演が実現している。
なお、本作で「怪獣大戦争」以来、新たな着ぐるみが作られ、撮影に用いられた。
詳細は息子ゴジを参照。