恐山
おそれざん
下北半島中央部むつ市内に位置する円形状の火山群での総称で、単独の山の名前ではない。
また定義が非常に曖昧で確固たる地位ではないが、日本三大霊山(恐山、高野山、比叡山)、日本三大霊場(恐山、白山、立山)、日本三大霊地(恐山、立山、川原毛)の一つとして扱われる事も多い。
霊場はカルデラ内の宇曾利山湖(うそりやまこ)の湖岸にあり、恐山菩提寺という寺院が立地する。
一帯には「賽の河原」と呼ばれる小石や砂利だらけの荒地が広がり、毎年7月の祭りではイタコ(巫女)による霊媒術である口寄せが行なわれる。
霊場には観光で訪れる事も可能ではあるが、いつも微量の火山ガスが噴出しているため軽いめまいなどを起こす人も少なからすいるとされる。
また硫黄成分がたっぷりの温泉があり入浴も可能。
周辺には金の鉱脈が確認されており、場所によっては鉱石1トンあたり400グラムを上回る含有量を誇る。
しかし金鉱脈の発見が国定公園指定後であること、土壌に高濃度のヒ素と硫化水素が含まれており掘削するだけで作業員の生命に危険が及ぶために本格的な採掘は実質不可能だが、近辺で取れる砂金はお土産品として販売されている。
今を遡ること1,200年前、慈覚大師円仁が入唐求法中の霊夢に聖僧が現れ、
「汝、国に帰り、東方行程30余日の所に至れば霊山あり。地蔵尊1体を刻し、その地に仏道をひろめよ」
とのお告げを受ける。
大師は直ちに帰国し、霊山を探して諸国を行脚。辛苦の巡錫を重ねてこの地にたどり着いた。
地蔵菩薩の「地」という文字は大地をあらわし、「蔵」は生命を育む母胎をあらわしている。
人に踏まれながらもひたすら支えてくれるこの大地と人々の痛みをわが痛みとしてしかと受けとめてくれる慈母の如き心こそ、地蔵菩薩そのものであるとされていた。
「地獄の責め苦を代わりに受けて、生死に迷う人間を助け、清浄世界の天人を渡す」
この地蔵菩薩の請願がある限りでは深山の硫黄(火山ガス)が漂う地獄谷も絶対安楽の大地であると考えられ、「地蔵と共におわす故に浄土なり」と無言の説法が今日まで続いているとされる。
「今は亡き肉親の菩薩をとむらうため」
「故人の霊としみじみと語り合いたいため」
「自分の信仰心をより一層深めたいため」
1千年の永きに亘り、「人が死ねばお山(恐山)に行く」という素朴な庶民心情の下でこの山の山岳信仰文化が形成されてきたのである。
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