概要
カルデラは火山の火口部分が陥没したものである。直径は数百mほどのものもあれば数十kmにもなるものもある。語源はスペイン語で「釜」ないし「鍋」を意味する「caldera」から来ている。形状が似ているからである。
噴火が長い間続くと地下に空洞ができ陥没する。するとさらに規模の大きい噴火が起き、噴火が終わると火口がカルデラになっている。言い換えればカルデラはそこが火口であったことを示している。
なお直径十km以上の規模のカルデラが生成されるレベルの噴火は凄まじく、周囲半径数十km以上が火砕流に呑まれ、千km単位の遠方でも数cmとそれなりの量の火山灰が積もるレベルである。これを「破局噴火」と言う。
事実、九州にある阿蘇山で起きた過去の噴火の中には九州ほぼ全域と山口県を火砕流で焼き尽くし、北海道を含む日本本土全域と朝鮮半島の大部分を完全に火山灰で覆ったレベルのものがあることが地質調査から判明している。
陥没した結果現在は湖や海になっているものも多い。阿蘇山のように谷の地形と変じて多くの人々の生活を支えている例もある。また、過去にあったカルデラが浸食や埋め立ての結果よくわからなくなってしまっている例もある。
紀伊半島南部にもカルデラはあるが、浸食され尽くして形は消滅している。1400万年前にトバ湖やイエローストーン級の破局的な噴火を起こしたとされる。
現代の日本で破局噴火を想定したシミュレーションはいくつかあるが、阿蘇山で破局噴火が起きた場合、北海道東部と沖縄を除く日本全土で火山灰により電気・水道など生活に欠かせないライフラインが停止、都市部の鉄道・空港・道路が使用不能となり全ての交通・物流がパニックになる。
莫大な経済的被害はもちろんのこと農作物も壊滅するため食糧難が発生することとなり、最悪の場合で1億人を超える死者が出るとの想定もある。まさに日本という国家が消滅しかねないほどの大災害になることは避けられない。