概要
長野県王滝村と、岐阜県下呂市と高山市にまたがる標高3,067mの複式火山。
ここ数十年で活動が活発化した活火山であり、常時観測火山。
大きな峰が複数あるがどの山地や山脈にも属さない独立峰で、山頂部が横に広く遠くから眺めると台形に見える山容が特徴である。
日本百名山にも選ばれている。
有史以降近年まで記録に残るような噴火活動はなかったとされる。
しかし1979年に山頂部で水蒸気爆発が発生し、「死火山」という用語の廃止につながった。
そして2014年9月には7年ぶりの噴火で水蒸気爆発を起こし、多量の噴石や火山灰などが原因で1991年の長崎県雲仙岳での被害を上回る死者58人、行方不明者5人を出す戦後最悪の火山災害となった。
また1984年には長野県西部地震により南方斜面で大規模な土砂崩れが発生し、多数の死者を出している。
山腹にある五つの旧火口は火口湖(一ノ池~五ノ池)となっている。
そのうち二ノ池と三ノ池は常時水をたたえており、二ノ池は日本で最高所(2,905m)にある湖沼である。
高山植物の生息地であり、裾野の大規模な森林地帯は林業の資源地として長く保護されてきた。
古くから山岳信仰の対象とされており、山頂には御嶽神社の社殿が建てられていて開山と初登頂はなんと西暦700年代とされる。
近世後期まで修験者以外の登山は禁じられていたが、江戸時代の1782年からは7月から9月までの夏の山開きの期間中のみ庶民の登山もできるようになり、信仰登山が大衆化した。
登山口は5つあり、バスやロープウェーで7合目まで登れるルートもあるので3,000m級としては比較的登頂しやすい高山であった。
14年の噴火後は火口から1km圏内の立ち入り禁止が続いているが、2020年現在は最高峰の剣ヶ峰以外の峰の登頂は可能であり山小屋も数軒営業している。
またここ2、3年は毎年一定の期間内に剣ヶ峰エリアへの入山ができるようにもなっている。
被災現場には避難用シェルターや防災無線スピーカーが取り付けられ始めており、1年でも早い完全復興への努力が続いている。