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概要編集

火山噴火はしばしば深刻な災害を引き起こし、われわれ人間の生活に甚大な影響を及ぼす。

災害をもたらす火山現象は、噴石火砕流、火山泥流、溶岩流火山灰土石流、火山ガス、山体崩壊津波など、実に多種多様である。


空振編集

噴火が起こると激しい空気振動が起き、衝撃波となって大気中に伝播する。

これにより、窓ガラスが割れるなどの被害が出ることがある。


火山灰編集

火山灰は農作物交通機関などに甚大な影響をもたらし、特に上空を飛ぶ航空機の運航に重大な影響を及ぼす。

火山灰がジェットエンジンに入るとエンジンが停止して墜落する危険があるためである。

2010年にアイスランドで起きたエイヤフィヤトラヨークトルの噴火では、ヨーロッパのほぼ全域に火山灰が拡散したため、ヨーロッパ中のほとんどの空港が閉鎖して多数の航空便が欠航し、空の交通網に大混乱をもたらした。

火山灰の脅威はこれらにとどまらず、大都市では電気水道といったライフラインも交通機関と共に麻痺する可能性がある(都市機能の停止)ほか、灰が人体に侵入した場合は様々な健康被害が起こり得る。


噴石編集

大型の噴石の場合は、登山者が死傷したり建物が被害を受けたりする危険がある。


火砕流編集

日本の気象庁の定義によれば、火砕流とは、噴火により放出された破片状の固体物質と火山ガス等が混合状態で、地表に沿って流れる現象のことである。

数百℃に達する場合もある高温の火砕流は、時速百km以上と高速でもあるため、極めて危険な火山現象である。

このため、人々が避難する間もなく火砕流が流下し、甚大な災害をもたらす事例がしばしば見られる。

例えば、1991年6月3日に雲仙岳で発生した火砕流は43人の死者・行方不明者を出した。


火山泥流編集

火山噴出物がと混合して斜面を流下する現象を「火山泥流」と呼ぶ。

火砕流と同様、大きな災害をもたらす危険な現象である。

1783年に起きた浅間山の天明大噴火の際には、大規模な火山泥流が吾妻川・利根川を流下して流域に大被害をもたらした。

火山を覆うが火山活動により融けて発生する火山泥流は融雪型火山泥流と呼ばれ、1926年の十勝岳噴火の際にもこのタイプの火山泥流があった。


溶岩流編集

溶岩流は流速が遅い場合が多いため、(避難ができれば)人命に直接関わるような災害は起こりにくいが、住宅や農地が飲み込まれた場合は被害が生じ得る。


火山ガス編集

火山ガスには、「硫化水素」「二酸化硫黄」「塩化水素」等の有毒な成分が含まれており、最悪の場合人が死亡する可能性もある。


火山津波編集

海域付近で火山活動による山体崩壊が発生したり、海底火山の大噴火が起きたりした場合、津波が発生することがある。

このようなタイプの津波は、地震により発生する一般的な津波に比べて事前の予測が困難という特徴があるため、しばしば大規模災害をもたらす。

1792年に雲仙岳の眉山が崩壊して巨大津波が発生したことによる災害(島原大変肥後迷惑)などもその1例である。

2022年に発生したフンガ・トンガの噴火でも津波が発生した。


火山の冬編集

世界のどこかで火山が大爆発を起こすと、噴煙火山灰成層圏に達してエアロゾルとなり、日射が遮られるため世界中の気温が低下する。

こうした現象を「火山の冬」と呼ぶ。


1783年にはアイスランドのラキ火山や日本浅間山など世界各地で大噴火が相次いだため、世界中の気温が低下し、日本では天明の大飢饉が深刻化したほか、後にヨーロッパでフランス革命が発生する要因にもなったといわれている。


1815年にインドネシアのタンボラ火山がVEI7の巨大噴火(有史以降世界最大級の噴火とされる)を起こした際には、翌1816年に地球全体の気温が極度に低下し、欧米など北半球を中心に顕著な異常気象が見られたことから「のない年」と呼ばれた。


火山の噴火は、火山があるその地域だけの災害にとどまらず、地球規模の気候にも影響を与え得る、極めて恐ろしい災害なのである。


防災編集

日本は111もの活火山が存在する火山大国であり、常に火山災害の危機に晒されている。

近年では、2014年に御嶽山の噴火が発生し、58人もの犠牲者を出し日本における戦後最悪の火山災害となった。

そのため、国民の火山災害への備え(防災意識)も非常に重要となる。


火山噴火予知連絡会は全国に存在する111の活火山のうち 「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として50火山を常時観測火山に選定している。

これらの火山は気象庁が特に観測を強化しており、地震計や傾斜計などを使用した火山観測を行っている。

気象庁は、火山の噴火により災害が起こる恐れがある場合、噴火警戒レベルや噴火警報などを発表しており、国民はこれらの情報等に留意する必要がある。

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