概要
同年には『宇宙大怪獣ドゴラ』や『三大怪獣地球最大の決戦』が公開されており、怪獣ブームの火付け役にもなった。三大怪獣地球最大の決戦は12月20日公開であり、一年にニ回ゴジラ映画が公開されたのは2018年にアニゴジ第二章・第三章が封切られるまで唯一の事だった。
当時、日本映画の観客動員数は1958年の11億人強を頂点として、1962年にはその半分の5億人強まで落ち込んでそのまま下り続け、本作の初回観客動員数はわずか351万人と前作キングコング対ゴジラの1120万人(1962年8月公開)と比較して激減している(モスラ対ゴジラの観客動員数722万人は、下記のドラえもんとのリバイバル上映などを含んだ数字であることに注意されたし)。
本作でゴジラはヒールとして描かれており、怪獣同士の戦いで初めて敗北を喫した。
内容は「観光開発ブーム」「新聞の第三権力化」等当時の世相批判が盛り込まれている。
同時上映は愚連隊シリーズ第6作『蟻地獄作戦』。
1980年に上映された映画ドラえもんの第一作である『のび太の恐竜』(観客動員数320万人)の時にも同時上映されている(冒頭にハイライトが追加され、上映時間が短縮された再編集版)。松本零士による描きおろしのイラストがポスターに使用された。
登場怪獣
モスラ(成虫)
モスラ(幼虫)
本作のゴジラは造形が前作から再び一新、悪役らしく三白眼で眉の部分が目立つデザインとなっており、前作の「キンゴジ」と並んでファンからの支持が厚い通称「モスゴジ」。干拓地から初登場するシーンで頬肉の部分がぷるぷると動く(スーツの肉付けが剥がれていた事による偶然の産物で、後半は接着され揺れない)生物的な動作も特徴。
ストーリー
大型台風が日本を通過した翌日、毎朝新聞の記者・酒井市郎とその助手中西純子は倉田浜干拓地で謎の鱗のような物体を発見。一方、静之浦海岸に巨大な卵のような物体が漂着した。
発見した漁民から卵を買い取ったハッピー興行の熊山は、孵化施設を兼ね備えた観光施設「静之浦ハッピーセンター」の建設を推し進める。
科学者、三浦博士と共に卵の調査をしていた酒井。
そこに小美人が現れ、「卵はインファント島に残った唯一のモスラの卵だから返してほしい」と言う。
酒井たちは熊山に卵返還の抗議活動を行うが、熊山はまるで相手にせずそれどころか「小美人を自分に売れ」と迫った。彼の裏には悪徳興行師の虎畑二郎がついていたのだった。
一方、干拓地から放射能が検出されたとして酒井と純子は除染を受ける。再び干拓地に向かった酒井たちだったが、地底から突如ゴジラが出現したのだった。
キャスト
酒井市郎 | 宝田明 |
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中西純子 | 星由里子 |
三浦俊介博士 | 小泉博 |
中村二郎 | 藤木悠 |
虎畑二郎 | 佐原健二 |
熊山 | 田島義文 |
小美人 | ザ・ピーナッツ |
毎朝新聞社デスク | 田崎潤 |
移動対策本部長 | 藤田進 |
神主 | 沢村いき雄 |
船員 | 山本廉 |
自衛隊員 | 野村浩三 |
船着場の警官 | 堤康久 |
自衛隊幹部 | 津田光男 |
警察幹部 | 大友伸 |
漁民A | 大村千吉 |
インファント島の長老 | 小杉義男 |
小林先生(女教員) | 八代美紀 |
スタッフ
監督 | 本多猪四郎(本編)/円谷英二(特撮) |
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脚本 | 関沢新一 |
制作 | 田中友幸 |
音楽 | 伊福部昭 |
撮影 | 小泉一(本編)/有川貞昌、富岡素敬(特撮) |
編集 | 藤井良平 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1964年4月29日 |
上映時間 | 89分 |
制作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
余談
当初は前作の続編として再びキングコングとゴジラが対決するという案もあったが、アメリカ側との折り合いがつかず断念したとされている。
本作には『ゴジラ』の原作者である香山滋は関与していないが、制作にあたって東宝のスタッフが挨拶に訪れており、香山はその義理堅さに感激したという。
当初の脚本では悪役は本編で佐原健二が演じた虎畑のみで、名前も「万造」。完成作品では虎畑の父の名前に流用されている。
当初佐原は動物学者の原健也という別役で出演する予定だったが、予算の都合と「博士がふたりいても仕方ない」という関沢新一の意向で小泉博が演じた三浦博士に統合されてしまい、役がなくなってしまったところに本多監督から「また悪役をやってみるか」と薦められ虎畑役にスライドした。
本多監督は本作の悪役である虎畑と熊山もそれぞれ実業家・興行主としては当たり前のことをやっており、決して悪意を持って行動しているわけではないと語っている。
同時上映は当初ミュージカル映画『君も出世ができる』を予定していたが間に合わず、坪島孝監督による戦争アクション映画『蟻地獄作戦』に変更された。
一方本作も特撮班は『青島要塞爆撃命令』、『マタンゴ』、『海底軍艦』、『士魂魔道大竜巻』に加え急遽『大盗賊』まで制作することになるなど多忙を極め、決定稿完成の翌日には撮影を開始し急ピッチで制作が進められた。
ゴジラが名古屋城を破壊するシーンは中島春雄が足を滑らせて名古屋城を破壊してしまったアクシデントを利用したと言われることが多いがこれについては複数の証言を混同した誤認とされている。
上記の内容はおおむね有川貞昌の証言によるものだが「中島が足を滑らせてお堀に滑り込んだ」として名古屋城を破壊してしまったとは発言していない。
一方中島も生前バラエティ番組で「ゴジラが名古屋城を破壊したのは演出で、自分が足を滑らせて名古屋城を破壊したわけではない」と発言していた。
またゴジラが名古屋城を破壊しようとするが、模型が頑丈すぎて壊れなかったNGシーンの映像が残されている。
関連タグ
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