概要
標高900から1,200m、周囲16km、面積30平方kmにわたって広がり、遠望すると緑の海のように見える。
平安時代の864年、富士山の大噴火による溶岩流が北西部にあった大きな湖の一部を埋め立て、その後伏流水などの影響で数百年を要して樹木が密生し、さらに農耕や林業などに不向きな溶岩原上のため人手が入りにくく現在の形に残ったとされる。
国の天然記念物の指定を受けた富士山原始林を代表するものであり、林内に生息する鳥獣の種類は多い。また溶岩が作り出した風穴、氷穴、溶岩トンネルなどの珍しい地形も多く見られ、鳴沢氷穴など観光地としても一部開発されて人気となっている。
自殺の名所
その一方で自殺や遭難の名所としても知られている。道迷いについては、一度道路や遊歩道からから外れると目標となる山や建造物が一切見えず、どの方向を見渡しても同じような景色が続く緑の空間をひたすら歩かなければならないという環境が最大要因とされる。
ちなみに山梨県が自殺者数ワースト1位となっている要因となっているが、これは警察発表が自殺地でカウントしているためである。総務省が発表している山梨県民の自殺者数はトップ10にも入っていないことから、山梨県外からわざわざ樹海へ来て自殺をしているという(山梨県民からすれば)迷惑以外の何者でもない状態となっている。
5ちゃんねるやヤフコメでは自殺者の発表があるたびに「山梨県は対策をしないのか」という批判コメントが散見されるが、山梨県は予算を計上して樹海に入れそうな所へのパトロールや監視カメラの設置をおこなっており、むしろ自殺者に対しての水際作戦を積極的に行なっている。しかし自殺志願者の数が多く、いたちごっこの状態が続いている。
都市伝説
方位磁石が通用しない
青木ヶ原樹海の迷信として方位磁石が効かないというものがある。これは溶岩に磁気が含まれており、場所によっては磁気が乱れているエリアもあるようではあるが、空間認識能力が弱い人や完全な原野や原生林でサバイバルの経験が無い人は「そもそも自分の方位磁石や時計は正確なのか?」と不安になりやすく、ふとそれらの器具を確認したときに自分の感覚とのズレが大きければ「(磁石は正常でも)表示が狂った」と感じる人も多いという。実際はほとんどのエリアで方位磁石は正常に作動する。
なお富士山周辺に駐屯する陸上自衛隊の部隊では方位磁石と地図だけを頼りにここを横断する訓練を行っているので、相応の訓練を積めば踏破は出来るそうである。
携帯電話の電波が届かない
携帯電話がまだ一般的でなかった時代、樹海の深い茂みに遮られて電波が届かず、通話や通信、GPSによる位置把握ができないとされていた。これについても山梨県はNTTドコモ、au、ソフトバンクなどの携帯キャリアに樹海内でも電波が届くよう改善を要請しており、携帯キャリアもこれに応じて樹海内にアンテナを立てている。そのため深いところへ行かない限り樹海内でも通話や通信は可能である。
GPSが通じない
携帯電話同様樹海の深い茂みに遮られて衛星からの電波が届かず、GPSによる位置把握は不可能と言われているが、実際は(洞窟などを除き)全エリアでGPSによる位置把握は可能である。そもそもGPSの電波は紫外線やオゾン層、宇宙空間の放射線にも影響されないもので、樹海の茂み程度では遮られることはない。方位磁石や携帯電話が不安な人はGPS発信機を持っていけばよい。