概要
山梨県の西部に位置しており、最西端には標高3,193mの北岳がある。西側は3,000mの山々が連なる南アルプスが広がっているのに対し、東側は甲府盆地で標高は200m程度である。
市内には果樹園が多くあり、桃の生産は日本一、さくらんぼも県内1位である。
市名の経緯
元々は中巨摩郡のうち富士川の西側にある6町村で、平成の大合併で市制を目指すことになり、合併交渉そのものは順調であった。
ところが市名を何にするかで意見が分かれることになる。当初は地域の別の名前である「峡西」や小笠原氏発祥の地であることから「小笠原」の名前が挙がるも前者は地味すぎる、後者は小笠原諸島と間違えられやすいという意見が出て、「巨摩野」(こまの)という市名で一旦決まりかける。しかしある協議会のメンバーが「せっかく市内に南アルプスがあるんだから」と「南アルプス」も候補に挙がるようになった。巨摩野派は「カタカナ市名は他にない(過去にコザ市というのがあった)」「世間の笑いものにされる」と反発し、地域住民による投票で決着することになった。
事前予測では巨摩野が優勢であったが南アルプス派の巻き返しが凄まじく、さらに「巨摩野の巨摩の部分、漢字にするか?ひらがなにするか?ついでに「野」もひらがなにするか?」という巨摩野派に対しての分断工作が成功。結果「南アルプス」が1位となり、正式に市名として決定した。なお2位が「巨摩野」、4位が「こま野」、5位が「こまの」で、合算すると南アルプスを上回っていた(3位は「峡西」)。
この市名は大きく取り上げられ、山梨県内外の合併協議に大きく影響することになる。県内では「南アルプスよりマシ」ということで甲斐市、甲州市、中央市という市名が次々と誕生し、県外では南アルプス市に影響されて「中央アルプス市」「南セントレア市」という候補が挙がり協議会そのものを破綻させるなど、混乱の一因を作ることになった。
ちなみに管轄警察署は「小笠原警察署」であったが市制執行後「南アルプス警察署」となった(市内の高校も「南アルプス高校」にする案もあったが、若年層の支持が低く「生徒が集まらなくなる」とのことで却下)。一方で「こま野」は農協に採用されている。
交通
市内に鉄道駅がなく、公共交通機関は山梨交通のバスが主体となる。甲府駅までは東側の富士川(釜無川)沿いであれば大体30分、西側であれば1時間程度を要する。
道路は南北に中部横断自動車道が通っているが、甲府や東京方面へ向かう場合は遠回りになるため、隣町にある中央自動車道甲府昭和インターチェンジを利用することが望ましい。
その他
- サントリーより「南アルプスの天然水」という商品が販売されているが、採取しているのは南アルプス市ではなく北杜市である。南アルプス市が誕生した際、「南アルプス市で採取されている」との誤解が発生することから「サントリー天然水 南アルプス」に改名されたことがあるが、10年後に元の名前へ戻っている。
- 市内には果樹園が多い一方で、水は豊富にありそうなのにも関わらず水田がほとんどない。これは山梨では地方病が蔓延していたため(特に南アルプス市一帯は被害が甚大であった)で、元凶である日本住血吸虫が田や沼地に多く生息することから戦後果樹園へ転換されたためである。但し高台など日本住血吸虫が生息しにくいところは別で、「中野の棚田」というところでは富士山と段差のある水田を眺めることができる。
関連項目
金丸信:旧・白根町出身。世間では悪者扱いだが、市内ではいまだ英雄のため市民に対し下手に批判しない方がよい(愛知県西尾市での吉良上野介と同じ扱い)。