DATA
身長 | 12m |
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体重 | 60t |
出身地 | ラゴス島 |
概要
怪獣ゴジラの前身となった生物である。
劇中では1944年のマーシャル諸島・ラゴス島で生存していた個体、現代のベーリング海・アドノア島の翼竜の巣から発見された卵から誕生した個体が確認されている。
いずれも放射能の影響により怪獣へと変異し、「ゴジラザウルス」の状態で残存している個体は登場していない。
生物の常識を超えた特別な攻撃手段などは無いが、人間程度なら簡単に捻り潰せる怪力を持ち、銃弾はおろかバズーカ砲の攻撃も致命傷とはならない強靭な肉体を持つ。尾の力は特に強く、大木数本をまとめてへし折るだけの威力がある。
劇中では「恐竜」と呼称されているが、昭和29年第1作のゴジラ(シリーズ初代)において山根恭平博士により「ゴジラは水棲爬虫類から陸上獣類へと進化する過程の生物」と推測されているため、ゴジラザウルスも恐竜に似た姿に収斂進化しただけの哺乳類型爬虫類である可能性もある(詳細は後述参照)。
特徴
ティラノサウルス等より頭部が小さく、背ビレなどには後の怪獣ゴジラに通じる形質的特徴がある。
ゴジラと同じく四肢の指は四本であるが、ゴジラと違い後肢の指は三本だけ地についており、残りの一本は未発達で他三本と並んでいない。この後肢の指の特徴はベビーゴジラも同様であったが、後に怪獣(ゴジラ)への変異過程であるリトルゴジラへと成長した時はゴジラと同じく四本並んでいたため、後肢の指が本四並ぶのは「怪獣=ゴジラへの変異の結果」であると思われる。
生態
気性は穏やかなのか、『VSキングギドラ』に登場した成体のゴジラザウルスは、ラゴス島に侵入してきた日本兵や米兵を積極的に襲うことはせず、米軍から攻撃を受けるまでは特に接点を持たなかった。だが両者が交戦に至るや、縄張りを侵されたとみなし戦場に現れた。
先に上陸していた日本軍はすでにこの恐竜を目撃していたが、襲われた・敵対的な様子はなく、干渉しなければ積極的に襲ってくる生物ではなかったようである。
托卵の習性があり他の生物の巣に卵を産む。『ゴジラVSメカゴジラ』に登場するベビーゴジラはゴジラザウルスの幼体であり、この時はアドノア島のプテラノドン(ラドン)の巣に卵が託されていた。
マーシャル諸島のラゴス島からベーリング海のアドノア島等までに分布していたことや、ベビーゴジラが怖がりもせず海へ向かい泳いで行ったことなどから、泳ぐことも得意だったと思われる。
幼体(ベビーゴジラ)は危機に瀕し恐怖を感じると目を赤く発光させ同族にSOS信号を発するが、成体も同じく光るのかは不明。この発光はスペースゴジラに襲われた時のリトルゴジラにも見られた。
食性
雑食性であるが、『VSキングギドラ』で米兵相手に暴れた際は米兵を捕食することは無かったが実際のところ人間も捕食対象にするのか、あるいは単に警戒して距離を置いていたのかは不明である。
『VSメカゴジラ』に登場したベビーゴジラは孵化後の刷り込みの結果、親だと思い込んだ五條梓から与えられた花やハンバーガーを食べているシーンがある。
ベビーは後に怪獣ゴジラジュニアへと成長した際にクジラを捕食していたらしいが、ゴジラに詳しい山根健吉は「リトルがそんな凶暴なことをするだろうか」と疑問を呈しているシーンがあるため、ゴジラザウルスもしくは、怪獣として不完全なリトルゴジラの時点ではクジラを襲うほどの凶暴性は無かったあるいは、成長に応じ捕食能力、要求カロリー量に見合った獲物を食する性質があると思われる。
活躍
『ゴジラVSキングギドラ』(ゴジラザウルス)
本来は大人しい性質であるとされるが、折しも太平洋戦争の頃、展開していた日本軍ラゴス島守備隊と上陸してきたアメリカ軍との交戦に、縄張りを侵されたと認識したのか介入する。
この時、恐慌をきたし銃撃を加えてきたアメリカ兵を敵とみなして暴れだした。
遁走するアメリカ軍を追撃し、ライフルなどの小火器、バズーカでの砲撃を受けるがいずれも致命傷とはならなかった。だが、アイオワ級戦艦による艦砲射撃には耐えられず、悲鳴を上げて(この時の悲鳴がなぜかガメラの声と同じ)倒れ伏す。勝利したと思い込んみ近づいた米兵を再び立ち上がって全滅させた後、森の奥へと去って行った。
ラゴス島に上陸したアメリカ兵を壊滅させたことで、結果的に新堂靖明率いるラゴス島守備隊を救う事になり、彼らからは救世主の様に感謝され、瀕死の重傷で倒れていたゴジラザウルスに敬礼を捧げ銃を送った。
本来は1954年のビキニ環礁での水爆実験によりゴジラに変異するはずだったが、「日本滅亡を回避するため」と称した未来人の策略によりベーリング海にテレポーテーションさせられ冬眠し続けることになると思われた。しかし、1986年の原潜事故による放射能を浴びたことで新たなゴジラへと変異していた。キングギドラへの対抗策としてゴジラ化させるべく送り込まれた原潜からエネルギーを得て、北海道でキングギドラと対峙する。
- 新堂と邂逅した時の事はゴジラになってからもはっきりと憶えていたようで、新宿で老いて出世した新堂と再会したゴジラは嘗ての自分の姿を思い出したのか涙を流すというシーンがあった(その後、自身の死を望んで見つめる新堂を放射熱線でビルごと吹き飛ばした)。
『怪獣王ゴジラ(漫画)』
ゴジラがアンギラスと交戦中にマッド鬼山とその子孫が放ったタイムワープ光線で怪獣化前の姿であるゴジラザウルスに戻されてしまった。
これといった特殊能力のない恐竜であった為にアンギラスに追い詰められるもガス管の爆発でタイムワープ光線の効果が無効化された事でゴジラに戻った。
『ゴジラVSメカゴジラ』
同種の別個体ベビーゴジラが登場。詳細はベビーゴジラの記事参照。
余談
ちなみに1945年の終戦から54年のビキニ環礁の核実験実施までには9年もの開きがあるが、ゴジラザウルスはこの時の傷では死なず、あの後回復したのか仮死状態になっただけなのか、とにかく終戦まで生き延びていたと思われ(あるいは終戦の翌年に行われたクロスロード作戦が変異の原因の可能性もある)、さらにベーリング海に送られた後もその原潜事故が起こるまで己の命を繋ぎ続けていたことから、ゴジラになる以前からも凄まじい生命力を備えていたようである。
ゴジラは恐竜なのか?
初代ゴジラにおける山根博士の発言などから、ゴジラザウルス(ゴジラ)はどの系統に位置づけられる生物なのか、ファンの間でも議論が分かれている。
金子隆一氏の「知られざる日本の恐竜文化」によると、同著ではゴジラがどの系統の生物かについての考察が3つ存在する。
①オキシジェンデストロイヤーで溶解した際に見えた骨格の形状から、ヒロノムスなどが恐竜に収斂進化した原始的な有羊膜類を起源とする説(金子隆一氏による)
②水中でも活動する事や、初代ゴジラや他作品で魚類を食べている、そして背びれがある事からスピノサウルスである説
③その形態が獣脚類そのもので前肢の指の本数が四本でなおかつ頭骨の形状がカルノタウルスなどケラトサウルス類の獣脚類に類似するなどの特徴から、非常に特殊化したケラトサウルス類とする説(ゴジラファンの古生物学者・ケネス・カーペンター博士による)
④山根博士の発言とのつじつま合わせから、哺乳類型爬虫類が恐竜に収斂進化したものとする説(爬虫類研究家の富田京一氏による)
ただ山根博士の提唱した説はそもそも「200万年前の恐竜時代」などととんでもない迷言が混ざっているため、信憑性はやや微妙と言えなくもない。
この他にも、
・キノグナトゥスなどに近い種類の哺乳類型爬虫類起源説(破李拳竜氏の著書「ゴジラ怪獣超クイズ」より)
・ゴジラが海棲生物であることから、モササウルスの祖先から枝分かれした海棲爬虫類起源説(最新ゴジラ大図鑑より)
・北海道で化石が発見されているエゾミカサリュウ説(新ゴジラのひみつより)
なども提唱されている。
また、作品によってゴジラの出自が大きく異なるにも注意が必要である。(たとえばギャレゴジは恐竜が誕生する前の時代の生物であり、少なくとも恐竜ではない)
なお初代ゴジラが現れた場所ではなぜか三葉虫が発見されているが、これは恐竜の繁栄した中生代をさらにさかのぼる古生代の生物である。
いずれにせよ、ゴジラが我々の常識を超えた生物であることに疑いの余地はないだろう。
だが、初代ゴジラは魚を食べていたと言う供述がある事、そして背びれがある事、さらに水の中でも行動可能であった点がスピノサウルスと通じるところがある(スピノサウルスは魚食性、そして背びれもあり、半水生だった可能性が指摘されている為、ゴジラとの共通点が多い)。しかし当時はスピノサウルスが魚食とは判明しておらず、他の獣脚類同様に草食恐竜を捕食していたと記載されていた。
また、ゴジラがティラノサウルスの頭部、イグアノドンの胴体、ステゴサウルスの背ビレを合わせてデザインされており、恐竜がモチーフなのは確定している。
ゴジラVSキングギドラ公開から6年後の1997年、アメリカで新属新種の恐竜が発見され、ゴジラサウルスと命名された。
現在色々あって疑問名となっている。
ちなみに『ゴジラ-1.0』の劇中では第二次世界大戦時の大戸島に呉爾羅が出現しており、駐屯する日本軍部隊を虐殺しているがこれがゴジラザウルスなのかは不明。