「そのゴジラとやらの相手は……コイツだーっ!!」
曖昧さ回避
- 東宝制作の特撮映画「ゴジラ FINAL WARS」に登場する怪獣。本項で解説。
- 開発室Pixelのアクションゲーム『洞窟物語』に登場するボス。
データ
別名 | 宇宙超怪獣/宇宙隕石怪獣 |
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身長 | 120メートル |
体重 | 6万トン |
スーツアクター | 中川素州 |
概要
妖星ゴラスの映像に使われた偽物の巨大隕石内部に潜んで地球に飛来した。
全身が鎧のような外骨格状の皮膚に覆われた、巨大な骸骨のようなビジュアルが特徴。
二本の角が生えたエイリアン然とした頭部に加え、両肩にも縦に半分になった頭蓋骨のような外骨格が付属しており、見方によっては顔が3つあるように見える異形の外見となっている。
体色は黒と白のツートンカラー。外骨格部分が銀に近い白、その下の皮膚は漆黒で、黒い部分には筋繊維のような溝が刻まれている。
眼球は真っ赤に染まっており瞳孔は存在せず、その瞳から感情は窺い知れない。
細長く二股に分かれた尻尾を持ち、これをムチのようにしならせて攻撃を加えることもある。
長い尾を生やした二足歩行の恐竜型という王道タイプの姿をした怪獣でありながら、ゴジラシリーズでは珍しい細く引き締まった人間的なプロポーションをしており、ともすれば「怪獣というより、等身大ヒーロー物の怪人のよう」とも言える姿をしている。
そのビジュアルに違わず、劇中で見せた立ち回りもデストロイアと同等の身長を持つ巨大怪獣とは思えないほどスタイリッシュなものが多い。
戦闘能力
歴代でも最強格のFWゴジラと互角以上の実力の持ち主。
圧倒的な戦闘力でそれまで完全に無双状態だったゴジラを苦戦させ、地球の怪獣王を相手に一進一退の攻防を繰り広げた。
設定では単純なパワーとスピードはゴジラを凌駕するとされ、ゴジラを捻じ伏せ持ち上げる腕力を持ち、ジャンプしながら空中で回転するほど身軽。
跳躍ざまに拳と尾を使った連続攻撃を叩き込み、尾による反撃も見切って回避するなど格闘センスもずば抜けている。
知能も高く、改造ガイガンが戦闘に加わると互いに連携を取ってパワーに勝るモンスターXがゴジラを捕縛し、そこをガイガンがブラッディ・チェーンソーで斬りつけるなど昭和後期以来の悪役怪獣の連携も披露してのけた。
必殺技は両目と両肩の骸骨から稲妻状の光線を放つ“引力光線デストロイド・サンダー”。
FWゴジラの放射熱線と同等の威力を持っており、劇中では食らったゴジラに片膝をつかせ、放射熱線と空中でぶつかった際は相殺し、周囲一帯を吹き飛ばす壮絶な大爆発を引き起こした。
同作の放射熱線は前述したガイガンの頭部を一撃で粉砕せしめる威力があり、互角の出力を持つデストロイド・サンダーの破壊力もまた推して知るべし。
溜めはほぼなく、短いスパンでの連射も可能としている。
そして特筆すべきは並外れた防御力で、放射熱線を正面至近距離からまともに食らいながら大きなダメージを受けず、そればかりか即座に反撃に移ることすら可能。
上述したように星間移動には隕石を使った移動法を用いているのだが、その隕石を宇宙空間を移動している段階でゴジラがハイパースパイラル熱線で狙撃し東京上空に隕石がある段階で相殺、完全破壊した際の大爆発の爆心地にいてなおノーダメージかつ無傷であった。
余談だがもしゴジラの迎撃がなかった場合、そのサイズから落下時には恐らく最低でも水爆以上のエネルギーと衝撃が隕石内部のモンスターXを直撃することになると思われる。
この移動方法がデフォルトと考えられる時点でもモンスターXの頑丈さがどれほどのものか窺えると言えよう。
それを相殺したゴジラも大概である。
翼はないものの、登場時には空中浮遊している描写があるため飛行能力も有していると思われる。重力や引力を操作することで浮遊しているのだろうか。
劇中での活躍
南極においてガイガンが倒されたことでゴジラの実力を知ったX星人統制官の手により、対ゴジラの奥の手として巨大隕石内部に潜んだ状態で呼び寄せられる。
物語終盤、ゴジラがX星人マザーシップの元に辿り着いたタイミングで遂に飛来。
巨大隕石はゴジラのハイパースパイラル熱線で迎撃され、首都上空で大爆発を起こして東京を廃墟に変えたが、その内部から無傷で降り立ちゴジラと対峙する。
初戦は持ち前のパワーとスピードでゴジラを翻弄、それまで一撃必殺を誇っていた放射熱線を耐えるばかりか反撃の“引力光線デストロイド・サンダー”で痛手を与えるなど、互角以上の勝負を繰り広げる。
復活した改造ガイガンが飛来してからは凶悪タッグでゴジラを追い詰めるが、ゴジラを取り押さえている時にゴジラが機転を利かせてタイミングを合わせモンスターXを盾に使ったことでガイガンのチェーンソーで逆に斬られてしまったり、背後からのモスラのボンバーラリアットでガイガンもろとも綺麗に仲良く突き倒されるなどお茶目なシーンもあった。
更に統制官が尾崎にマウントを取られフルボッコにされているシーンでは、同じくモンスターXも背後のモニターでマウントをゴジラに取られてグーでフルボッコにされる映像が流れているという演出もあり、中盤以降はどこかユーモラスな面も見せている。
最終的に改造ガイガンはモスラと相討ちに近い形で敗北、人類とX星人の戦いは二頭の与り知らぬところで決着を迎え、マザーシップの自爆に伴いX星人も全滅。
地球怪獣の切り札と宇宙怪獣の切り札はお構い無しに一騎討ちを繰り広げつつも、お互い決め手にかける状態が続いていた。
そして……
ネタバレ注意
突如、モンスターXに異変が起こる。
背中から巨大な翼が生えたかと思うと、両肩の骸骨状の骨格が飛び出して頭部状に変形し、続いて全身が肥大化、体色も金色に変化する。
(この姿はモンスターX中間体と呼ばれており、専用のプロップまで用意されている)
モンスターXの正体はキングギドラを含めたギドラ族の頂点に立つ『皇帝』、カイザーギドラだったのだ。
余談
- デザイン稿によれば、モンスターXはカイザーギドラの骨をイメージしてデザインされたという。よく見ると外骨格の内部の黒い部分は筋肉をモチーフにしており、筋肉の上に骨の鎧を纏っているような造形である。死んでいるような感じで骨となり、変身することで蘇って生身になったのちにゴジラに倒される、というイメージであったらしい。
- 『モンスターX』という名は「正体不明(=X)のモンスター」「X星人の切り札」という意味合いだけでなく、怪獣大戦争におけるキングギドラの異称「怪物(モンスター)ゼロ」にも掛けたトリプルミーニングの可能性がある。本種の正体がギドラ族の皇帝だったことを踏まえると、なかなか粋なネーミングである。
- 怪獣大戦争のキングギドラはX星人のコントロール下に置かれており、彼らが全滅したことで弱体化している。敵怪獣の中で唯一X星人に操られているという設定がなく、彼らが滅びた後に本性を表したモンスターXとは対照的と言える。
- 引力光線を放つ点や、体の各部のデザインなどからファンの間では早い段階からギドラ族との類似が指摘されていた。なお、本種の「宇宙超怪獣」という異名はキングギドラと同じである。
- 作中ではカイザーギドラともども名前を呼ばれていない。結果、ラスボスでありながら劇中において名称不明のまま終わった珍しいモンスターとなった。
- 勘違いされがちだが、モンスターXが潜んでいたのは妖星ゴラスそのものではなく、「妖星ゴラスの映像に用いられていた詳細不明の隕石」である。
- ゴジラと格闘戦を行うために、デザインの段階からスマートさが意識されている。とにかく大きくがコンセプトのマッシブなカイザーギドラとは正反対のビジュアルと言える。
- アメコミ『ゴジラ レイジアクロスタイム』ではカイザーギドラの姿で飛来したのちモンスターXの姿になっており、変身は可逆である模様。