ネタバレ注意!
ここから先は、ゴジラファイナルウォーズのネタバレを含んでいます。ご注意ください。⚠
データ
概要
モンスターXの真の姿にして、ミレニアムシリーズの最後を飾った最強の怪獣。
かのギドラ族の頂点に立つギドラの『皇帝』であり、王を超えるギドラの最上位種。
怪獣の王たるゴジラに対して「怪獣の帝王」と称され、圧倒的な力で同作のラスボスを務めた。
ギドラ族の皇帝だけあって三つ首と翼を有するその姿はキングギドラに類似しているが、全体的に極めてマッシブかつ巨大。
鋭利な装飾が生えた首、デスギドラを思わせる四足の脚はいずれも野太く、胴部も変身前とは比較にならないほど重厚であり、歴代最大級の体躯を持つ同作のゴジラが小さく見えるほどの途轍もない巨躯を持つ。
角の形状は3つの頭部でそれぞれ異なり、中央が王冠を思わせるW字型、右がシャープな三叉、左が刺々しいV字型となっている。
眼はモンスターXと同様に深紅に染まっており、瞳孔は存在しない。
体色は黒い縞模様が入った黄金色(劇中では背景の関係もあり濃い青に見える)で、キングギドラと異なり鱗は見られず甲殻に覆われている。
翼は胴体や脚と比較すると小さく見えるが、設定上は問題なく飛行も可能とされている。
劇中ではX星人の切り札的存在であったモンスターXの本来の形態として登場。
マザーシップの自爆によりX星人が全滅した後、なおも互角の勝負を繰り広げるゴジラを前に変身を遂げる形でその正体を現した。
X星人が対ゴジラを期して呼び寄せた怪獣ではあるが、M塩基を通して彼らに操られている他の怪獣と違ってモンスターXと本種にはそうした記述や描写がない。
X星人が滅びても全く意に介さずゴジラとの戦闘を続行していることや、M塩基を駆逐するはずのG細胞を取り込んでも何ら異変を生じていない(=恐らくM塩基を保有していない)ことから、X星人の制御下にある怪獣ではないとも言える。
戦闘能力
「最強の宇宙怪獣」と称され、公式で「キングギドラを遥かに上回る力を持つ」とされるその戦闘力は圧倒的。
歴代最強クラスのFWゴジラを圧倒し続け、一切の抵抗を許さず戦闘不能に追い込むほどで、数多の怪獣が登場する同作でも図抜けた凄まじいパワーを誇る。
主要な武器はその超巨体とエネルギー吸収能力と後述の反重力光線。
モンスターXが有していた俊敏さは失われたものの、強大な火力に任せた攻撃でひたすら敵を蹂躙する。
全長150m、体重10万トンの巨躯が生み出す膂力は絶大で、前脚の蹴りの一撃で5万トンを超えるゴジラの身体を軽く吹き飛ばしてビルに叩きつけ、三叉の首のみでゴジラを高々と持ち上げる怪力を持つ。
また後脚で身体を擡げ、前脚で踏みつける形で超重量級ボディプレスを繰り出すことも可能。
劇中では突進してゴジラに噛みつきを仕掛けるシーンもあり、その巨体に見合わない機動力も有している。
必殺技“反重力光線デストロイド・カイザー”は口内から黄金の稲妻を思わせるビームを放出するもので、撃ち合った放射熱線を押し返し、ゴジラを吹き飛ばしてダウンさせるほどの威力を誇る。
今作のゴジラの熱線はヘドラとエビラ、そして100m以上はあろうビルをまとめて何百mも吹き飛ばした挙句跡形もなく消し飛ばす威力があるのだが、それを真正面から打ち破るパワーは反則的というほかない。
特筆すべき点として、このデストロイド・カイザーは単純な光線攻撃としてだけでなく、“反重力”の性質によって照射した対象を拘束し、自在にコントロールできる。
これによって対象を凄まじい勢いで弾き飛ばして建造物に激突させる、障害物を破壊しながら地面を引き摺り回す、空高く浮き上がらせてから叩き落とすといったえげつない攻撃が可能で、動くまでもなく遠距離から一方的に相手を制圧し続けられる。
ギドラが得意とする引力・斥力を操る重力制御能力であり、カイザーギドラは特にこの能力を用いた攻撃を好んで使用している。
前述の威力と性質に加えて連射性・持続性ともに高く、三つの首による撃ち分け、更に湾曲させる形での放出も可能。
それでいて溜めは殆どないという万能技であり、劇中では実質デストロイド・カイザーの連射だけでゴジラを圧倒し、ほぼ戦闘不能にせしめたあたりにそのチートぶりがうかがえよう。
更に対象に喰らい付くことでそのエネルギーを吸収する能力を持ち、劇中ではこれでゴジラを瀕死に追い込んでいる。
なお、G細胞やゴジラのエネルギーを取り込んだ歴代怪獣は肉体が変質する、新たな能力を獲得するなど少なからずその影響を受けていたのだが、カイザーギドラにそのような描写は見られなかった。
そのほか、『全ゴジラ完全超百科』などの書籍やゲーム作品では、ゴジラの熱線を防ぐバリアを張るとの記述が見られる。
劇中ではバリアを展開している描写はないため、劇中未使用の能力ではないかと思われる。
強いて弱点を挙げるなら、前述したデストロイド・カイザーの高すぎる攻撃力が仇になるケースがあることか。
劇中では復活したゴジラに軌道を逸らされたデストロイド・カイザーが自身の首を直撃・切断してしまい、自らの攻撃によって首を失う形で勝負を半ば決定づけるダメージを負う羽目になった。
劇中での活躍
X星人が全滅した後もお構いなしにゴジラと戦うモンスターXだったが、熱線と引力光線の撃ち合いが痛み分けに終わった直後に異変が発生。
メキメキと音を立てながら背部から翼が生えると外骨格が外れ、両肩にある縦半分の骸骨めいた装飾が頭部へと変形、凄まじい巨大化とともに三叉の首を持つカイザーギドラに変身を遂げる。
変身後、更に強大化した必殺技“反重力光線デストロイド・カイザー”でゴジラの放射熱線を打ち破って吹き飛ばす。
そしてダウンしたゴジラに対して反重力モードの光線を照射し、空中に持ち上げた後にビルに叩きつける、地面を引き摺り回して建物に激突させるなど、弄ぶかのように嬲り殺しにかかる(この際はゴジラの頭部に特に重点的にダメージを与える形で光線を操作しており、本種の知能と残虐性がうかがえる)。
それだけでは飽き足らずか、光線で至近距離に引き寄せてからのボディプレスや肉弾攻撃でゴジラをなおも圧倒し、最終的に三つ首で喰らい付いてエナジードレインでトドメを刺そうとする。
ゴジラも遂にこれまでかと思われたその時、地球人側の主人公であり覚醒したミュータントの“カイザー”・尾崎真一がゴジラをピンチから救うべく、自分の能力「カイザーエネルギー」により新・轟天号のメーサーをフルチャージ、G細胞の粒子モデルを粒子加速器で増幅・充填した「G粒子メーサー砲」をゴジラの背鰭に照射する(この武装は本来、M塩基を破壊するG細胞を粒子化し増幅した上でメーサーとして発射し、M塩基を持つ生物に致命傷を与えるための代物だった)。
結果、G粒子を吸収したゴジラはパワーアップを遂げて復活。
噛み付いていたカイザーギドラに莫大なエネルギー(体内放射にも見える)を叩き込んで拘束を解除し地面に着地すると、反撃を開始する。
左の頭部を鷲掴みにしつつ右の頭部に食らい付くゴジラに対し、カイザーギドラは中央の頭部からデストロイド・カイザーを浴びせて噛み付きを退けるも、追撃の光線を放とうとした瞬間にすかさずゴジラが放った逆襲の放射熱線が炸裂。
強化された熱線を至近距離で浴びた中央の頭部は爆発とともに消し飛ばされる。
焦った左の首もゴジラ目掛けてデストロイド・カイザーを放とうとするが、ゴジラはとっさにその矛先を右の首に向けさせ、そのまま放たれた光線が直撃した右の首を切断する形で自滅。
結果、僅か十数秒で中央と右の首を失う大ダメージを被る。
その後は完全に攻守が逆転し、残った左の首を掴まれてそのまま背負い投げで地面に叩き付けられ尻尾掴みからの地面叩き付けを食らい、空高く投げ飛ばされた後、止めの一撃としてゴジラが放った、吸収したG粒子エネルギー全てを使った最強の放射熱線“バーニングGスパーク熱線”により大気圏外まで打ち上げられ、宇宙空間に届いたところで爆散。
地球外からも視認できるほどの大爆発とともに完全に滅び去った。
余談
当初ゴジラシリーズの終幕を飾るラスボスとしてデザインされただけあり、数多の怪獣を鎧袖一触の勢いで退けた最強クラスのFWゴジラを終始圧倒し、反撃はおろか抵抗すら許さず瀕死に追いやる桁外れの戦闘力を誇る。“最強の宇宙怪獣”、“キングギドラを遥かに上回る”という設定に恥じない凶悪な怪獣と言えよう。
- 上述した一方的な最期も、ひとえに人類のアシストでG粒子によってパワーアップしたゴジラが規格外すぎたが故である(映画的な尺の問題もあっただろう)。10万トンの巨体を玩具のように放り投げるデタラメな怪力の時点でまともに戦える相手ではないのは確か。
- またゴジラのエネルギーを直接吸収しながら、オルガやビオランテ、デストロイアですら逃れ得なかったG細胞による変異を起こしていない点も特筆すべきか。
割と有名な「変身時に外骨格が失われるため、モンスターXと比較して防御力が低下する」という情報は現在のところソース不詳で(海外コミックやゲームなどを含めてもそのような比較はない)、俗説であり公式設定ではない可能性がある。
- モンスターXが放射熱線でほぼノーダメージだったのに対し、カイザーギドラは首を吹き飛ばされるダメージを負った、という描写が根拠として摘示されるケースがあるが、カイザーギドラに反撃したゴジラはG粒子メーサーによりパワーアップを遂げた状態とされており、モンスターX戦とは状況が大きく異なることから単純比較はできない。
- むしろ巨大隕石を消し飛ばしたハイパースパイラル熱線をも上回る史上最強の熱線とされるバーニングGスパーク熱線をまともに食らいながら宇宙まで爆発四散せず肉体を保っていた辺り、巨大隕石以上の耐久力を誇っているとも解釈できる。
上述のように、本種はキングギドラの一族であるギドラ族の最上級怪獣として位置づけられている。王より更に上のまさしく皇帝(ドイツ語:KAISER)である。
能力によるものか不明だが、変身した際は周囲に黄金の落雷を発生させている。
プロット決定までは紆余曲折があり、キングギドラそのものとして登場する、キングギドラの後に真打として登場する、はたまた皇帝巨龍モンスターXというキメラ怪獣として登場するなど、様々な案があったようである。この関係もあって急遽登場が決まった怪獣だったらしく、デザイナーはモンスターX1体分のギャラでカイザーギドラまでデザインしてしまった事を明かしている。
モンスターXは劇場公開前に公表されたが、カイザーギドラは存在が秘密扱いで、公開前は公表されなかった(唯一、上映当時のハイパーホビーで玩具が先行公開されているが)。勘の良いファンはモンスターXの光線が稲妻状なのを見てギドラとしての正体を察したというが、カイザーの存在はまさにサプライズだった。
スーツアクターは前後に二人が入る着ぐるみになっている(いわゆるドドンゴ方式)。また、スーツは北村監督の指示で「とにかく圧倒的にデカく」を目標に制作されており、首を伸ばすとゴジラの2倍ほどの大きさになる代物である。スーツは2024年現在も現存しており、時折イベントで展示されその巨体をファンに披露している。
『Pゴジラ対エヴァンゲリオン セカンドインパクトG』
パチンコ&パチスロシリーズで展開されているメディアミックス作品、「ゴジラ対エヴァンゲリオン」の第二弾シリーズにおいてまさかの登場。
令和の時代にフルCGのカイザーギドラが爆誕することとなった。
前弾で使徒の王として登場したキングギドラと同様、胸部に使徒としてのコアを持つデザインとなっており、ATフィールドを展開する能力も有している。
使徒の王キングギドラの背後で暗躍していたX星人の地球再襲撃にあたり、復活したラドン、ガイガン、ビオランテに続いてX星人と共に出現。
「並の怪獣とは違う」との言の通り、デストロイド・カイザーとATフィールドを用いてエヴァ初号機を圧倒し、ビル数棟を瞬時に溶断してみせたゴジラの放射線流の直撃を食らいながらほぼノーダメージで反撃を繰り出すなど、名に恥じない強さを見せつけた。
ちなみに本編では見られなかった巨大な翼を広げて滞空するシーンも、ここに来て遂に実現することになった。