データ
白亜紀後期(約7600万年前)のアメリカ・モンタナ州に棲息していたアンキロサウルス科の鎧竜。全長約6メートル・体重約2.5トンと推定され、鎧竜としては平均的な大きさだった。
2014年に化石発掘業者のテロポーダ社がゴルゴサウルスの化石を発掘中に発見し、その重要性から公的に管理されるべきものと判断され、2016年にカナダのロイヤル・オンタリオ博物館の手に渡った。2017年、映画『ゴーストバスターズ』に登場する「門の神ズール」とそのハンマー状の尾の先端に因み、「脛の破壊者ズール」を意味するズール・クルリバスタトルと命名された。2018年末にはクリーニングが完了し、ロイヤル・オンタリオ博物館にてゴルゴサウルスと対峙する復元骨格などが展示されている。
化石には皮骨・ケラチン・皮膚痕が残されているだけでなく、アンキロサウルス類では初となる完全な頭骨と尾椎の両方が揃っており、北米産のアンキロサウルス類では最も完全な標本となった。更に脇腹には同種の尾で殴られたのか損傷の痕跡も見られた。付近で見つかっているゴルゴサウルスの化石には、その尾で殴られて脛を損傷した標本も見つかっており、アンキロサウルス科の尾が武器として利用されていた証拠となっている。