概要
東宝による配給で、1997年から2020年を除いてゴールデンウィーク手前の4月中旬に公開される劇場版シリーズ。GW映画ランキングでは首位を獲る定番シリーズ。
作品リスト
一覧
タイトルは『名探偵コナン ○○の△△』で統一されている。外語読みは「△△」部分がほとんど。
No. | 副題 | 監督 | 脚本 | 公開日 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 時計じかけの摩天楼 | こだま兼嗣 | 古内一成 | 1997年4月19日 | ※1 |
2 | 14番目の標的(ターゲット) | こだま兼嗣 | 古内一成 | 1998年4月18日 | ※2 |
3 | 世紀末の魔術師 | こだま兼嗣 | 古内一成 | 1999年4月17日 | |
4 | 瞳の中の暗殺者 | こだま兼嗣 | 古内一成 | 2000年4月22日 | |
5 | 天国へのカウントダウン | こだま兼嗣 | 古内一成 | 2001年4月21日 | |
6 | ベイカー街(ストリート)の亡霊 | こだま兼嗣 | 野沢尚 | 2002年4月20日 | |
7 | 迷宮の十字路(クロスロード) | こだま兼嗣 | 古内一成 | 2003年4月19日 | |
8 | 銀翼の奇術師(マジシャン) | 山本泰一郎 | 古内一成 | 2004年4月17日 | |
9 | 水平線上の陰謀(ストラテジー) | 山本泰一郎 | 古内一成 | 2005年4月9日 | |
10 | 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム) | 山本泰一郎 | 柏原寛司 | 2006年4月15日 | |
11 | 紺碧の棺(ジョリー・ロジャー) | 山本泰一郎 | 柏原寛司 | 2007年4月21日 | |
12 | 戦慄の楽譜(フルスコア) | 山本泰一郎 | 古内一成 | 2008年4月19日 | |
13 | 漆黒の追跡者(チェイサー) | 山本泰一郎 | 古内一成 | 2009年4月18日 | |
14 | 天空の難破船(ロスト・シップ) | 山本泰一郎 | 古内一成 | 2010年4月17日 | |
15 | 沈黙の15分(クォーター) | 静野孔文 | 古内一成 | 2011年4月16日 | |
16 | 11人目のストライカー | 静野孔文 | 古内一成 | 2012年4月14日 | |
17 | 絶海の探偵(プライベート・アイ) | 静野孔文 | 櫻井武晴 | 2013年4月20日 | |
18 | 異次元の狙撃手(スナイパー) | 静野孔文 | 古内一成 | 2014年4月19日 | |
19 | 業火の向日葵 | 静野孔文 | 櫻井武晴 | 2015年4月18日 | |
20 | 純黒の悪夢(ナイトメア) | 静野孔文 | 櫻井武晴 | 2016年4月16日 | |
21 | から紅の恋歌(ラブレター) | 静野孔文 | 大倉崇裕 | 2017年4月15日 | |
22 | ゼロの執行人 | 立川譲 | 櫻井武晴 | 2018年4月13日 | |
23 | 紺青の拳(フィスト) | 永岡智佳 | 大倉崇裕 | 2019年4月12日 | |
24 | 緋色の弾丸 | 永岡智佳 | 櫻井武晴 | 2021年4月16日 | ※3 |
25 | ハロウィンの花嫁 | 満仲勧 | 大倉崇裕 | 2022年4月15日 | ※4 |
26 | 黒鉄の魚影(サブマリン) | 立川譲 | 櫻井武晴 | 2023年4月14日 | |
27 | 100万ドルの五稜星(みちしるべ) | 永岡智佳 | 大倉崇裕 | 2024年4月12日 | |
28 | 隻眼の残像(フラッシュバック) | 重原克也 | 櫻井武晴 | 2025年4月18日 |
※1:関東およびその他の地域での公開日。一作目ということもあり東京都での反応を見るために、あえて関西などの一部地域は1週間後の4月26日に公開日をずらしている。
※2:読売テレビ開局40周年・日本テレビ開局45周年記念作品。以降、5年ごとに周年記念として製作されている。
※3:当初は2020年4月17日公開予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大により中止・延期となった。
※4:作中の季節に合わせ、同年10月28日〜11月7日に再上映が行われた。
番外・スピンオフ
2013年12月7日公開。テレビスペシャル『ルパン三世VS名探偵コナン』に続くコラボ作品。
『コナン』側の一部キャラは先にこちらで劇場版デビューしている。
- 名探偵コナン 緋色の不在証明
2021年2月11日公開。
『緋色の弾丸』に先駆け、赤井家が登場したエピソードを振り返る特別総集編。
- 名探偵コナン 灰原哀物語 ~黒鉄のミステリートレイン~
2023年1月6日公開。
『黒鉄の魚影』に先駆け、長編「漆黒の特急シリーズ」を軸に灰原哀の過去に迫る特別総集編。
2024年1月5日公開。
『100万ドルの五稜星』に先駆け、コナンと怪盗キッドの初対決である『コナン vs. 怪盗キッド』などをまとめた特別総集編。
特徴
ストーリー
劇場版独自のものだが、原作者の青山剛昌氏が毎回映画製作に参加している。
クライマックスなどの重要なシーンの原画の作成が主だが、しばしばゲストキャラクターのデザインや脚本の監修等も担当している。
それゆえか、原作からは独立したエピソードを描くことが多い一般的な劇場版アニメに比べ「劇場版で新設定が登場し、それがその後の原作・テレビシリーズに逆輸入され定着する」ケースが目立つ。第1作のゲストキャラが初出だった白鳥任三郎を始め、劇場版で初登場した後に原作やテレビシリーズにも登場した人物も複数存在している。
他にも、劇場版同士の内容に繋がりがあるパターン(特に怪盗キッド関係)や、過去作品との繫がりがセリフで描写されるパターンなどもあり、原作『名探偵コナン』の世界観構築に大きな役割を果たしている。
ただし、例えば『探偵たちの鎮魂歌』で白馬探と初めて対面している服部平次が探偵甲子園でも白馬を知らないなど、原作と完全に地続きというわけではない。
原作との繋がり
特に94巻以降のエピソードからは、原作でも劇場版を意識した描写が随所に見られるようになっている。
逆輸入されたキャラクターについては後述参照。
- 『14番目の標的』では目暮警部や白鳥警部の下の名前、毛利小五郎と妃英理が別居に至った理由などの重要な設定が作られ、後の原作にも引き継がれている。
- 『異次元の狙撃手』でオープンしたベルツリータワーは、後の原作やアニメオリジナルエピソードにも登場している。ただし、元ネタに合わせてか高さが635mから634mに1m縮んでしまった。
- 94~95巻収録の修学旅行編は明確に『から紅の恋歌』の後日談として扱われており、主要人物が大岡紅葉や伊織無我と面識がある状態で物語が進む。
- 96巻収録の『キッドvs高明 狙われた唇』で服部平次が、『世紀末の魔術師』でキッドが大阪に出没した件について言及している。
- 101巻収録の『キッドVS安室 王妃の前髪』で、榎本梓が以前安室透と一緒にいた事がきっかけで炎上したことがあると仄めかしているが、これは『ゼロの執行人』内での同様の描写を意識したものと思われる。
- 102巻収録の『群馬と長野 県境の遺体』では大和敢助と上原由衣が、『漆黒の追跡者』で起きた「両県境を跨いで死体が発見されたケースを含む連続殺人事件」の捜査中に山村ミサオに会ったことがあると話している。
ただし、該当作品を未視聴の人にとっては何の事かわからないという問題点がある。
また、原作の今後の展開に対する伏線のような描写が描かれることもある。
- 『異次元の狙撃手』では、原作に先駆けて沖矢昴の正体が(声(リンク先ネタバレ注意)だけとはいえ)明かされた。
- 『純黒の悪夢』では、ラムの喋り方が判明。ただし、原作のラムの喋り方は確かに劇場版と同じなのだが、ラムが現在化けている姿(リンク先ネタバレ注意)の印象とはかなり異なるため、この描写だけでラムの正体を推理することは難しい。
- 『緋色の弾丸』では、赤井秀一がメアリー世良の正体に気付いたかのような描写がある(元々赤井は原作の時点で既に予測はしていたが「実際に会うまでは信じられない」としていた)。
それ以外にも、原作で起きた出来事を劇場版で触れる事もある。
- 『ハロウィンの花嫁』では、本編の7年前に萩原研二、3年前に松田陣平が爆弾解体中にそれぞれ殉職した事件の事に触れている(ただし、劇場版ではもうひとりの爆弾犯の存在やコナンが東都タワーで爆弾を解体した事には触れられていない為、原作とは展開が異なっている。その為、この映画を見た後にある人物が初登場となったエピソードを見ると劇場版と話が繋がらない部分がある)。
登場キャラクター
全作品に渡って登場しているのは江戸川コナン(工藤新一)、毛利蘭、毛利小五郎、阿笠博士、少年探偵団(吉田歩美・小嶋元太・円谷光彦)、鈴木園子であり、コナンと新一を同一人物とカウントすると計8名である。
これに加えて『世紀末の魔術師』以降の全作品に登場する灰原哀、そして警視庁の面々(目暮十三・白鳥任三郎・高木渉・佐藤美和子・千葉和伸)が劇場版のレギュラーとなる。ただし、近年は登場しても出番に偏りがあり、全作品に登場しているキャラ(特に園子・阿笠・灰原・少年探偵団・警視庁の面々)の中には明らかに皆勤賞の為に出ている(ほぼ空気化している)場合もある。
特に『探偵たちの鎮魂歌』以降の全作品で出番の多寡に関係なく、灰原を含む少年探偵団全員がポスタービジュアルに登場しているが、現在は一部の人気キャラを中心に興行収入の上昇につながっている為、作品によってはポスターに出ている歩美・元太・光彦の3人が完全に浮いている場合がある(近年では事件に全く関わらない上に出番が本当に一瞬だけだった『紺青の拳』や事件解決には協力したが出番がかなり終盤寄りだった『100万ドルの五稜星』が顕著)。
警視庁の面々も第21作目『から紅の恋歌』で未登場だったのを境に以後の劇場版作品に全く登場しない事が増えつつある(特に大倉崇裕氏が脚本を担当する作品のほとんどは警視庁管轄外の事件ばかりであり、大倉脚本に限った場合は中森銀三が目暮達より登場している)。
作品によっては服部平次&遠山和葉、怪盗キッド、世良真純、安室透、京極真、赤井秀一、黒の組織などの重要キャラクターも登場し、メインを張ることもある。『絶海の探偵』以降は先述の人物のうち誰かは必ず登場する体制が続いており、赤井だとFBI、安室だと風見裕也のように関係する人物も登場している。
上記のように、劇場版オリジナルキャラクターが後に原作・テレビアニメに逆輸入されることもあり、白鳥、栗山緑、綾小路文麿、風見などが該当する。
構成
オープニングではおなじみのメインテーマ曲をバックに第1話のダイジェスト(流用ではなく毎年新規収録、さらに映画毎の演出などが加わる)が流れ、工藤新一が江戸川コナンになった経緯と彼の周辺人物や登場する原作キャラ、博士の秘密メカなどがコナンによって説明・紹介される。
エンディングでは本編に関係するもしくは参考にした実在の場所の実写映像が流れる。歌詞テロップも付いている。テレビアニメのEDのようなダイジェストを実写映像の合間に流していたが、『絶海の探偵』以降は主に本編の後日談を流している。
そして曲が終わった後にはエピローグがあり、基本的にはコメディタッチで締め括られる(例外は『水平線上の陰謀』『漆黒の追跡者』『純黒の悪夢』など)。
また最後には翌年のストーリーのヒントとなる映像が流れる。
クライマックスではメインテーマに歌詞をつけた挿入歌『キミがいれば』が処刑用BGMとして使われることがある。第1~4作までは連続して使用され、それ以降も不定期に使用されている。
関連アニメ
第7作から本編の前日譚や後日談にあたるオリジナルアニメも制作されている。第15作以降は公開と前後して、その年のキーパーソン・キーアイテムが登場するテレビアニメが放送されている(第26作を除いて再放送)。
詳しくは名探偵コナンOVAシリーズやアニコナの当該部分を参照。
演出面
映画という媒体から、従来のテレビシリーズと比べて主に以下のような特徴が見受けられる。
- 連続殺人や爆破事件といった大規模な事件が主体(「犯人の犯沢さん」で「爆発は春の季語」とネタにされた)だが、犯人の動機とは全く釣り合わない為、ファンからは度々話題にされたりネタにされやすい。
- エンタメ作品らしく派手な演出が多い為、「犯人を捜し当てる」・「過去の事件の真相を暴く」といったミステリーの本筋が浅くなる。
- 爆破事件のほとんどは死者が複数人いてもおかしくない大規模なものだが、どんな規模であっても事件関係者以外の死者は基本的に出なかったり、負傷者すらいない事もある(ただし、『ゼロの執行人』では死者が数名出ている)。
- 組織関係やルパン三世とのコラボを除けば、必ず最後に犯人は逮捕されるが、とある作品では犯人がこの建造物の高さから海に落下して通常ならほぼ確実に死亡する展開なのに何事もなく生存するなどコナンにとっては都合の良い展開にする事もある。しかし、上記の派手な演出のせいで現実だと死刑確定と思われる犯人ばかりになりやすい。
- 原作やテレビシリーズ以上に国際色が強くなり、外国人キャラが登場しやすい(特に『絶海の探偵』以降が顕著)。
- 近年はコナンサイドの登場キャラにも戦闘力の高いキャラが登場している関係か、個人で黒の組織を上回る犯人も増えているものの登場キャラ次第で犯人の戦闘力が大きく異なっている(外国人キャラの犯人がこの傾向になりやすく、特に『ハロウィンの花嫁』以降が顕著)。
- 原作やテレビシリーズでは共演することが少ない、接点の少ないレギュラーメンバー同士が一堂に勢揃いする。
- 「ターボエンジン付きスケートボード」、「伸縮サスペンダー」、「どこでもボール射出ベルト」など本編では登場シーンが限られた秘密メカの出番が多く、原作にはない改良が加えられていることも多い。
- 原作やテレビシリーズでは基本的に眠りの小五郎による推理ショーによって事件は解決されるが、映画では殆ど行われず、コナン自らが姿を見せた状態で、限られた相手だけに推理を披露する場面が多い。
- 組織関連の場合、コナンの正体が工藤新一、灰原の正体がシェリーだと知った人物は最後に命を落とす。
- 阿笠博士のダジャレによるクイズが劇場版恒例になっているものの、上記に書いてある通り皆勤賞キャラの少年探偵団は作品によってはここでしか登場しない事もあり、しかも金曜ロードショー等で放送される際は尺の都合でカットされる事が多い。なお、初期の作品は阿笠以外の人物がクイズを出す事も多く、『時計じかけの摩天楼』ではゲストキャラである森谷帝二、『14番目の標的』及び『瞳の中の暗殺者』では少年探偵団、『銀翼の奇術師』では新一に変装したキッド、『探偵たちの鎮魂歌』では蘭が出題者だった。
ゲスト声優
第5作頃から小学館が発刊している子供向け雑誌などで小学生対象のアフレコ体験者が公募されている。
初期にはお笑い芸人(主に某お笑い事務所所属の芸人)やタレントが一般市民役で出演するケースはあったが、第13作からは本格的に芸能人のゲスト出演を強く宣伝するようになり、犯人役や重要な役を演じる作品もある。
なお、この作品の劇場版とは異なり、本人役は少なめ。
主題歌
テレビアニメと同様、第1作ではポリドール(後にユニバーサルミュージックに吸収)、第2作から第15作まではビーイング所属のアーティストが起用されており、その関係でB'z、ZARD、倉木麻衣等同じアーティストを複数の作品で起用することもよくあった。
第16作以降はビーイング以外のアーティストをメインに起用するようになっている。これらの楽曲も映画主題歌ベストには収録されるが、ビーイング系に限定されたテレビアニメ主題歌集には収録されない。
余談
- タイトルの読み方
上記の通りタイトルが「漢字表記に外来語の読みを当てる」部分を含むケースが多いことで有名。第2作の「標的(ターゲット)」を皮切りに「十字路(クロスロード)」「陰謀(ストラテジー)」や、果てには「棺(ジョリー・ロジャー)」などという力技も。
無論専売特許ではなく最近は頻度がやや減少傾向ではあるものの、本シリーズが特に有名で印象深いためか、このようなルビの振り方をした作品タイトル、例えば近年だと『仮面ライダーセイバー 深罪の三重奏』(しんざいのトリオ)が「コナンの映画っぽい」とネタにされることもしばしば。
- 黒の組織とタイトルの法則
組織が登場するのは現状4作あるが、ジンとウォッカしか登場しない『天国へのカウントダウン』を除き、「漆黒」「純黒」「黒鉄」とタイトルに「黒」の字が入っている。ただし、英題だとタイトルに「Black」が入ったのは「黒鉄」が初。
- 鑑賞行為の俗称
最新作を映画館で鑑賞したことを二字熟語で表現するのが一部で流行っており、公開が近づくと園子役の松井菜桜子女史も毎年Twitterのアカウント名に入れていたり、一部は公式キャンペーンでも使われている。
『ゼロの執行人』 | 執行 | |
『紺青の拳』 | 出国 | 日本国外が舞台であることから |
『緋色の弾丸』 | 被弾 | |
『ハロウィンの花嫁』 | 参列 | 「花嫁」や「結婚式」からの連想 |
『黒鉄のミステリートレイン』 | 乗車 | 某列車映画で使用例あり |
『黒鉄の魚影』 | 潜航 / 潜水 | 「サブマリン」=「潜水艦」からの連想 |
『100万ドルの五稜星』 | 来函 / 献上 |
既に観た場合は「○○済み」、まだの場合は「未○○」と表現する。このうち『五稜星』ではゲスト声優にちなんで「おおい済み」「おおいず未」という派生もある。
関連項目
名探偵コナン製作委員会
ユニバーサルミュージック(第5作まで)→日本テレビ放送網(第6作から)
東宝(第2作から)
外部リンク
関連イラスト
↓↓↓ 以下未鑑賞の方はネタバレ注意!!! ↓↓↓
(各劇場版での犯人、黒幕等が集結した作品になります。閲覧は自己責任で)
↓もともとメイン画像になっていましたが、画像1枚でネタバレの嵐だっためこちらへ移しました。