概要
眠気とともに鋭い推理力を発揮し、瞬く間に事件を解決してしまう。
そんな毛利小五郎の推理スタイルから、いつしか定着した彼の探偵としての称号である。
……本当のところは、通り名の由来は同作の主人公、江戸川コナンが推理した事件の謎を周囲に説明する際――
- コナンが腕時計型麻酔銃で小五郎を眠らせる。その後ポーズを取らせたり、関係者を集めてもらう場合もある。
- 準備が終わると影から蝶ネクタイ型変声機を使い、小五郎の声で推理した謎を周囲に説明する。コナン自身が助手という形で直接出てくることも多い。
- それによって事件解決。
- 事件解決後、小五郎起床。そして本人は何も覚えていないにもかかわらず小五郎が事件を解決したことになり、こうして彼の名前が全国レベルに知れ渡ることとなっている。小五郎がそのまま眠ったまま、というオチになったことも。
…という、一種の腹話術のような手法のため。
この一連の流れが、何も知らない周囲の人物達にはあたかも小五郎が眠ったように座り込み、彼が名推理で事件を解決しているように見えたことから(この時の寝顔もなかなかに渋い)。
なおこの状況は、この光景を幾度となく見かける目暮警部や高木刑事からは、『例のアレがきたのか!』などと表現されている。
小五郎は現在、この(突然の眠気に襲われる&目を覚ますと事件が解決)現象についてはモノローグ内で「真のオレ」によるものだと解釈している。
眠りの小五郎のデビューは、腕時計型麻酔銃を使わずに灰皿を蹴って小五郎を気絶させていた。
その時は、コナンも毛利探偵事務所に転がり込んですぐの頃で、探偵アイテムも蝶ネクタイ型変声機しかなかったため、小五郎に探偵役をさせるための非常手段としてやむを得なかった背景がある。
アニメ版ではこの時の変声期の小五郎の声は神谷明氏が後の回に比べやや機械的な感じに声を出していた(この人やこの人っぽい感じになっていた)。
デビュー後、コナンも毎回物理的に気絶させるのは忍びないと阿笠博士から麻酔銃を開発してもらったわけだが、よくよく考えると大の大人を一発で眠らせるほどに強力な麻酔を1000回前後打たれたにもかかわらず、元気に生きている。
劇場版『ハロウィンの花嫁』によれば麻酔への耐性が出来てしまっているらしく、作中入院しても病院の麻酔が全然効かなかった為看護師に訝しがられている(どちらかと言えばギャグ枠に近いシーンだが)。
この手の検証に詳しい『空想科学読本』シリーズでも、麻酔の濃度と量は明らかにヤバい処方量だと指摘しており、現実なら薬物中毒になっておかしくないとのこと。
そんなことされてよく生きてこられたな、小五郎のおっちゃん……。
代理の探偵役
この手法は必ず小五郎が探偵役というわけではなく、偶発的にだが別人でも敢行されているのは良く知られている話。
代表的なのは蘭の親友である鈴木園子で、大体はコナンが麻酔銃で小五郎を狙ったはずが、針の発射直後に園子が射線上に闖入(もしく発射時に誰かに邪魔されて誤射して園子に命中)してしまい、やむを得ず園子で推理を開始するパターンだろう(推理クイーン園子)。
その為なのか、一部の原作回やアニメオリジナルエピソードでは小五郎が不在の際の代行推理役としても彼女がよく選ばれるが、コナンと蘭だけで事件に遭遇して推理をした場合はコナンの正体が蘭にバレる可能性がある為、メタ的に言えば小五郎や園子が影武者要員として登場している事がほとんどである。
(その為か、アニメオリジナルエピソードでは蘭だけが登場して小五郎や園子が登場しないというパターンがほとんどない)
同様のパターンだと、群馬県での事件にて山村警部でこの現象が起きる。
山村の場合は彼が頓珍漢な理由で捜査を切り上げようとする、適任な人物が他にいない或るいは「彼を探偵役にした方が話が早いから」と言う理由によるものだが、初登場時はコナン(新一)の母親である工藤有希子に阿笠博士と同様の口パクを頼んだが断られた事で山村はコナンによって何度も眠る事になったが、そのお陰で警部まで昇進している。
また、銀翼の奇術師で、蘭の母親の妃英理もこの現象を起こした(本当は小五郎に狙うつもりだったのだが、飛行機が揺れて標的がずれて、この現象が起きた)。
服部平次もこのトラブルに見舞われ、コナンは平次役を拙い関西弁で仕方なく演じるも、目を途中から覚ましていた平次によって自分が工藤新一だと見抜かれてしまった。
近年では…
2010年代以降の原作エピソードからは世良真純・安室透・沖矢昴等、コナンと肩を並べる推理力を持ち、コナンに協力的な人物が複数登場した事や、時間が経つにつれて正体バレを防ぐ為に(既に正体を知っている者もいるが、コナンとはその点での秘密を共有していない)、それらの人物の前では眠りの小五郎を控える様になった事、麻酔銃を使わずとも新一=コナンである事がわかっている阿笠博士に口パクを頼む機会が増えた事で麻酔銃を使う機会が減っている。
その為、眠りの小五郎を披露する機会が連載初期に比べて減りつつあり、アニメ版の原作回に限った場合は2018年に放送された『となりの江戸前推理ショー』の次に眠りの小五郎を披露したのは2024年に放送された『千速と重悟の婚活パーティー』で約6年ぶりに披露された(雑誌では2016年から2022年での連載が該当)。
一度だけ領域外の妹が代演した事があるが、その際はほぼ地の口調のままであり、いつもの眠りの小五郎に比べるとかなり無骨な印象を与えていた(コナンは勿論、目暮警部達も違和感を禁じ得なかった)。
アニメ版においては度々挿入されるオリジナルエピソードで現在もそこそこの頻度で披露されている。
その中でも印象的なのは1027話と1028話で、前者はおっちゃんの影絵を使って推理ショーをしており、後者は眠らされると同時になんと犯人に倒れ掛かり、犯人とずっとワルツを踊りながら推理ショーをしている(この時犯人からは『この親父どっから声出してんの!?』と突っ込まれているが気にしないでおこう、だって脚本浦沢義雄だし…)。
劇場版ではコナンが自ら犯人と対峙することや麻酔銃を犯人などの確保に使うことが多いため、『時計じかけの摩天楼』(冒頭の事件のみ)、『14番目の標的』、『絶海の探偵』、『から紅の恋歌』、『黒鉄の魚影』の5作でのみ披露されている。
余談
2018年4月初頭において、ソーシャルゲーム『グランブルーファンタジー』における名探偵コナンとのコラボイベント『謀略の歯車』において、ひょんな事からコナン、蘭、小五郎、安室の4人は、グラブルの主人公一行&バロワ&サーヤの探偵団とともに、グラブルの空の世界で起きたある事件に巻き込まれるのだが、その事件の謎解きの大詰めにおいてもやっぱりコナンは小五郎に麻酔針を撃ち込み、この「眠りの小五郎」を披露している。
ちなみにこの「眠りの小五郎」はイベントのみにとどまらず、コラボとしてSSRキャラで参戦するコナンのアビリティとしても存在しており、その内容はというと、
「小五郎を眠らせ、発動の翌3ターンの間推理を行う(発動ターンも含めると4ターン)」
発動条件:戦闘開始から3ターン後に使用解禁。一度使用したら再発動可能まで10ターン経過が必要。
推理内容(アビリティ効果):
発動ターン:味方全員防御50%UP(4ターンで解除)/味方全員『一回だけバッドステータス被弾無効化』付与(食らって剥がれるまで永続)
翌1ターン:味方全員攻撃力50%UP(発生から3ターンで解除)
翌2ターン:敵全員防御力50%DOWN(発生から2ターンで解除)
翌3ターン:味方全員2回攻撃確定/敵に通常攻撃や奥義ダメージを与えた際、その正規ダメージの20%分、敵に追い討ちダメージ(2回攻撃・追い討ちとも発生から2ターンで解除)
副作用:推理開始から終了までの正味4ターンの間、コナンは通常攻撃不能(小五郎の陰で推理を展開するため)
というもの。
ゲームシステム上の都合とはいえ、コナンの麻酔針で眠らされたまま戦闘の真っ只中に引きずり出され、攻撃や魔法が飛び交う中に4ターンも晒される様はかなりシュールである。