死ぬな、灰原 ─────
概要
劇場版『名探偵コナン』シリーズ第26作品目。
『純黒の悪夢』以来7年ぶり4回目の、黒の組織がメインとなる映画。
同作で声のみだったNo.2のラムが初めて本格登場し、灰原哀をめぐる組織とコナンたちの攻防戦が中心に描かれる。
「シリーズ最大の全面対決」と宣伝されており、味方サイドでは赤井秀一たちFBIが前々作『緋色の弾丸』以来、安室透ら公安は前作『ハロウィンの花嫁』に続く登場。また、キールこと水無怜奈は『純黒の悪夢』以来、黒田兵衛管理官は『ゼロの執行人』以来。
警視庁からも目暮、白鳥、前作でメインだった佐藤刑事が登場する。なお、劇場版常連の高木刑事(前作でメインだった)と千葉刑事は登場しておらず、佐藤が高木抜きで劇場版に登場するのは初めてである。
制作陣は、監督・脚本は『ゼロの執行人』と同じタッグ。音楽は菅野祐悟が前作に続き担当する。
劇場版において海や島が主な舞台になるのは『水平線上の陰謀』『紺碧の棺』『絶海の探偵』に続いて4作目。
灰原がストーリーの中心に据えられるのは『天国へのカウントダウン』以来実に22年ぶりである。
公開から翌年の2024年4月19日に金曜ロードショーで初放送。これまでの過去作と違い、本編ノーカットで放送された。
100億達成
2023年5月8日に興行収入が100億円を超えたことが正式に発表された。報道によれば、前日の5月7日に興行収入103億448万3700円に達していた。コナンの映画では史上初の100億円超え、また、毎年公開されるシリーズものとしても史上初の快挙となった。
あらすじ
東京・八丈島近海に建設された、世界中の警察が持つ防犯カメラをつなぐ海洋施設「パシフィック・ブイ」。本格稼働に向け、ヨーロッパの警察組織・ユーロポールが管轄するネットワークと接続するため、各国のエンジニアが集結。そこでは顔認証システムを応用した、とある新技術のテストも進められていた。
一方、園子の招待で八丈島にホエールウォッチングに来ていたコナンたち少年探偵団。するとコナンのもとへ沖矢昴(赤井秀一)から、ユーロポールの職員がジンに殺害されたという連絡が入る。不穏に思ったコナンは「パシフィック・ブイ」の警備に向かっていた黒田兵衛ら警察関係者の乗る警備艇に忍び込み、施設内に潜入する…
そして動き出す、新たな"黒い"影。
開けてはいけない玉手箱<ブラックボックス>が開かれたとき、
絶体絶命のオーシャンバトルロイヤルが始まる…!!
(公式より抜粋)
ゲストキャラクター
名前 | 声優 | 備考 |
---|---|---|
ピンガ | ??? | 黒の組織のメンバー。ラムの側近(リンク先ネタバレ注意) |
直美・アルジェント | 種﨑敦美 | 「パシフィック・ブイ」のエンジニア。日本とイタリアのハーフでアメリカ育ち |
レオンハルト | 諏訪部順一 | 同上。ドイツ人 |
グレース | 村瀬歩 | 同上。フランス人 |
エド | 神谷浩史 | 同上。インド人 |
ニーナ | 宮原永海 | ユーロポール捜査官 |
ハンス | 土田大 | 同上。ネットワークセンターの管理者 |
マリオ・アルジェント | ボイス無し | EU議会議員。直美の父 |
丑尾寛治 | 沢木郁也 | 八丈島の観光船船長 |
ゲスト声優
動画
超特報
特報
予告1
予告2
余談
- 近年恒例となったタイトルの事前ヒントは「ク○○○の○ブ○○○」。
- 前作の次回予告にジンが登場したことや海の描写から「黒○○のサブマリン」と早々に予想されたが、上の句は組織と縁深い烏=クロウとかけた「黒渦(クロウズ)」説が優勢だった。
- また前作のリバイバル上映後に解禁された超特報では頭文字の「黒」が明かされ、最後の「影」もほぼ確定になったものの、動物名が入るのはシリーズ初だからか、「魚」の意外性がすこし話題になった。
- タイトルに「黒」の字が入るのは『漆黒の追跡者』『純黒の悪夢』に次いで3回目だが、英題に「Black」の字が入るのは初だったりする(前者は『The Raven Chaser』、後者は『The Darkest Nightmare』)。
- ポスタービジュアルでは従来の形式に加え、シリーズ初の2枚組のバージョンも製作された。通常版の時点で18人と史上最多レベルの人数だが、2枚組バージョンではラムとピンガが加わり実に20人に及ぶ。
公開日当日には金曜ロードショーにて『漆黒の追跡者』が放送され、その中で本作の特別映像が公開されたが、なんとウォッカがナレーションを担当しており、シェリーが生きていると言う情報を知り「どんなカラクリかは解らねえが、絶対に真実を突き止めてやる!真実はいつもひとつ!ってなぁ!」と、主人公ムーブ丸出しでコナンのお決まりの名台詞をパクっており、YouTubeのコメントでもファンから「お前悪役だろ」と突っ込まれ笑いを誘っていた。
- 組織のメンバーについて
- 前掲の予告1にてジンが「これで、ジ・エンドだ…」と呟いている。『漆黒の追跡者』では「フィナーレだ…」、『純黒の悪夢』では「お前ら…一斉に始末してやる!」というセリフが予告編にあるが、視聴した人なら知っている通りいずれも仕留め損なっている。
- 劇中にてピンガとウォッカが乗っているジープ・ラングラーのナンバープレートは「新宿334 た・429」となっているが、た=立木、429=立木文彦の誕生日、と考えるとウォッカのものである可能性がある。
- 金曜ロードショーの最後に流された「特別映像/悪夢(ナイトメア)編」は、ピンガが「俺の映画」と発言したのに対してジンが「お前の映画じゃねぇ。俺様の映画だ。」と反論したことで口論になっているのをよそに呆れながらもウォッカが宣伝を続けるというシュールな構図になっており、視聴者の笑いを誘った。ちなみに、この一連のやり取りはすべて灰原の夢オチである。
- 声優について
- FBIのアンドレ・キャメルは2022年10月に逝去した梁田清之から乃村健次に引き継がれてから初めての映画となる。
- 回想ではあるがイーサン・本堂が映画初登場。小山力也は毛利小五郎と一人二役となった。
- ゲストの沢村一樹はデビューが『コナン』のアニメ放送開始と同じ1996年だが、声優としての仕事はゲーム『龍が如く4 伝説を継ぐもの』以来10年ぶりであり、前述したキュラソーを演じる天海祐希とは同じ事務所である(その芸能事務所からは通算5人目の出演となった)。
- パシフィック・ブイのキャストは直美・アルジェント役の種﨑敦美のみオファー。グレース役の村瀬歩はオーディションで、それ以外は聞けば誰か分かるキャストを製作委員会に依頼したとのこと。
- 近年の劇場版は外国人キャラがほぼ毎回登場しており(登場しなかったのは『ゼロの執行人』が最後)、登場した場合は基本的に外国人声優を起用する事が多いが、本作では外国人声優はひとりも起用されていない(外国人声優が演じるキャラは被害者役になっても犯人役にはならない為、メタ的に言えば全員を犯人候補にしたといえる)。
- 映画公開から約半年後の2023年10月24日に、ジョディ・スターリングを演じていた一城みゆ希が逝去。翌年の2024年6月22日に、安室透/バーボン/降谷零を演じていた古谷徹が諸事情あって降板。一城の演じるジョディと古谷の演じる安室が登場する劇場版は本作が最後となった。
- 舞台となる八丈島には2年位前にロケハンに行き、脚本があまり固まっていなかった頃に見つけたベンチを使っている。
- 八丈島でザトウクジラが頻繁に見られる様になったのは2015年からであり、それまでは稀にしか見られず、近隣でのホエールウォッチングは小笠原諸島が中心地だった。三宅島でもザトウクジラが頻繁に見られる様になったのは2018年である。