工藤新一の情報を要求する
Time is money!
急げよバーボン
-RUM-
CV:千葉繁
概要
黒ずくめの組織のボスの側近にして、組織のNo.2。コードネームは、サトウキビの廃糖蜜を原料とした蒸留酒のラム酒に由来する。
基本的にキャラクターのセリフにその名が出る際はカタカナの「ラム」だけではなく、英語表記の「RUM」と書かれることも多い。
劇中では丁寧な言葉遣いで話しており、「Time is money(時は金なり)」の言葉を好んで使う模様。
コードネームを持つメンバーの中でも特に別格と目され、赤井秀一からも「ジン以上の大物」と評されており、組織におけるその存在の重要性と発言力は群を抜いている。
『純黒の悪夢』でジンは「RUMからの命令だ。確実に任務を遂行しねえとな」と発言し、ベルモットは敬語を使っている。
もっとも、本人は言葉遣いに寛容なようでキャンティにタメ口をきかれても「あんた」と言われても注意していない。彼女が任務中にネットニュースを見て笑っていた際は流石に注意したが。
また、ピスコと同様に相当長い年月の中で組織に所属していたらしく、高齢である事が窺われる。
帝丹高校の修学旅行後、一般人によって「工藤新一が京都に来ていた」という情報がSNSに拡散され、「APTX4869投与者リスト」に死亡と明記されている人間の生存情報を偶然目撃したことから、組織の探り屋であるバーボン(安室透)に対して工藤新一に関する情報を提供するよう催促する。
特に二度目の催促のメールにおいては、「工藤新一の情報、急げ!」と、やや乱暴な文章にしてまで釘を刺しており、バーボンからは「せっかちな人」と評され、内心恐れられている模様。いずれのメールにも「Time is money」をつけている。
また、世界的に有名な推理小説家である工藤優作が帰国したことで、「組織の脅威になりそうな人物」だと警戒しており、ベルモットに探らせたりしていた。
劇場版では側近が登場している。
過去に優れた特殊能力を持っているがゆえに「組織にとって都合が悪い事実」を記憶してしまいベルモットに始末されかけたキュラソーを「君の特殊能力を私の為だけに使え」とスカウト。腹心にしていたが、彼女は組織を裏切って死亡した。キールとバーボンによれば、キュラソーはラムの腹心である情報収集のスペシャリストで、なおかつオッドアイの特徴を持つ人物として組織の中では有名な存在とされる一方、灰原はキュラソーの情報を全く知らなかった為、ラムがキュラソーを部下にした時期も意外と最近であった可能性がある。
キュラソーが亡くなったことで、ピンガを新たな側近としていたが、ジンに見限られて死亡した。
他にも直属と思われる構成員(おそらくコードネームは無し、さらに活動場所によって日英両語で会話を要するなど、国を跨いだ部下が居ることになる)を多数従えており、愛車である黒のロールス・ロイス・ファントムの運転や、荒事の際におけるハッキングや拷問といった実行役等を任せている。
なお17年前の回想では、テキーラによく似た口髭の男がスタンガンでの攻撃をホテルの宿泊客の一人に行い、返り討ちに遭っているシーンがあるが、同一人物かは不明。
17年前、アメリカで発生した羽田浩司と大富豪アマンダ・ヒューズの殺害に関わっており、この事件で(ジン曰く)「抜かった」のに消されなかった理由は作者曰く「No.2だから」。
羽田浩司がダイイングメッセージとして残した「U M A S C A R A」と、当時アマンダのボディーガードで事件後行方不明となった最重要容疑者である「浅香」の存在から、江戸川コナンと沖矢昴(赤井秀一)は当初、「ASACA RUM」と並び変える事で「浅香」と「ラム」が同一人物であると推測する。
しかし、後にダイイングメッセージは別の名称を示していた事が確認されている。
劇場版では、第20作である『純黒の悪夢』では声のみ登場。
変声されており、エンディングのクレジットもラムという記述はあるが演者は空欄にされている。
第26作目である『黒鉄の魚影』では、とうとう素顔で登場する。
あの方とは連絡こそ取り合えているものの、その姿を最近見ていない上に所在も把握していないという驚愕の新事実が明かされた。ICPOの施設の老若認証システムを使って居場所を突き止めようと考えていたのだが、秘密裏にあの方の命を受けたベルモットに欺かれて計画は頓挫した。
『黒鉄の魚影』のパンフレットによると、組織内でもその正体はあの方と並んでトップシークレット扱いらしく、実際コードネーム持ちの幹部すら直接会える人物は限られる。
ライやシェリーはおろか、二人以上に長期間組織に在籍しているだろうウォッカも会った事がないという。
とはいえウォッカは、面会が許されたジンから度々話を聞かされているのか、その印象から「RUMの旦那」と呼称したため、キャンティからは会ったことがあるのかと訊ねられていた。
正体の候補
その正体に関しては、ボスと並ぶ組織の最高機密とされており、コードネームを持つ一員もラムの正体を知る者は極めて少ない。
「屈強な大男」「女のような男」「年老いた老人」「実はそれら全てが影武者」などと数多の噂があるが、一方で揃って「片目がない」と言われており、過去に大きな事故に遭い片方の目が義眼になっていると組織内で噂されている。
ジンはラムの顔や現在の動向を知っており、彼によれば前述の特徴で本当なのは義眼である事だけらしく、他は全てラム本人が護身のために流した偽情報であるとのこと。更に顔を変えてふざけた名前を名乗っていることもウォッカに語っている。。
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正体判明前は以下の三人がラム候補者として上がっており、三人の中にラムがいる事が確定していた。
それ以前の候補
ラム候補が上記の3人に確定する前は、大和敢助が作中でコナンから疑われていた。
彼が切れ者である他、女性のような長髪であり尚且つ隻眼であることなどが理由だった。
更に読者の間で一時期噂になったのが山村ミサオである。
・担当声優の古川登志夫がうる星やつらの主人公・諸星あたるを演じていた
・「ミサオ」という下の名前が女性のようにも思える名前
・人と話す時に顔を近づける癖がある(実は片目が義眼で距離感がちゃんと掴めていないのではないかと疑われた)
・「やまむら」を反対にしてからローマ字表記にすると「ARUMAMAY」とRUMが入る
これらの点がそうした説が流れた根拠であった。
正体
「待て・・・」
「私の話を聞きなさい」
FBIの捜査官達が黒ずくめの組織のメンバーによって次々と殺害された事件の終盤である1066話にて、ラムの正体が流れの板前で通っていた脇田兼則であった事実が遂に判明。これによって、黒田兵衛と若狭留美の二人は組織の一員では無い事がほぼ確定した。
しかし、後に17年前のラムが失態を演じた羽田浩司とアマンダ・ヒューズの二人が殺害された事件にて関わりのあった事実は判明している。
人物
前述の通り烏丸蓮耶の側近で最高幹部。
これは犯罪組織である黒ずくめの組織における立場だけではなく、表社会における大富豪・烏丸蓮耶の右腕としても活動しており、47年前には体調不良の烏丸の代理として、国際経済フォーラムに登壇している。
烏丸グループの会長代理として登壇している事から、表向きには烏丸グループの社員であり、当時から会長の代行を任される高いポジションにあったようである。
なお、ラムというコードネームは本人曰く「長年あの方に仕えた父から受け継いだ」というもの。
一般的には子供に発現し成長と共に失うとされるあらゆる物事を目で記憶し自由に思い出せる「フォトグラフィックメモリー」の特殊能力を持っていた。
彼の能力によって政財界の大物たちの弱みを握り操ってきた結果、黒ずくめの組織は現在の巨大な組織に成長した(ピスコはジンに「組織の力を借りてここまでのしあがった」と言われている。恐らくラムの力を借りて「経済界の大物」と呼ばれる地位に上り詰めたものと推測できる)。
実質的に黒ずくめの組織を直接育て上げた人物であり、烏丸および組織にとって最も損失は避けたい人材といえる。
ちなみにこの能力は、かつては両目とも備わっていたらしいが、17年前の時点では左目しか機能しなくなっており、その左目を失った現在は完全に喪失している(キュラソーを腹心に迎えたのも、失った能力の代替として見込んだものと推察できる)ことになる。
なお、彼は子供の頃に長年烏丸に仕えた父からラムのコードネームを受け継いでいたが、アマンダによると67年前の烏丸の誕生パーティーでは普通にラムと呼称されていたらしい。
このパーティーはアマンダ・ヒューズなどの表社会における上客を招いたイベントであり、このパーティーから十数年後にもラムは表社会で活動し新聞に写真まで掲載されている。
彼が一般人の眼前で「ラム」と呼称されていた事実は、かつてコードネームを持っていた赤井ですら組織内で二,三度耳にしただけという現在の秘匿性とかけ離れており、
少なくとも67年前に行われた烏丸の誕生パーティーの時点では、表社会の人々の前でコードネームを大っぴらに公表しても構わない程度の活動に留まっていたと考えられる。
脇田兼則としての中年姿は変装であり、黒髪は鬘、髭や出っ歯は付け髭と付け歯、左目の眼帯も義眼を隠す為のカモフラージュである。
本来の姿は左目が義眼になっているガタイの良い禿頭の初老男性(アニメでは変装していない時の眉毛が銀色で描かれている)。
黒ずくめの組織としての服装は、宛らマフィアのゴッドファーザーを想起させる威厳のあるダークスーツ姿で、葉巻を愛用している事からかなりのヘビースモーカーでもある模様。
また、17年前に起こした羽田浩司とアマンダ・ヒューズ殺人の一件の時期は、黒のダークスーツに加えて黒いハットを被っており、まだ義眼では無かった左眼にはモノクルを付けていた。
当然ながら、脇田としての飄々とした江戸っ子風の振る舞いも完全に演技であり、本来は敬語で喋りながらも冷酷かつ威圧的な雰囲気を放っている。
ちなみに小嶋元太の父親である小嶋元次は生粋の江戸っ子であり、彼と脇田の江戸言葉を比較すると微妙に異なる。初登場から既に異なっていたのでこの時点で疑っていた人がいるかもしれない(青山先生本人が誤って書いた可能性も否めないが)。
実際の彼は、コナンはおろか服部平次や世良真純、赤井、安室、ジンにも匹敵するかそれ以上の推理力と洞察力を持ち合わせており(おそらく工藤優作と同等レベル)、初登場時に推理ミスを犯したのも小五郎の腕前を試そうとしていたからなのかもしれない。
僅かな言葉だけをヒントに真相を悟り、その驚異的な推理力でFBIの考案した暗号の内容を容易く解析するだけでなく、彼らの作戦も簡単に見抜いて逃げるルートすらも計算し、対抗策をジン達実働部隊に言い渡していることから、知性や戦略眼もかなりの物と思われる要注意人物である。
また、原作1066話にて正体が発覚した際の本人の回想で、かつて赤井秀一がライのコードネームで潜入し、ジンを捕縛しようとしていた作戦にて、アンドレ・キャメルが声をかけて逃がそうとしていた老人の正体も彼であった事が明かされた(ラムの人物像である屈強な大男、女のような男、年老いた老人がそれぞれキャメル、当時長髪だった赤井、ラムの人物像と当てはまる事から、このシーンにラムが出ていたという伏線になっていた)。
したがって結果的には赤井と交際していた宮野明美の死の遠因も作っている。
つまり味方にも正体を極力明かさない身でありながら、大胆不敵に自ら迷い込んだ一般人を装い、彼ら潜入員を纏めて「釣った」のである。この真相からも悪趣味かつ非常に狡猾と言える内面が見てとれる。
その時の赤井とキャメルの写真を撮ってコルンに送っている辺り、当時に手にしていた杖は、小型のカメラを内蔵した仕込み杖だった可能性がある(別の可能性を考えると、左目の義眼が小型カメラであるかもしれない)。
それにしても流れかつ潜伏の為とはいえ、悪の組織のボスの側近が寿司屋の板前をやっているというのは、よくよく考えると意外性こそ抜群ながらも実にシュールな光景だったりする。意外と寿司に関心があるのかもしれない。
それとも、もしかして仕えているボスの好物が実は「寿司」…とか?
もっとも現実の世界ではピザ屋を開店したマフィアのボスもいるが(有名になって地元メディアに取り上げられた後に逮捕された)。
一方で、(運転席の人物のそれぞれの位置描写や、慎重な割に言動があまりにもお粗末で大胆なこともあって)実はミスリードで脇田は影武者であり真のRUMは別にいるのではというどんでん返しの考察も一部ではされていたが、その後に発売された『名探偵コナン100+PLUS SDB』にて脇田がラムであると改めて明言された。
また、同書において初登場時の万馬券騒動は(おそらく小五郎を試すために)意図的に彼が起こしたことや、「RUM」と「ラム」の表記揺れに特に意味はないことも明らかとなった。
1100話で登場した際にも脇田とラムのカットが重なるシーンが挿入され、更に1103話では羽田浩司の息絶えた姿の前で嘲笑う姿が描かれており、彼を殺害したのが脇田(ラム)である事を匂わせる展開となっている。
読者に対してはヒントを提示した後すぐにあっさりと正体をバラしてしまったことにはなるが、いつものような犯人の正体をつきとめる形ではなく、コナンたちがいかにして真実に辿り着くのかを楽しむタイプの敵と言えるだろう。
名前こそ判明しつつもその詳しい正体が未だ明らかになっていないあの方とは対照的である。
なお、ジンやウォッカが脇田兼則の名を「ふざけた名前」と言っていたのも、ラムの口癖である「Time is money」…つまりは「時は金なり」の文字をローマ字変換した「TOKI WA KANE NARI」を、アナグラム(WAKITA KANENORI)で置き換えた物であるからと思われる。
余談だが、黒ずくめの組織が初出演した映画『天国へのカウントダウン』に登場した企業の名前がTOKIWA、社長の父親(故人)が常磐金成(ときわかねなり)であった。
来歴
17年前の事件
17年前のアメリカにて、アマンダ・ヒューズの停泊するホテルに大勢の部下達を引き連れて入ったラムは、フォトグラフィックメモリー能力で彼女のボディガード達の所在を次々と把握し、部下達によって行動不能へと追い込んでいく。
そしてアマンダが待ち受ける部屋へと向かい、彼女と対面する事になる。なおアマンダは自らの危機を察知して部下のレイチェルを羽田の部屋に向かわせていた。
助けを待ち侘びて時計を気にするアマンダに、「最近我々の組織に加わった若い女がFBI長官にアマンダの声で電話を掛け直してSWATの要請をキャンセルさせた」と明かす。
更にレイチェルを実質人質とし、組織の一員に加わるよう要求するが、自らが手にしていた毒薬『APTX4869』をアマンダに飲まれてしまった事で失敗。もはや彼女は助からないため、組織に関する情報を話されている可能性のあるレイチェルを捜せと部下達に命じ、始末しようとする。
しかし、アマンダの真意に気付いた羽田によってレイチェルを匿われてしまった事で一度は欺かれてしまう事になり、すぐに嘘だと気付いて部屋に戻る。そこで羽田によって、烏丸蓮耶の代理で30年前の国際経済フォーラムに出席していた事を指摘され、皮肉交じりに褒め称えた。
部下達に羽田を拷問をさせてレイチェルの居場所を吐かせようとするが、幾ら痛め付けても口を割らない羽田に見切りを付けて『APTX4869』を服毒させ死に追いやる。
その後渡米していた黒田がアマンダの死体を発見したことで地元警察が来てしまったため、一度立て直してからレイチェルを改めて探す事にして部下達と共にホテル外で待機する。
なお2人に飲ませた『APTX4869』には、本当に死んだかどうか見定める決まりがあったのだが、2人が有名人であったことから明日の報道で分かると判断し、続きの任務遂行を優先している。
その後、道路に将棋の棋譜がばら撒かれていたのを見た事で、レイチェルが本棚のスペースに隠されていた事に気付き、急いで羽田の部屋に戻る。しかし、今度はすれ違った黒田がレイチェルをトランクケースに入れる形で運び出した結果、またしても出し抜かれてしまう。
急いでトランクケースのGPSを頼りに、部下達に黒田とレイチェルの乗った車を追跡させるも、飲酒運転の信号無視をしたトラックと車が激突して騒ぎになったことで、黒田とレイチェルにとどめを刺すことなく撤収を選んだ。
結果的に言えば、黒田は意識不明の重体で、レイチェルも行方が分からなくなる形で終わる事になり、ラム自身も彼女にとどめを刺し損なってしまった。
故に現在ではこの件を″ラムの抜かった仕事″(「顔は見られていないが声を聞かれた」程度の疑念であり、組織からの追求が軽かった一因となっているものと思われる)という風にジンは捉えている様子。
一方レイチェル(若狭留美)にとって、ラムは母親同然の存在であったアマンダ及び自身を命懸けで守ろうとした羽田浩司の二人を殺した仇となる。この復讐心が彼女の凶暴性に拍車をかけている。ただし、事件発生当初は犯人を黒田と誤認しており、ラムの存在にまでたどり着いているかは不明。
留美は「火種≒事件の証拠物件となっている将棋の駒」に異様に執着している様で、それを拾ったボクシングの心得がある安室透を「サシに追い込んだ上で彼をノシイカにしてまで駒を取り戻した」と思しき描写もある。
本編
FBI捜査官連続殺人事件を引き起こした『黒ずくめの謀略』では、その卓越した頭脳を以てして、現場にいない身であるにも拘らず的確な指示を送り続ける参謀の役目を担った。
かつて赤井と共に抹殺を指示していたキャメルの始末には失敗したものの、現場のジンの指揮力もあって次々とFBIの捜査官達の多くは血祭りにあげられ、コナンのみならず優作ですらも「彼ら(組織)を甘く見ていた」と認識せざるを得なかった。
事件の終結後、いつもの脇田兼則の変装を終えたラムは、米花いろは寿司の前で直属の部下達の運転する車から降りた後、毛利探偵事務所をじっと見ており、毛利小五郎を常に監視しようとしている事が窺われる。
なおこの一件で生還したキャメルから、ラムが「ふざけた名前」を名乗っているという情報を得たコナンは、後に服部平次との会話の中で、「ラムがアナグラムの偽名を名乗っている可能性」を推測している。
その後、帝丹小学校の宮野明美の同級生である卒業生らが同窓会のため学校に訪れた際にも脇田の姿で登場し、「死人が来るわけないか…」と独白している。
その時、コナン達と共に学校に来ていた灰原は(ラムとは認識していないが)、ラムから放たれるその強烈なプレッシャーを肌で感じ取った瞬間、冷や汗をかいて震えるのに加えて、思わず床に伏せるというこれまでに無かった程の過剰な反応を見せており、彼がジンやベルモットよりも別格である事を証明していると言えるだろう。
組織の多くについて知っている点や前述の洞察力からも、一度でも灰原とラムが遭遇する事になれば、その正体は一発で見抜かれてしまう可能性が高いと言える。
そして若狭留美の正体に気づき、今度こそ始末しようとキャンティとコルンを伴って指示を出すが、彼女によってチェスの戦術「ギャンビット」のような戦術で反撃される。
キャンティが負傷し、若狭留美を追撃せずに離れることを余儀無くさせられた後、ここに至って戦況を変えるために右目のフォトグラフィックメモリーを回復できないかと考えるようになる。
「やはりこの右目の…時を戻すしかなさそうですねぇ…」
「あの薬の効力が…私の想像通りならの話ですがねぇ…」
彼の動きを知るジンの様子からも、灰原がまた狙われ、小五郎(及びその関係者全員)が黒ずくめの組織から本格的に目を付けられるのはそう遠くない未来となろうとしていた…。
脇田兼則の年齢は56歳となっているが、アマンダは17年前の事件時に「50年ほど前、烏丸の誕生パーティーでまだ子供だった貴方と面識があり、確かラムという妙なアダ名で呼ばれていた」と発言しており、それだと実年齢は70歳を悠に超えていることになる。故に彼の正式な年齢はベルモット同様に大いなる謎となっている。
先述したように「ラム」のコードネームは世襲制であるらしく父親が長年あの方に仕えた後、息子たる彼へとコードネームを引き継いだことが判明している。そのため彼は子供の頃からラムと呼ばれていたのである。
無論17年前にアマンダと対面したのも当代のラムであり、その当時のことは本人の中でも、思い出すだけで顔をしかめてしまうほど苦い記憶として刻まれている様子。
余談
『名探偵コナン』と同じ少年サンデーに連載されていた高橋留美子の漫画『うる星やつら』に同名の主要登場人物が登場する事は周知の通りだが、コナン作者である青山剛昌もまた彼女に対して思い入れがかなりあるらしく、
『うる星やつら』新装版21巻(コナン本編中にラムの名が出てくる以前の時期)に寄せたあとがきにおいて、コナン作中でラムという名前を「使えねぇ――ぜってぇ使えねぇぜ!!」と語っている(ただしその後「…ま、いずれ使っちゃいますけどね……その時は笑ってやってください……トホホ…(笑)」とも発言している)。
つまり、この時にはすでにラムの存在を意識してストーリーを進めていたことになる。(現実の世界では赤と黒のクラッシュが本誌に連載されていた時期)
言い換えれば何らかの理由でラムと言うコードネームを使わざるを得なかったということである。
なお、氏は高橋留美子デビュー35周年のお祝いにラムちゃんのイラストを描いている他、コナン本編においても灰原がラムの名前を出されて「だっちゃ…?」と呟くシーンが存在する(灰原は高橋留美子の別の漫画の主人公を演じていたりしている…尤も『名探偵コナン』は元々高橋留美子作品の主人公やヒロインと同じ声優のキャラが多いのだが)。
ちなみに『うる星やつら』のコミックス新装版発売をお祝いしたイラストでは、組織の新しい仲間としてラムちゃんが迎え入れられたシーンを描いており、このイラストでのラムちゃんはラム酒片手にいつもの虎縞ビキニの上に黒いコートを羽織っている。しかし、それ以上にジンの兄貴によるラムちゃんの紹介の仕方がとてつもなくシュールすぎたりする。
また、候補の1人である若狭留美の声優がラムちゃん役の平野文氏であることも伏線の1つと捉える視聴者もいる(大半は「中の人繋がりで『もうラムはこの人で良いじゃん』と冗談交じりに揶揄される」程度だが、一方で『牧場に落ちた火種』での描写から「仮に『若狭留美≠ラム』だとしても、彼女はラム以外の『黒ずくめの組織』メンバーであるか、最低でも『火種となった事件の関係者』である可能性は高い」と考察するファンも少なくない)。
一方で、脇田兼則を演じた千葉繁氏も、『うる星やつら』で主要キャラクターの一人・ラム親衛隊隊長メガネを演じている。
ちなみに令和版は藤波竜之介の父を演じている。
ラムを演じる以前に千葉氏はコナンのTVシリーズに2回、劇場版に1回それぞれゲストキャラを演じているが意外にも3回とも容疑者止まりかミスリード要員であり、事件の犯人を演じたことは一度もなかったりする。
TVアニメ版も正体が判明する前は劇場版と同じくエンディングのクレジットでキャストが空白となっていた。
しかし2023年3月25日に放送された『黒ずくめの謀略(狩り)』は『黒ずくめの謀略』シリーズの最初のエピソードなのだが、放送前の番組表でのキャスト欄には「ラム:千葉繁」と表記されていた(のちに修正されたが、結果として原作未読の視聴者にはラムの正体が脇田だと放送前にバレる結果となった)。
若狭の狙撃を指示している時のキャンティから「17年前の事件では姿を見られたわけではないのに気にし過ぎではないか」とボヤかれた際、
声を聞かれたことを懸念として挙げているが、演者の特徴的な声を考えるとその理由も納得である。