『頼んだわよ…小さな探偵さん…』
CV:玉川砂記子
概要
南洋大学出身。偽名は広田雅美(ひろたまさみ)で、これは大学時代の恩師の名前から取ったものである。
日本人の父親・宮野厚司、日系イギリス人の母親・宮野エレーナを持つイギリス人のクォーター。享年25歳。
母方の親族として伯母の赤井メアリー、義伯父の赤井務武、従兄妹の赤井秀一、羽田秀吉、世良真純を持つ。
クォーターではあるが、外見はイギリス人の要素は持ち合わせていない和風美人。
幼い時に黒の組織の科学者だった両親が事故死。唯一の家族である妹の志保は組織の重要人物となり、監視付きでしか接触できない状態となるも、姉妹仲は大変良かった。
自身はコードネームすらない末端ということもあって、組織の監視付きではあったが大学へ通って友人を作ったり旅行したりと比較的自由な生活を送っていた。ただ、組織の命令で小学校は転校を繰り返していたらしく、卒業時に在籍していた学校が奇遇にも妹が現在通っている学校だった事がかなり後に判明した。
赤井秀一は明美を「平静を装って陰で泣いていたバカな女」と評しているが、彼女を愛していた。
車に当たり屋をされたことをきっかけに諸星大との交際が始まり、これにより諸星はシェリーと顔見知りになりそのコネクションで黒の組織へ入ったが、2年前にアンドレ・キャメルのミスにより諸星がFBI捜査官赤井秀一であることが発覚し、組織に明美と志保を残し逃亡。自然消滅の形で別れている。
その後、明美は組織に「FBIの潜入捜査を手引きし、今後も組織の情報を外に漏らす原因を作る可能性が高い危険人物」と認識され、明美を始末する理由付けとして組織から「仕事」の話を持ちかけられ、「完遂すれば明美と志保を組織から抜けさせる」という条件で、犯罪を実行する。銀行強盗を実行する直前、赤井に自身が組織を抜けた後に復縁を望むメールを送っている。そのメールには「PS」があるが、内容は不明。
なお、組織は最初から宮野姉妹を抜けさせるつもりはなく、10億円強盗という無謀な計画を明美に実行させてその失敗を口実に彼女を始末し、自分達にとって必要な志保だけを残す算段を立てていた…のだが、組織の予想を覆して明美はこの計画を成功させる。が、その結果として他の末端2名(偽名で運転手が広田健三、実行犯が広田明とされていたので、以下もその名で呼ぶこととする)とのいざこざが生じて、無関係な銀行関係者が死亡(下手人は明美ではない)し金の奪い合いで健三が明に扼殺され、更にジンの裏工作により明美は明を誤って毒殺してしまう。
明美はジンから10億円を渡すよう言われるものの、それを拒んだため「裏切り者」とされる形で腹部を拳銃で撃たれ致命傷を負う。ジンとウォッカが立ち去った直後、駆けつけたコナンに自分が黒を象徴とする巨大な犯罪組織に所属する末端の人間であることと、盗んだ10億円を預けたフロントの鍵を託した後に息を引き取った。
彼女の最期を看取ったコナンは必ず組織を潰すことを改めて決意した。
そして彼女の死からしばらく経ってから妹の志保は組織から脱走してコナン達に接触。灰原哀として生きることになり物語は一つの転機を迎えることとなる。
降谷零とも面識があり、幼少期に両親が経営していた「宮野医院」に喧嘩で怪我をした零を連れ、手当てを手伝っていた。しかし、バーボンの事は「諸星大のライバルでお互い毛嫌いしている」と認識しており、バーボン=零とは気付いていない。
裏話
漫画版での初登場は『奇妙な人捜し殺人事件』であり、アニメ版でも同事件で広田雅美(偽名)と偽り登場している。(CV:勝生真沙子)
しかし当時は放送開始から数ヶ月だったため組織と登場させるのは早すぎたこと、及び番組が打ち切りとなる可能性も見据えて、アニメ版では大幅な変更が行われた。
端的に説明すると、黒の組織は登場せずにアニメオリジナルの人物「沖田」(外見はジンのパチモンのような感じで、過去に何度も強盗事件を起こした極悪人)が黒幕となり、コナンの活躍により彼女は殺害されずに警察に逮捕されるというエンディングへと改変されている。これによりアニメでは宮野明美の死亡は無かったことになり、当然妹(志保)に関する話も全てカットされた。
しかし、実は宮野明美が重要人物であった事が明らかになり、灰原哀の登場に必要不可欠な事件になったことから、辻褄合わせのために内容をアレンジした『黒の組織10億円強奪事件』で改めて登場(cv:玉川砂記子)、そちらでは原作通りにジンに射殺される最期となった。
結果的にアニメでは2回同姓同名(しかも偽名も同一)で登場し、漫画とアニメで別々の顛末を迎えるというなかなか面倒なこととなった。
テレビスペシャル『エピソード“ONE”小さくなった名探偵』のエンディングでは、明美役は玉川氏だが、原作の『奇妙な人捜し殺人事件』に準拠したダイジェストが挿入され、現在のアニメではこれが公式設定になっている。
余談だが、アニメ版での初登場回で宮野明美の声優を務めた勝生真沙子氏はガンダムシリーズで赤井秀一のモデルとなったシャア・アズナブルの恋人役を務めており、当初の配役のままであったならガンダムの視点からも面白い共演も叶ったはずだったので残念でもある。
もっとも赤井役の池田秀一氏と(志保の姉の方の)明美役の玉川氏は現実世界で夫婦という、これはこれで『コナン』本編とは皮肉なキャスティングだったりする。
ちなみにその後勝生真沙子氏は服部静華(服部平次の母)の役で準レギュラー入りをしている。
関連項目
毛利蘭:作中で灰原や赤井が彼女に対して明美の面影を重ねる場面が多々ある。ちなみに、志保の方は蘭の親友鈴木園子に非常に似ている。