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APTX4869

あぽときしんよんはちろくきゅう

『名探偵コナン』の物語において、重要な役割を果たす薬物。
目次 [非表示]

シェリー「細胞の自己破壊プログラムの偶発的な作用で、神経組織を除いた骨格・筋肉・内臓・体毛…それらすべての細胞が幼児期の頃まで後退化する…神秘的な毒薬をね…」


概要編集

黒ずくめの組織の科学者であるシェリーこと宮野志保が、同じく黒ずくめの組織の科学者であった両親(宮野厚司宮野エレーナ)から受け継ぎ開発した薬物。

外見上は赤と白のカプセル剤。


組織はこの薬が持っていた「一切の毒物反応を残さず生物を死亡させる」作用に目をつけ、完全犯罪に利用できる究極の毒薬として、開発者にも無断で暗殺活動に使い始めた。

その被害者の1人が他ならぬ工藤新一であり、組織の裏取引を目撃した彼の口封じとして、幹部の一人・ジンにより投与された。


だが、この薬には極めて稀な確率で服用者が死亡せず幼児化するという奇異すぎる副作用があり、新一は幼児化した江戸川コナンとして密かに生き延び、黒ずくめの組織を追うこととなる。


この薬を飲んで唯一、死亡の確認が取れなかった新一の自宅にシェリーは組織の調査員と二度訪れ、二度目の調査で前回あったはずの子供服がなくなっていると気付く。一匹だけ死なず幼児化したマウスがいた為、新一は幼児化している可能性があると考えてデータを「死亡」に改竄した。


「非常に興味深い素材だから、生かしておいてあげたのよ…組織に報告したら、私の手元に来る前に殺される可能性が高いからね…」


新一がコナンとしての生活を送る最中、シェリーは組織に姉の宮野明美を殺されたことで組織に歯向かって監禁された。

どうせ殺されるならと隠し持っていたAPTX4869を自殺目的で服用すると幸運にも幼児化現象が現れ脱出に成功、新一の元に向かって阿笠博士に保護された。以降灰原哀と名乗り、組織から身を隠している。


また、赤井秀一羽田秀吉世良真純3人の母親でMI6の諜報員であるメアリー・世良領域外の妹)も、50代前半から中学生くらいの姿になっている。


コナンからお前の作った毒薬のせいで何人の人間がと責められた際に灰原は「仕方ないじゃない…毒なんて…作ってるつもり…なかったもの…」と口にしており、毒薬として開発されたものではなかったらしい。その本来の開発目的について作中で明言されてはいない。


ピスコの台詞、灰原の「時の流れに人は逆らえないもの…それを無理矢理捻じ曲げようとすれば…人は罰を受ける…」、人魚伝説があり人魚の肉を食べて不死になったお婆さんがいると3年前ムーブになった『美國島』に何年前か分からないがジンとウォッカとシェリーが来ていた等から、この薬が若返り、あるいは不老不死を目的に開発された可能性を示唆する表現が散見されているが、雑誌『ダ・ヴィンチ』2014年5月号に掲載されている作者の発言によって、組織の目的は不老不死ではないことが確定した。


シェリーが組織から脱走した影響で開発が滞っており、本来の開発目的の薬は未だ試作段階のままであるが、裏切った彼女を連れ戻してまで利用する価値はないらしく、抹殺を狙っている。


灰原は自身の研究目的について「夢のような薬じゃない」「この地球上のほとんどの人間にはその価値を見いだせない、愚かしい代物」で「この小さな国の女の子にしか必要とされない雛人形のような物」と言っている。

エレーナは「とても恐ろしい薬を作ってるの…ラボの仲間は夢のような薬って浮かれてるけど…」と脅威を感じながらも厚司と願いを込めて「シルバーブレット(銀の弾丸)」と呼び、「その薬(シルバーブレット)を完成させるにはあなた達とお別れしなきゃいけないの」と灰原と姉の明美にに別れの理解を求めている。灰原は上述の母のメッセージを回想した後に「こんな薬…作っちゃいけなかったって…」と解毒剤を握り締めて後悔している。


今より17年前には既に毒薬として活用されており、APTX4869投与者リストにはプロ棋士で秀吉の義兄な羽田浩司の名前も載っている。灰原によると、17年前に使われた薬は自分の両親が作った薬で、自分は焼け残った資料を搔き集めて復活させたまあ、私が本当に作らされていたのは別の薬なんだけどね…)。その再生産された試作段階の物が新一に使用された。

新一と志保が10歳程度若返った対し、メアリーはおよそ40歳程も若返っており、退行の度合いに個人差があるのか、その要因は現状不明。

ベルモットが年を取らない要因も組織の薬と関係があると思われる。というかそれ以外に現時点では思い当たる節がない。宮野夫妻は19年前に組織に加入し、17年前に毒薬として使われ、ベルモットは少なくとも20年前から年を取らなくなっている。ベルモットが「こんな愚かな研究を引き継いだ貴方の両親」と発言している事から、2人が組織入りする前からこの研究は進められていたことは明らかであるため、ベルモットの不老は前任者が作った薬の作用かもしれない。


1110話におけるコナンの発言からコナンの身長が1ミリも伸びていないことが発覚。

半年しか経ってないせいか本人は深刻に考えておらず、灰原に薬のせいかと軽く聞き、否定されると「たまたまかー…」と追及しなかった。だが直後の灰原の表情は意味深なものだった。

すでにメアリーの咳は薬が原因なことは示唆されていたが、もしかすると幼児化以外にも何かしらの作用があるのだろうか。


幼児化している三人の内二人が血縁関係、身内の変装は得意な工藤有希子がコナンを灰原そっくりにできて、「オレにしてくれた灰原の変装もなかなかだった」発言から、特定の遺伝子や因子を持っていると幼児化する説もあるが、コナンと灰原の身内説は作者が否定済み。


ルパン三世』とのコラボ作品では、「永遠の若さ」を求める峰不二子から「私と組んでAPTXを完成さないか」と誘われた灰原は、不二子が若返りの薬だと思っている事に対して「私が作っていたのはそんな夢の薬じゃないし」と断っている。


作用編集

『名探偵コナン大辞典』によると、プログラム細胞死(アポトーシス)を誘導すると共に、テロメアーゼ活性によって細胞の増殖能力を高めるとされ、作中でもアポトキシンの「アポ」とは、このアポトーシスの事と灰原の口から語られている。


投与された場合、エネルギー消費を伴うアポトーシス作用によって強い発熱を伴い、「骨が溶ける」かのような感覚に襲われた後、通常は死に至り死体からは何も検出されない。

しかし極稀にアポトーシスの偶発的な作用でDNAのプログラムが逆行し、神経組織を除いた骨格、筋肉、内臓、体毛などのすべての細胞が幼児期の頃まで後退化することがある。


解毒方法編集

今のところ、幼児化に対する完全な回復方法は確立しておらず、灰原自身研究を進めている。解毒剤の効果は一時的なもので、連続で使用したらどんな副作用があるかわからないとのこと。

それでも、偶然的もしくは実験的要因により、工藤新一は7回、宮野志保は2回元の体に戻ったことがある(数字は原作でのもの)。


偶発的要因編集

【1】コナンが白乾児(パイカル)を偶然飲んだことによる。

【2】哀がコナンの指示により、白乾児を飲んだことによる。

いずれも持続時間は1時間程度。


実験的要因編集

【1】上記の事実(=アルコールの成分が作用して元の体に戻ったこと)を参考に、哀が開発した解毒剤の試作品をコナンに服用させた、あるいは自らが服用したことによる。

なお、こちらは青と白のカプセル剤になっている。


効果編集

  • あくまでも不完全で、持続時間は最大約36時間
  • その時間すらも単なる目安であり、後にコナンが服用した際には約24時間持続した。
  • 上記の効果切れ直後にも再度服用したが、約4時間で効果が切れたことから、連続使用には向かないことが判明している。そのため、『紅の修学旅行』では再服用まで最低8時間のインターバルを設けている。

当初は、被験者が風邪を引いた状態で白乾児またはそれに準じた成分を摂取したことが大きく関わっていた。

最初の事例後、コナンは「もっと大量に飲めば完全に元の姿に戻るだろう」と考えてもう一度白乾児を飲んだが効果はまったく得られなかった。これに対して阿笠博士は「免疫が出来た」という仮説を立てている。しかしこの時コナンは風邪を引いていなかった(治した)ため、「風邪を引いた状態でのみ白乾児は解毒作用を表す」可能性は否定できない。

尚、番外編とされる劇場版迷宮の十字路』でも、阿笠博士が開発した「風邪と同じ症状を出す薬」を使い、強い風邪を引いた状態を再現(本当に引いているわけではない)した上で解毒剤を服用しコナンは元の体に戻っている(効果は数時間程度)。


その後の『灰原の秘密に迫る影』では灰原が、『ホームズの黙示録』『紅の修学旅行』ではコナンが風邪や体調不良とは無関係に解毒薬を服用して一時的に元の姿へ戻っている。


『名探偵コナン SECRET FILE』(少年サンデー特製DVD)第9話「10年後の異邦人」では、コナンが朝から38.7℃の熱を出し、哀から連絡を受けて新しい試作解毒薬を飲み新一に戻ったと思ったが、実際は新一に戻った状態で意識を失い10年後の夢を見ていただけで、目が覚めた時にはコナンに戻ってしまっていた。


いずれのケースにおいても、多量の人体構成たんぱく質、脂肪、カルシウムなどがどこから採取されているか、どこへ漏出しているかということが疑問であるが、そのことへの解説は今のところなされていない。


毎回、解毒薬の効果のタイムリミットが近づくにつれ、呼吸が荒く目も虚ろになり、激しい動悸で胸を押さえるシーンがある。

解毒剤を飲む前から風邪を引いた状態、風邪薬と間違えて解毒薬を飲まされたこともある。この場合熱が下がるどころか余計ひどくなる様子で、からは「すごい熱」と驚かれ、小五郎からは「苦しみ方が尋常じゃないぞ」と言われており、普通の状態ではないことがわかる。


パスワード編集

薬の開発コード"4869"を語呂合わせで読むとホームズのファーストネーム「シャーロック」になることと、薬自体が試作品段階であることから、組織では"出来損ないの名探偵"という通り名で呼ばれることがある。

更に、組織のコンピュータに記録されたこの薬のデータにアクセスする際のパスワードは、ホームズという作品自体が試作段階だった頃にアーサー・コナン・ドイルが仮の呼び名として付けた"Shellingford Holmes(シェリングフォード・ホームズ)"を取って"Shellingford"と設定されている。


コナン曰く「ホームズファンに悪い人はいない」が、そんなコナンの宿敵に関わるパスワードがホームズフリークの考えそうなものとは皮肉である。


余談編集

現実世界の化学物質としてのAPTXとは、Aprataxin(アプラタキシン)と呼ばれる早発性失調原因たんぱく質である。


細胞の自己破壊プログラム=アポトキシンは身近な例では、オタマジャクシがカエルになるときにしっぽがなくなるなどの現象が存在している。

だが、そうなるとアポトーシスで死んだ細胞約40㎏はいったいどこに…。

コナンで学ぶ!相対性理論


この薬実はお菓子のグミとして発売している。体が縮むことがないので安心してご賞味あれ。


関連項目編集

名探偵コナン

黒ずくめの組織 シェリー(名探偵コナン)


副作用により幼児化した人物。

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