概要
糖蜜もしくはサトウキビの搾り汁を原料とする、西インド諸島原産の蒸留酒。
製法により色・風味はさまざまだが、アルコール度数は高い。
1970年代までイギリス海軍の支給品だった。
香辛料、フルーツなどで香り付けしたスパイスト・ラムはプエルトリコ発祥。
飲用のほか、ケーキ、タルトなど焼き菓子の風味づけに多用され、レーズンをラムに漬け込んだラムレーズンの形で用いられることも多い。紅茶の香り付けに少量加えることもある。また、アンゴスチュラ・ビターズのように、ラムをベースとするリキュールも複数存在する。
小笠原諸島には幕末に欧米の捕鯨船がラム酒を伝え、明治時代から蒸留が行われ「泡酒」、「蜜酒」などと呼んで親しまれていた。1992年に東京都小笠原村の役場・農協・商工会が小笠原ラム・リキュール株式会社を設立し、母島でラムを生産している。
羔肉(子羊の肉)を意味するlambとの混同を避けるため、日本語では一般的に「ラム酒」と表記・呼称する。
分類
ラムには色による分類、香りの強さによる分類、原料による分類が有る。
色による分類
ホワイト・ラム(無色)
蒸留後のアルコールをステンレスタンクで3ヶ月〜12ヶ月休ませ、加水・ボトリング。クリアな風味でカクテルのベースなどに使用される。
※日本の甲類焼酎は、サトウキビから砂糖や味の素を作った残りの廃糖蜜を原料として連続式蒸留機で製造している点がホワイト・ラムと共通だが、原料由来の風味が完全に消え、度数36%未満のアルコール水溶液になっていると言う差異がある。
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ゴールド・ラム(薄い褐色)
オーク樽で2年前後寝かせてから加水・ボトリング。軽快で上品な風味。
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ダーク・ラム(濃い褐色)
内面を焦がしたオーク樽で3年以上の長期熟成の後、加水・ボトリング。濃厚な風味。
英国海軍最大の英雄ホレーショ・ネルソン提督が戦死した際、遺体をラム酒に漬けて防腐処理し本国まで輸送された逸話(正しくはブランデーだと推察されている)から、特にダーク・ラムを「Nelson's blood(ネルソン提督の血液)」と呼ぶことがある。
※ダーク・ラムを濾過して無色透明にし、風味だけ残したものもある。お菓子に風味を付けたいが色は要らない時などに便利。
風味による分類
ライト・ラム(軽い芳香)
原料を純粋培養した酵母で発酵させ、連続式蒸留機によりアルコールの純度を高めたもの。クリアな風味。
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ミディアム・ラム(中間的な芳香)
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ヘビー・ラム(強い芳香)
原料を自然発酵させ、単式蒸留機によりアルコール以外の不純物を多く残し風味を強くしたもの。原料由来の甘く強い香りが特徴。
原料による分類
インダストリアル・ラム(工業ラム)
サトウキビから砂糖を精製した後に残る廃糖蜜を原料としたもの。廃糖蜜は保存が利くので通年生産できる。
アグリコール・ラム(農業ラム)
サトウキビの搾り汁から直接製造したもの。サトウキビの収穫期に栽培地の近くでしか製造できず、生産量が少ない。主にフランスの海外県であるマルティニーク、グアドループ、レユニオンで生産され、コニャックなどと同様にAOC(原産地統制呼称)により製造方法が法律で厳しく規定されている。
(Wikipediaより一部抜粋)
備考
ラム酒の正確な発明or試作された信用できる情報は、今のところないらしい。(サトウキビ自体アジア原産で、これを新大陸に持ち込んでからの時系列からして、ざっくり1500〜1600年ごろ。)一応、カリブの海賊の最盛期の1600年代後半から1700年代初頭には普及していた。
ちなみに、タンタンの冒険シリーズの「レッド・ラッカムの宝」では250年もののラム酒がでてくる。タンタンシリーズ自体時代設定は冷戦期(直前の謎のユニコーン号時にハドックの先祖アドックがルイ16世に仕えていたのと、月旅行を踏まえ1950〜1970ごろ)くらいを踏まえると、おそらくは作中のラム酒は1700年代前半ものだろう。
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