「待っとれ 死んでも守ったる──────」「ふたひらの運命を引き裂く哀しき歌―紅に染まる巡恋(チェインドラブ)ミステリー」
概要
公開日 | 2017年4月15日 |
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英題 | The Crimson Love Letter |
監督 | 静野孔文 |
脚本 | 大倉崇裕 |
主題歌 | 倉木麻衣「渡月橋 ~君 想ふ~」 |
興行収入 | 68億9000万円 |
前作 | 純黒の悪夢 |
次作 | ゼロの執行人 |
西の高校生探偵・服部平次と彼の幼馴染み・遠山和葉をメインに、秋の京都、大阪を舞台とした百人一首が絡む事件に挑んでいく。
劇場版では久々にラブコメ要素が強い。大阪組の2人がメインとなるのは第7作『迷宮の十字路』以来、実に14年振りとなる。
『迷宮の十字路』の舞台が春の京都市であるのに対し、今作は秋の京都(と大阪府)が舞台。劇場版で秋の季節が舞台となるのは本作が初めてとなる。
平次と和葉の恋路に大きく関わる新キャラクター・大岡紅葉、その執事である伊織無我がテレビシリーズに先駆けて初登場し、平次の母親である服部静華と鈴木園子のボーイフレンドの京極真(回想のみ)も劇場版初登場。
脚本は『福家警部補シリーズ』などで知られる大倉崇裕が担当。
本編では、TVアニメ第829話「不思議な少年」を担当しているが、劇場版の担当は本作が初となる。
和葉の父銀司郎については、これまでの担当声優であった小川真司が逝去されていたため本作からてらそままさきに交代し、平次の父服部平蔵の声優も小山武宏から山路和弘に変更されている。
主題歌は倉木麻衣の楽曲「渡月橋 ~君 想ふ~」。同氏は『迷宮の十字路』でも主題歌を担当している。また、タイアップは奇しくも本作で21曲目となる。
タイトルにある「から紅〈唐紅〉」は紅色よりも濃く鮮やかな色を指す言葉で、「在原業平朝臣」の句「千早ぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」の中でも詠まれている。
最終興行収入は68.9億円で前作『純黒の悪夢』を超え、5年連続でシリーズ最高記録を更新(翌年には『ゼロの執行人』がさらに興収を更新した)。また2017年邦画年間トップを獲得する快挙を達成した
ストーリー
京都市東山区。
2年連続で競技かるたの皐月杯で優勝を果たしている矢島俊也は、早朝から自宅である日本家屋の一室で、昨年の皐月杯決勝戦の映像を見ながら百人一首の札を並べていた。
そして映像を観ながら札を取り何かを確信してほくそ笑むが、人の気配に気づき襖を開けた瞬間、侵入者が持っていた刀で撲殺されてしまう。
特番で競技かるたを牽引する団体「皐月会」の会長阿知波研介と対談する事となった毛利小五郎は、本番前に江戸川コナン達を連れてスタジオで試合のリハーサルを見学していた。
その対戦をしていた女性達のうちの1人は和葉の同級生枚本未来子であり、その付き添いで平次と和葉もテレビ局を訪れていた。
そして未来子の相手をしていた少女の名は大岡紅葉。彼女は皐月会が毎年行っている競技かるたの高校生の部で、2年連続で優勝を果たしている実力者だった。
そして彼女は平次と会った途端「ウチの未来の旦那さん」と彼に言い寄る。突然の展開にドキッとする平次、そして側にいた和葉はいきなりのライバル登場で思わず困惑する。
同じ頃、大阪府警に一通の奇妙な脅迫文が送られてくる。
そこには「日売テレビを爆破する」とだけ書かれており、その下には2枚のかるた札の画像が印刷されていた。
これをただのイタズラではないと判断した平次の父平蔵は、日売テレビに避難要請をしコナン達もそれに従い避難を開始する。 だが平次と和葉、未来子は、スタジオに残されていた決勝戦用の格式ある「かるた札」を守ろうとまだ局内に留まっていた。
そんな時予告どおりテレビ局は爆破され、平次と和葉は未来子たちと離れ離れになってしまう。 未来子は何とか脱出したが、平次と和葉は取り残されたまま。この事に気づいたコナンは、スケボーを使って彼らの元へと向かいなんとか救出に成功する。
この爆弾事件で奇跡的に死者は出なかったが、阿知波は頭に傷を負い、未来子は腕を骨折してしまう。
かるた札は死守出来たので皐月杯を開催する事は出来たが、未来子は腕の負傷により大会に出られそうになかった。そこで未来子は友人でかるた部の掛け持ち部員でもある和葉に出場を頼み込む。そしてそれを聞いていた紅葉は「皐月杯で優勝した方が、平次に告白しよう」と和葉に持ちかけた。
その勝負を受け入れた和葉は、静華の力も借りて寝る間も惜しんで猛特訓する事になる。
ゲストキャラクター
名前 | 声優 | 職業 |
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阿知波研介 | 阪脩 | 競技かるた会「皐月会」会長。不動産会社社長 |
矢島俊弥 | 石川英郎 | 皐月会会員。「皐月杯」2年連続優勝者 |
海江田藤伍 | 石井康嗣 | 阿知波の元秘書。現在行方不明 |
阿知波皐月 | 吉田美保 | 研介の妻で、皐月会創設者。3年前に病死 |
名頃鹿雄 | 一条和矢 | 競技かるた会「名頃会」代表。5年前に失踪 |
関根康史 | 宮川大輔 | 皐月会所属の凄腕かるた選手。本業はカメラマン |
枚本未来子 | 吉岡里帆 | 皐月会所属。改方学園かるた部主将 |
備考
- 今作のタイトルについては、原作者・青山剛昌氏が事前に「カ○○○○○の○ン○」(○は伏せ字)であると明かしていた。答えは「恋歌」を素直に読んだ「カラクレナイのレンカ」だったようだ。
- 早々に当ててしまったファンもいたようで、同氏は「『カズハちゃんのサンバ』とか色々あるじゃなーい」と驚いていた。
- 平次はこれまで劇場版では6作品(第3・7・10・13・14・17作)に出演しているが、後半3作品では物語の関係上、コナンとのシーンが電話越しのみであった。今作では平次が主役ということもあり、第10作『探偵たちの鎮魂歌』以来実に11年振りの対面が実現。やったで工藤!
- 逆に阿笠博士と灰原哀は東京に残ったため、本作ではコナンたちと電話越しのみの対面となった。恒例のダジャレクイズもテレビ電話での出題となったが、出されたのは物語中盤と比較的遅いタイミングであった。
- 鈴木園子も東京にいることから本作の出来事には直接関わっていないが、その経緯がTV版のプレストーリーで明かされており、園子に加えて本作では回想のみだった京極がメインで登場している。
- 灰原を含む皆勤賞キャラ(コナン(新一)、蘭、小五郎、阿笠、灰原、探偵団、園子)は以降も毎年劇場版に登場しているが、大倉氏脚本の劇場版作品では出番差が非常に大きく、作品によっては明らかに皆勤賞の為に出ているだけに近いものもある。
- 本作の事件は専ら京都府警と大阪府警の管轄であり、劇場版で警視庁が一切関与しなかったのも初となり、これまで劇場版第1作から連続出演していたレギュラーキャラの一人目暮十三が本作で初めて一度も登場することなく終わり、皆勤賞が途切れることとなった。
- 本作も他の劇場版の例に漏れず新作公開記念として2018年4月13日にテレビ放送予定だったが、同年4月5日に高畑勲氏が逝去した事を受けてその追悼企画として急遽火垂るの墓が放送されたため、本作の放送は1週延期された。
- 紅つながりで、XJAPANのドキュメンタリー映画『WE ARE X』とのコラボが行われ、同映画のイベントにコナンが駆け付けた。
- 本作は大倉脚本の劇場版作品で唯一外国人キャラが登場していない。
関連イラスト
関連動画
特報
予告
関連項目
それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ - 1999年に放送されたSFテレビアニメ。奇しくも『ヤマモト・ヨーコ』でメインキャラを務めた主人公の山本洋子役の高山みなみ氏(同じく主人公の江戸川コナン)、御堂まどか役の林原めぐみ氏(灰原哀)、白鳳院綾乃エリザベス役の宮村優子氏(遠山和葉)、松明屋紅葉役のゆきのさつき氏(大岡紅葉)の四人が再集結し、収録現場は『ヤマモト・ヨーコ』のちょっとした同窓会だったという。なお、ゆきの氏に至っては奇しくもどちらも『紅葉』という名の役であった。