ウルトラ警備隊(ウルトラけいびたい)は特撮テレビ番組ウルトラセブン(平成ウルトラセブンを含む)に登場する防衛組織。平成セブンは新生ウルトラ警備隊を参照。
概要
地球防衛軍極東基地に所属しており、初代TVシリーズでは6人の隊員で構成されている。
極東基地は富士山麓の地下に建造されており、その地形、自然を利用して厳重にカムフラージュ。さらに基地内には最新の設備と兵器を装備している……が、侵略宇宙人の侵入を許してしまうケースも少なくない。
また、最新設備といいつつも基地内にはテレビや映像モニターの類がほとんどなく、コンピュータの出力装置が紙テープだったり録音機材がオープンリールであるなど時代を感じさせる。
勤務隊員数は300人ほどおり、ウルトラ警備隊はその中の精鋭部隊で、地球侵略を企む宇宙人との戦闘が主な任務。
小説『ウルトラマンF』では、怪奇事件の調査を専門に行う科学特捜隊が異星人の侵略案件に対して主導権を握るのは適切ではないとの判断により、異星人への侵略を専門的に担う組織として創設されたことが語られている。なお、作中ではまだ準備段階にあり、怪獣たちが出現した際にも出動することはなかった。
漫画『ULTRAMAN』でも、作中の世界におけるアンヌたちが科特隊のメンバーとしてすでに登場していることが、17巻の『井出光弘の研究資料』にて判明した。
ちなみに「曽我」「天城」「古橋」「アンヌ」の4名は総勢30人のメンバーの中でも精鋭とされており、諸星が隊長、桐山はその上の、全部隊の統括者として配置されている。
他防衛チームとの比較
ウルトラ警備隊は多くのチームの中でもバランスに優れたチームである。少数精鋭ながらメンバーの個々の能力・生存率は高く、仲も良い。ウルトラセブンが宇宙人と戦っている間、宇宙人の円盤と戦う展開が多く、その撃墜率もやたら高い。魅力的な乗り物や強力な兵器もあり、頭脳戦に長け、ヴィジュアル面でも優れていると言えよう。ギエロン星獣、ノンマルトの件を始め、地球人のエゴを訴える組織でもあるが、ウルトラ警備隊自体は地球防衛軍内の一部隊に過ぎないことはお忘れなく。
また、昭和シリーズにおいて、作中で一度もレギュラーメンバーの変化(交代・死亡等による)が無かったのは科特隊とウルトラ警備隊のみである。
メンバー
TVシリーズ版のメンバー
演:中山昭二
*詳細は当該項目を参照。
モロボシ・ダン隊員
演:森次浩司(現:森次晃嗣)
*詳細は当該項目を参照。
フルハシ・シゲル隊員
隊歴7年の29歳。防衛軍きっての怪力を誇る。
北海道出身で、実家は牧場を経営している。故郷には母とマナという名の妹が住んでいて、母は一度牧場を継がせるべく基地まで押し掛けたことがある。ダン=セブンとの別れにおいてもダンの生存と再会を信じていた。
『太陽エネルギー作戦』では隊長に昇格してウルトラ警備隊を指揮し、『誕生30周年記念3部作』からは参謀に昇格。
ちなみに桑田次郎氏が描いた漫画版ウルトラセブンでは、下の名前が『圭太』になっている。そのためか、「不滅のヒーロー ウルトラマン白書」(朝日ソノラマ)でフルハシ隊員の名前が圭太として紹介されてしまっている。
※演者の毒蝮は前作で科特隊のアラシ・ダイスケ隊員を演じており、ウルトラシリーズでは桜井浩子に続いて2人目となる2作連続レギュラー出演者となった。ちなみに、これを踏まえ、『ウルトラマンF』では、科学特捜隊のアラシ隊員の双子の弟という設定になっており、苗字が違うのは母親の実家の養子になったためであるとされている。
ソガ隊員
演:阿知波信介
隊歴3年の25歳。九州出身で、南部冴子という婚約者がいる。
射撃の腕前は防衛軍でもトップクラスで、大会ではいつも上位に食い込む。しかし第36話の大会では同期のヒロタに敗れ、優勝を逃した(尤もヒロタはペガ星人の計らいで優勝したのでこれは不正行為とも取れるが)。
ダンと特にウマが合うらしく、パトロールの時などコンビを組む事が多かった。第11話で一時的にダンが死んだときは声をあげて泣いた。オカルト趣味があるのか、同話では13日の金曜日である事を気にしており、43話ではしきりに占星術を行っては、その結果に一喜一憂していた。
※演者の阿知波信介は後マネージャーへ転身、プロダクション社長に。2007年没。元妻は女優の多岐川裕美、娘はタレントの華子。その夫である仁科克基は「ウルトラマンメビウス」のアイハラ・リュウを演じていた。
アマギ隊員
演:古谷敏
隊歴2年の24歳。名古屋出身の名プランナー。
冷静かつ果断な人物だが、高所恐怖症のうえに幼い頃に近所の花火工場が爆発したことから、火薬に対してもかなり恐怖心を抱いているなど小心な一面も持つ。火薬への恐怖心はスパイナー輸送任務を完遂した事で克服された。珍しい血液型であったため、第31話ではダリーに操られた。最終話でもゴース星人に拉致されて地球防衛軍との連絡兼通訳役にされている。
※演者の古谷敏は前作で初代ウルトラマンのスーツアクターを務めており、こちらも2作連続でレギュラー出演する事となった。
友里アンヌ隊員
演:菱見百合子(現:ひし美ゆり子)
*詳細は当該項目を参照。
地球防衛軍
ヤマオカ長官
演:藤田進
55歳。極東基地の最高責任者。
侵略者に対し毅然とした態度で臨む一方、現場の隊員に対しては常に理解を示す。ダンをウルトラ警備隊に推薦した人物でもある。
タケナカ参謀
演:佐原健二
初代TV版では40歳。ウルトラ警備隊担当。キリヤマ隊長が不在の際は、代わって同隊の指揮を執ることもある。 『平成ウルトラセブン』とは別世界の『ウルトラマンメビウス』では、防衛組織「GUYS」の最高総議長として登場。元科学特捜隊宇宙班の所属で現CREW GUYS日本支部隊長(日本支部総監)のサコミズとも昔馴染みである(彼をサコっちと呼んでいるお茶目な面も見せていた)。
※演者の佐原健二は『ウルトラQ』で万城目淳を演じ、『帰ってきたウルトラマン』でも参謀を演じた。
マナベ参謀
演者:宮川洋一
42歳。ウルトラ警備隊担当。タケナカ同様同隊の指揮を執ることもある。
かつてはキリヤマ、クラタ両隊長の上官だったと推測される。ワシントン基地に出向していた事がある。
ヤナガワ参謀
演:平田昭彦
第1話にのみ登場。降伏を勧告するクール星人に対して「人類はそう簡単に地球を見捨てない!」と反発した。
※演者の平田昭彦は前作で岩本博士を演じた。
ボガード参謀
ワシントンから出向。第1話にのみ登場。
※演者は前作で地底人のリーダーを演じていたが、地底から地上侵略を狙う役どころから、地底から地球の平和を守る組織の参謀になるとはなんとも奇妙な縁である。
ヒロタ隊員
演者:大橋一元
ソガ隊員とは同期の友人で、射撃の腕前においてはライバルでもある。そのライバル関係をペガ星人に付け込まれ、利用されてしまう。最後はソガと対決し射殺された。
科学班
カネダ博士
演:伊藤久哉
メトロン星人がタバコに仕込んだ宇宙ケシの実を分析した。
宮部博士
演者:野村明司
プロジェクト・ブルー計画の中心人物。
バド星人に拉致され、自白電波などでプロジェクト・ブルーの秘密をしゃべらされそうになるが最後まで耐えきり、計画の秘密を守り抜いた。グレイスという妻がおり、誕生日にプレゼントを贈るなど夫婦仲は非常に良好。
通信班
野川隊員
演:広瀬明
ソガ隊員の後輩で、ボーグ星人に拉致されてサイボーグ手術で操られ、極東基地内部に爆弾をしかけた。後に手術を受けて回復する。
ヨシダ隊員 ウエノ隊員
ウルトラ警備隊極東基地の通信隊員。
ヨシダはピット星人の手によって硬直されたこともあった。
ウエノはヨシダと共にサクラ9号の解体作業の様子を窺っている。
メディカルセンター
北村博士
宇宙医学にかなり精通していると推測される。
傷ついたダンを手術しようとした。
荒木隊員
演:幸田宗丸
メディカルセンターの隊員の一人。
ポール星人の策略で氷漬けにされた基地から退却命令を出すよう長官に意見する。
※演者の幸田は第4話でマックス号艦長も演じた。
3名の医師
第11話でダンの検死を行った。
※3名とも本作の脚本家である。また、金城氏は第25話でアンヌに看取られる隊員も演じている。
動力班
向井班長
演:山本廉
ポール星人やガンダーの寒波攻撃で故障した動力炉の修理に全力を注ぐが撤退命令が出た際、力尽きてしまう。その後の生死は不明。
諜報部
スズキ隊員 ミナミ隊員
極東基地諜報部の隊員。
人工太陽計画の最高責任者であるリヒター博士を護衛していたが、ペガ星人に操られたヒロタ隊員によって射殺される。
研究所
佐々木所員 本多所員
極東基地研究所の研究員。
超高性能火薬スパイナーの実験に参加中、恐竜戦車の攻撃を受けて崖から落下し、気絶してしまう。
保安部
その他
アオキ隊員
参謀本部が推薦するウルトラ警備隊候補生。
実力は確かだが自信過剰なところがあり、結果として演習の際に防衛軍をプラチク星人の策略に嵌めてしまう。自らもまた自業自得で瀕死の重傷を負うが、死の直前にダンの背後に密かに迫ったプラチク星人(の骨)をダンに対する謝罪をこめて射殺し絶命した。
※演者の山口暁は後に円谷作品の「戦え!マイティジャック」のイマイ隊員、昭和ライダーシリーズで結城丈二/ライダーマンを演じた。
ギエロン星獣への地上攻撃に参加した地球防衛軍の新兵。後のGUYS総監補佐官。
アライソ
地球防衛軍のメカニックとして携わった経歴があるという、後のGUYSメカニック整備班班長。
宇宙ステーションV3
クラタ隊長
演:南廣
ステーションホーク部隊の隊長。
幾多の修羅場を経てきた歴戦の勇士であり、任務に対しては厳しい態度で臨む。ウルトラ警備隊のキリヤマ隊長とは同期の戦友にして親友。キリヤマを『モグラ』と呼び、彼自身も『悪党』だと呼ばれるほどの気心の知れた仲。
2人でヘルメス惑星のザンパ星人の侵略部隊を全滅させたという、凄まじい戦果を持つ。
豪放で気の良い人物で、基本的に仲間思い、部下思いな人物であるが、任務に対する厳しさゆえか、短気で口が悪い所があり、ゴース星人との最終決戦にて、体調不良でミスをしたダンを頭ごなしに怒鳴りつけ、挙句、正体を知られそうになってやむなく姿を消した事情を知らずに「ウルトラ警備隊の面汚し」とまで罵っている。
但し、初めてダンと会った際、アイロス星人の仕立てた偽のフルハシとアマギを見破って倒した事を即座に評価しており、ザンパ星人との一件でもシラハマの偽者を見破るなどの、本来のダンの実力を知ればこそ、手厳しかったと言えよう。また、姿を消した事への非難も、軍人の見地からすれば明らかな脱走行為で、ダンの正体や事情を知らなかった為、やむを得ない面もある。
しかし、最終的にはダンの正体がウルトラセブンだという事を知り、地球の為に自分達と共に戦っていた事を理解し、自らの考えを改め、謝罪の言葉を呟いている。そして、改造パンドンとの最終戦闘で苦戦するセブン=ダンを援護して勝利に導いた。M78星雲へ帰還するセブンを他の警備隊メンバーと共に仲間である「モロボシ・ダン」として見送った。
SFC版EDでもしっかりとそのシルエットが描かれている。
余談だが、南氏は森次氏と誕生日が同じである。
※演者は後に「マイティジャック」にてアマダ隊長を演じている。
シラハマ隊員/ザンパ星人
演:鶴賀二郎
クラタの部下だがザンパ星人に暗殺されてすり代わられてしまう。念動力装置を使って、キリヤマ達を苦しめる。
石黒達男隊員
演:松本朝夫
ワイアール星人に姿をコピーされて、チルソナイト808鉱石の中に閉じ込められ監禁される。
閉じ込められている鉱石をウルトラ警備隊が回収し、鉱石が破壊されて生還する。
水野隊員
宇宙語翻訳の専門家。キュラソ星からの通信を翻訳した。
ワシントン基地
ドロシー・アンダーソン博士
演:リンダ・ハーディスティー CV:牧野和子
ワシントン基地の頭脳と称され、ペダン星の全ての資料を握っていたため、それを脅威と見たペダン星人に誘拐され、更にスパイとして星人が彼女になりすまして潜入してしまう。
ダンの説得で開放されたが、記憶を消されており、記憶を取り戻した後は、ライトンR30爆弾を開発してキングジョーを倒した。
マービン・ウェッブ
演:テリー・ファンソワーズ CV:山田康雄
極秘任務のエージェント兼ボディーガード。ウルトラ警備隊員を厳しく叱責した事もあり、実力は相当のものがあると思われる。劇中でも偽ドロシーが胸につけていた発信機のブローチを釣り竿を使って奪い取るという、日本で2番目を名乗れるのではないかという腕前を披露している。
六甲山防衛センター
土田博士
演:土屋嘉男
ライトンR30爆弾を開発した。相手方の科学力を冷静に見る目がある。
※演者の土屋はウルトラQ第2話やウルトラマン第18話にもゲスト出演していた。
南極科学センター
ユシマ博士
29歳。博士号を5つ持つ秀才で、超遠距離レーダーの探知能力を4倍に引き上げるユシマ・ダイオードを開発したが、ビラ星人に工作員として利用されてしまう。
地球防衛国際委員会
瀬川博士 前野律子博士
共にR1号の開発を主導したが、ギエロン星獣の件の反省から、改良型R2号の開発中止を訴えることを決意する。
ゲーム作品『地球防衛作戦』に登場
マドカ隊員
CV:伊藤美紀
アラキ隊員
CV:三木眞一郎
装備・メカニック
該当項目参照。
- ビデオシーバー
隊員が腕時計のように携帯する通信機で、カバーを展開することでビデオスクリーンが現れる。
名前の由来はそのまんまビデオとトランシーバーから。
- パラライザー
ウルトラ警備隊のマークが描かれた銃で、メディカルセンターの装備品。対象を麻痺させる光線を放つ。
※プロップは前作のマルス133の改造。そのためか、一回しか登場しない割に下記の装備品よりもよく紹介される。
- エレクトロHガン
黒い中型の速射バズーカでフルハシ隊員が使用。
ウルトラセブンが銃口に潜入して発射される「ステップショット戦法」に使用された。
※プロップは前作のニードルS80の流用。
- ダブルバレル・ライフル
一般隊員も使用する水平二連の銃火器。
この他にもマンドリンに偽装した銃器、グモンガに対して使用した熱線銃「スパイダー」などがある…ダジャレではない。(別名:バーチカルショットガン)
- 爆弾兵器
ウルトラ警備隊は他の防衛組織と比較して爆弾の新兵器が非常に多いという特徴がある。
いずれも火力が高く、隊員が携帯する「小型爆弾」でさえキュラソ星人の小型宇宙船スペースポニーを爆破できる上に、「MS爆弾」はユートムの地下都市を壊滅させるほどの爆発力がある他、磁力吸着式爆弾「マグネチック7」はボーグ星人の円盤を破壊してしまえるほどの威力がある。「スパイナー」に至ってはウルトラセブンが光弾を当てただけで恐竜戦車を木っ端微塵にしてしまうほどだった。自動操縦のマグマライザーに爆弾を搭載してゴース星人を地底基地ごと全滅させ、史上最大の侵略から地球を救ったこともある。しかし、その破壊力は時として悲劇を生む…。
- ウルトラガード
ウルトラホークと比べて実在の戦闘機に近いフォルムを持つ戦闘機で、六門のロケットランチャー砲からミサイルを発射する。緑色の機首の1号機と白い機首の2号機が存在する。
- ステーションホーク1号
大気圏内外を問わない飛行性能を誇る戦闘機で宇宙ステーションV3に多数配備されている。
機首にはレーザー砲、機体下部には1万2000発まで連射できる機銃、後部にはロケット砲を装備している。
- ステーションホーク2号
ステーションホーク1号に代わり配備した戦闘機で、2基のジェットエンジンを搭載している。
装備は機首のレーザー砲だけと1号と比べて装備が少ない。
- スペースタンク
ステーションホーク2号に搭載した6輪の金属製タイヤを持つ宇宙戦車。
月面などの荒地での走行に対応している。
- スコーピオン号
長距量用宇宙ロケット。全自動操縦であるため、乗員は何もせず眠って夢を見ているだけで目的地へ到達できる。
その他
・作戦室の壁の装飾品として前作のゼットン星人の円盤が流用されているため、「地球防衛の要なのに侵略者に堂々と侵入されている」と本編でも実際に侵入を度々許してることも相まってネタにされることがある。
スーパー特撮大戦2001では…。
この世界観では地球防衛軍(TDF)が地球防衛の主翼を担っている。科学特捜隊や本作オリジナルのUCMA(国際危機管理軍事連合)は外郭支援組織という扱い。
しかし、蝙蝠男によるウルトラ警備隊襲撃事件や新人類帝国による関連施設襲撃事件が相次ぎ、武力は地球外生命体にしか行使できないという制約が足枷となっている事が問題となり、施設の専守防衛を解禁。
ショッカーと戦っていた本郷猛らを事実上の別働隊に迎え、国際秘密防衛機構イーグルとも共同戦線を結ぶ。
この他にも銀河連邦警察、ユニコーン機関やSSI、レッドマフラー隊、MATと様々な組織がヒーロー達の戦いに参入するので勢力図が歴代一トンデモナイ事になっている。
余談だが、本作では仮面ライダーBLACKRXとも共闘できる(そちらの作品にも「地球防衛軍」が存在する)。
関連タグ
新ウルトラ警備隊:ライブステージ『ウルトラヒーローズ THE LIVE アクロバトル クロニクル』に登場する防衛チーム。マークはウルトラ警備隊のものを踏襲しているが、装備は全く異なる。
警備隊:現実はこちらへ