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スーパーロボットレッドバロン

すーぱーろぼっとれっどばろん

スーパーロボットレッドバロンとは、宣弘社制作の特撮番組である(実制作は日本現代企画)。
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概要

1973年7月4日〜1974年3月27日に全39話が日本テレビなどにて放送。

当時の特撮作品は、大人気だったウルトラシリーズ仮面ライダーシリーズ等や、他社の特撮作品といかに差別化を図れるかがポイントであった。本作では「人間が搭乗して操縦する巨大ロボ」という新機軸を打ち出した意欲作である。


こう書くと、前年に放送されていたマジンガーZに端を発するロボットブームの影響と思われがちだが、企画自体はマジンガーZよりも先だった。

だが、後述する資料からも判る通り、この評は(再放送やソフト化等が行われていなかった為に)再評価の機会に恵まれていなかった1980年代に「視聴者第一世代」の中の熱狂的な層からの情報と、それを受けた第二世代以降の「特撮至上主義者」の願望や誤解から生じた物である。「人間が乗り込んで操る巨大ロボット」のアイデアは「敵ロボットを含む」なら、更に以前から存在しており、特撮ヒーローにしても(放送版の前に企画された方の)「ジャンボーグA」が先だったりする。本作の原作者の斎藤、渡辺両氏が「テレビマガジン巨大ヒーロー大全集」のインタビューで「レッドバロンの放送が(マジンガーより)先だったらロボット物は特撮メインだったかも」と言う主旨のコメントをしてはいるが、それは「有人型ロボットはレッドバロンが元祖」と言っている訳ではないのである。


宣弘社の特撮作品「アイアンキング」の次回作となり、西部劇風のアイアンキングとは対照的にスパイアクション、ガンアクション、カーチェイスを取り入れていた。


また、日本テレビ開局20周年記念作品と銘打たれていた。


興行的には成功した作品だが、スポンサーの都合で製作費が回収できなくなり39話で打ち切りになってしまった。これはその後のスーパーロボットマッハバロン小さなスーパーマンガンバロンも同様だった。


1994年リメイクアニメ「レッドバロン」が、やはり日本テレビほかにて放送されたが、一部固有名詞とレッドバロンの外見を除けばほぼ別作品となっている。


ストーリー

世界征服を目論む暗黒結社「鉄面党」は、日本で行われていた万国ロボット博覧会に展示されていたロボットをすべて強奪。同時にロボット製作者を次々に誘拐、科学秘密特捜隊SSIの隊員・紅健の兄である健一郎博士も拉致されてしまう。

しかし健一郎は、自身が制作したロボットレッドバロンを鉄面党に渡すことを拒否し、自分の命と引き換えにする形で健に託す。

健は兄に託されたレッドバロンを操縦し、鉄面党のロボット軍団と対決する。そして鉄面党侵略ロボットの弱点を探る為、科学秘密捜査隊SSIのメンバーがロボット兵士・メカロボと戦っていく。

やがて、鉄面党は宇宙からの指示で活動していた事が明らかになる…


登場人物・組織

SSI

  • 「現代の忍者の資格を持つ」とナレーションで語られた特捜チーム。本放送時の設定では国連の秘密下部機構とされる(国際本部がニューヨークに存在、極東支部が東京の「大郷自動車修理工場」の地下に有る)。

いわゆる「国際公務員」である。「SSI」そのものは「科学秘密捜査官」の略称で、人々の平和な生活を乱す凶悪な敵を暴き、これを葬り去る事を使命とする。その為、普段は市井に紛れる為に別の仕事をしているが、それで生計を立てている訳ではない(大作とかは―勤務的に―クビにされてもおかしくなさそうなのだが…)。

 浜松の地下に巨大な秘密工場を有し、(アルミニウム合金製のダミーロボットとは言え)レッドバロンの2機目を建造できた事はこの辺りにも理由が有る。

 極東支部は第27話以降「地球防衛隊」に編入される事になるが、これは(レッドバロンを含めた)人材/資材の「貸し出し(出向)」扱いになるらしい(地球防衛隊は作中で詳細が語られなかったが、「万国ロボット博」からの鉄面党によるロボット強奪と、それによる被害に対する「世界各国の水面下での活動の結果」らしい。運営が軌道に乗り始めた所で敵が宇宙鉄面党に変わった…そう言う事の様だ)。


 レッドバロンを開発した紅健一郎博士の弟。設定年齢18歳。普段は「大郷自動車修理工場」の修理工として住み込んでいる。指紋認証と声紋認証によって、レッドバロンを操縦出来る唯一の人物である。

 なお、紅家には彼の下に「健三」(演:黒田英彦)と言う弟がいたが、第1話で(4年前に)鉄面党に誘拐され両親共々デビラー総統に処刑されていた事が明らかになっている。…後述の通り、父の健太郎博士は生きていた(と言うより「生かされて」いた)のだが…。そして、あろう事か最終3話では(その存在を)「忘れ去られて」しまった。※健がSSI入りした背景には「自らの手で拐われた両親と弟を救い出す」決意が有った模様。

 SSIの紅一点でミニスカヒロピン担当。設定年齢18歳。普段は通信社のカメラマン。中盤からムチを武器にして戦う。紅健とは周囲も公認の恋人同士だが、第11話では鉄面党指揮官「(怪老人)鉄腕アンクル」(演:泉田洋志)にこの事を利用され、図らずも健とレッドバロンを窮地に追い込んでしまう。

 設定年齢20歳。普段は自動車のセールスマン。クールな射撃の達人で、紅健のライバル的存在(第12話では「キラーQ(演:水木梨恵)」に射撃の腕を狙われ、表の仕事で誘い込まれて洗脳、小田切博士(演:杉山渥典)を射殺してしまい、その決着を付ける為にSSIワッペンを返上して単身キラーQを追撃した。本話は殆ど加藤氏のプロモである)。宇宙鉄面党編ではコメディリリーフ的側面も見せる様になる。

 設定年齢19歳。普段は通信社の原稿運び。ムードメーカーだったが、鉄面党基地の所在地を突き止めるもデビラーに捕まり、挑発までしたために人間爆弾(右腕にガントレッド式の爆弾が組み込まれた)に改造される。その後どうにか脱出し、メンバーに鉄面党基地の場所を伝え、壮絶な爆死を遂げる。大介(演:丸山久和)と言う弟がおり、彼は最終回まで続投した。

  • 大郷実(演:大下哲矢)

 設定年齢35歳。普段は「大郷自動車修理工場」工場主(第17話冒頭の健とのやりとりから弱冠ワーカホリック気味の傾向が窺える)。通称キャップ。SSIのリーダーとして指揮を執る。デビラー総統を一騎打ちで倒した後、負傷によって誤って緊急脱出用のスイッチに触れてしまい、宇宙鉄面党本部へ連行されることを知る。そして宇宙鉄面党の存在を告げ、捕虜になる前に自爆した。

 設定年齢:27歳。再組織されたSSIの司令として招かれた人物(ニューバロンニウムの開発を行った矢沢博士の一番弟子)。宇宙ロボット工学の権威。宇宙活動装備スペースウィングスを開発した科学者なのだが、バイクに乗って前線で戦闘員とも戦う熱血漢でもある。人は彼をライオン丸と呼ぶ。

気さくな性格である反面、「博士と呼ばれるのは嫌い」とのことから、「三神さん」と呼ぶよう強制させている。

  • 熊野一平(演:玉川伊佐男)

 設定年齢:40歳。警視庁科学捜査課課長。どこにでも自転車に乗ってやってくる警視庁の警部で、通称「自転車刑事」。自転車に仕込まれた武器(主に剣とバズーカに分離する空気入れ、ライフル兼シールドになる傘の二つ。発明狂でもある警部の作品でもある)で鉄面党と戦う。

第4話で(レッドバロンの兄弟機とも言える)「(公害監視汚染除去ロボット)飛龍」ですら熔解、爆発した摂氏10万度の灼熱地獄から生還したレッドバロンを「赤い不死鳥」と讃えた張本人である。

  • 水木ひかる(演:雨宮貞子)

 熊野警部の部下の女性警官(フランス帰り)で初登場の第18話では当初「謎の人物」として暗躍していた。設定年齢等は残念ながら不明。

 設定年齢:26歳。健の兄で万国ロボット博日本代表の飛龍の開発者。4年前の両親と健三の誘拐/行方不明事件に際し、背後に動く巨大な敵の存在を感じとり、密かにレッドバロンの開発/建造を行っていた。

 鉄面党に誘拐され、そこで対面したデビラー総統から両親と健三の末路を突き付けられレッドバロンの譲渡を要求されるが、これを拒否した為、奴隷人間(首輪型爆弾を植え込まれた)にされる。バロン確保の為に解放されるがデビラーの命令を拒否して健にバロンを与えトロイホースを倒した事で健の目の前で処刑されてしまったが、これは当人も覚悟の行動だった。

 …実は初期企画案では彼が本作の主人公だった。


  • 矢沢博士(演:宮川洋一)

 第23~26話に登場。SSIと技術提携し、超合金バロンニウムを用いた火星ロケット「はやぶさ号(正確な表記は不明)」を打ち上げた「矢沢ロケット研究所」の所長。

エンジェルキリーとスカイシャークの猛威にバロンニウムの強化を立案しSSIに協力、自身の研究所をスカイシャークに破壊されるもエンジェルキリーに屈しなかった。

「レッドバロン七つの秘密」の立案、進行にも協力している。

 スペースウィングスの開発を一任した三神史郎は彼の一番弟子であり、SSIの科学顧問の任を託す程信頼を置いているようだ。


鉄面党

  • 組織についてはリンク先を参照。

  • デビラー総統(演:伊海田弘)

数年前に失踪したと思われていたロボット学者だが、巨大ロボットを使って世界征服を企む鉄面党の総統となっていた。だが実は宇宙鉄面党に操られていたサイボーグであった。

「フレミングの右手の法則」を体現した銀色の右手は中指に三つのスイッチが有り、メカロボの爆破等様々な機能を果たす。また、その内側には「骨格に赤黒い血肉が纏わり付いた様な」奇怪な右手が有り、そこから高熱を発して大作や大郷に傷を負わせている(但し、本来は赤熱化を表現する合成を加えるべき所を処理し忘れるミスや大作の顔に押し付けられる件の右手を「銀色の手袋」が握っているのが見切れているミスが有る)。

尚、伊海田氏は最終3話では坂井哲也の父役で出演している(この時の富士山麓ロケはスタッフ、出演陣の慰安旅行を兼ねていた為と思われるが詳細は不明。「若駒冒険グループ」内のヒエラルキーの関係か?)。

宇宙鉄面党

映像上では第24話でデビラーの前に現れた「宇宙からの使者」エンジェルキリー(演:鈴木和夫)が述べた自らの素性から、SSIメンバーには第26話に於いて存在が判明した鉄面党の上位組織。惑星間航行能力を持つ宇宙ロボットを主軸に地球を攻撃する。最終回に於いて地球は(あくまでも宇宙征服の為の)「兵器の実験場」としか見なしていなかった事が判明する。

 火星に本拠が有る展開は打ち切り決定に因る設定変更が原因(上原正三氏に因る設定では「鉄面党銀河連邦」の名が冠せられており、先述のエンジェルキリーの口上にその名残が有る「鉄面党銀河連邦総本部から来た、エンジェルキリーだ‼」)だが、放映当時の雑誌連載記事「レッドバロン=ニュース」に於いて、宇宙鉄面党の紹介と合わせて「火星に本拠が有る」件がネタバレどころではないタイミングで発表されている。これはメインスポンサーの「日本空気販売」のオイルショックの影響に因るスポンサーからの撤退に起因する番組終了が1973年11月の時点で決定していた為と見られる(撮影は二本を二週間で行うが原則、制作開始から本放送まで三ヶ月かかる事を考えると大体の事情が判る筈である)。


  • 紅健太郎(演:高桐真)

 紅健の父親で、宇宙鉄面党火星基地の最高幹部に就いていた。身体はサイボーグ化され、頭脳はギラスQによって洗脳されている。最終回の展開は「ジェダイの帰還」に似ている。因みに第1話では演者が異なり(高桐氏は、むしろ「若返って」いる)、全話通しで視聴すると違和感満載である。

 ギラスQの惑星ミサイル計画をアシストするもギラスQが一旦破壊されたことで洗脳が解け、レッドバロンと健を援護し宇宙鉄面党の壊滅に貢献。地球に帰還後、火星との気圧差によって人工心臓が異常を起こし、レッドバロンを操縦したいという願いを残したまま健の背中で息絶える(熊野曰く「自らの意志で機械仕掛けの明日を拒否した」)。

 宇宙鉄面党総統。その正体は火星基地の全システムを司るスーパーコンピューター。本体が破壊されてもコンピューターの働きで5分後に次のギラスQが誕生する。いつ誰が作ったのかは一切不明。惑星ミサイル計画(衛星フォボスに推進装置を付け地球にぶつける「質量兵器」。ぶっちゃけ「遊星爆弾」である)を成功させた後に全宇宙征服に乗り出そうとしたが、紅健太郎によって軌道を変えられた惑星ミサイルが火星の本部に命中したことで爆発四散した。

 尚、依田氏のアテレコに因るギラスQの台詞は第30話での(入院中の健の元に集まったSSIメンバーへの)降伏勧告が初。後は最終話でのそれだが、最終3話では浅井鉄夫氏演ずる「鉄面党セールスマン:地球0321号」の吹き替えも行っていた関係か、甲高い機械音声風に加工されていた。

 ギラスQ本体は人間の脳を思わせる形状のユニット(大きさも人の頭程)で、その周囲に再生システムを兼ねたバックアップユニットが存在するが、実はこれ、お役御免になった新SSI作戦室のセットに先述の「本体」を設置、撮影画像をネガポジ反転したものだった。


メカニック

  • レッドバロン

 赤い不死鳥レッドバロンを参照。初期企画書版は後述。


  • アイアンホーク

 SSIの特装車。 真理や哲也が操っている印象が強いが、健や大郷もこれでカーチェイスを行っている。

ちなみに、車名は鉄面党のNG名称から。


※SSI側では他に黄色いジムニーや大作のオートバイ(三神博士も使用)が有る。


  • コントロールマシン

 鉄面党が改造ロボットの遠隔操作に用いる特殊車両。黒塗りのステーションワゴンの荷台に操作用の計器類が積まれ、後席で2〜3体のメカロボが操作している。

 SSIに存在を把握され攻撃対象にされている為、改造ロボットの中には自動操縦機能が追加されている物も有る。


各話リスト

話数サブタイトル登場ロボットレッドバロン敵ロボット
1ロボット帝国の陰謀トロイホースブラックマサイビッグバイソン永野昭彦車邦秀
2激突!バロンブレイクブラックマサイ、ビッグバイソン永野昭彦車邦秀
3切り札はアンドロイドXアグンガルーダ飛龍アンドロイドX永野昭彦車邦秀
4必殺!フェニックス戦法飛龍、アンドロイドX永野昭彦車邦秀
5打倒!謎のロケット作戦豪竜永野昭彦車邦秀
6レッドバロン戦斗不能バイキング3世永野昭彦車邦秀
7秘密兵器は赤い風船ブリザード7飯塚進矢島登喜男
8無敵!砂漠の魔王ベドウィンG飯塚進堀田暢之
9霧のウラン鉱争奪戦ベスビオスY矢島登喜男佐藤栄一
10逆襲!破壊光線マウマウ矢島登喜男佐藤栄一
11美しき暗殺者ガルニゾンエース鉄腕アンクル矢島登喜男佐藤栄一
12この一撃に命を賭けろ!エレキアマゾンキラーQ矢島登喜男佐藤栄一
13五大都市爆破10分前マッキンレーV6矢島登喜男佐藤栄一
14不死身ロボットの謎キングジョンブルロボター矢島登喜男佐藤栄一
15予告された罠プロトアンデス矢島登喜男佐藤栄一
16鉄面党脱走犯E16号アイアンクロスG矢島登喜男佐藤栄一
17悪魔の書いた話グランマタドール矢島登喜男佐藤栄一
18見よ!レッドバロンの最後ラジャスターン矢島登喜男佐藤栄一
19美しき悪魔の操縦士マグマウルフ堀田暢之佐藤栄一
20危し!SSIスフィンクサーモデルロボット堀田暢之佐藤栄一
21レッドバロンを改造せよエスカルゴス堀田暢之矢島登喜男
22レッドバロン危機一髪モンゴルスター堀田暢之矢島登喜男
23宇宙からの挑戦状スカイシャークエンジェルキリー堀田暢之矢島登喜男
24破れ!宇宙の必殺兵器スカイシャーク、エンジェルキリー堀田暢之矢島登喜男
25レッドバロン7つの秘密キングデビラー矢島登喜男佐藤栄一
26鉄面党デビラーの最後キングデビラー矢島登喜男佐藤栄一
27宇宙ロボット襲来マーズサターン堀田暢之佐藤栄一
28ゴールドフィンガーゴールドフィンガー堀田暢之佐藤栄一
29鉄面党ロボット三兄弟ベムパンサー1号ベムパンサー2号ベムパンサー3号堀田暢之(1号)矢島登喜男、(2号)飯田貞吉、(3号)佐藤栄一
30レッドバロンをあやつる少年ベムパンサー1号、ベムパンサー2号、ベムパンサー3号堀田暢之(1号)矢島登喜男、(2号)飯田貞吉、(3号)佐藤栄一
31恐怖のリンゴ爆弾デビルゴースター堀田暢之佐藤栄一
32リモコン戦車襲撃開始マースバード堀田暢之矢島登喜男
33宇宙ロボット蜘蛛の怪スパイダーロボドンキーワン矢島登喜男(スパイダーロボ)佐藤栄一、(ドンキーワン)飯田貞吉
34裏切りの宇宙特急便スパイダーロボ、ドンキーワン矢島登喜男(スパイダーロボ)佐藤栄一、(ドンキーワン)飯田貞吉
35恐怖の吸血ヴィールスドラキバットドラキュマン堀田暢之矢島登喜男
36国際本部から来た男ドラキバット、ドラキュマン堀田暢之矢島登喜男
37宇宙から来た父の手紙ディモスZ矢島登喜男図師勲
38レッドバロン火星に遭難ディモスZ矢島登喜男図師勲
39機械じかけの明日ディモスZ矢島登喜男図師勲

ロボット造型

レッドバロンのメインの着ぐるみがグラスファイバー製で当時の価格で200万円した事は有名である(川崎製鉄で製作した物をヒルマモデルクラフトが手直しした物だが…ぶっちゃけ『ただの』FRPであり話題作りの意味しか無かった。当時のヒルマは製作ノウハウを持っていた筈である)が、ラテックス/発泡ウレタン製のアクションスーツも都合2種造られている(対ガルニゾンエース戦が印象深い『前期型』と第19話から使用された『後期型』の2種。後期型は『テレビマガジンヒーロー大全集』P.211で「アトラクション用」と誤報されている)。

また、敵ロボットの着ぐるみはヒルマモデルクラフトの他、高山良策氏の「アトリエ・メイ」やアルファ企画コスモプロエキスプロ等に発注されていた。

造型元(発注先)が判明しているロボットは以下の通り。

高山良策

バイキング3世ベドウィンGベスビオスガルニゾンエースエレキアマゾングランマタドールラジャスターンスフィンクサーモンゴルスターキングデビラーマーズサターンデビルゴースタースパイダーロボドラキバットディモスZ

ヒルマモデルクラフト

マウマウマッキンレーV6キングジョンブルプロトアンデスアイアンクロスG

アルファ企画

ブリザード7エスカルゴススカイシャークゴールドフィンガー



制作の経緯と初期企画書

そもそも本作は当時日本テレビとその関連会社の社員だった「斎藤汎司」氏(日本テレビ)と「渡辺一彦」氏(日本テレビ音楽)の二人が「マーチャンダイジングの目玉となる自社制作の特撮番組が無い」と部署が全く異なるにもかかわらず企画に乗り出した物である(ある意味「同人活動」)。この過程で創刊間もないテレビマガジン経由で野口竜氏の協力を得るが、一度「別の窓口から売り込みをかける」等実際の制作が軌道に乗るまでには紆余曲折が有った。

また、放送枠の決定については、実は「白獅子仮面」も関わっている。1972年の秋、宣弘社は日本テレビ編成局長から「日本テレビの若手社員が考えたロボットものの企画がある。宣弘社で枠を買い取り、制作してみないか?」「しかし、その条件として『(スポンサーがつかず、お蔵入りしていた)白獅子仮面』の枠をまずは買い取って欲しい。そうすれば、その後の水曜日19:00枠を空ける。そこで、そのロボットものの番組を放送しよう」との相談を受ける。結果的にこの案を飲んだ形になった訳だが・・・(ここでも紆余曲折が有った模様)。


さて、初期企画書である。本作が「ジャパン・ホーム・ビデオ」から全話VHSソフト化された際、全巻購入特典として複製品が購入者に配付されたのだが、その内容は放送された物とは大きく異なる。

「敵が万国ロボット博から奪ったロボットを改造して攻めてくる」「主人公側が奪われる前のロボットの情報から弱点を攻めるが、当然その対策を敵もしている為、虚々実々の駆け引きが生まれる」点に変化は無いが、それ以外は大幅に異なる。

初期企画書版の設定(原文から表記を一部修正)

  • レッドバロン

小型中性子ロケットエンジンを動力として様々なアタッチメントを装着することが可能、それにより地上、水中、空中の戦闘能力は倍加する。

重量150トン
全長15メートル
馬力100万馬力
速力空中・マッハ10、水中・500ノット

 武器:プラズマビーム(太陽エネルギーをプラズマ状の粒子の束にして発射し、あらゆる物を切断する)

    エレクトリッガー(自ら赤熱し、相手に1億ボルトの電圧をかけ爆砕する)

    水中戦(高濃度特殊ナトリウム弾を発射し敵を爆破する)

 操作:通常は指令室のコントローラーより特殊誘導波を発し、操縦するが、万一コントローラーよりの誘導波が途絶えても、超高性能コンピューターを内蔵しているので指令無しで自ら戦闘状況に応じてあらゆる戦闘を行える。ただし、そのタイムリミットは30分。


  • 紅健一郎(28才)

世界的ロボット工学の権威である日比野博士の秘蔵っ子。25才で早くもロボット学会で注目されるべき論文を発表したが、その設計図にみられた性能は、その戦闘能力の高さにおいて驚くほどの物であり、その点を博士に批判され研究所を飛び出してしまった。以来、東京近郊の山奥に研究所を建て秘かにスーパーロボット・レッドバロンを制作していた。


  • 紅光二郎(24才)

健一郎の弟。夢の動力といわれた中性子ロケットエンジンの開発を世界に先駆けて手掛け、遂にレッドバロンの動力として応用する事に成功した。兄に劣らぬ優秀な青年科学者。冷静沈着な兄にくらべ血気盛んな若者。

時には独断専行する事もあり、他の四人をハラハラさせる。


  • 草野大介(28才)

紅健一郎の大学時代からの親友で熱線工学、高圧電子工学専攻。スポーツ万能の大男で射撃はもとより柔道、剣道、空手など日本武道も超一流の腕前である。それもそのはず、元モントリオールオリンピック近代五種チャンピオンでもある。

なりに似合わず、ムシが大嫌いで、いつも昆虫などを追い回している松原みどりにからかわれている。彼はロボット戦において戦術参謀とも言うべき役割を担う。プラズマビーム、エレクトリッガーは彼の開発による。


  • 松原みどり(22才)

古代生物学専攻の学生。日比野博士の孫、孝の家庭教師。

一連の事件の背景は彼女によって次第に解明されてゆく。対アリデビラ戦においては敵の特徴など貴重なデータを提供する。

向っ気の強い現代女性だが、時に健一郎に優しいところを見せたりして皆に冷やかされるとポッと頬を紅く染める純情なところもある。


  • 荒木又兵衛(45才)

国連地球防衛軍の日本支部司令官。荒木又左衛門の末裔を自称している。通称ヒゲのアラさん。いつも紅兄弟ら4人に対してもリーダー気取りで威張っているが、事態が彼の手に負えなくなると決まって紅兄弟のところに駆け込みそれまでの勢いもどこへやら、なんとかしてくれと泣きつく。


  • 日比野伸介(65才)

日本ロボット学会の会長。世界でも三本の指に入る著名なロボット博士。

彼はかねがね、ロボット平和利用論者であり、学会の一部にみられる戦闘の手段としてロボットを用いる考え方に強く反対してきた。

性格的にも温和な老紳士。ロボット研究中に爆発事故で死んだ息子の唯一の遺児、すなわち孫の孝の成長を楽しみにしている。


  • 日比野孝(11才)

博士の孫。紅研究所にいつも出入りし、皆に可愛がられる。

博士の血を引いてズバ抜けた知能を持つ。今は亡き父に負けぬロボット研究者になろうと祖父伸介の持ってるもの全てをグングン吸収して成長してゆく。


<あらすじ(基本設定と展開)

°1985年秋、世界各国が叡知を集めて制作したロボットが一同に集められる世界ロボット博がいよいよ開幕間近である。

会場には巨大なトレーラーで厳重に梱包されたロボットが既に何体も到着。一方、成田や横浜にもジャンボ輸送機やコンテナ船で次々に到着していた。

各国の新鋭ロボットを一目見ようと会場には早くも多くの人々がつめかけ、テレビがその模様を中継し、いやがうえにも期待と興奮が渦巻いてゆく。

°…………と、それまで晴れていた空がにわかに黒い雲に覆われ、地上にも黒煙が立ち込めて全く視界が効かなくなってしまった。その時、地の底から湧き上がるような沢山の羽音が一斉にブォーンと不気味に鳴り響いてきたのだ。一体何だろうこの音は、それにこの霧も異様だ。

ブーッ、ブーッ、ブーッ 断続的に警報が急を知らせ、サーチライトが交錯し、警備本部からスピーカーで矢継ぎ早に指示が下る。会場と同様、成田や横浜も大混乱だとテレビが伝える。

°霧が晴れた。と、どうだあの巨大なトレーラーの上のロボット群が跡形もなく消え失せているではないか。唖然として立ちすくむ関係者たち。その会場や成田、横浜には異様な半透明の羽根が散乱し、風に舞っていた。

°一方その頃、阿蘇草千里の広大な丘陵をハイキングしていた小学生の一団があった。薄緑の草原には2頭、5頭と放牧された馬が遊び、少年・少女たちのハミングが軽やかに突き抜けるような秋空に吸い込まれてゆく。のどかな風景である。やがて少年の一人が綺麗な草花でも見つけたのだろうか、つと隊列を離れると、ゴツゴツした溶岩が荒々しくむき出ている沢の方へ駆け寄っていった。岩陰に身をかがめ黄色い小さな野草に少年の手がのびたその瞬間、少年の足場がズルッズルッと崩れ落ちたかと思うとアーッという悲鳴を残して少年の姿が視界から忽然と消えてしまった。これを見ていた友人二人はハッと顔を見合わせ、事態の重大さに思わず息を呑むと、その方向へ駆け出した。二人の様子を見て驚いた引率の先生は少年達の名を呼びながら現場に駆け寄った。あとには先生の制止も聞かす、ワッと少年達が続く。

岩場に散って、少年の名を呼び合うのだが、その声はむなしく沢に響き渡ったかと思うと、あちこちで少年達が悲鳴をあげて、地中に掘られた落とし穴のような深い穴に吸い込まれていくではないか。

先生はそれを必死に救助しようとするのだが、自分も危うく穴の中に足をとられそうになり、自分と近くにいた二人の少年を助けるのが精一杯でこの緊急事態に対処する術もなかった。そして、ここにもあの異様な羽根が一面に散乱しているのだった。

°この二つの奇怪な事件こそ、地底怪人アリデビラの仕業だった。太古の地球に人類より先に住み着き、ドナウ氷河期を避けて地中に王国を築いた彼等はこの年、世界各国で頻発した地殻変動により100万年の眠りから覚め、地球征服を企てていた。彼等は肥大した優秀な頭脳を持つも体力がさほど無い為、なにより強大な力に憧れを持ち、手足となるロボットや奴隷を欲していた。彼等が1985年東京ロボット博に目を付け、アリ人間に改造しやすい人間の子供を襲ったのもそのためだった。

°この二つの信じられないような事件が起こってから数日後、これといって事件の解明も出来ぬまま思い余って日比野研究所を訪れた荒木はそこで博士の孫、孝の家庭教師である松原みどりから耳を疑うようなひとつの仮説を聞かされる。

それは第三氷河期より更に数千年前、地球上に大きな羽根を持った生物アリデビラが存在した可能性と、彼等が残したと思われる壁画と象形文字には、彼等はテレパシーで巨大な“神”を動かしたという記述が残っており、又、その実証が古代生物学の一部で認められ始めているという事実だった。

松原はこの神というのが彼等の渇望する力の象徴たるロボットではないかというのだ。

「…………するとこの二つの事件はそのアリデビラ・乙奴によるものだと…………」荒木は馬鹿な、と一笑に附そうとするが、日比野博士は「ありうる事だ、もし、そうだとしたら、これは人類の命運に関わる大変な事だ」といち早く事態の重大さを指摘するのであった。

°そこへ、博士の孫孝がテレビのニュースで久里浜沖に奪われたロボットが怪人に率いられて現れたと知らせる。

この二つの事件とそれをとりまく背景のいくつかの謎が少しずつ解明されてゆく。だが、もし、それが事実だとしても、どう対処したらいいのか。テレビのニュースは地球防衛軍のロケット弾攻撃もまるで役に立たない恐るべき強大なロボットだとヒステリックに叫んでいる。次々に防衛隊に電話で指示を下していた荒木は日比野博士に博士のロボットを出動して何とか食い止めてくれと頼む。

だが博士は誰より敵ロボットの強さを知っていた。今、現れたのはスウェーデン製バイキングⅢ世号であり、博士の長年の力作、飛龍一号も奪われた今あれにかなうものは無かったのだ。だが、ただ一つ今の状況を打ち破る可能性として博士はかっての一番弟子であった若きロボット研究家・紅健一郎の存在を荒木に告げる。

「その紅さんというのは、どんなロボットを創ったのですか、今どこにいるんです」

「強力な物なら何でもいい早く出動させる様に頼んで下さいよ」

博士はレッドバロンが未だ完成していない事を知っていたが、とにかく緊急を要する事だけに、紅の研究所へ3人でとるものもとりあえず車を走らせる。

°紅は3人の突然の訪問にビックリするが、それ以上に驚くべき事件の全貌を聞くと「やはりそうだったのか…………」と意を決したかのように「とにかく、どうぞ」と一言云うと、3人を地下の科学基地に案内し、彼の知能の集大成とも言うべきロボット・レッドバロンを公開した。

それはドームの上から見ると頭の大きさだけでも人間の背丈以上もある巨大な物体であり、そのきりりと引き締まっている端正な顔はその強力なパワーを偲ばせるに充分であった。

荒木は初めて見るレッドバロンの雄大さにしばらく目を奪われていたが、すぐ我に返ると持ち前の性急さで紅にレッドバロンの出動を催促した。紅は荒木のペースに乗らす冷静に云うのだった。

「レッドバロンは完成はしています。しかし、未だ地上戦用のアタッチメントしか付けられないのです。敵は久里浜沖と聞きましたが水中戦のアタッチメントを付けなければ互角には戦えません。このまま出動するのは無謀というものです」

だが、その間にもいよいよ敵ロボットが久里浜発電所に接近しているとテレビニュースが伝え、早くも近くの船舶に被害が出ているという。日比野博士も、彼に似合わず強い調子でしかも自説を曲げてまで、レッドバロン出動しか事態解決への道は無いと紅を説得する。

「博士!…………分かりました。やってみましょう。作動テストも充分ではありませんが、海岸に待機させそこでバイキングⅢ世を倒しましょう」

紅の言葉に荒木、松原はホッとするのだった。破門状態のままの3年間を思い出してか、感慨深げな博士。

健一郎の指示のもと、光二郎、草野らがコントローラーの各種スイッチを点呼しながら押してゆく。

テレビスクリーンに映し出されたレッドバロンをじっと見つめながら一際緊張する紅。

固唾を呑んで見守る博士ら5人。

「ゴー レッドバロン」赤い大きなスイッチが押されると、開かれた天盖から全館を震わせるすさまじい轟音と共に、白い閃光を残し、スーパーロボット レッドバロンは人類の希望を担い青空に突き刺さるかのように初めての戦場へと飛び立ってゆく…………。



ここまでの流れからも判る通り、実際の作品制作に至るまでにかなりの改変が加えられている。


また、人間関係に関する設定は番組制作の過程で一部勘案する形で復活が図られている節がある(三神史郎と矢沢博士の関係は初期企画案での紅兄弟と日比野博士の関係が基と見られる)。


初期企画書のあらすじは可能な限り原文の再現を試みたものの、原文その物がゲシュタルト崩壊を起こしている側面がある事から、推敲は「これが限界」である点を御了承願いたい。


余談

タイトルの経緯については不明な点が多いが(少なくとも企画書の時点で現行のタイトルになっている)、ファンの中で語られている説の一つが「マンフレート・フォン・リヒトホーフェンの異名に因んだ物」である。

この説を採ると、「何故ターニングポイントに登場した敵ロボットの名がスカイシャークか?」と言う点に航空機マニア的に説明が付くらしい。※航空機としてのスカイシャークはこちらを参照。


関連タグ

宣弘社 バロンシリーズ 巨大ヒーロー 巨大ロボット


ブレイブストーム…リメイク作。シルバー仮面と共演。


特命戦隊ゴーバスターズ…巨大ロボット(実は盗品)を送り込む侵略者が現れ、あくまでメインは巨大ロボ戦でありつつも、作戦の都合で等身大のスパイアクションが発生する作品。


仮面ライダービルド赤い不死鳥なロボットがいる。他にもタイトルロールのキャラの顔が「包帯を巻いた」様なデザインな点や「科学と人間の関係性」、「死んだと思われた主人公の父が(敵に与する形で)生きていた」等いくつか共通点が有る。


冥王計画ゼオライマー…原作者が本作の大ファンなのはマニア間では有名。事実、原作コミック版は本作のオマージュがそこかしこに有る。


機動警察パトレイバー…原作者集団ヘッドギアの一人でもある出渕裕氏が本作の大ファン。『東京レイバーショー』は本作第1話の『万国ロボット博』のオマージュでもある。


秋元羊介(第5話・第6話・第33話・第34話)、大月ウルフ(第36話)・・・記事のあるゲスト出演者。

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