アイハラ・リュウ
あいはらりゅう
20歳。第1話でのディノゾールとの戦いで壊滅した旧CREW GUYS唯一の生存者。そのため基地内に残る事が多いサコミズに代わって現場の指揮を務める事も多い副隊長格。
旧CREW GUYS時代の隊長であったセリザワ・カズヤの事は強く尊敬しており、彼から「ウルトラ5つの誓い」を教わっている(その反動か新隊長であるサコミズの事は当初「さん」付けで呼び、隊長とは認めていなかった)。
ヒビノ・ミライからは「リュウさん」と呼ばれており、視聴者からもこの呼び方やそれをもじった「硫酸」と呼ばれる事が多い。
GUYSの任務に強い誇りを持ち、「地球は我々人類自らの手で守り抜く」をモットーとしているが、元来の不器用さが祟って、その熱意はやや空回り気味になりがち。
あまつさえ周囲から「熱血バカ」と評される程に気が短い粗忽者でもあり、感情に任せて、後先考えない行動や余計な一言を言ってしまう事が多く、それが原因で周囲との衝突やトラブルを招く事も多い。
また、上記のディノゾールの一件で眼の前で仲間を全員失った経験からか、仲間に危害を加えられる事を極端に恐れている節があり、特に自分が『危険』と判断した者は、宇宙人はもちろん、ウルトラマンの変身者であっても真っ先に銃口を向けようとする。中でも代表的なエピソードとして、ミライがメイツ星人ビオと交渉していた際、ミライが襲われていると誤解したことがあり、独断でビオを銃撃した事で彼を憤慨させてしまった結果、彼のゾアムルチを使役した破壊活動を誘発してしまうという大失態を犯してしまっている。
意外にも幽霊などの類は苦手。
当初は上述した理由で、ウルトラマンの存在を快く思っておらず、メビウスが初登場した際には、街の被害を顧みない戦い方に憤慨し「バカヤロー!! なんてヘタクソな戦い方だ!! 周りを見てみやがれ!! それでもウルトラマンかよ!!」と声を上げたのはあまりにも有名。
尚、上記の台詞はよくネタにされやすいものの、実際は決してメビウスに対する怒りだけでなく、25年ぶりに地球に襲来したディノゾールを前にあっけなく返り討ちにされ、セリザワを含めた仲間を全員を失い、結果的に何も出来なかった自分自身の無力さに対する嘆きと悔しさを顕にした悲壮感溢れる台詞でもある(詳しくは個別記事 を参照)。
その後はウルトラマンが命を削って戦う事を知ってからは仲間と認めたものの、その後も気分次第でメビウスの悪口を本人であるミライの目の前で言う等して、知らず彼の心を傷つけてしまった事があった。
また、かつての隊長であるセリザワの事を尊敬するが故に、命を奪ったディノゾールや彼の体を乗っ取ったハンターナイトツルギを激しく憎んでいた事もあった。
このように番組初期から中期にかけては上記の様な短気、軽薄、無定見な言動によって、度々仲間達(特にジョージ)と衝突したり、反感を買うなどのKY、トラブルメーカー的な側面が目立ち、視聴者からも顰蹙を買ったり、批判される事が多かったが、その暑苦…熱血ぶりがミライをはじめとした周囲に発破をかける活力剤的役割を果たしている事もまた事実であり、セリザワの体を乗っ取ったツルギへの対応も、結果として彼にウルトラの心を取り戻させウルトラマンヒカリの姿を取り戻すきっかけのひとつとなっている。
また、決して思慮分別が弁えられないわけではなく、メイツ星人ビオの件も後述するように、自分の早とちりであったと気づいた後は、ビオに対して素直に謝罪している。ビオを撃ったのは上述の理由もあって仲間であるミライを彼なりに守ろうとしただけで、結果的に悪い方向に向かったとはいえ、悪意があったわけではないことも忘れてはならない。
ミライがメビウスである事を知ってからは、GUYS隊員、ウルトラマンの双方の面で様々な試練にぶつかる彼を献身的に支え、時に激励し、時に忠告する等、よき兄貴分となった。
それに伴い、時折熱くなる一面は相変わらずだが、ミライと共に自身も心身共に成長する事で、次第に冷静な判断力や客観的な見識も少しずつ身につけていき、終盤ではとある地球人の面汚しが、ミライの正体を公に暴露した事を知り激昂するジョージやマリナを、逆に後述の台詞で諭し、宥めるまでになった。
最終章でのエンペラ星人との戦いでは、セリザワからナイトブレスを託され、新たなヒカリとして戦った。戦いの後、メビウスが光の国に帰還し、ほかのクルーもGUYSを離れていった中で一人GUYSに残り、若くして新隊長に就任。この頃には冷静な性格となっていたが、OV『アーマードダークネス』にて再び旧GUYSメンバーが集結した際は昔の熱さが復活している。
テレビ版とはパラレルワールドの小説版ではその性格上、皮肉屋である主人公のハルザキ・カナタとは度々衝突するが次第に他のメンバーと同じく絆を深めてゆく(後のOVで登場したカナタとはほぼ別人)。
カナタの母親に会う際にお見舞いの品を持ってきていないことを気にするなど思慮深い性格であることも描かれている。
なお、小説版では前述のビオとのやりとりは大きく改変されカナタの役回りになってしまっているため少し影が薄くなってしまっている…のだろうか?
最終話時点で防衛チームの隊長でありウルトラマンと一体化した事もあるなど何気にハイスペックである。それがリュウさん。
個別記事が存在し名言・迷言の両方に当てはまる「バカヤロー!! (以下略)」については、あえて割愛し、ここではそれ以外の名言・迷言を紹介する。
迷言
「おーい、ニコラスー!」
ミライ「ミクラスですよー!」
「ミクラスー! ディノゾールをぶっ潰せー!」
(マケット怪獣・ミクラスの運用実験にて、ホログラムで再現されたディノゾールを前に。熱血バカ=アイハラ・リュウさん、ここに極まれり! ……防衛チームの隊員の台詞とは思えないけど…)
「え、いやその、 ピカって光って現れたから…」
(ウルトラマンヒカリの命名シーン。なお、ミライ以外には不評だった)
「なん…じゃありゃ」
(コダイゴンジアザーを初めて見た時の第一声。視聴者の心の声をそのまんま代弁してみせた)
「だから墜落ばっかしてたんだろッ!!」
(「昔の(防衛チームは)メテオールなんて得体の知れないものに頼らなくたって、立派に戦い抜いていた」と語るアライソ整備長に対して。確かに(特にこのチーム)よく墜落してたのは事実であるけど……。当然、この発言は科学特捜隊時代から歴代防衛チームをメカニックとして支えてきたアライソの怒りに触れ、一触即発の事態を招いた)
「メビウスなんて所詮宇宙人だ。俺達、人間の気持ちなんて理解しちゃいねぇんだ」「俺達はコケにされたんだ。許せねぇ。あんなヤツ仲間じゃねぇ」→「俺たちとメビウスは大親友じゃん」「メビウスも含めて、俺達CREW GUYS」
(一つのエピソードの冒頭と終盤にて。ギャグであるとはいえあまりにリアルな手のひら返しやメイツ星人への対応もありリュウさん批判ではよく挙げられるエピソードである)
「メビウス! のんびりお寝んねしてんじゃねぇ!! ウルトラマンなら立ち上がれ!!」
(GUYS基地を守ろうと(主にトリヤマ補佐官の失態のせいで)大苦戦しているメビウスに対して。ちなみにメビウスは「聴こえる…みんなの声が!」と前向きに受け取った)
「オッシャァァァァ!!! 行け! 行けぇ!!! ぶっ潰せェェェェェ!!」
(同じくメビウスへの激励。リュウさん…アンタ本当に防衛チームの隊員ですか…?)
名言
「地球は俺たち人類自らの手で守り抜かなくちゃならねえんだ! けど、地球はなぜかウルトラマンに守られ続けてきた…俺はGUYSを、そうじゃないチームにしたいんだ!!」
(これから仲間たちでペイントを施すガンフェニックスを前に。防衛チームの隊員としての彼の信念を体現した言葉である)
「誰にでもミスはある。大切なのは、ミスを繰り返さない事だ」
(ある失態を犯してしまったミライを諭した言葉。なお、この直後にリュウさんはヤプールに憑依され、ミライの比ではない大失態を犯してしまっている)
「何でお前は誰にも何も言わないで一人で戦っていやがった…! 弱いくせに無理ばっかして、どんなに死にそうになりやがった…! 俺にどんだけ散々なこと言われやがった!!」
(メビウスの正体を知って。散々なことと言っているあたり自覚はあったのだろう)
「ミライ、お前はGUYSのクルーだろ。地球を守るのが、俺達GUYSの仕事だ。今お前がやらなきゃなんねえのは、俺達と一緒に戦うことのはずだ! けど絶対に忘れんな。俺達が今まで、何のために命を懸けて戦って来たのか。また、笑顔で会うためだぜ…仲間に! 絶対に生きて帰って来い! 約束だぞ!」
(上記の台詞を言った次の回にて。前回の冒頭で「地球のためなら死んでも構わない」と言っていたメビウスには大きな影響を与えたようで、直後の戦いでタロウにも「大切な人が教えてくれた言葉」として語っている。この前後編はタロウの客演やメビウスとGUYSの絆など見所が多数の回である。また、リュウさんがとても熱(苦し)い回でもあるのでリュウさんファンは必見)
「俺が言えた義理じゃないのは分かってる…でも、もう一度地球人を信じてみてくれないか」
(メイツ星人ビオに対して。「俺が言えた義理じゃない」とある様に当エピソードにおけるメイツ星人ビオと地球の対立の原因の一端はリュウさんにあり、リュウさん批判でよく挙げられるエピソードとなってしまっている。ただしこの台詞にもあるように誤解さえ解ければ、自分の非を素直に認め、ビオに笑顔で握手を求めるあたり本当にミライを思っての行動だったのであろう。そこも含めてリュウさんファン必見の回だと言える)
「“他人に甘えない”って事は、“他人に心配をかけてもいい”って事じゃないんだぜ?」
(リフレクト星人に敗れた上に義兄の一人から未熟さを叱咤された事で己を鍛え直そうと一人で特訓するも、何かが足りないと一人焦りを覚えるミライに対して。この発言と、その後のささやかな気晴らしをきっかけにミライはリフレクト星人打倒に繋げる光明を見出す事となった)
「ほっとけ。もし世間がミライの正体を知っても、ウルトラマンを悪く言う奴なんていやしない」
(ヒルカワが書いたミライの正体に関する暴露記事に激怒する仲間達に対して。中盤までのリュウさんであれば、誰よりも怒り狂っていたであろう状況の中、激情に駆られる事無く、余裕さえも感じさせる冷静沈着さで、怒る仲間を逆に鎮める立場に回ったこの時の彼からは、一年間の放送期間を経て隊員として心身共に確かな成長を遂げた事が実感できる)
「ミライ!!! ありがとーーー!!!」
(最終三部作・心からの言葉ラストのミライへの言葉。言わずもがな名シーンである)
「あきらめろ、だ…? 俺はそいつが、一番苦手なんだよ!!」
(OV『アーマードダークネス』にて「無駄だ、あきらめろ」と告げたアーマードダークネスに対する返答。この後自らが盾となり逃がしたカナタ(前述した小説版とは別人)に後を託して犠牲になったように見えたが…)
演じる仁科克基氏は、『メビウス』以前に映画『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス』にて新生TEAM EYESの隊員ショウダ リョウジロウを演じている(ちなみに性格も似ている)。
また、『ウルトラマン80』にはアイハラという名の登場人物が存在する。同じ宇宙の出来事ではあるが関係性は言及されていない。
なお、本来は仁科氏とは別の俳優がオーディションに受かっていたのだが、撮影の数ヶ月前に降板。上記のコスモス劇場版に出演した縁から円谷プロの大岡新一氏から直々に指名が掛かったという。このため当初の衣装はサイズが違ったのだとか。
仁科氏は2021年よりyoutubeにて自身の動画チャンネルを開設して以降、GUYSメンバーや吉岡毅志氏、杉浦太陽氏、宇治清高氏などのウルトラシリーズ出演者達と共演した動画をアップしているが、中には現在は俳優業を引退しているミライ役の五十嵐隼士氏や、マリナ役の斉川あい女史(顔バレ防止の為に斉川氏の息子の描いたお面を着けていた)もゲスト出演して当時の思い出話に華を咲かせており、メビウスファンの方々にとっては必見といえる。
同氏は本作で特に好きな怪獣としてミクラスを挙げている。GUYSと共に戦った怪獣であることと、愛嬌のある容姿が理由らしい。
当初は本編第2話でミライの変身するところを目撃するということになっていたが、それではストーリーが流れにくくなることから本編第29話に変更された。
歴代の主演ウルトラマン俳優は川に流されたりワイヤーで吊るされるなどのことがあったそうだが、『メビウス』では主演の五十嵐氏ではなく仁科氏がその役割を受けることとなった。
さらには、当初は30話~40話までの中盤でヒカリと一体化、変身すると制作陣から聞かされていたが、結果的に最終章まで持ち込まされている。
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