データ
種別 | 宇宙調査員 |
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身長 | 2.1m |
体重 | 68kg |
出身地 | メイツ星 |
帰ってきたウルトラマン
星人態 | 人間態 |
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演:植村謙二郎
「待ってくれ! 宇宙人は私だ! その子は私を守っていただけなんだ!!」
第33話「怪獣使いと少年」に登場。
メイツ星から地球の風土・気候を調査しにやってきた宇宙人で、地球では「金山十郎」と名乗っている。武器は手から発する念動力(犬を爆殺することもできる他、息子は「アンデレスホリゾント」にて有事の際に各国首脳が会議するための回線「スペリオル・ライン」に不正アクセスするという使用法を見せている)。ムルチをも地底に沈める力を持ち、自分の宇宙船も地中に隠していた。しかし、汚れた地球の大気により、体を蝕まれて衰弱し、故郷へ帰ることはおろか、自らの宇宙船を掘り返すことも出来なくなってしまった。
天涯孤独となって居場所を無くした佐久間少年と暮らし、いじめを受ける彼を時には念動力を使って助けていた。また、佐久間少年も金山の事情を知り、宇宙船発掘の手助けをしようと穴を掘っていた。しかし、それらが原因により佐久間少年は宇宙人ではないかという噂が立ち始めてしまう。その恐怖から徐々に街の人々は暴走し始め、やがて暴徒と化して佐久間少年を殺そうとする。金山は暴徒から佐久間少年を救うために自らの正体を告白し、その直後に暴徒に加わっていた警官に射殺された。しかし、それが原因でムルチの封印が解け、皮肉にも川崎の市街地の破壊という結果になった見方を変えれば、ボロボロの体になりながらも街に被害を及ぼさないためにその力でムルチの封印だけは維持し続けていたということだった。
ムルチが倒されて街は一応の平穏を取り戻すが、佐久間少年は金山の死を受け入れられず、“おじさん”は死んだんじゃない、自分の星に帰っただけだと、宇宙船を探し続けるのであった‥。
ウルトラマンメビウス
星人態 | 人間態 |
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演:吉田智則
「もう一度地球人を信じてみようという気持ちが起こっているのに…、すぐに憎しみが止められないんだ!!父のことを思うと、どうしても…!」
「お願いだ!私の憎しみを消し去ってくれ、ウルトラマンメビウス!」
第32話「怪獣使いの遺産」に登場。
「ビオ」と言う個体名を持ち、前述されたメイツ星人の息子。
地球人を激しく憎んでいるが、それでも当初は『無断で地球に来た我々にも確かに非はある』として、(それでも『命を奪われるほどの何を父は犯したんだ!』と複雑そうではあったが)メイツ星人側にも責任があると認めており、地球とメイツ星の相互不干渉を主人公ミライに持ちかけていた。
しかし、ミライの身を案じて早まったリュウに腕を撃たれたことで、地球人に対する憎悪が再燃してしまい、かつての賠償として「地球の陸地の20%をメイツ星に譲渡しなければ攻撃を行う」と一方的な要求を突きつけ、回答も待たずに宇宙船とゾアムルチによる攻撃を開始する。
しかし、佐久間少年とかつて出会っていたという、コノミの勤めていた保育園の園長の説得と、その教えを受けた子供達が見せた優しさ、そして発砲したことを謝罪しもう一度地球人を信じてほしいと告げるリュウの言葉に思い直すが憎しみ自体は消せず、メビウスに自らの憎悪に忠実に暴れるゾアムルチを倒すことを嘆願。
かつて父を失った日と同じ大雨が降りしきる中、メビウスはゾアムルチを撃破。全てが終わった後、自分の行動を悔い改めたリュウとミライに見守られながら地球を去った。
因みに、エピローグでの園長の語りによると肝心の佐久間少年はその後行方をくらませたらしく、病気で亡くなったとも、旅に出かけたとも言われているが、はっきりしたことはわからないという。
同話の脚本を担当した朱川湊人のノベライズ『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』においてはメイツ星側の事情にも言及されている。地球に無断で送り込んだ調査員が現地で死亡したこの事件はメイツ星においても非があるとして触れてはならない問題となっており、それを破って地球にやって来たビオは母星に帰れば死刑は免れないであろうことを語っている。
彼には当初父は宇宙船の事故で死んだと伝えられていたが、学校を卒業した夜に父の友人から「父は宇宙船の事故ではなく、心無い地球人に殺された」という真実を伝えられ、彼によって密かに回収された父の思念波が残るムルチの小さな細胞片を、父の形見の品として譲られた。その肉片に地球人に対する強い憎しみを注ぎ続けゾアムルチへと変えると「父の悲劇を絶対に忘れさせない」として独断で地球にやってくると、父を殺した犯人とその協力者全員の引き渡しという一方的な要求を行った。
TV版とは異なり子供達の優しさに触れても態度は崩さなかった一方で、彼らに逃げる猶予を与えるなど良心も垣間見える。その復讐に燃える姿勢をハルザキは過去に宇宙人絡みで父親を失った自分と重ね、復讐とは違う方法で事件の真相を明らかにする事を要求、地球人の代表として自害しようとしたその瞬間に彼の覚悟を汲み取ってトライガーショットを破壊。自分の復讐心と本気で向き合ってくれたハルザキに敬意を表し、彼の名を心に刻むのだった。
闘いが終わるとゾアムルチを「もともと地球の怪獣だから」と地底に封印し、暫く行方をくらましていたが、後述の出来事の際にミサキ総監代行から滞在の許可も得れたことからそのまま地球に残ることとなった。
その後はGUYSに地球に接近するユーゼアルの情報を提供した。その際GUYSが「ギガンティア」というレジストコードを与えた事に「異質なものはとりあえず敵と認識する地球人らしい名前」と皮肉を交えた回答を行った。
ゼナのファイル
第1話に少女のメイツ星人が登場。地球では鳴津ハルエと名乗っている。
幼少期から地球で暮らしており、素顔よりも地球人の顔でいる方が楽なまでに地球に馴染んでいる。
だがある日の帰宅途中、友達のトモコと公園で遊んでいた際に蜂に刺され、そのショックで擬態が解けてしまう。
宇宙人が少女を襲っているという勘違いから混乱で暴徒化した民衆に囲まれ警官に銃で撃たれそうになるが寸前でAIBに保護される。
その後、宇宙人居住区への移住が決まり、親友のトモコに正体がバレ恐らく嫌われただろうことを憂いていたが、愛崎モアに連れ出されトモコと対峙。
トモコの側も暴徒に囲まれたハルエを助けに行けなかったことを後悔しており和解した。
メイツ星人と暴従、どちらが悪いのか?
上記の記載からも分かるように、この『怪獣使いと少年』は、差別意識や集団の暴走を描いた名編ではあるが、その一方で「異星からの侵略を受けている地球で、不法滞在の異星人を警戒するのは当然ではないか」と言う声もある。
確かに本編でのメイツ星人は怪獣を封印する善良な宇宙人ではあったが、もし彼が陰謀を企む凶悪な宇宙人であった場合、放置すれば佐久間少年が殺されたり、それ以上の被害を生み出す可能性もあり得たのだ(実際、地球人になりすまして潜入する極悪宇宙人は、シリーズにおいても散見される)。
そのため、住民が「侵略宇宙人への対処」としてみても不合理な行為に走ったのは恐怖心や群集心理によるものでもあり、その点には(いかにその行動が愚かであるにせよ)一定の同情をしなければならない所である。
また、肝心のメイツ星人側も、そもそもが不法な地球滞在であり、その上現地組織に保護を求めるでもなく隠密に過ごそうとする、その割に良を守るためとはいえ超能力を平気で使うなど、大分軽率な行いをしているのもまた事実である。
ただその一方で、住民たちの行動は『「本当にメイツ星人や佐久間少年が侵略宇宙人だった」と仮定しても正しい行為ではない』ことにも注意しなければならない。
そもそも、ウルトラシリーズに登場した侵略宇宙人はウルトラマン並に巨大化したり、怪獣や兵器を操ったりしてウルトラマンや防衛チームを翻弄する強敵ばかりであり、一般人がせいぜい拳銃程度の武器しか持たずに排除しようとするのは命の危険すらある行為である(え、拳銃以下の武器で怪獣に立ち向かう一般人がいる?あれはあちらの人たちが別の意味でおかしいのであって……)。
MAT隊員である郷が既に宇宙人に対応していることも住民たちは見ており、強力な武装や怪獣対決の経験を持ったMATに任せるのが最も安全確実な方法だったことは明確だろう。
それ以前の子どもたちによる佐久間少年への攻撃も、宇宙人が本当に恐怖の対象であるなら怖くてできないような行為であり、宇宙人への疑いに名を借りた単なるいじめも含まれていたと考えなければならないだろう。
逆に、住民が任せるべき対象である筈のMATが住民の不安解消に全く貢献出来ていなかった、という落ち度もまた否定出来ない。
郷にしろ、郷に命令を出した伊吹にしろ、佐久間少年に感情移入し過ぎているせいか、事態の収拾や住民感情への配慮を大きく怠ってしまっている点がある。
確かに佐久間少年は同情すべき境遇であるし、それに対していじめを行おうと言う他の住民の行為は褒められたものではないが、それはそれとしてMATとしては、ちゃんと組織だった治安維持活動を行うべきであっただろう。
例えば「MATの正式な活動として、金山の保護と周辺地域の閉鎖、宇宙船の発掘を行う」等をしておけば、住民の安心も金山の安全もある程度確保されたはずである。
もちろんこうした活動を行っても住民が金山の処分などを強硬に求めてくる可能性はもちろん有るが、その時はまた新たに対応策を考えるべきであり、最初から全く対応を行わない理由にはならない。
だが実際には、個人的な見守りと協力に徹するのみで、結果的に「MATですら宇宙人に対応してくれない」と住民の不安を助長し、暴発を招いている。
なお、郷が見守りに徹し対応を疎かにしたのは、脚本の上原氏が差別意識への反発をテーマに脚本を描いた事、監督の東郷氏がその脚本の一部をカットし、よりショッキングな形で映像を作り上げた事が原因だろう。
「帰ってきたウルトラマン」と言う作品の中の1エピソードなので一応郷も伊吹もMATも登場人物の1人としてストーリーに参加しているが、実際の所は「差別の物語を傍観者として見守る狂言回し」の役割が強い。
そのため、「治安を守る組織や、平和を守るウルトラマン」としての要素が最小限に抑えられているのである。
と、こうした事情を全く無視して、「メイツ星人は悪くない」「悪いのは心ない地球人」と決めつける事もまた、良い事とは言えないだろう。
むしろこれも「逆差別」とすら言える。
『メビウス』におけるビオのエピソードにおいて、メイツ星人を撃つ役にレギュラーかつ防衛組織の人員であるリュウを当てて「ビオを撃ったが悪意が有った訳ではなく、後に謝罪する」と言う描写を行った事、ビオ自身が不法入国の点については落ち度があったことを認めたこと、小説版において「メイツ星人も母星の基準では犯罪者であった」とした事は、これらの疑問点に対しての発展的な回答、と見る事もできるだろう。
なお、そんなジャックもこの件がきっかけで人間の愚かさを知ってしまったのか、メビウスに「人間を愛するには、人間を知らなければならない。人間の強さも、弱さも、美しさも、醜さも。その両方を知らなければ、お前はこの星を愛することはできない」という言葉を送っている。
余談
第33話の脚本では、市民の前に現れる際は宇宙人の姿だった。また、当初の撮影では、金山は竹槍で刺されて殺害されるという展開だったが、TBS側からの要請を受け警官が銃を撃つシーンに変更された。
差別・人権問題を扱った本話はウルトラシリーズの中でも陰惨なエピソードとして有名であり、同作の脚本を手がけた上原によると当時は「局内から『これは放送してはいけないんじゃないか』という声もあった」という。また、内容の陰惨さから放送局側が受け取りを拒否し、制作側が編集をやり直したという。しかし「救い」に当たる描写やパートは結局カットされてしまっておりそのことが本作の暗い雰囲気をより強めている。
予告では良の前を女の子が泣きながら走るシーンや、街に出た彼に人々が石を投げるシーンがあるが、前述の理由から本編ではカットされている。
金山が住むバラックは、河原に実在していたものをほぼそのまま使用している。
当初、ビオの人間体はおしゃれな若者らしいモヒカン姿でデザインされたが、造型が難しいため、NGとなった。
関連項目
ゼラン星人:やっていることがメイツ星人と完全に逆の極悪宇宙人。ちなみにスーツはメイツ星人の改造である。
トーク星人:『ウルトラセブン』で登場させる予定だった没キャラであり、メイツ星人の先駆けと言える宇宙人。
ガウマ:別作品に登場する怪獣使い。河原で衰弱していたところを少年に助けられており、メイツ星人のオマージュの可能性がある。
西宮硝子、三浦加恋:同じく悪意はないのにも関わらず暴徒たちから狙われた人物2人。一応メイツ星人と違い存命自体はしているが……。
マーシャル・D・ティーチ:「やめときな、正義だ悪だと口にするのは!! …この世の何処を探しても 答えは無ェだろくだらねェ!!!」という、このエピソードへの風刺ともとれるセリフを放ったことがある。
クロコ星人:ウルトラマンアークに登場した、地球に取り残され正体を知りながら優しくしてくれる人とともに暮らしながら宇宙船を修理していた善良な宇宙人。こちらも当初はSKIPから疑われていたが襲撃してきたシャゴンから恩人たちを護るために帰れなくなるのを承知で宇宙船で特攻して生き延び誤解を解くことができた。後に彼は別の悪意のない宇宙人の遺産であるロボット怪獣が誤解から破壊されてしまうのを防ぎ亡き主人の悲願である月にたどり着かせるというファインプレーをすることになる。