演 : 中山昭二
概要
フルネームはキリヤマ・カオル。
隊歴16年の38歳。一人称は『俺』もしくは『私』。東京都出身。
冷静沈着かつ謹厳実直だが情に厚い人物でもあり、部下や上層部からの信頼も厚い。宇宙ステーションV3のクラタ隊長とは同期の親友にあたる。占いや第六感的なものを信じる一面も持つ。
口癖なのか「ナニ」「マテ」「ヨシ」と、力強いアクセントで度々使用している。
レギュラーメンバーの中で唯一、宇宙人からの催眠、洗脳を受けていない。
強い意思と信念を持ち、地球及び地球人に危害を及ぼす者に対し敢然と立ち向かう優秀な指揮官であり、状況に即した決断をもって事態にあたる。ペガッサシティ爆破の一件の時は、事前の避難勧告を名誉ある任務と部下に告げており、またアイロス星人に囚われた隊員の為に自ら交渉に応じて出向くなど、決して好戦的、あるいは冷酷な人物ではない。ただし、相手を敵対者とみなした場合、交渉や調査より攻撃を優先することもある。良くも悪くも地球防衛軍の武断的性格を象徴した人物と言える。
その最たるものであるノンマルトの海底都市への攻撃は、事実上の一方的な大虐殺であった。但し、この攻撃に関しては既にノンマルト側の破壊行為が行われ、多くの人命も失われており、「人類=地球人を守る」ウルトラ警備隊の指揮官からすれば、やむを得ない行動だったともいえる。また、その直前の自問自答の内容から、ノンマルトの声明を「先住民」を装う侵略者の常套句と断定した節がある(ノンマルトの使者に直接会ったダンとアンヌ以外の他の隊員達の反応も同じであった)。
結果として先住民族の(可能性がある)文明を一方的に全滅させてしまったことや、攻撃直後の「我々の勝利だ。海底も我々人間のものだ」という発言も後の平成シリーズにおいて色々な波紋を残す事となった。
地球外からの侵略者ということもあり、ノンマルトのような話題にはならないが、過去にクラタと共にザンパ星人の宇宙船団を全滅させている。
2人とも隊長格なので、船団を全滅させた攻撃部隊の指揮をしていたのがキリヤマとクラタである。と、解釈するのが自然かもしれないが、
劇中に登場したザンパ星人の復讐対象が地球防衛軍ではなくキリヤマとクラタの2名ということはもしかして……
名台詞
「ノンマルトの海底基地は完全に粉砕した。我々の勝利だ!海底も我々のものだ!」
地球の先住民族を名乗るノンマルトの海底基地を破壊した時に言った台詞。キリヤマ隊長自身はかなり悩んだ上で攻撃したのだが、「侵略したのは我々ではないか?」と後味の悪い結末になった。
「フルハシ!そう簡単に決めつけちゃあイカン!たとえ千回の通報が千回ともウソでも、出動するのが我々の義務ではないか!」
『セブン暗殺計画』より。偽通報が続いてやる気が削がれてきたフルハシ隊員をこういって戒める(フルハシも「はっ、軽薄でした」と気を引き締め直した)。
治安を預かる者の鑑のような言葉であり、キリヤマ隊長が自分たちの職務に責任を持ってあたっていることがよく分かる台詞である。
「地球は我々人類、自らの手で守りぬかなければならないんだ!」
最終回でパンドンと戦うウルトラセブンを見て言った台詞。ウルトラマンメビウスの時代にも記録に残っており、ミライの引き渡しに、基地を訪れた国家安全保障局、局員であるシキ査察官が言及し、ガイズクルーを非難した。そして、その言葉の真意をサコミズ隊長は、会見で語った。
「この言葉は、ウルトラマンが必要でないと言っているのではありません。彼らの力に頼るのではなく、私達も共に戦うべきだと、伝えているのです。」
※平成ウルトラセブンでは皮肉にも彼の言葉が最悪な形で現実のものとなってしまう。
※ノンマルトと虐殺した理由について
平成セブンではノンマルトの残党が登場、キリヤマ元隊長自身はノンマルト事件を公開しようとして、既に地球防衛軍の保安部に暗殺されてしまっていた。
それに伴い保安部によって、キリヤマのパーソナルデータを削除されて、ノンマルト事件のファイルは重要機密としてオメガファイルに納められてしまった。
ただしアクセス履歴までは削除されていなかったようで、シラガネ隊長がキリヤマに接触しようとした。
(元々登場する予定であったが中山昭二氏の逝去に伴い変更されたらしい)
小説版『ウルトラセブン Episode:0』では老後のキリヤマが登場し、来訪してきたシラガネと会っている。地球と現人類を守るためにノンマルトへの攻撃を即決した理由が明かされている。
この時のキリヤマは、ノンマルトが地球の先住民であることを真実だとした場合のあらゆるケースを推論していた。海底都市の秘密を守るためとしても、ノンマルトは既に現地球人への攻撃を仕掛けてしまっており、それは防衛軍規定に沿って考えても十分な侵略行為と捉えられ、これを上層部に伝えれば殲滅命令が下されることを予期していた。
しかし、既に宇宙人とのコンタクトがとれるだけの能力がある現地球人がその選択=ノンマルトの殲滅を、世界政府の傘下にある防衛軍の命令の下に行えば、いずれ第三者の手でノンマルトの真実を明かされた時、全宇宙から地球人は先住民を虐殺した罪を背負うことになる。当然、『駆逐されるべき侵略者の子孫』として全宇宙からみなされてしまい、その判断は決して覆らなくなってしまう。
故にキリヤマは上層部からの判断を待たず、その場でノンマルトの海底都市の殲滅を即決した。いずれこの事件が第三者の手で掘り起こされることになったとしても、全ての地球人ではなく、その場で攻撃を即決した自分だけが裁かれるだけで済む。
キリヤマは、たった一人で地球人の罪と責任を背負い現地球人を守るために、ノンマルトへの攻撃を即決したのである。
もし中山氏が存命だったのなら、この小説の通りの形で彼が登場していたのかもしれない。
ウルトラ忍法帖
番外編に岡っ引き「キリヤマの親分」として登場。上司に同心タケナカの旦那、手下に下っ引きのソガ吉が居たが、血祭一家に殺害された。自身も命を狙われるが旅の途中だったダイナに助けられ、当時料理人の修行中だった顔馴染みのセブンとアミアの協力も得て血祭一家を全員お縄にした。
なお、キリヤマの演者である中山氏も実際の時代劇に出演が多かった。
関連項目
キリヤマの言葉と込められた思いを正しい形で受け継ぎ、ウルトラマンの庇護下にあった悔しさと歯痒さをバネに、最強最後の怪獣を地球人のみの力で打倒、怪獣頻出期にひとまずのピリオドを打った偉人。
高倉司令官、ゴンドウ・キハチ、統合防衛軍、ナイトレイダー、神山政紀、ユウキ・マイ:キリヤマが最終回で掲げた言葉を誤った形で実現してしまった防衛組織、またはその高官。