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ギエロン星獣

ぎえろんせいじゅう

ギエロン星獣とは、『ウルトラセブン』および『ウルトラマンジード』に登場する怪獣。
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概要

ウルトラセブン』第26話「超兵器R1号」で初登場。『再生怪獣 ギエロン星獣』が正式名。
身長50メートル、体重3万5千トン。
鳴き声が「助けて」と言っているように聞こえるというのはファンの間では有名な話。

シャール星座の第7惑星ギエロン星出身。『再生怪獣』の名に違わず驚異的な再生能力の持ち主で、ミサイルウルトラ戦士光線技で粉々にされても一晩で再生してみせたほど。
から吐く放射能ガスと両手を近づけて発射するリング光線「ビームコイル」を武器とする。また、頭部アイスラッガーを何度も跳ね返すほど頑丈で、体当たりは自分より大きなサイズの隕石を木端微塵に粉砕してしまう程の威力。弱点は頸動脈で、ここを攻撃されると再生できなくなる。

見た目はかっこよく戦闘力も高い強豪怪獣なのだが、初登場したエピソードが極めてメッセージ性の強く重い内容のストーリーであったため、以降の作品での再登場は難しいと考えられていた。しかし『ウルトラマンジード』第20話「午前10時の怪鳥」で49年ぶりに再登場。例の弱点については描かれず、一定以下の温度で生命反応を失うという設定に変更されている。

ちなみに、姿形や劇中で羽毛を散らす様子、『ジード』の予告などで鳥のような扱いがされているが、あくまで突然変異で生まれた怪獣であるため、元から鳥のような生物だったのかは不明。

ウルトラセブン

ギエロン星は生物の棲息がほぼ不可能な灼熱であったことから、地球惑星破壊兵器「R1号」の実験対象として破壊される。しかし、実際には生命が活動しており、その内の一匹がR1号の放射能の影響で突然変異。それが「ギエロン星獣」である。故郷を破壊された復讐のため地球に飛来し、上述の再生能力と頑丈な体を駆使して戦った。しかし、最期はセブンにより片翼をもぎ取られ、アイスラッガーで頚動脈を切られ、美しい花々に囲まれながらゆっくりと息を引き取った。

ギエロン星獣



元を正せば人類が自ら招いた災厄であり、ウルトラマンシリーズ恒例である勧善懲悪のパターンには当てはまらない怪獣。作中のセブン自身もこの怪獣を倒すことに苦悩している描写が見られ、視聴者にとっても印象深い存在である。

物語冒頭で、R1号の完成に喜ぶ周囲と、その実験に唯一人反対する主人公ダンのやり取りが行われている。「地球を守るためなら何をしても良いのか」と問いかけるダンに、開発者側は「兵器としてだけでなく、地球の力を示すことで平和にも繋がる」と話す。それに対してダンは「そうなれば侵略者はもっと強い兵器を作る」と反論し、周囲は「そうなればこちらはもっと強い兵器を作る」と回答。これにダンはそれは、血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ…と絞り出すように答える。

なお、このエピソードの最後で一部の科学者や防衛軍参謀が、R1号の後継であるR2号の開発中止を提案しているが、後の平成ウルトラセブンの時系列でヴァルキューレ星を破壊したワープ航法ミサイルや、M78星雲の時系列にてムルロア星を破壊したトロン爆弾、ウルトラの星を破壊しようとしたUN-105X爆弾等が登場している事から、惑星破壊兵器そのものの開発は脈々と進んでいた模様である。

ウルトラマンジード

ウルトラマンジード影絵シリーズ「午前10時の怪鳥」


初代と同じく黄色いガス(出自が違うため恐らく放射能ではないと思われる)やビームコイルを武器にする。翼の硬さも健在で、殴ったジードが逆に痛がり、クワトロスラッガーをも跳ね返した他、すれ違いざまにビルを切断する程の切れ味も見せた。
倒されると青い結晶状の破片になり飛び散る。やがて破片は融解して気化、それが毎日午前10時に空中で集合して復活するのだが、なんと容器に密閉保存しても液状化した破片を焼却しても元通りに再生する。5日連続(本編開始時点)で出現したためジード=朝倉リクは疲労困憊に陥り、一般市民は慣れて怯えなくなるほど。なお初回はスマッシュムーンヒーリングで追い返しただけだった。

しかし、破片を凍らせれば生命反応が停止し気化もせずに復活できなくなることが判明し、AIBがテレビを通して市民に破片回収を依頼。
ゼロビヨンドがバリアによって破片が広範囲に散らばらないようにした上で、ロイヤルメガマスターのスラッガースパークで切断(奇しくも初代を屠った者の力によってトドメを刺されることとなった)、爆散した後大勢の一般市民に回収されて冷凍庫に入れられ復活ができなくなった(凍結に使用された冷凍庫は後日無償交換されたとのこと)。その後AIBによって宇宙の隅々に拡散され、永久に冷却保存されることとなった。

視聴者の反応

初代とは打って変わって悲劇的な背景を持たない普通の再生能力を持った怪獣として登場しており、「人類の兵器の影響で怪獣化した」というオリジナルの設定についても触れられなかった(ただレムの台詞で「ギエロン星は灼熱の環境だった」と過去形で解説されており、少なくとも故郷を失っている可能性は高い)。
また、本エピソードは伏井出ケイがギエロン星獣の怪獣カプセルを手にしながら、ギエロン星獣と戦うロイヤルメガマスターの記録映像をPCで分析するシーンで幕を閉じる。
具体的な経緯は描写されていないが、このギエロン星獣はロイヤルメガマスターの戦闘力を分析するためにケイが怪獣カプセルから召喚した個体であったようだ。

そのため、ファンからは

  • ギエロンじゃ役不足だ(正しい意味で)
  • ただのケイの手駒なのが残念
  • サラマンドラとかでもよかったのでは?
という疑問の声が出る一方
  • これまでギエロンそのものの魅力が蔑ろにされていた分、純粋な強敵として扱ってくれた(上述の要素は「超兵器R1号」という話の魅力が大きい)
  • 原典がシリアスすぎて再登場が絶望的だったゆえにハードルが下がった
  • 怪獣自体はもちろん、登場エピソードの知名度上昇が期待できる
  • 原典でのテーマが現代で扱えるものではない
  • いつまでもネガティブな印象で語られるのはギエロンが可哀そう
  • これがダメならペガッサ星人のペガはどうなの?
という声もある。
実際、ジャミラバルタン星人など背景や結末が悲しい割に、再登場の多い怪獣もいるし、ゴモラなどはそれで主役を勝ち取った怪獣である。

また、本エピソードのケイはロイヤルメガマスターという強い力を得たジードよりもさらに強い力を得る手がかりを求めて、ギエロン星獣を利用していた点も見逃せない。

本エピソードに限らず、ケイの属するベリアルの陣営は、ウルトラマンジードやウルトラマンゼロを倒すために、これまでにも強大な力を持つ怪獣ベリアル融合獣を送り込みながら、その全てをより強い力によって制圧されてきた。

……互いに際限なくパワーアップを繰り返すこの構図、まさに血を吐きながら続ける悲しいマラソンである。しかもこのマラソン、かつてセブンが見た地球人対異星人の軍拡競争とは異なり、ウルトラマン自身が当事者になってしまっているために、かつてのセブンのような制止役が誰ひとりとして存在しないのだ。

そう考えると、本エピソードのギエロン星獣には、止めようとする第三者が誰もいない状態で、再び他人同士の『血を吐きながら続ける悲しいマラソン』に巻き込まれてしまった犠牲者という、かつてのギエロン星獣と変わらない、むしろより悪化した悲劇的な一面が存在しているとも考えることができるだろう。

その他の作品

ウルトラマンメビウス』の小説版「アンデレスホリゾント」では、GUYSのトリヤマ補佐官が地球防衛軍の新兵時代にギエロン星獣への地上攻撃に参加したことが語られている。彼によると、当時の同僚が放射能ガスによる後遺症で未だに苦しんでいるという…

1993年に発売されたSFCソフト「ウルトラセブン」ではステージ6で戦う。劇中では草原で戦ったが、本作では1回目にウルトラ警備隊が倒した場所(夜景の墓場)で戦う。前作『ウルトラマン』で登場したジャミラ同様、犠牲者的な立場なのでステージクリア時は「ギエロン星獣 永眠」の文字と共に原作のラストシーン(延々走り続けるリス)のカットで終了する。

余談

「超兵器R1号」が放映された1968年の世界は、未だ冷戦の真っ最中であり、ベトナム戦争も泥沼化していた。「ギエロン星獣」には、こうした世界情勢の中で盛んに唱えられていた、「核抑止論」(核兵器の存在で戦争を抑止できるとする考え)への風刺が込められている。
この一方、人間側にこのような強大な自衛力があるからこそダン(セブン)が人間の協力者として戦い続けられるという裏返しにもなっており(事実ペガッサ市を破壊したり、セブンでは倒せなかったキングジョーを倒したのも人間側の兵器である)、宇宙について未熟な人間の活動が巻き起こした悲劇を入れながら、前作のウルトラマンと違うセブンの立ち位置を表している。

また、『ジード』での再登場エピソードについても、

  • 人々が知恵を出し合い、力を合わせれば「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」を終わらせて確かな平和が実現できるという、「超兵器R1号」に対するひとつの答え(逆に、人類が止めようとしないものを怪獣に代走させて人類の善意で封印するのは壮絶な皮肉とも)
  • 危険が日常化・常態化してしまうと感性が鈍化して危険を危険と認識できなくなるという今の平和ボケした日本社会への風刺(怪獣が近くで暴れているにも関わらず、逃げようともせず他人事としか見ていない一般市民というのは、ウルトラシリーズどころか怪獣もの全体を見ても異例である。しかも初回は追い返すだけだったジードに対し、レイトの妻:ルミナは「ジードも最初からちゃんとやっていればねぇ…」という不満の言葉さえ述べている)

ウルトラマンジード 20話


  • あくまで封印しただけであり、問題そのものは解決していない、核廃棄物の処理に対する風刺
など、さまざまな解釈が飛び交っている。

……尚、ジードで人々がギエロン星獣の欠片を回収して自宅冷凍庫で凍結させた事についてだが、こいつの体重は上述されている通り3万5千トンである。
数万人が回収に協力したと作中では説明されているが、単純に計算して一人頭の重量がとんでもない数値になっているはずである。
実際にはAIBが欠片の大多数を回収→凍結し、残りを一般市民が凍結させたのだろう……そうでなければ、各家庭の冷凍庫はきっとその凍結量に悲鳴を上げたに違いない

関連タグ

ウルトラセブン ウルトラマンジード
超兵器R1号
それは、血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ…

怪獣
ウルトラ怪獣
哀しき悪役
ギエロニア…ギエロン星獣をベースとした怪獣戦艦
ゴジラ・・・同じく放射能で変異した怪獣
ムルロア サタンビートル・・・同じ境遇を持つ怪獣
再生怪獣サラマンドラ・・・同じく喉が弱点である再生怪獣
アリゲラ・・・ギエロン星獣がモチーフ

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