「これでエンドマークだ!」
概要
演:渡辺邦斗
『ウルトラマンジード』の登場人物。33歳とされているが、後述のことを考慮するに恐らく詐称。
表向きはSF作家・エッセイストとして活動しており、『コズモクロニクル』という作品でデビューした後、『銀河戦艦エルシェード』『星空のアンビエント』等の数々の人気作を書き上げ、一躍人気作家となった(タイトルの名称などから宇宙やスペースオペラなどを題材とした小説を書いているようだ)。現在はテレビ・新聞・ラジオ等、媒体を問わず幅広く活躍している模様。AIBによると作家活動をする前の経歴は一切不明であるとの事。
彼の作品のファンは“フクイデスト”を自称しているらしい。
しかし、そんな華やかな経歴の裏で、朝倉リクと同様、ベリアルと何かしら繋がりがあると思われるアイテム:ライザーを所持しており、これと怪獣カプセルでベリアル融合獣へとフュージョンライズして都市部の破壊を行うという過激な一面も有している。
立ち居振る舞いや身嗜みも普段こそ紳士的で礼儀正しいが、その本性は自身の計画を邪魔をする者は殺害することも辞さず、「予想外の一手が道を塞いだ」「こういう展開、嫌いじゃない」等と、自身の悪事によって犠牲者が出ることを自分の描いた物語のシナリオかゲームの展開程度にしか思っていない冷酷なものである。
また、自身の講演会を利用して周到な罠を張り巡らせてゼロを抹殺しようとするなど、策士としての側面も併せ持っている、侮れない敵である。
また、生身のままでありながら瞬間移動能力、独特な形状をしたバリア、ダダを瞬殺する威力を持つ手からの衝撃波、果ては地球人には見えないとされるペガの姿を視認できるなど、とてもただの人間とは思えない数々の特殊能力を持っており、後述する事情も相俟って、ゼロからは「この星の人間ではない」と断言されている。第9話でストルム星人と呼ばれる宇宙人であることがケイに接触したレイト=ゼロによって判明し、彼を追って遠くから見ていたAIBにも知られる事となった。
ただし、意外にも宇宙人や監視の目を感知する能力は低いようで、はるか遠くにいたベリアルに諭されてようやく気付くなど、脇の甘さが目立つ一面もある。更にベリアル崇拝の念から感情的になりやすい面も脇の甘さに拍車をかけている。
リクとの直接の絡みは第2話のラストで著書へのサインを求められてこれに快く応じるという一幕が最初であり、これを終えた後、去っていくリクに意味深な視線を向けていた(無論リクはこの時点ではケイの素性をまったく知らなかった)。
その後、第7話でリクを含む銀河マーケットの面々や伊賀栗一家を講演会に招待し、この際、リクやライハの目の前でギャラクトロンの怪獣カプセルを起動したことで敵対的な関係にあるという認識を初めて植え付けることになった(一般には模型の操作という形で行っただけであり、一般に正体が知られる事はなかった)。
第6話でフュージョンライズしたサンダーキラーが敗北した後、何処かの異空間で主として仕えるベリアルと謁見。機は熟したとして更なる力を彼から与えられると、本格的に自分たちの邪魔者となる存在を排除するべく行動を起こし、第7話ではゼロを罠に嵌めて一度は彼を消滅させてしまった。その後8話でゼロが復活し、新たな力までも手に入れるという想定外の事態に直面するが、彼自身は一度は困惑しながらも「面白い…」とも発言しており、むしろそうなった現状をどこか楽しんでいるかのような様子も見せた。
謎
目的
怪獣を呼び寄せる謎の物質「リトルスター」を狙っているようであるが、その目的は第11話までは謎に包まれていた(本人はダダと対峙した際に「研究」と称している)。
ただし、第2話ではリトルスターの作用によりウルトラカプセルの1つが起動した描写があり、本人も「必要なカプセルはあと5つ」と発言していたことから、何かの目的のためにウルトラカプセルを集めようとしており、その起動に必要なリトルスターを探していると考えることもできる。
また、ベリアルの息子であるジードについては、(既に何度か交戦しているにもかかわらず)今のところ殆ど言及しておらず、どんな相手と見ているのか、そもそもベリアルの息子であることを知っているかどうかも含めて不明である。
ただ、ジードに負けても特に不愉快そうな様子がない事や、第8話でのジードを試したり持ち上げるような言動を踏まえると、あたかもジードをヒーローに仕立て上げるために行動しているように見える。
第9話の描写を推測するに絶望ではリトルスターを回収できなかったことが理由と思われるが、果たして……?
ウルトラマンベリアルとの関係
放送開始前、その立ち位置からファンの間では「ウルトラマンベリアルの人間態若しくはベリアルに体を乗っ取られた地球人なのでは?」と推測する声が多かった。
本編においても、時折目が赤く発光することがある(場合によってはベリアルの声が挿入される演出が取られることも)ほか、ベリアル融合獣への変身シーンでは、彼がベリアルへと姿を変えるシーンが挿入されている。
さらに、ウルトラマンゼロの事を強く敵視しており、彼が地球へやってきたことを察知した際には、「気の合わない相手と久しぶりに会うかもしれない」とゼロのことを知っているかのような発言をした上、その後ゼロを誘い出すためにダークロプスゼロを3体も召喚している。さらに、第7話ではゼロの抹殺を目論見、ギャラクトロンを操って一度は彼を消滅させてしまった。
一方で、ベリアル本人らしい言動や性格は意外にも見せておらず、さらに第4話において「報告をしていた」「宇宙のとある場所に心のひとかけらを置いている」「目を瞑ればそこにいる『神』と対話ができる」と語っていたことから、単なる人間態や一体化という訳ではない可能性が浮上、さらに第6話の終盤、前述したようにどこかの異空間でケイがベリアルと対話している際に「我が主」と呼んでいた事、そしてベリアルから授かった力を使ってフュージョンライズの能力を得ているというセリフから、現在では「ケイはあくまでベリアルから力の一部を貸し与えられているだけの斥候に過ぎないのではないか」という考察が有力視されている。
演じる渡辺氏によると、「身に着けているものにヒントが隠されているかもしれない」とのこと(下記の関連動画を参照)。
よく見ると、ベリアルの胸元を模したらしき指輪を着けているのを確認できるが…?(ちなみに、この指輪は商品化されることが決定している)
またインタビューでは「実は、答えはもう出ているんです。僕の格好も含めて、怪獣を呼ぶライザーを何故持っているのか。その理由を逆算しながら、証明問題のように解いていってもらいたいですね」と語っており、ライザーを持っていることが大きなカギになっているようだ。
コズモクロニクル
伏井出ケイのデビュー作である長編SF小説。
発売後まもなくベストセラーとなり、多くの愛読者を持つ人気小説であるらしいが、その実態は、かつてのアナザースペースの戦いである『超決戦!ベリアル銀河帝国』を始めとしたベリアルの来歴を彼に都合がいいように歪めた形で再構成した物語であり、すべてを察したゼロは「ベリアルの都合の良いように書き換えやがって…!!」と憤慨していた。
…身も蓋もない言い方をすれば、『ウルトラマンベリアル THE MOVIE 超最強!ベリアル銀河帝国』ということになる。
現時点で、少なくとも3作目まで刊行されていることが明らかになっており、1巻目の裏表紙に書かれたストーリーの概略やレイトの台詞から推察するに、Ⅰ:ウルトラ銀河伝説、Ⅱ:ベリアル銀河帝国、Ⅲ:ウルトラゼロファイトに相当する構成になっているのではないかと推測される。
なお、3作目のラストで輝きの騎士ゾーラ=ゼロは死ぬことになっているらしい(なお、これにより同僚も作品内では死亡することが確定している)。
ちなみに、伏井出の小説には、他にも「時空破壊」というかつての大事件を彷彿とさせるタイトルの小説も置かれていたりする。
作中では、ゼロを誘き寄せて抹殺するための手段として利用されたが、この小説を書いたのがベリアルの指示によるものだったのか、はたまたケイのベリアルに対する個人的な崇拝意識からだったのかは現時点でははっきりしていない。
最終的に流れる形となってしまったが、続編の企画としてクライシス・インパクト時に起きたカプセル強奪事件の話を小説化しようともしていた。
余談
名前の由来はSF作家のフィリップ・K・ディックの捩りである。
ファンには独特の言動と雰囲気から、その行動をフクイデワールドと呼ばれている。
作中に登場する単行本のポップ広告や帯にも記載されている他(というよりこれが元ネタなのだが)、配信版でDXジードライザーで伏井出ごっこ!君もフクイデワールドへ!という宣伝が流れ公式もネタにしている節がある。
正体とされるストルム星人の元ネタは(乙一氏曰くジードの要素にも入っている)アーサー・C・クラークのSF小説『幼年期の終わり』に登場する国際連合事務総長ストルムグレンだと思われる。
乙一は、ケイの表の職業は社会的地位のある役柄にしようという考えから当初は医者としていたが、諸事情により医者と同じく「先生」と呼ばれる作家になった。
関連タグ
ジャグラスジャグラー - 前作における似たようなポジションのキャラクター。ちなみに、渡辺氏はこのジャグラーのオーディションも受けたが落選してしまい、演じることがかなわなかったという経緯がある。
万城目淳 - ウルトラシリーズにおけるSF作家の先輩。ただし、こちらは善玉キャラである。
村上春樹 - ファンに専用の呼称が存在するなど、所々彼を意識したと思われる演出がある。
計画と真実(ネタバレ注意)
「ウルトラマンジード! ベリアル様に似たその姿を私に殴らせるのは不愉快だったぞ! お前は作られた模造品だ!!」
「ベリアル様の恩寵を受けるのはお前ではない! 私だ!! 私の方が優れている!!」
彼はベリアルのためなら命をも捧げられるほどの忠実かつ狂信的な部下。
ベリアルの腹心の一人であり、最終話の回想シーンを見る限りでは、同じベリアル軍の幹部であったダークネスファイブの面々ともどうやら面識があった模様。
かつてストルム星は緑豊かな美しい星だったが、何らかの理由で勃発した戦乱により星は炎に包まれ、文明は滅亡。故郷を失い、絶望していたケイの目の前に現れたのがウルトラマンベリアルだったのである。
滅んだ故郷を眼に、心が空虚と化し絶対的な存在への憧憬に身を焦がしていた彼はベリアルの圧倒的な力に心酔し、彼のためにすべてを捧げ、戦うことを決意する。
ちなみに、第19話においてレムの口から「若者は故郷を悪魔に滅ぼされ、自分が救われるために悪魔に服従せざるを得なくなった」、第23話にて本人の口から「だが全ては破壊された。野蛮な者たちの暴力によって」と語られるが、誰がストルム星を滅亡に追いやったのか、真相は語られていない。
クライシス・インパクトのドサクサに紛れて光の国からライザーとウルトラカプセルを奪ったのも他ならぬ彼であり、リトルスターを求めウルトラカプセルの起動を待っていたのは、いずれそれらすべてを回収しベリアル復活の際に捧げるためであった。
そのために必要な存在である「ウルトラマンになり得る生命体」=朝倉リクの創造をベリアルに提案し、ベリアルから授けられた遺伝子から人工生命体を造り、天文台に置き去りにした。リクの運命を決定づけた存在であり、生み出したと言う意味ではリクのもう一人の父親とも言える存在である。
ベリアルを復活させるためにあえて悪役に徹し、ジードにカプセルを集めさせ続けていたが、ケイからしてみればベリアルを復活させるために作ったただの道具であるジードをベリアルが息子扱いすることに内心激しい嫉妬を感じており、同時にベリアルに似た姿をしたジードと戦わなければならないことには強い不快感を覚えていた。
真実を伝えられ動揺するリクを相手にペダニウムゼットンへとフュージョンライズし、万全とはいかないまでも相打ちになり、満身創痍ながらもウルトラカプセルを奪い取ることに成功した。しかしリクにトドメを刺そうとした直前でライハに阻止され、ゼロのカプセルを落としてしまう。
6つしかカプセルを回収できなかった不手際とAIBに自身の拠点を探られてしまった失敗を贖うため、ベリアルに命令された通り奪ったカプセル全てを自身に取り込み膨大な闇のエネルギーを得た彼は、再びペダニウムゼットンにフュージョンライズし街を破壊し始める。
ただし、流石に一度に多数のカプセルを取り込んでのフュージョンライズは肉体にかなりの負担が掛かるようで、その力を制御する事が出来ずに暴走状態に陥ってしまった(レムの分析ではフルパワーで火球を放った際に脳の一部と神経系が焼き切れ、一時行動不能になっている)。
リク「そこにいるのか! 伏井出ケイ!」
「ベリアル様ァ!あのような子供に何が出来ましょう!
作られた道具がぁ、創造主に歯向かおうと言うのかぁっ!
跪け!地を舐めろ額を擦り付けて許しを請え!
終わる時が来たのだ!貴様の首をベリアル様への手土産とするぅぅぅっ!!」
強大な力に耐えきれず精神に異常をきたし、半狂乱になりながらも(変身時には服を着ていたにもかかわらずこの時なぜか上半身裸であった。ちなみに田口監督等によれば実際には「全裸」とのこと)、ウルトラの父の力を宿したリトルスターの宿主であり、リクの名付け親でもある元町長の朝倉錘を探して破壊活動を続けていた。
その全てに見放された空っぽの姿は、錘と出会った事で自分が守るべき確かなものを得たリクに逆に哀れまれてしまうほどに救いようのないものだった。
そしてマグニフィセントの力を得たジードに敗北。
この戦いで死亡したかに思えたが、息も絶え絶えな状況で生き延びていたようで、第12話の終盤でベリアルの元へと赴いている(再び服は着ている)。
更にどうやら先のウルトラカプセルを多数取り込んだ副作用で、自身の体に何か変調が起きつつあるらしく、その事をベリアルに問いかけたが、「案ずるな、ストルム星人。俺はお前の側に」と語りかけられると、その後の台詞を聞き届ける前に倒れた。
余談だがこの話以降ファンからはかわいそうな人呼ばわりが定着してしまっている(リクが「かわいそうな人だ」と言った発言が元ネタ)。
その後、第16話では街の路地裏でボロボロの見すぼらしい姿になって座り込んでおり、ベリアルの降臨を見つめている様子が映し出された。
そして、同話にてかつて彼が人間世界にカレラン分子(ケイの小説の構想ではそのように置き換えられており、そのままAIB内における正式名称に採用された)なる物質をばら撒き、それを体内に取り込んだ人間が幼年期放射を体内に貯め込んで固形化したものこそがリトルスターの正体……つまり、リトルスターを生み出したのがそもそもケイであることが判明。
担当編集者を殺害した(AIBと内通していたため口封じのために殺害した)容疑で全国に指名手配されて逃亡生活を送っていたが、戦いのダメージの影響かベリアルがジードに倒されたショックからか記憶を失い、自分が何者なのか、なぜ追われる身となっているのかすらわからず、怯えながら生活を送っていた。
あてもなく街を彷徨っていた所をリク、レイト、AIBに発見されて追われ、更には以前殺害したダダの敵討ちに燃える同胞が操縦するレギオノイドにまで狙われるなどまさに袋叩きのような目に合う。
全方位から追われ、怯えながら助けを乞い、無様に逃げ惑う姿はまさに「かわいそうな人」そのものであった。
しかし、ダダによる襲撃を受けた際にすべての記憶を取り戻し、さらに女性作家の石刈アリエという新たな協力者を得て、ベリアルの遺志を継いで今度は自身が宇宙の支配を成し遂げるべく再び暗躍を開始することになる。
第19話では前述の通り手負いの状態でありながらも、単身星雲荘に殴り込みをかけこれを制圧、管理者権限もあっさり破ると修復装置を用いて自身のダメージを癒し、さらにメカゴモラをカプセルから召喚。人間態を手にしリクらと共に脱出していたレムを発見するや、これを操ってメカゴモラと融合させ、リク=ジードの抹殺を試みた。結局レムが自我を取り戻したことで基地から放逐され、メカゴモラも撃破されたことで抹殺自体は失敗に終わるも、本来の目的たるストルム器官の修復を果たし、レイト=ゼロを足止めしていたアリエのもとに戻る。
第20話ではエンペラ星人・ダークルギエルの怪獣カプセルをAIBが回収したという情報をレキューム人から得ていた。同話に登場したギエロン星獣もどうやら彼が差し向けたようで、6日にもわたってジードと戦った様子を記録し、ロイヤルメガマスターの戦闘データの収集・分析を行っている。
続く第21話にてリトルスターの宿主となったグビラ抹殺を試み再びペダニウムゼットンにフュージョンライズし、止めに入ったジードと戦闘になる。バリアやテレポート、前述のデータ、さらに本人が今回は冷静だったこともあってロイヤルメガマスターすら苦戦させ、カラータイマー点滅まで追い詰めるも、リトルスターの能力を利用したグビラに横槍を入れられ敗北。ラストにてより強大な力の必要性を痛感し、雨の中、前述の2カプセルの奪取を決意する。
第22話でアリエを人質にAIBに2カプセルを渡すよう脅迫。無論二人は繋がっているためこれは罠だが星雲荘やAIBの面々はそれを知らないため、アリエを助け出すためにケイの提案に乗ってくる。
取引の途中でレイト(ゼロ)の奇襲にあい、続けてシャドー星人ゼナに足止めされその隙にゼロがアリエを救出、更にはライハも戦いに加わり取引は完全に失敗。追い詰められキングギャラクトロンにフュージョンライズする。
カプセルの載った車で逃げるモアを攻撃し、これが逆鱗に触れたジードとゼロの強化形態を相手に善戦するものの力及ばず敗北。リクとゼロに追い詰められるものの、その場に現れたアリエは首尾よく手に入れていた怪獣カプセルをケイに渡した。二人のウルトラマンとの戦いは囮だったのだ。
ついに目的のものを入手するケイに、アリエは「これはあなただけの物語じゃない」と最後まで協力する意思を示す。しかしながらケイの答えは彼女の抹殺だった。カプセルを入手するための捨て駒でしかなかったアリエをAIBへの脅迫どおり「処分」し、リクに「この物語にエンドマークを打つのは私か、お前だ」と言い残し姿を消した。
なお、以前本人の口から語られた肉体の変調はさらに進行しており、第17話以降は体に謎の発光体とベリアルのような禍々しいオーラが現出して悶え苦しむ様子が見られるようになった。回を追うごとに状態は悪化し、第19話中盤で治療を受けて以降、いったんは悶え苦しむ描写はなくなったが、第21話にて苦しむ描写が再び見られている。第22話ではロイヤルメガマスターとゼロビヨンドの二体を相手にし目を赤く光らせ謎の力を発揮、一時的に両者を上回るほどのパワーを生み出した。
第23話で彼の故郷であるストルム星は自然豊かな星だったが争いで滅びたことが判明。滅びた後は炎に包まれたストルム星から発せられ30年に一度沖縄で観測される光を浴びストルム器官の強化を図りつつ、リクとの決着を付けるべく沖縄に呼び出す。
光を浴びたことでストルム器官の強化に成功し、追いかけて来たリクと戦うべくペダニウムゼットンにフュージョンライズする。戦いのさなかエンペラ星人とダークルギエルの2つの怪獣カプセルを取り込み、ペダニウムゼットンをジードの数倍の大きさまで巨大化させるも、ロイヤルメガマスターの渾身の力により敗北(この時の彼は大ダメージを受けた結果かインナースペース内にて両目と口から光を放つという物凄い表情になった)。
そんなボロボロの彼の前に現れたのは死んだはずのアリエだった。彼女にはベリアルが憑依しており、ベリアルがジードに敗北した次の回から彼女が接触してくるなど最初からベリアルの掌の上でしかなかったのである。そして主人にストルム器官と2つのカプセルを奪われてしまい、数日しか生きられない体となってしまった。
しかし、捨て駒同然の扱いにもかかわらず、彼はベリアルの復活を喜ぶばかりか「遂に私を選んで下さったのですね!」と狂喜する狂信的な姿勢を見せつつ、海に落ち姿を消す。
仲間も帰る場所もなくし、強大な悪に使い捨てられ、その悪からそれでも離れようとしないその姿は、リクと真逆ともいうべきものであり、姿を消した後、ライハにまで「かわいそうな人…」と言われてしまっている。
第24話ではゼロと戦うベリアル・アトロシアスを援護すべく、伊賀栗レイトの妻:ルミナと娘:マユを人質に取り、ゼロに抵抗を止めるよう脅迫するが、ライハの妨害を受けて失敗。ストルム器官を失ったことで最早肉体は限界に近い状態であったが、それでもなお己の命が尽きるまでベリアルに忠誠を誓い、戦うことを宣言した。
第25話でも苦しみながらも(一時撤退はあったものの)2日にわたってライハと戦いを繰り広げたが、肉体が限界に近づくにつれ押される場面が目立つようになり、ついに力尽きてしまう(ライハはこうなることを予感しており、2日目に対面した時は、『光栄に思いなさい、私が看取ってあげる』と発言している)。
涙を流し、朦朧とする意識の中、ベリアルの幻覚を前に彼の口から出た言葉。それは…
「ベリアル様…私は、貴方のお役に立てたでしょうか……?」
心酔し、その身を捧げると誓ったベリアルの役に、自分は本当に立てたのだろうか、自分の存在に意味はあったのだろうかという、ベリアル本人にはもはや聞こえるはずもない問いであった。
そんな、傍から見れば「かわいそうな人」としか言い表しようのないボロボロの彼に、ライハはこう答える。
「ええ…あなたはベリアルの役に立った……。だから、安心して消えなさい…」
しかし、今のケイは、もはや宿敵であるはずのライハの労いの言葉が聞こえているかすら、わからないような状態だった。
「ベリアル様…私は、貴方のお側に……」
幻覚のベリアルを仰ぎながらこの言葉を告げ、最期はライハに看取られながら光の粒子となって消滅した。
大切なものをなくし、力を欲するあまりベリアルに心酔し、そのベリアルの運命や意思に振り回された末に捨て駒同然の扱いをされ、それでもなお彼への忠誠を存在意義とし続け、ついには自らが親を殺した少女だけにその価値を認められてこの世を去る、報われたとは言い難い最期だった。
自分は何者なのか?存在意義は何か?というリクの疑問が『ジード』の物語の一つのテーマであったことを考えれば、そういう意味では彼もまた、影の主人公と言える存在だったのかもしれない。ただし、己の無力さを悔やみ、力を得たのちに答えを見つけ、やがてヒーローとして認められていったリクとは対照的に、彼の場合、力も名誉もあった状況から一転、すべてを失い、世間から追われる身となり、自分の存在意義に怯えながらライハひとりに見送られる最期を迎えており、主君であるベリアルとはまた違った意味で、リクと対になる存在である。(リクが挙げた大切な物に「仲間」も「帰る場所」があるが、これらは彼が昔に失った物であったりする。)
また、第24話でのライハとの戦いの中、彼が明かした過去は「ベリアルによって命を救われた」ともとれるものであり、「ウルトラマンに命を救われた者であり、ウルトラマンの助けがなければ今こうやって生きていることすらできないはずの者だった」という意味ではライハと表裏一体の人物であったとも言える。
ちなみに…
彼のストルム星人としての本名は不明だが、第19話にて登場した伏井出ケイをマスターと仰ぐもう一人の人格のレムは、彼のことを「ケイ」と呼んでいる。しかし、ベリアルは終始彼のことを個人名ではなく「ストルム星人」としか呼ばない。さらに、映っていないだけかも知れないが、彼の業績を評価する描写もない。
ケイからのベリアルへの崇拝とは反対に、ベリアルは彼の種族が本来持っている能力のことしか評価していなかったのかも知れない。
第23話で怪獣カプセルと共に膨大な闇のエネルギーを生み出せるようになったストルム器官を奪ったことや、第24話でゼロとの戦いが有利になるよう伊賀栗一家を人質に取ったにもかかわらず、ベリアルから「まだ忠誠を誓うとは、愚かな奴だ」と吐き捨てられたのもこの考察を後押ししている。
感情的となって少なくない失態はあれどその献身的な姿勢に対し評価するどころか感慨すら抱かれず惜しまれないケイの報われぬ姿は哀れに見える。しかし、倫理的には別にして不屈で行動するベリアルからすれば、労いの言葉に喜びはすれど何かを求めることそのものには頓着せず求めるものがないケイは、相容れなかったのかもしれない。
ケイ役の渡辺氏によると最終回のライハとのアクションは、普段は目が悪いのでコンタクトつけるけど、終盤のアクションの際は視界に鋒が入って体が反応しちゃうから、最終回のアクションだけは、コンタクトを取ってアクションをしてるとインタビューにて述べている。
また、クランクアップの際には、ベリアル陛下から少し不貞腐れながらも花束を渡されており、スタッフと主演の濱田龍臣はその様子を微笑ましそうに笑って見守っていた。
コンセプト
プロデューサーの鶴田幸伸氏はウルトラマンR/B超全集で「片想い。永久にかなうことのない片想いなんだけど、私は捨てられても、それが幸せなのかどうなのか分からないけど、この人に尽くします。そんなキャラクターにしようと。」と述べている。
関連タグ
ヴァニラ・アイス、オクタビア……主人公の宿敵の配下であり、「主君に対する狂信性」と言う共通点がある。しかし、前者の方は主君からの信頼については捨て駒程度にしか思われていないケイと異なり、こちらは配下の中でも高い信頼を得られていたという真逆な性質を持つ。
ジスプ……故郷を滅ぼされて悪の道に走ったという共通点を持つ特撮悪役であるが、ジスプの場合は支配者の座に固執した点で異なる。
クバル……故郷を滅ぼされて悪の道に走ったという共通点を持つ特撮悪役であるが、主君が故郷を滅ぼした張本人であり、忠実なフリをしつつも仇である主君を討ち取ろうと画策していた。
ヨドンナ……ラスボスに尽くす人物像とその末路が似ている特撮悪役。
かわいそうな人……ネタとして呼ばれることも多いが、上記の通り報われぬ姿はもはや笑えないレベルとなっている。
クルス・マヤ……熱狂的なファンを持つ有名人で、正体は宇宙人。こちらもファンに『クルスチャン』という俗称がある。
ナツカワ・ハルキ……後年のウルトラマンZの地球人側の主人公。主君と瓜二つの武器に対して武器といえどしっかり挨拶をした礼節と明確な目的意識から出会って数分で名前を呼ばれ、最期まで名前を呼んで貰えなかったケイを思い出した人も少なくないとか。
イグニス…ケイと同じく故郷を滅ぼされた宇宙人だが、こちらは、力を得た直後、制御出来ず、初変身時は我を忘れて暴走していたが、決して力に溺れることはなく自分なりの良識を備えていたため、最終的には地球で出会った人間たちと和解し仲間として受け入れられており、主人公の頼れる戦友にして相棒のような立ち位置になるなどケイのIFともいえる存在。(またメイン監督がどちらも坂本監督と共通点がある。
ウルトラマンレオ…同じく帰る場所も同胞も失った宇宙人である。
ジャグラスジャグラー←伏井出ケイ→愛染マコト(チェレーザ)・美剣サキ