「来ましたねジュウオウジャー。私はクバル。ブラッドゲームの賢しきチームリーダーです」
「おもしろい! 貴方たちはやはり倒すより、ゲームの障害として生かしておく方が楽しくなりそうですねぇ」
データ
身長 | 205cm(チェーンコンティニュー身長:41.0m) |
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体重 | 194kg(チェーンコンティニュー体重:388.0t) |
対応機種 | フェイスティッカー、スイッチュウシャー、ボルテックナックル |
ジャンル | 人工鉱物 |
CV | 岩田光央 |
スーツアクター | 清家利一 |
コンティニューメダルの投入口 | 左肩 |
概要
デスガリアンの幹部「チームリーダー」の一人。一人称は「私」。
知的な計画を立て、ターゲットを精神的に追い詰めて苦しめる事を得意とするプレイヤーで構成された「チームクバル」を率いり、今まで数々の惑星を滅ぼしてきた。
過酷な他惑星の環境へ適応する為の半機械改造を自らに施しており、マント状のパーツを装備した細身のロボットの様な身体に丸みを帯びた頭部が特徴。口は無く、ライトの様な発光器官になっている。
細身の電磁サーベル形態と強力な破壊力を有するハンドガン形態を使い分けられる、人間の口元を模した武器『フェイスティッカー』を用いて攻撃する。
慇懃無礼な口調が特徴で、知的なブラッドゲームを行い、生物を精神的に甚振る事を好む陰険な性格。ターゲットを精神的に追い詰める戦法が得意で、本人曰く「じっくり作戦を練るのが私のゲームスタイル」。
同じくリーダーのアザルドの事を小馬鹿にしている物の、彼の実力自体は認めており、アザルドがジュウオウゴリラに敗北した際には驚きを隠せなかった。
また、自身が作戦に失敗した際には気まずい表情を見せている(しかし、ジニスはジュウオウジャー同士の戦いを楽しんだ事で満足した模様)。
実は後述の通り、仲間にも知られたく無い過去を秘めていた事が中盤判明する。
各話の動き
- 第7話
メーバメダルを持ち出し、単身で出撃すると気配を察知したアムとタスクを迎え撃ち、アムを注射器『スイッチュウシャー』で粒子化。「メーバ」に成分を注入して「アムメーバ」を生み出し、タスクを精神的に苦しめる。
しかし、残る3人が海岸に出現したショッカーのシオマネキングと戦う中、単身で「アムメーバ」と戦うタスクに出し抜かれ、奪い取られたスイッチュウシャーでアムを元に戻された。
その後、ジュウオウジャーをゲームの障害として残しておいた方がいいと判断して退却した(ジニスはこの戦いを観戦しておらず、上記のシオマネキングの方に興味を持っていた)。
- 第20話
ジニスの洗脳を振り払ったザワールドを回収しにアザルドと共に地球へ降り立つ。街でメーバを使い街で暴れさせてジュウオウジャーをおびき出し、大和以外の4人を捕らえ、ザワールド(操)と一緒にいた大和に身柄の交換を要求する。単身乗り込んだ大和を相手にアザルドと共に圧倒するが、6人目のジュウオウジャーとなって戦う事を決めたザワールド改めジュウオウザワールドの猛攻を受けて倒されそうになった為、不死身のアザルドをちゃっかり盾代わりにした。直後にアザルドは再生・復活したが、流石に扱いが悪かった為クバルに抗議した。その後、前話で巨大化したまま退却したボウリンゲンと入れ替わる形で退却した。
- 第25話
巨獣ハンター・バングレイに自身の記憶を読み取られた事を知った際は珍しく動揺し、自ら戦いを挑んでバングレイを消そうと躍起になる。どうやらバングレイが口にした「クバルの星が『あいつ』に滅ぼされた」と言う過去の出来事がカギとなっている様子。その『あいつ』とは……。
以後、無断でサジタリアークから姿を消したり、露骨に隠し事をしている様な態度を見せる等、挙動不審な描写が目立つ様になってくる。
- 第30話-32話
第25話の回想シーンにてバングレイの口から、やはり故郷の星はジニスに滅ぼされた事が明かされた。他のメンバーにも隠していた秘密を知られ、彼を口封じで殺しにかかるも、「ジニスを倒すのを手伝う代わりに、俺のキューブホエール捕獲に協力しろ」と取引を持ち掛けられ、一時的に手を組む事となった。
キューブホエールに吹き飛ばされたバングレイに接触すると、バンクレイの宇宙船であるヤバングレイト号を操縦させ、海一帯に毒を散布させた他、31話ではナリアがキューブホエールにセットした発信機からキューブホエールの所在地の情報を提供している。
32話で、再開したブラッドゲームでオモテウリャーをエントリーさせ、その最中にキューブホエール狩りに失敗し、負傷したバングレイと接触している。
- 第34話-35話
キューブホエールを狩る作戦を開始したバングレイに協力する形で自分の記憶をバングレイに読み取らせ、自分の配下に当たるアミガルド・トランパス・イルジオン(アーマー未装着)を巨大な状態で出現させた他、ジュウオウジャーの偽物を実体化させている。
35話で、ジュウオウイーグル=大和を捕らえたバングレイは、キューブホエールとの交換を持ちかけるが、もちろん罠。取引場所におびき寄せたジュウオウジャー5人を、クバルの操縦するヤバングレイト号の衛星軌道上からの攻撃で、消し飛ばしてしまう計画だった。
キューブホエールをバングレイに手渡した直後にクバルは砲撃し、大和を除く5人を全滅させたかに見えたが、キューブモグラが掘った穴に飛び込んだ5人は危機を脱し、大和を救出して形勢逆転。ヤバングレイト号も怒れるキューブホエールの猛追撃に遭い、撃墜される直前にクバルは脱出、もはやバングレイには勝ち目なしと見て、彼を見限る決断をした。
その後、ジュウオウジャーの一斉攻撃とキューブホエールの攻撃で吹き飛ばされたバングレイに近づき、記憶を読み取る能力を持つ右手を切断して回収、餞別としてコンティニューメダルをバングレイに手渡すと立ち去っている。
そして、次の回(36話)にて自分の手にバングレイの手を移植していた。尚、バングレイと一時的に手を組んでいた事は他のデスガリアンメンバーには話してはいない様だが・・・。
- 第39話
ブラッドゲームの裏側で、移植した右手の実験を密かに始める。シェフードンをブラッドゲームにエントリーしている合間に地上へと降り立ち、シェフードンの襲撃から逃げる男女をフェイスティッカーからフラッシュ光線を放ち気絶させると、彼ら2人を実験台に記憶を読み取る能力を実践する。その内女性の方から結婚詐欺師の『零(れい)』を実体化させ、セラを標的にしてジュウオウジャーを陥れようとしたが、零は命令に従うが思い通りに動かせず失敗に終わる。その後用済みとなった零は消滅させた。
- 第40話
アザルドのプレイヤー、キルメンチがブラッドゲームを行っている最中に、ジュウオウジャーと知り合った少年・ジュンからカツアゲをしていた不良グループから上記と同じやり方で記憶を読み取りリーダーのノブオを実体化。その彼に電気ショックを与えるパワーグローブ『ボルテックナックル』をジュンに渡す様指示している。今回標的になったのはレオで、ボルテックナックルを付けたジュンに殴られて身体がマヒした為、満足に動けずキルメンチに痛め付けられる羽目となった。
だがその一部始終をナリアに目撃され、キルメンチが倒された後実体化したノブオはナリアに撃たれ消滅。クバルはナリアと対決する。撃った銃弾をナリアに回避され詰め寄られるが、同時に地面へ撒いていた電流を浴びせる機雷に引っかからせ、武器を落とした上で至近距離から銃撃して気絶させた所でナリアの記憶を読み取り……
最初で最後の大誤算(第41話)
「ジニス、貴方は覚えてないでしょう。私の生まれた星の名前も貴方に蹂躙された一族の顔も…!恐怖と憎しみを抑え、この時をどれほど待ち焦がれていた事か……ジニス!!この星が今日、お前の墓場になるのです!!」
読み取ったナリアの記憶から『サジタリアークから離れると、エネルギー切れで弱体化する』というジニスの弱点を分析し、ジュウオウジャーとジニスを対決させようと画策。両者をおびき寄せる為に、ジニスやアザルド、チームクバルに所属していたプレイヤー達(ハッテナー、トランパスは除く)を実体化(※コピー元は気絶させ拘束したナリアと思われる)させ、更に実体化したジニスに倒された操を捕らえた後にジュウオウジャーの先導役として操も実体化(ジュウオウザライトは本物の操から奪い取った物を渡した)する。
その内、コピーのジニスと操を使った策で両者をおびき寄せる事に成功し、サジタリアークから離れた事で弱体化したと見られるジニスに対してジュウオウジャーと共に実体化したチームクバルのメンバーとアザルドを使い包囲。遂にジニスへ反逆を宣言し、配下に一斉攻撃を仕掛けさせる。
しかし、最初から全てを見抜いていたジニスはあえてクバルの策に乗っかった上で31話で手に入れたキューブホエールのデータデバイスを自身の体内へと取り込み、地球のエネルギーを吸収した事で弱点を克服し、更にシン・ジニスへと変貌。クバルに向かって攻撃を放った。
その圧倒的な力の差に恐怖し、実体化させたアザルドとチームクバルのプレイヤー達を戦わせるも、ジニスの力の前に呆気無く全滅。戦意を喪失し逃亡を計るクバルを、ジニスは実体化したジャシンガー、オモテウリャー、シェフードンを支配下に収め、巨大化させて追跡させる。その3体が町を破壊しつつクバルを攻撃した為、止めようとするジュウオウジャーと交戦している隙に、クバルは命からがら逃走した。
復讐者になれなかった男の末路(第42話)
「終わりだ…殺される…! ジニスは私を追ってくる…!! 甚振って…弄んで…絶望するまでしゃぶり尽くして殺す!!」
一世一代の奇襲作戦が失敗に終わり、惨めに下水道の中を逃げ回るクバル。これまでの知的でクールな姿など見る影もなく完全にジニスの恐怖に支配され、死ぬまでジニスのおもちゃにされてしまうと半狂乱になっていた。
その恐怖から逃れる為、そして何より生き延びる為に彼が取った行動は…
「私が生き残るためには……これしかない……!!
ご覧下さいジニス様ぁ! これが私の罪滅ぼし…いえ、新たなブラッドゲームの始まりです!!
日没までにこの星の生物共を全て滅ぼしてご覧にいれましょう!!
ですから、どうぞお助け下さい! ブラッドゲーム勝利の報酬として、どうか私の命をォ~!!」
それは日没までに地球を独力で滅ぼすブラッドゲームを強引に作ってエントリー、このゲームの成功報酬で助命を請う事だった。
どう考えても時間的・物理的に無理な条件、クバルらしからぬ力押しの行動。極限の恐怖で彼の精神は、既に破綻をきたしていた。
当然ジュウオウジャーがその様な暴挙を見逃す訳は無く、野生開放した操以外の5人と交戦。「お前も母星を滅ぼされ、大事な仲間を奪われたからジニスを倒そうとしたんじゃないのか?」と言う大和の問いかけにも、精神的に追い詰められた彼は「知ったことか! お前達も見ただろう!? ジニスのあの凄まじく凶悪な力を…。我々がいくら足掻いたところで無駄なのだ!」と吐き捨て、「生き残るためなら、私はプライドも何もかも捨てる! こんな星のことなどどうでもいいわァ!!」とまで叫ぶ始末。
しかしその身勝手な態度と、自らの作戦に操を巻き込んで重傷を負わせた事に怒りを爆発させたジュウオウジャーに圧倒されてしまう。そして、ジュウオウホエールを中心に5人で放ったジュウオウファイナルをフェイスティッカーの強力な銃撃で押し留めるが、結局押し合いに負けてしまい敗北した。
だが、生き延びるために自身をまるで神の様に必死に崇め続け、恐怖と絶望に飲まれて錯乱するクバルの様を見てもまだジニスは飽き足らず、ナリアにコンティニューを指示。メダルを五枚投入されたクバルは、“チェーンコンティニュー”されて巨大化する。この際、憎き仇だったはずのジニスへ「ジニス様、ありがとうございます!このブラッドゲーム、必ずや成功させて見せます!!」と感謝の言葉を述べる姿は、痛々しいとしか言い様がない。
ジュウオウキングオクトパス、ジュウオウワイルド、ドデカイオーと交戦するも、複数枚のメダルを投入された事でパワーアップしており、身体中からエネルギーの触手を伸ばしてこれを圧倒する。
だがそこに、自分と同じくジニスに玩ばれ、恐怖と絶望を刻み込まれながらも、仲間の為に恐怖を振り払い駆け付けた操=ジュウオウザワールドが操るトウサイジュウオーが乱入、辛くもジュウオウジャー達の危機を救う。最後は、操が復活した事で合体可能となったワイルドトウサイドデカキングと対決。操と違い仲間がいなかった故、ジニスへの恐怖を振り払えなかった事を指摘されながら終始圧倒され、止めのジュウオウドデカダイナマイトストリームを受け、ジニスの名を叫んで爆死した。
「まだだ……私はまだ……!!ジニス様ァアアアア!!!!」
自分の力だけで復讐を果たそうとした男の末路は、復讐の行動自体は勿論、それが失敗に終わり恐怖と絶望に沈んだ後、生き延びようと見苦しく足掻いて死ぬまでの一部始終すらも、『ゲーム』として憎き仇を楽しませる余興に使われると言う、余りに惨めで哀れな物であった。しかし、自分の目的の為だけに全く無関係の命を犠牲にする事も厭わず、デスガリアンのチームリーダーとして悪逆の限りを尽くしてきたことを考えると、彼の死もまた、因果応報であるかもしれない。
そして、彼に与えられた報酬は「面白かったよ、クバル」という、冷笑を伴ったジニスの一言だけだったのである。
ジュウオウジャーVSニンニンジャー(※ネタバレあり)
クバルが離反する前の時間軸(右手がバングレイのものになっている上、バドがジュウオウチェンジャーファイナルを所持しているため、38話終了後から40話開始前までと考えられる)であるため、普通にデスガリアン陣営として出演。
ナリアが呼び寄せたギルマーダへの加勢につき合わされ、「何故私が・・・」と言いつつナリア、アザルドと共にギルマーダを援護しようとするが、突如新たなる戦隊キュウレンジャーが現れ、交戦することになる(この際、「どこかで見た顔ですね・・・」と呟いている)。
最終的にキュウレンジャーの必殺技をアザルドを盾にして回避し、撤退した。
帰ってきたジュウオウジャー(※ネタバレあり)
ポカネ・ダニーロの手により、生前の記憶を持ったまま他の幹部たち達と共に復活。
恐怖の対象であるジニスはすでに死んでいる為、今度はジニスの代わりに自分が地球を支配するというゲスな野望を見せたものの、成長を遂げたジュウオウエレファントの野性解放を受けて「一度ならず二度までも……!!」と叫んで爆死した。
余談
声を演じる岩田氏は何度かスーパー戦隊の作品に出演した事があるが、今作で初めてレギュラーキャラを演じた。
また前述通りクバルは智将系キャラであるが、かつて某出演作の音響監督から「岩田光央キャラは何やってもIQが下がる」と言われてしまったことがあり、その末路はまさしく恐怖によりIQが下がることとなった。
ジャンル名の人工鉱物とはその名の通り人間の手で作られた鉱物の事で、その代名詞とも言うべきビスマス(蒼鉛)石の骸晶『ビスマス結晶』(※)がモチーフと考えられる。
(※融点の低いビスマス石を人工的に溶かし、急速な再結晶を誘発させた物)
また、ビスマスは猟銃に込める散弾の材料としても利用されている。
更に“心に余裕を持たせ平穏を齎す”パワーストーンとしても扱われるが、反面強度が低く脆い為装飾品には向き難いとされる。…ジニスの劣等感に塗れた本性を考えれば、精神とプライドが脆くも崩壊した後、狂いながら自身を崇めて死んでいったクバルは自らの自尊心を満たして心へ平穏を与えてくれる、正に理想の『玩具』であったと言える。
名前の由来は“質”を意味するQualityの短縮形“Qual”(クゥオール)と思われる。
策を弄して自分の力だけで復讐しようとするも、結局真正面からジニスに打ち負かされたクバルは、“天然物”の強さを持つジニスと比べ、ジャンルが“人工”ゆえに強さの“質”が劣っていたと言う事だろうか。もっとも、ジニスの正体を考えれば彼自身が“天然物”と言えるのか甚だ疑問ではあるが。
関連リンク
哀しき悪役:彼の境遇などを考えるとそう取れる。
他作品の関連項目
ブクラテス:18年前の動物系戦隊の組織の首領に故郷の星を滅ぼされて軍門に下った幹部。こちらも途中で離反するが、離反の理由が切り捨てられたことと最期まで首領と敵対しながら散っていったという点が異なる。
深海魚人デズル:20年前のメタルヒーローの頭脳派の敵幹部で、武闘派の幹部と仲が悪く、常に張り合っている点が共通している。こちらも武闘派の幹部より先に退場している。
伏井出ケイ:故郷が滅びて悪の道に走ったと言う点で共通する特撮悪役。
ジスプ:こちらも故郷が滅びて悪の道に走ったと言う点で共通する特撮悪役。
ノットレイダー:ある意味、首魁を除く構成員全員が、クバルだけで構成された組織。
ザボエラ:演者(ただし2020年版の方)&智将繋がり。最初で最後のチャンスを自身を十二分に理解し、対比ともいえる存在に引導を引き渡せられる最期を辿った。ただ、一応の目的(出世)と敵に傷跡を残せただけまだマシなのかもしれない。