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「・・・覚えておけ、ネズミ、前回の課題をすべてクリアして、はじめて"改良"という・・・!」
CV:龍田直樹(1991年版)/岩田光央(2020年版)

概要

魔王軍妖魔士団団長を務める魔族の老人。890歳。肩書きは「妖魔司教」。
卑劣で狡猾な策士で、その計略をもって幾度かダイ一行を苦しめた。ダイたちに力添えをするクロコダインにとっては因縁深き人物。

戦闘シーンはあまりないものの、その魔力と呪文はハドラー以上といわれている。
中盤からは実の息子であるザムザを助手に、超魔生物なるバイオ技術の研究に着手していた事も明かされ、その技術力は少なくない影響を及ぼしていく事になる。

人物像

一人称は「ワシ」で語尾に「じゃ」をつけるなど老人風の喋り方をする。
笑い方は「キィ~~ッヒッヒッヒッ!!」。

ハドラーには「魔王軍の中でも最も狡猾で最も残酷な頭脳の持ち主。油断もスキもない男」と知恵者として高く評価されていた。
事実かなり早い段階でダイの危険性を察知したり、フレイザードのことを戦うだけの戦闘狂と見なさないなど中々の洞察力を持つ。

また、悪魔の目玉を各地の戦場に送り、監視したり、敵の弱点を分析するなどの情報収集を行う。
この覗き見は日常的にやっており、これによって敵味方から情報を収集している(弱みを握っているとも言う)。しかもバーンとハドラーの謁見まで覗き見するなど中々の度胸を持つ。

しかしその知謀に驕って、他人全てを見下し道具としか思っていないというのが、このザボエラという男の本質であり、その態度を周りに隠そうともしていない。
現に息子であるザムザへ面と向かって「ワシの役に立たなければゴミ」と告げており、その息子からも「誰が死のうが一切悲しみを抱かない男」「自分を高く見せる事しか頭にない」と断じられていた。

それ故(元も含む)同じ魔王軍の構成員からも良い感情は持たれておらず、

  • 「魔王六軍団長の恥さらし」(ヒュンケル
  • 「人から人へ自分の成り上がりだけを目あてにうろつくドブネズミ」(ミストバーン
  • 「いずれハドラー様に災いをもたらすダニ。一刻も早く処刑するべき」(アルビナス
  • 「この世には本当に煮ても焼いても食えないヤツがいる」(クロコダイン)
と散々な言われようであった。
「卑劣なり!妖魔司教の巻」というサブタイトルまで存在する。

そしてそんな他人を利用したり、都合が悪くなれば仲間を見捨てるコウモリ野郎な性格が災いし、次第に人望を無くして孤立するようになっていった。

戦闘力

身体能力は六軍団の中で最弱であるが、魔法使いとしては非常に優秀な能力を持っており、大魔王バーンに匹敵する力を得たハドラーの動きを不意打ちながら封じるなど、決して弱者ではない。
また、劇中ではノヴァの剣から逃げ続ける俊敏性とスタミナも窺える(逃げ方はギャグそのものだが)。

それなりに高い実力を持ちながら、他人を利用したくて気が済まないような性格を持っていたことが宿命と言えるだろう。
ハドラーも「魔王軍六大団長は最強のメンバーだった」と述べており、その中には彼も入っていた。
ただしノヴァから逃げ回っていたことからもわかるように基本的には自分で戦おうとしない。というより絶対に勝てる状況でしか力を示そうとしないのだ。

同じく「相手を罠にハメるのが得意」なキルバーンは本気で戦えば正面から戦っても無敵の強さを持てる(ということになっている)のに相手をハメないと気がすまないことで罠の扱いに長けていたのとは、ある意味、対照的とも考えられる。

要するに、ザボエラはまともに戦えば充分強いくせに、自分では戦おうとせずに安全な場所で絶対に手柄をとることしかしないのである。しかも出世以外頭にない上に取り入ろうとした相手の旗色が悪くなればすぐに手のひらを返すために最終的にはバーンを含め、魔王軍の幹部全員からの信用を失うこととなった。

武器・魔法

  • 毒素

数百種類にも及ぶ毒素を体内に持ち、爪から相手に注入する。僅かにかすっただけでも効果がある。ポップを麻痺させた神経毒は複数の毒素を含んでいることからマトリフのキアリーでも簡単には治らなかった。レパートリーも豊富で、麻痺だけではなく「相手の意識を奪い意のままに操る」という代物まである。
特に後者の毒は満身創痍で逃げ出している途中に体内で精製したものであり、毒物の扱いにいかに長けているかがわかる。(詳細は後述「後期」「謀略」参照)

相手を眠らせる香を放つアイテム。疲弊していたクロコダインやヒュンケル、レオナ姫には効果があったがポップには通用せず、彼の声を聴いたダイは自力で目を覚ました。

敵の息の根を止める即死呪文。本編中で死の呪文を使ったのはザボエラのみである。
死には至らせなかったが、ダイを助けようとしたバダックの足止めに成功した。

姿を変える変身呪文。ポップの不意を突くためマァムに変身したほか、部下のあくましんかんを自らの姿に変え、影武者として使っていた。マァムに化けた際は、事前にハドラーから聞いていたのかポップの恋心をくすぐる言動で油断を誘うなど中々の演者ぶりを見せている。

瞬間移動呪文。自身が行った事がある場所ならどこへでも行ける移動呪文。

飛翔呪文。魔法力を放出することで空中を自由自在に移動することができる。

爆裂呪文。名前は叫んでいないが魔法の球を岩山から露出させる際に使用している。何気に一度に八発のイオラを放つなどすごいことをしている。

閃熱呪文。極大閃熱呪文(ベギラゴン)を使うマトリフに対して発動した。

火炎呪文。体力を消耗したダイたちに使ったがあるモノに阻まれた。

  • 集束呪文(マホプラウス)
他者の呪文を受け、それを自分の呪文に上乗せして放つ呪文。
作中ではサタンパピーから10発近いメラゾーマを受けて集束し、それを自身のメラゾーマに上乗せして放った。設定上ではザボエラ自身が使える呪文なら全てに適用できる。

使用者がザボエラであることから「他人の力を利用する卑怯な呪文」と紹介されているが、原理的には味方だけでなく敵の呪文も受け止めることができるので、マホカンタのような攻防一体の能力を持った呪文といえる。この集束に上限が有るのかは不明であるが、無いならばバーンのメラゾーマ(カイザーフェニックス)をも無効化出来る事になる。

よくミナデインと原理は同じと言われるが、実際のところは別物といってよい。
大きな違いとしてはミナデインは使用者以外はミナデインを唱える必要はないが、マホプラウスは他者から該当の呪文を撃ってもらう事が必要である事。

  • 拘束
右手から発するエネルギー波によって対象の動きを止める技。魔力か暗黒闘気を用いた技と思われるが詳細は不明。バーンに匹敵する力を得たハドラーすらも自力では逃れられないなど強制力はかなり強い。
アニメ版では「ハドラーも動けないがワシも動けない」という説明がされている。

  • 魔法の玉
旧魔王軍が使っていた「魔法の筒」の発展系。
サイズ自体は筒より大きいが、玉一つに数十体ものモンスターを収納できる。
「デルパ」の掛け声で内部の魔物たちを開放するが、その際に爆発して壊れてしまうため使い捨てである。

  • 毒牙の鎖

毒牙の鎖


自身の猛毒を帯びさせた鎖付きの鏃。急所を外しても一かすりで死に至る毒性を持ち、対象に目掛けて投げれば光弾となって貫く。

超魔ゾンビ


ザボエラが最後に使用した最大の切り札。彼の理想である「自分の肉体は一切傷つかずに思い通り動かせてなおかつ一方的に敵をいたぶれる能力」。
詳細はリンク先を参照。

劇中の活躍

15年前

元は息子と人間界の辺境で暮らしていたらしく、ハドラーが魔王として活動していた当時は彼を顧客にしていた在野の研究者だった。
そしてハドラーから『俺の部下になれば、世界の四分の一を与えてやる』と言う程な高評価で配下にならないかと勧誘を受けていたが、「自分は隠居がお似合い」と何度も断っており、魔力で威圧されてもより強い魔力で跳ねのける気骨も見せた。

しかし下劣な性格はこの時から健在で、何度も断ったのも「後々安く見られないよう自分の価値を釣り上げる」為の根回しだとザムザに嘯き、息子の研究成果も平然と自分の手柄にしていた。
しかもこの時ザムザの額にグラスを投げつけており、この頃からすでに毒親だったようだ。

そうした経緯もあってか、正式に配下入りしたのは大魔王バーンの台頭後であった模様。

妖魔師団長ザボエラ

初登場時はハドラーすら凄まじい衝撃と共に打ち破ったデルムリン島の光の魔法結界を音も立てずに通り抜けるというなかなかのインパクトを見せた。

デルムリン島へ侵入後、ダイの親であるブラスを掻っ攫う。
その後、ダイとの戦闘で、片目を失ったクロコダインの前に現れ、ダイに撃退された彼に対して「このままでは魔王軍に居場所がなくなるぞ」と脅しつけ、誘拐したブラスをダイに襲わせるという汚い人質作戦に協力させる等、序盤から下劣な策を取った。

表舞台に立つのはクロコダインだが、策を授けたのは自分であるため地位の向上に繋がると部下と共に笑っていた。しかし、彼は戦士としての誇りに迷いを生じた末に敗北。密かにその遺体を回収し、復活させるために蘇生液に浸からせたが、再び見に来た時にその姿はなくなっていた。

ハドラーと共に地底魔城を訪れた際は、ヒュンケルが「バーン様に気に入られている」という話を聞き、取り入ろうと目論む。手始めにマァムを弄べるようにすることをほのめかすが一蹴され逃げ帰る。

バルジ島の戦いではミストバーンと共に自ら出撃し、初めてダイと対面。バダックザラキを放って苦しめる。しかしダイに合流したクロコダインの加勢により劣勢を覆される。クロコダインから卑劣者として殺意を向けられるが、部下の妖術師をモシャスで自分の姿そっくりに変身させ身代わりにして逃げ去った。

その後、カール王国へ侵攻中のバランと合流。わずか5日でカールを滅ぼしたバランに恐れを抱く。その際にダイの話をしたことで、バランにダイの正体を気づかせる要因となった(ハドラーも一目置くバランには敬語を使っていたが、その厳格さも見抜いていたのか彼には取り入ろうとしたことはない)。

そのバランがダイたちに撃退された後、休息中のダイ一行をハドラーと共に襲撃。マァムに化けてポップに近づくと不意打ちで戦闘不能にした(この時の偽マァムの表情は邪悪な笑みを浮かべていた)。
ポップにトドメを刺そうとするが、駆けつけたマトリフによって片腕を切断されて阻止される(2020年版では切断はされず、炎系の呪文で焼かれる形に変更されている)。マトリフと戦うハドラーに加勢して優位に立つも、ダイによって呪文を跳ね返され撃退される。

ハドラーが死んだと思って「力添えを続けてきたのに役立たずが!」と吐き捨て、今度はミストバーン辺りに取り入ろうとするが、直後に生きていたハドラーから「オレとお前は最早一蓮托生。他の者に取り入るなら命はない」「超魔生物の研究をオレのために使え」と脅しつけられる。
以降は「魔王軍の科学者」というポジションが強調されるようになる。

魔軍司令補佐ザボエラ

ハドラーの肉体を改造した後は妖魔師団ごともはや忘れ去られたように扱われ、ダイ達の眼中からも消える。功を焦ってハドラーと交戦した直後のダイを始末しに向かう。その際クロコダインに自分の汚点を糾弾され逆上していた。

集束魔法(マホプラウス)を一行に向けて放つが、ハドラー親衛騎団兵士ヒムに遮られ、魔牢に幽閉される。本来ならそのまま処刑になるはずだったが、ハドラーは自分のパワーアップに貢献した事と、その為にザムザが死んだという負い目から見逃している。

その後、どうやって魔牢から脱出したかは不明(直前に起きた大爆発で魔牢が壊れたのだろうか?)だが大魔王バーンとハドラーの戦闘に割り込み、ミストバーン達が足止めされ孤立したバーンに止めの一撃が放たれる瞬間、ハドラーの動きを封じ逆転勝利に寄与した。

このことで魔軍指令補佐の地位を与えられ、今度は自らの上司となったミストバーン(もっとも、実際の地位は魔王軍結成時からミストバーン>バラン>ハドラー>残りの4人くらいの扱いだったが)に取り入ろうとする。

しかしミストバーンから「ハドラーを超魔生物に改造した時、黒の核晶に気づかなかったのか?」と問われ、
気づいていたが放置していたこと、さらに「いずれはバーン様のためにくたばる奴。巻き添えさえ喰らわなければいい」とハドラーを侮辱。
これに激昂したミストバーンから「カスがっ!貴様にハドラーを侮辱する資格は無い!」とかつて彼の弟子であったヒュンケルがやったように一蹴された。付け加えれば、『裏切る素振りを見せれば殺す』と事実上の死刑宣告までされている。

最終決戦の際、ヒュンケルとクロコダインの処刑場に現れ凄まじい数の魔界の魔物を呼び寄せ、更なる出世を狙って大破邪呪文ミナカトールの五亡星を阻止しようと、一かすりで死に至る「毒牙の鎖」でポップを狙う。
しかし寸前でメルルに阻まれ、それがポップを勇気の光に目覚めさせ結果として破邪呪文の完成に一役買ってしまう。皮肉にもかつて行った「汚ねえ人質作戦」でポップの勇気を奮い起こしたのと同じ結果になってしまった。

魔物達も全滅させられ、ミストバーンに後を押しつけて大魔宮へ戻ろうと苦しい詭弁で誘導を図るが、既に魂胆を見透かしていた彼からは軽蔑を通り越して滑稽にしか映らなかった。
そして「何の成果もないまま逃げ帰れば、待っているのは処刑だ」と突き放され、

「ミストバーン様っ……いやっ! ミストバーン!!」
「あんまりじゃあっ!! ワシらは、元は同じ六団長!! 共に戦ってきた仲間ではないかっ!!」
「それをっ…それを、見捨てるのか!!? ええっ!!?」

ザボエラは言うに事欠いて「仲間」という正義の味方の金看板を持ち出してまでミストバーンに縋るが、「仲間」故にバーン様最優先という自分の信念を知っているだろうと問い返され、もはや何も言い返せず膝を折った。

今まで人を利用するだけ利用し使い捨ててきた小男が、ついに「使い捨てられた」形である。それはまさにその場でミストバーンが言ったとおり「人生のツケというやつは最も自分にとって苦しいときに必ず回ってくる」状況でもあった。
同情したクロコダインから「この人数を相手に勝てると思うほどおまえもバカではあるまい」と降伏を勧められるが……

「笑わせよる!! 笑わせよるわあっ!!!」
「よりによってバカの代表みたいなおまえに、このワシがバカよばわりされるとはなァッ…キィ~~ッヒヒヒッ!!!」

逆に彼をバカにしながら哄笑。ついに切り札を展開し、最後の戦いを演じる。
魔法陣を守るクロコダイン、ノヴァ、そしてミストバーンと互角に戦ったロン・ベルクさえ圧倒したが、ノヴァの決死の行動に心を動かされたロンの必殺剣の前に破れ、自慢の切り札はバラバラに分断され、自身も満身創痍となる。

密かに戦場から逃れるも魔力もアイテムも尽きており、岩陰に隠れて這いずるという有様だった。そのまま逃げようとするが、それを見越していた因縁深いクロコダインが目の前に。まだ策を残しているとはったりを仕掛けるが、性格を熟知していたクロコダインに通じるはずもなかった。

(なんとかするんじゃ!! まだ…まだ手はあるはずっ!!!)
(ワシがこんなデクの棒と知恵比べして負けるはずがないんじゃ…!!!)

そこでザボエラは「六大団長の中ではワシだけが余りにも非力」「策を弄する以外生き抜く道がなかった」と語り、同情を引く芝居をしてから魔王軍と手を切ると頭を下げる。

「自らの切札、超魔ゾンビを破られ痛感した…やはり、ワシは人にすがらずには生きていけん奴だったようじゃ…」
「それがわかった今、恥をしのんでおまえに頼むっ!!」
「この場は見逃してくれいっ!!! 今後は、魔王軍には、決して協力せんと誓うっ!!!」
「もはや…ワシはおまえにしかすがれんっ!! 魔王軍から見捨てられ人間たちにも受け入れられない男なのじゃあっ…!!」

一方でわずかに体内に入っただけでも相手を意のままに操れる毒を体内で製造。和解の手を伸ばしたクロコダインを、まんまと策に引っかかったと内心で嘲笑う。

(やっ…やったァ~ッ!!! かっ…かかりおったぞこのバカめがっ!!!)
(う~~っくくくくくっ…!! クロコダイン!! やっぱり、おまえは底無しの愚か者よっ!!)
(ウドの大木!! いやっ…!! ワシの人生の踏み台をつくるための…材木じゃああっ!!!)

クロコダインの掌を狙って猛毒の爪を突き立てようとするが、それすらも見越されていたため失敗。逆に斧の柄を叩き落とされ、ロン・ベルクの意趣返しとばかりに両腕をへし折られて身動きが取れなくなる。

ザボエラ「きッ…貴様ァッ…!! ワ、ワシにだまされたフリをっ…!!!」
クロコダイン「……ザボエラよ。頭の悪いオレだが、だまされ続けたおかげで、一つ物を知った…」
クロコダイン「それは……! この世には、本当に煮ても焼いても喰えぬヤツがいる! ……という事だ!!」
ザボエラ「まっ…待ってくれェッ!!! クロコダイッ…」

策に溺れたことを悟って今度は本当に命乞いするが、最後まで言う間も与えられず獣王会心撃によって今度こそトドメを刺された。その後、遺体は生命活動の停止による体内毒素の暴走により、ジュウジュウと溶け果ててしまった。

クロコダインを終始「バカの代表」と見下していたザボエラだが、上記の言葉を本気で言っていれば、情に深いクロコダインなら命だけは見逃してもらえた可能性が高かった(ロモスでダイたちに敗れた後、彼を回収し蘇生液に漬ける処置をした恩がある)。
しかし「バカを利用し安全に手柄を立てる賢い自分」という理想像に固執し、生き残る最後のチャンスを自分でフイにしてしまうという皮肉な顛末となった。

単なるバカ』と『歴戦の獣王』の区別もつかなくなってしまったザボエラと、『無力な敗残兵』と『牙を隠した難敵』を間違えなかったクロコダイン。
常に他者を見下し相手を理解しようとしなかった前者と、他者の長所を見出し本質を理解するのが上手い後者。それが両者の明暗を分け、この最期につながってしまったのである。

策謀

  • 鬼面導士ブラス

クロコダインに授けた策。ポップ曰く「汚ねえ人質作戦」。
ダイの育ての親であるブラスをマホカトールの保護下にあったデルムリン島から連れ去る事により魔王の邪気の影響で凶暴化させ、クロコダインと共にダイたちと戦わせた。
ポップの機転でブラスが救い出されるまで相当に苦戦させていたことから、かなり有効な策であっただろう。
驚くべきはその時言ったザボエラの言葉。

「子供が絶対にさからえんもの・・それは“親”じゃっ!!育ての親に手出しはできまい!?ダイに対してこれ以上の刺客は考えられんて・・!!キィ~ッヒッヒッヒッ!!!」

普通に聞いても最低な台詞なのだが、なんと後にこいつもザムザという子を持つ父だと判明する。
後に判明したストーリーで序盤のセリフの印象や意味合いが変わることは珍しくない展開だが、コイツの場合最低だった印象をさらに下げるという、とんでもない台詞である。

  • バラン決戦後の夜襲
ハドラーに授けた策。バランとの決戦を終えた夜、疲れ果てたダイたちに共に奇襲をかける。
ダイ達を魔香で眠らせ、効かなかったポップにはモシャスでマァムの姿になり毒を与えることで麻痺させたが、助けに駆けつけたマトリフと交戦する羽目になり失敗に終わる。
2020年版では妖魔師団と親衛隊を動員してダイを討つと言い放ったハドラーに対し「これまでのような正攻法では勝てませぬ」「どんな手を使っても最後まで生き残っていれば勝者と呼ばれる」と甘言するシーンが追加されている。

  • 勇者ダイ抹殺
ハドラーと交戦した直後の体力を消耗したダイの抹殺を狙い、部下を引き連れ捜索に乗り出した。
あと一歩の所まで行ったが、ヒムの妨害を受け魔牢に幽閉される。
もう少しでダイにトドメを刺せたのを「勇者は自分が倒す」という理由で止めたハドラーが非難されることもあるが、この方針は大魔王バーンに申し出、魔王軍全体の方針として直々に認められていたものである。

そしてザボエラがやったのは手柄の横取りなことを棚上げしても出撃のために名乗り出た訳でもなく完全に独断専行であり、大魔王バーンや総指揮代行を任されていたミストバーンから勇者ダイ達にトドメを刺すよう命令を受けての行動ではなく、バーンを含めた魔王軍上層部の会議で決まった方針に喧嘩を売るも同然、組織という観点から考えると咎められて然るべき行動なのは間違いない。

これは、仮に無断で行動しても魔王軍のためなら許される、魔王軍のためになると理由がつければ何をやってもいいと言う暴走に繋がりかねない(極論、ただ競争相手だった同僚を裏切っている「かも」しれないから独断で処刑したけど、魔王軍のためだから許されるべきと言う理屈も成り立ちかねない)。

また、ハドラーに代わり総指揮を任されていたミストバーンに処罰されていれば幽閉では済まなかったことは想像に難くない為、彼が動く前にヒムを向かわせたのはハドラーからの最大限の慈悲に近い。
しかもザボエラを連れ戻すためにヒムが出張った結果、「超金属の敵」という脅威をポップとクロコダインに知らしめ、新たな魔法新たな技の習得に至らせる遠因となってしまった。

  • 見苦しい言い訳による大魔宮への逃亡
上記の通りミストバーンにクロコダイン達の相手を任せて大魔宮へ逃げ込もうとしたが、逆に論破され、到底勝ち目のない戦場にただ一人取り残されてしまう。

ただしミストバーンもただ見捨てたわけではなく、策を弄し保身に徹するザボエラが自ら前線に出た時点で何かしらの切り札は用意していると見抜いてた為、ケツを蹴っ飛ばす意味合いもあった。
そして前述の切札を持ち出した際には「叩かれてようやく手の内をみせおった」「これで地上は収まるかもしれん」とザボエラに勝ちの目があると見ている台詞を言い残している。

  • 嘘の命乞い
超魔ゾンビが破壊され、満身創痍で逃げ帰ろうとした矢先、クロコダインによって阻まれたため騙し討ちを計画する。体内で「相手を意のままに操れる毒」を製造し、隙を突いてクロコダインに爪を突き立てようとするが失敗に終わり、その生涯を閉じることとなった。

そもそもクロコダインは『策謀を好まない』ことはあっても、咄嗟の機転は良く利くタイプであり、断じて腕力だけが取り柄の『脳筋バカ』などではない(むしろ分析や判断力という点に関しては優れており、頭の回転はかなり速い)、十分な人格と知恵を持ち合わせた男である。

「非力だから他人にすがるしかなかった」と本人は嘆いたが、クロコダイン自身も彼の力量は初めから評価しており、初期にはハドラーからも「ザボエラが軍師としてついているなら安心」と独断専行を咎めていない等そこそこ信頼はされていた。
また軍団長結成時には、バランでさえも手にするのを戸惑った炎の中にある「暴魔のメダル」を取って忠誠心を示そうともしていた。
この結末は、そんな周囲の信頼を踏みにじった彼自身の因果応報だったのだ。

最大の失策は何と言っても実力不足だろう。
というのも最後のやり取りの際、クロコダインはザボエラが爪を突き立てようとするのを見てから反撃している。これは(不意を突いたつもりでも)ザボエラにはクロコダインに指一本触れる実力もなかったことを示している。
ここに至って実力不足という「人生のツケ」が回って来てしまったのだ(無論、クロコダインとて今まで散々騙されてきたザボエラの言葉を全面的に信じていた訳も無いであろうが)。

そもそもグレイトアックスの斧柄でへし折られるような細腕で、クロコダインの鋼鉄の皮膚を貫けるか疑問である(皮膚からも効く毒、という可能性も無い訳では無いが)。
あるいは、これらのことがわからないくらい追い詰められていたからこそ策に溺れてしまったのか。
ちなみに2020年版アニメでは両手の爪で挟むようにしてクロコダインの手を狙っている。

総評

あまりにも作中での評価が低かったせいか、一部の読者で評価しようという声がなくもない。
そしてザボエラの能力自体は、先述した通り決して低くはなく、超魔生物など数々の兵器を作り出したその技術力は序盤どころか終盤に至るまで脅威となっていた。

自分の汚点を棚に上げながら正論を言う合理性も窺え、なんだかんだで最後まで魔王軍の一員として戦っており背信行為は一度もしていない。
周りから散々こき下されていたのも主に手段といった「人格面」ばかりであり、彼を心底蔑んでいたミストバーンですら「能力や成果」に限っては最後まで評価し続けていた節がある。

実のところザボエラが関わった戦いでは常にダイ達をあと一歩のところまで追い詰めており、失敗した原因も味方に足を引っ張られたり、想定外の事態が起こったりと、ザボエラ自身に落ち度があったとは言い難いものが多い。

それでもザボエラだけが徹底的に貶められ凋落していったのは、周囲を利用して自分だけ甘い汁を吸おうという精神性が周囲にダダ漏れであったことに他ならない。
如何に残酷な悪の組織であっても、如何に有能であっても、味方すら利用する捨て駒だと平然と公言し、本当にやり続けている様なヤツに重要なポジションを任せたいとは思わないだろう。

更に言うなら、ザボエラの策は成功すれば多大な貢献と言う点においては誤ってないが、逆に部下を使い捨てに一時は勝てても長い目で見ればトータルではマイナスになるリスク管理が抜けており、しかも自分の功績ばかりに目が行っており、それ故に失敗してももう一手を打って押し切るに至らぬ実戦勘の鈍さが目立つ。

実際の所、大魔王バーンを裏切ること無く魔王軍に留まっていたのも忠節からでは無く、徹頭徹尾自己保身のため、最終的に勝つのは魔王軍と見ていたからであった。そのためにザボエラの意識は「自分の成功が魔王軍の勝利に近付く、もたらす」ではなく「勝ち確の中で功績をあげる」と言う無自覚の甘さを垣間見せている。
むしろ魔王軍(厳密にいえばハドラー)からすればどこまでザボエラが落ちていっても粛清しなかったのは、彼のために命を落としたザムザへの義理立てが大きい。
逆に言えば、バーンの旗色が悪くなればダイ達に寝返る可能性も皆無とはいえなかった。もっとも、ザボエラの性格からして『魔族のロン・ベルクや自分と同じ軍団長のヒュンケルとクロコダインが受け入れられたのならば自分も大丈夫』というところだろうが、だとすれば見当違いも良いところだろう。

本人は自身を世渡り上手と思っていたが、相手を理解しようとする意識の乏しさから取り入ろうとする相手を悉く怒らせ、最後は完全に孤立した様を見ればむしろ逆だったと言え、周りが相性の悪い武人肌な人物ばかりだった点を加味しても、策士として詰めが甘かったとしか言いようがない。
その辺りはバーンにすら気づかれない暗躍を行えていたキルバーンの方が役者が上であり、最後の大慢心を除けば演技力などの立ち回りでは彼を凌いでいた。

相手の本質を理解し美点を見出すのが上手く、魔王軍の誰もから評価されていたクロコダインとはこの点真逆である。
そんなクロコダインによれば、かつて六大団長が揃ったときは絶大な魔力で一目置かれた存在だったらしいが、出世欲に目がくらみ他人の力ばかりを利用している内にこんな小物に成り果ててしまったと、哀れみをもたれている。

最後の命乞いを見返せば、彼に比較して若く心身の充実した他の六大団長への劣等感が窺える。だからといって他人を踏み台にしてもいいという理屈にはならないが。

ダイの大冒険」とは、仲間との出会いや強敵との戦いで登場キャラクター達が成長してゆく物語であり、勇者一行は勿論、魔王軍の幹部でさえも己の殻を破って成長する逸材がいた。
そんな中、むしろストーリーが進む毎に人格が悪化していったザボエラは「成長出来なかった人物」の典型例として描かれており、ある意味本作のテーマの一つである「成長」に対するアンチテーゼ(堕落)とも言えよう。

もしもザボエラがバダックのように「非力でも役に立とうとする気概」や「他者に対する度量」「他者と共に歩もうとする心」があれば、クロコダインの隣に立っていたのはザボエラだったのかもしれない。
クロコダインにとってザボエラは「自分もこうなっていたかもしれないという可能性の一つ」であるが、ザボエラにとってバダックもまた「自分もこうなっていたかもしれないという可能性の一つ」だったと言える。

小話

1991年版でザボエラを演じた龍田直樹氏は、CDシアター版「ドラゴンクエストⅢ」でザムスという商人を、「ドラゴンクエストⅣ」ではアシペンサ(ピサロのてさき)を演じた。

2020年版でザボエラを演じた岩田光央氏は、DQ10Ver.6でカブを演じる事が決定した。

関連タグ

ダイの大冒険 クロコダイン ミストバーン ヒュンケル ハドラー
マッドサイエンティスト 卑劣漢 ジジイ

他作品の類似・関連キャラ

冥王ゴルゴナロトの紋章に登場する敵幹部の一人。小柄で卑劣な性格をしており、他者を道具としか見ておらず基本的には自分の力では戦わない(主人公から「クズ野郎」と言われたことがある)。最後の戦いでは同胞すらも利用しようとしたが失敗に終わり、命乞いから不意打ちを放つが見破られており、今度は本当に命乞いをしようとしたが最後まで言う間もなくトドメを刺された。ザボエラと似ているがミストバーンとも類似点がある。

妖魔ゲモンドラゴンクエストⅧの登場人物。レティスの卵を人質に取り村を襲わせるなど「汚ねえ人質作戦」を行った卑劣漢。

バビディ主人公の仲間を洗脳させた繋がり。ただしこちら育て親ではない。

蛮野天十郎ダルイゼン:最後に因縁深い相手へ命乞いしたが、拒絶され破滅した悪党繋がり。彼らはサボエラの様に「改心を装う」という発想すら抱かず元の態度を貫いた為、クロコダイン程の理解がなくとも断られるのは無理もなかった。

クバル(ジュウオウジャー)演者(ただし2020年版の方)&智将繋がり。ただこちらはは愚か、に傷一つ残させず一人惨めに散るというザボエラ以上に悲惨な末路を辿った。

外印るろうに剣心の登場人物。仮面で素顔を隠した中年の男(口調は老人)で死体で作った人形に入り込んで戦う。主に戦場を求めて強者の傍らに立つが、我欲を満たすために利用しているに過ぎず仲間意識はない。その最期は追い詰められた末に罠を張るもそれを逆手に取られて討たれるというものだった。

チンパン総督モンキッキ:演者繫がりの敵幹部で息子も幹部であることも同じだが親子仲は良い様子。アクション仮面とは正々堂々と戦った末に最期を迎えたのでザボエラよりはマシな退場だった。

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