「オレは戦うのが好きなんじゃねぇんだ…勝つのが好きなんだよォォッ!!!」
プロフィール
概要
漫画「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」に登場する敵幹部《六大軍団長》の1人で、氷と炎の魔物を束ねる氷炎魔団長。
誰よりも積極的な侵攻を繰り返し、「魔王軍の切り込み隊長」とも呼ばれている。
外見は、『ドラゴンクエストⅡ』などに登場する炎のモンスター「フレイム」と、氷のモンスター「ブリザード」を真ん中で切って足してごつくしたような姿をしており、名前もこの2体から取られている。
岩石部分はようがんまじんとひょうがまじんを意識しており、顔はばくだんいわを意識している。
ハドラーが禁呪法で作ったエネルギー岩石生命体で、体の中にある核(コア)によって相反する属性の体をつなぎとめている。
人物
「たとえ全てを失ったとしても、オレの勝利だけはのがさねぇ…!!」
一言で述べると己の存在意義を示すため、渇いたように勝利を求め続ける孤高の怪物で、炎のような暴力性と氷のような冷徹さが同居した性格の持ち主。
笑い方は「クックック」のほかに「ケケケケッ!」「ウヒャハハハ!!」など品のないものがある。
同時に魔王軍団の中では数少ない軍人的思考の持ち主でもあり、人間を殺すことには何の抵抗も持たず、劇中で人間を虐殺しているシーンが描かれた数少ない敵。オーザム王国攻略中は部下に対し「生き残った人間は村ごと焼き払え。女子供例外なく、人間がいた痕跡は灰にしろ」(2020年版アニメでは逆に「人間とそれに関するものは全部凍らせちまえ」)と命じ震え上がらせている。
相手がうら若い女の子であっても"顔を焼く"という行為を平然と行う(2020年版アニメではコンプライアンスの関係で直接的な描写がされていない)。
そしてその事を咎められた際には、
「笑わせるなッ!!ここは戦場だ、殺し合いをするところだぜ! 男も女も関係ねェ、強い奴が生き残り、弱い奴が死ぬんだよ! 傷つくのがイヤなら戦場に出てくるんじゃねえ!!」
と無慈悲ながらももっともな正論を言い放った。
この恐ろしいまでの冷酷な性格は、創造主たるハドラーのかつて情愛から任務を放棄した部下に対する「騎士道精神への怒りと軽蔑」が反映されたものと思われる。
またヒュンケルのことを青二才呼ばわりするなど、魔軍司令の立場によって滅多なことを言えなくなったハドラーの内心を完全に代弁しているシーンも散見される。
このような性格のため周囲の同格の軍団長にも粗暴な口調で話すが、生みの親とも言えるハドラーには一定の敬意を払って内心でも「ハドラーさま」と呼んでおり(一方でヒュンケルに負けた時には「なってない」と苦言を漏らし、特に敵討ちをしようとはしていない)、魔王軍の頂点であるバーンにも強く忠誠を誓っている。
「…オレの人格には歴史がねェ…
ハドラーさまがオレを造ってから…まだ一年足らずしかたっていない…
だからオレは手柄が欲しいんだ
たとえ百年生きようと千年生きようと手に入らねえぐらいの手柄がな!!」
生まれて間もないゆえに自分の人格と人生の経歴そのものが浅いことにコンプレックスを持っており、自分の存在を周囲に認めさせるため、勝利と栄光に異常な執着を持ち、勝つためなら一切の手段を選ばないどこまでも刹那的な男。
目的のためならばリスクの高い禁呪法さえも躊躇なく使用でき、命を危険に晒し寿命を削ることにも何ら抵抗を持たないその功名心は最早狂気の域。
そんな精神性もあってかフットワークは軽く、積極的に前線に出て手柄を立てようとし、ザボエラのように人道に反する卑劣な策謀さえも平然と扱える。
胸につけている『暴魔のメダル』は、六大軍団長の初お目見えの際、軍団結成祝い兼忠誠を試すための試練として大魔王バーンが送ったもので、フレイザードが生まれて初めて手にした栄光の証。
業火に包まれたメダルを前に鋼鉄のような体を持つクロコダイン、強力な金属の鎧を纏ったヒュンケル、高い防御力を発揮する竜闘気に使えるバランや最も古株で忠誠心の厚いミストバーンですら一瞬躊躇するほどの灼熱の炎の中に飛び込み、氷の右半身の大半を失いながらも手に入れた。
故に己の命以上に大事にしていたものであり、新たな栄光を得るため、捨て身の切り札を発動するために「バーン様 我に勝利と栄光を」と祈りながら外したことはその過去を知るクロコダインとヒュンケルを驚愕さえた。
狂気的に勝利と栄光を求める一方でリアリストでもあり、クロコダインの能力と致命傷の大きさからダイの力量を分析したりと、相手の強みや彼我の戦力差などは素直に認めるタイプ。その冷静な分析力は、基本的に他者を見下すザボエラからも評価されている。
実際侮っていたマァムが油断ならないと判断してからは、不意打ちで真っ先に殺しに掛かっていた。
魔王としてのハドラーの知性を継承しているだけあり、クロコダインの受けた傷から破壊力の分析をしたり、ダイと対峙した時には伊達に軍団長二人を倒していないと奥の手である『氷炎結界呪法』により相手の弱体化を行い、マァムによる追撃阻止を受けた時には魔弾銃の銃弾に「ギラ」を詰めていたことを見破るなど、単純な岩石生命体の中ではズバ抜けて頭の回りが良い。
自軍団の運営も、功績を求めるのもあるが、権限で動かせる最高戦力の自分が先陣に立ちつつ不測の事態への対応にいち早く指示を下せるようにし、部下も遊ばせずに取りこぼしがないように数のすり潰しや結界発生の下準備に待機させる、気球で撤退するダイ一行を自分の手を下すことに拘らずに気球を狙わせることで、あわよくばとどめを、最悪手が届かない遠方への逃走を防がせるなど、先を見据えた連携にも余念が無い。
覚悟を決めた時に主の名前を出す忠誠心と、そのバーンに長年仕えているミストバーンへの敬意のなさや、たった7日でリンガイア王国を攻略したバランへの恐怖心など、やはりその点においてもハドラーの精神的影響が性格へ大きく表れていることがうかがえる。
武具
- 暴魔のメダル
バーン軍の紋章が刻印された金色のメダル。授けたバーン曰く『余への忠誠の証』でフレイザードにとっては命の次に大事な物だが、後述の最終闘技を使う際には『過去の栄光に固執しない』ということで手放している。
またこのメダルはフレイザードの氷の半身を溶かす程の業火の火柱の中心にあったにもかかわらず、一切の変化が見られないが、これは『メダルがバーンの呪文の炎熱すらものともしない素材でできていた』か『このメダルには一切の影響がないようにバーンがとても精密な炎熱のコントロールをしていた』と思われる。
呪文&特技
- 五指爆炎弾(フィンガー・フレア・ボムズ)
五指から一発ずつ、計五発の「メラゾーマ」を発射する。直撃すればダイであってもカケラひとつ残らないと断言するなどフレイザードの技の中でも最高の威力を誇る。
ちなみに「メラゾーマ」を撃つ際は、相手に人差し指を向けるように放つ。
- 伝説の禁呪法
レオナを凍結させた技だが正式名称は不明。使い手であるフレイザードが生きている限り、どんな力でも砕けず、どんな呪文でも溶かせない。しかも氷漬けの間にもじわじわと生命力が消費されていく。
- 火炎系呪文(メラミ、メラゾーマ)
火球をぶつける攻撃呪文。バルジ塔の戦いで使用。メラゾーマは放とうとした際にマァムからギラの魔弾を投げつけられて誘爆させられた。
- 氷系呪文(ヒャダルコ、ヒャダイン、マヒャド)
冷気をぶつける攻撃呪文。素早いダイに対して「マヒャド」を使うが魔法剣で破られた。
氷炎魔団の不敗を支える究極の戦法だが、その実態は使えば外道扱いされる禁呪法の一種。部下たちに炎魔塔と氷魔塔を作らせ、フレイザードの核に作用して結界陣を構築する。この結界内では戦闘力は5分の1まで低下し、更には呪文が(そして魔弾銃のような魔法力に依存するアイテムも同様に)使用不可となる。ダイであっても並の人間以下のレベルになってしまう。
破るには核となっているフレイザードを倒すか、アンテナとなっている二つの塔を破壊するしかない(片方の塔を破壊しただけではダメ)。
- 氷炎爆花散(ひょうえんばっかざん)
自爆することで自身を構成する岩石を放つ全方位攻撃。氷炎結界呪法の合図として使われた。
- 弾岩爆花散(だんがんばっかざん)
最終闘法。氷炎爆花散を発展させたような技で、無数の弾岩(弾丸)となって相手が死ぬまで襲い続ける。フレイザード曰く「オレ自身ハンパじゃない痛みを伴う(生命力を著しく消費する)」ためできれば使いたくなかったという。その分非常に強力であり、この技でポップとクロコダインを倒し、一度はダイを「こいつには勝てない」と心を折るほどに追いつめた。
単なる打撃技ではなく、氷の弾丸で襲い掛かればポップのように半身が氷漬けになってしまう。
破る方法は、ポップがやろうとしたように弾岩を破壊するか、ダイのように核を探し当て破壊すること(ただし、前者の方法は属性に対応した攻撃をする必要があり、氷の岩石に氷属性の攻撃を当てても全くの無意味である)。
- 業火と氷結
フレイザード自身が炎と氷で構成された肉体のため、対象に触れるだけで全身を燃やし、あるいは凍結させる。この技でオーザム王国最強の騎士二人を始末した。火炎弾を放ったり氷の槍を形成することもできる。またギラ、メラ、ヒャド系の呪文を吸収してブレス攻撃として使うことも可能。
バルジ塔の初戦ではポップの顔を掴んで凍結させようとしていたが、ダイの始末を優先したため取りやめている。この判断がポップのベギラマによって氷の半身を燃やされる(溶かされる)という結果をもたらしたのだから皮肉である。
バルジ塔の戦いでダイの魔法剣(メラ)で腕を燃やされた際に使用。燃えた腕を自ら切り落とし、瞬く間に再生させた。ただし痛覚はあるようで、マァムからギラの詰まった魔弾で左腕を吹っ飛ばされた時は悲鳴を上げて悶えていた。この能力があるためか、劇中では「腕を失う」というダメージ描写が多かった。
- 爆炎(フレア)パンチ
鎧武装フレイザードになってからの技。魔炎気を込めた拳で殴りつけ全身を炎に包ませる。ダイへのトドメに使用したが倒すに至らず、その後の攻撃もすべて避けられてしまった。コンセプト的にはヒムの「超熱拳」と似ている。
劇中の活躍
氷炎魔団長としてオーザム王国を滅亡させる。
その後ハドラーに呼び出され、6団長会議に参加するが、パプニカ王国攻略をヒュンケルに任されたことを伝えられる。この決定に納得がいかず、独断でヒュンケルの始末を画策。
ダイ達との戦いで疲弊していたヒュンケルの前に突然現れ、地底魔城の溶岩を活性化させることでまとめて始末しようとする。だが末路を見届ける前に早々に立ち去ったことが仇となり、ダイたちの始末に失敗した。これによりヒュンケルは死亡したものとされ、彼が担当していたパプニカ王国(ホルキア大陸)の侵攻を引き継ぐこととなる。
なお、ヒュンケルのことに関しては「不幸な事故」ということで仲間内で処理された(仲間は皆フレイザードがやった事を察していた)。
バルジ塔に籠城するレオナ姫達の前に現れ、二人の賢者を寄せ付けない圧倒的な力を振るう。しかし姫の命を前にして、駆けつけたダイ、ポップ、マァムの三者の妨害を受け、苦戦を余儀なくされる。
そこで『氷炎結界呪法』を発動させ、一行を弱体化させることにより形勢を逆転。今度は一方的にダイを痛めつける。そこで一行が撤退を試みていることに気づくと、勇者を逃すまいと姫を氷漬けにして人質に取った。
卑劣なフレイザードの策略に怒りを燃やすダイ。マァムの羽交い締めを振り解き、激しい怒りを露に斬り掛かるも、マァムの機転により不意に後ろから頭部を叩かれたダイは気を失い、逃げる一行に追撃を仕掛けるも再びマァムの妨害を受けてダイたちを取り逃してしまう。
その後、マトリフの助力を得て再起したダイ達と再戦することになるが、魔王軍総がかりでの勇者襲撃が失敗に終わり、ハドラーが敗れたのを知ると、これで勇者討伐を果たせば自身の大手柄になると苦しい戦況にむしろ笑みを浮かべていた。
「魔王軍の総がかりでも倒せなかった勇者の一行!! 全滅させれば俺の大金星よっ!!!」
一行がバルジ塔へ着くなり、地中へ潜って待ち伏せしていたフレイザードは奇襲を仕掛ける。手始めに先の立ち回りを見せたマァムの足首を掴みながら姿を現し、不意打ちで殺しに掛かるもヒュンケルとクロコダインの二人に阻止される(ハドラーが負けたことは知っていたが、ヒュンケルとクロコダインが手を貸していたことは知らず驚いていた)。
突然の増援に多勢に無勢のため降伏を勧められるが、捨身の全方位爆撃『弾岩爆花散(だんがんばっかざん)』で自分の体をバラバラの岩石と変え一行を圧倒。ポップとクロコダインを戦闘不能に追い込む。
だが体を崩壊させて放つ捨て身の技はフレイザード自身にも物凄い負担が掛かり、反動で岩石の纏うエネルギーが弱まった消耗した姿となりながらもそこまでして勝利に固執する姿はマァムに憐れみを持たれた。
「同情なんかいらねえよ!! 勝利の瞬間の快感だけが…! 仲間の羨望の眼差しだけが…このオレの心を満たしてくれるんだ!!」
「このまま大人しくテメェらが死んでくれりゃ…、万事めでたしなんだよッ!!!」
「それにバクチってのはな…、ハズレたら痛ぇ目みるから面白れぇんだよぉ!! ク~ックックックッ!!!!」
この窮地にフレイザードの特性を見切ったヒュンケルはかつてアバンに教わった「空の技」を思い出し、ダイにその目ではなく心で敵を察知して「空裂斬」でフレイザードの急所となる核を斬ることを進言。
一発目は不発に終わったが、危機感を抱いたことで自身の最強技であるフィンガー・フレア・ボムズの準備を始めるも、実際にはダイの一撃が核をかすっており、その影響でフィンガー・フレア・ボムズを放つ寸前に左手が崩壊する。空裂斬成功の希望を見出したダイだが、フレイザードは再び弾丸爆花散を繰り出し、ダイを翻弄する。
だが、ヒュンケルが自分の血でダイを目潰しした事により、気配で核の位置を特定して「空裂斬」を完成させた。ついには核を切り裂かれたことで肉体の維持ができなくなってしまう。
慌てて分離するも無防備となったところを狙われ、氷の半身をポップに燃やされ消滅。そして残った半身もヒュンケルに砕かれそうになり悲鳴を上げる。
「ひいいいいいっ…!!! やっ…やめろッ…やめてくれェッ!!!」
鎧武装(アーマード)フレイザード
「このパワーで! この強度で! これで負けたら…バカだぜぇぇぇぇッ!!!!」
そこで戦況の視察に現れたミストバーンから魔影軍団最強の鎧を示され、鎧を与える代わりに配下となるように告げられる。
一度は拒んだフレイザードだが、勝利のためあえてミストバーンの軍門に下り、この鋼鉄魔人として復活した。
力を得た後は、もうミストバーンに用はないと寝首もかこうと画策するが、まずはダイの始末を優先し、彼と最後の戦いを繰り広げる。
しかし空裂斬を極めたダイの敵ではなく、完成された「アバンストラッシュ」の直撃を受けてしまい呆気なく撃破されてしまった。
この時のフレイザードは、炎の体のみとなって血気盛んな面が前面に出て、氷の体の冷徹な判断力を失っており、それもダイに敗れた一因であろう。
一片の魔炎気になりながら辛うじて生きながらえ自分を騙したとミストバーンに罵声を浴びせるが、ミストバーンにとっては最初から勇者ダイの力量を測る捨て駒として利用するためにフレイザードへ鎧を授けたに過ぎなかった。
フレイザード「…てっ…てめえ…嘘つきやがったな…なにが…最強の…鎧だ…!」
ミストバーン「…あれは まぎれもなく我が軍最強の鎧 壊されたのは……それより相手の技がまさっていたというだけの話だろう?」
フレイザード「たっ…たのむ…もう一度チャンスを……!」
しかし二度もバクチに敗れた男に『仏の顔』は無く、もはや用は済んだと言わんばかりに踏み潰され、踏みにじられて消滅した。かつてはヒュンケルの抹殺を目論み『同胞殺し』となったフレイザードだが、皮肉にもその最期は『同胞に殺される』というものだった。
非道極まりない下衆な敵ではあったが捨て駒にされた哀れな末路を見かねたのか、ポップはせめて鎧の欠片を拾い集めて墓の一つでも作ってやろうかと皆に提案するが、フレイザードの同僚でもあったヒュンケルは「あれが奴の墓標だ」と指をさす。
その先には、フレイザードが新たな栄光を得るためのチップとした『暴魔のメダル』が空しく転がっていた。己のすべてを賭けた大勝負はフレイザードの敗北に終わったのである。
(なお、フレイザードにとって暴魔のメダルと鎧どちらが大切か、また印象がいいかと言われれば間違いなくメダルであるため、ポップの心遣いは「敗北と死の象徴を墓標にされる」というむしろ死者に鞭打つ行為に等しかった。そういう意味では「墓標はあっち(メダル)だ」というヒュンケルの指摘は元仲間としての最後の思いやりだったのかもしれない。)
また物語終盤でピラァ・オブ・バーンがバルジ塔に撃ち込まれたため、このメダルは消滅したものと思われる。(一部のファンからは『メダルに代わって上司のバーンからより立派な墓標(ピラァ)をいただいた』と言われている)
漫画版クロスブレイド
1巻から登場。ダムド軍の先兵として主人公ユウキたちの首を狙って襲い掛かって来る。容姿は鎧武装フレイザードの方。
仲間を巻き込むような戦い方で主人公たちにダメージを与え優位に立つ。クロコダインから獣王会心撃を撃ち込まれるが頭部にわずかな傷が付いただけで余裕を見せ、反撃してクロコダインを打ち倒した(会心撃が通じなかったのは、事前の不意打ちでクロコダインが弱っていたのが大きい)。
今度はダイのアバンストラッシュを撃たれるが配下を盾にして耐え抜き、主人公ユウキを押さえ付けて殺そうとする。だが頭部の傷が知らない内に大きくなっており、そこへユウキの一撃を受けたことで全身がひび割れてしまう。
更にバランスを崩したことで二人揃って地割れの中に落下。ユウキはダイたちに助けられたが、フレイザードの仲間はさっさと逃げ出してしまい誰も助けてくれなかった。クロコダインから「仲間を大事にしてこなかった結果だ!」と吐き捨てられる。
だがしかし、フレイザードを手を掴んだ者がいた。それは先ほどまで殺そうとしていたはずのユウキであった。命を救われたことでユウキを認めて改心し、カード化する形で主人公一行の仲間となった。
本当に改心したかというとかなり怪しく、武術大会のメンバーにされそうになった時は「全員殺していいんだな!!」と物騒な発言をしており、このためかユウキたちから呼び出されることは一度もなかった。
例外として5巻では他のカード化仲間たちと一緒に超越魔王ダムドを押さえ付け、ユウキの勝利に貢献した(ただし人助けが気に入らなかったのか「ケッ!」と吐き捨てている)。
7巻では極大召喚によって巨大化した氷炎将軍時代の自分(自我を持たない操り人形)を目の当たりにするのだが、あの肉体の方が強さそうだと関心を抱いていた。しかしメイロから「大きくても生活に困るでしょ!」とツッコミを受けた。
極大召喚のフレイザードはなかなかの強さを持っており、劇中では主にユウキの元親友タイガと対決。タイガがスライムたちの町を守ろうと庇ったこともあって大ダメージを与えることに成功する。
しかしタイガとユウキの想いによって奇跡が起こり、レオナのEXカードが出現。力を受けたタイガの空裂斬によって偽のフレイザードは倒された。
最終決戦では他のカード仲間と共に実体化して力を貸した。
人気
メインキャラクターの中では早期退場者(敵陣営の中では最初に死亡した)であるが、そのインパクトのある外観にキャラクター、数々の名台詞や必殺技によって読者に強烈な印象を残し、非常に知名度が高い。
※名台詞のパロディも非常に多い。
敵の中でもクロコダイン、ヒュンケルが改心したのに対し最後まで『悪』のまま退場した初めての人物である。自分に言い訳もせず体を張って悪事を働く潔さもあって、ある種の清々しささえ感じさせる名悪役である。
他の評価点として現代人が忘れがちな強いハングリー精神の持ち主でもあり、そういう意味でも人気が高い。
ロン・ベルクの「たとえ長生き出来たところで空虚な一生もある(意訳)」という台詞との対比としても、極端ながら栄光に執着して前線で生きるフレイザードの生き様はより際立っている。
実際のところ、上述のセリフでも魔王軍の総がかりで勝てなかった勇者一行をフレイザードがたった一人で倒せるわけがないのだが、それでも己のすべてを賭けることにより勇者を全滅寸前まで追い込んだことは高く評価する声も多い。
一方で、その生まれ故に「勝たなければ誰からも認められない」という強迫観念に支配されており、どれだけピンチに立たされても自分を大切にできないという、ある意味で悲しい性を抱えており、2020年アニメ版で再認知された際に彼の上記の悪役としてのイメージが強かったために驚きを受ける原作未読の視聴者も多かった。
特にフレイザードのような禁呪法で生み出された存在は、生み出した術者が死ねば自身も死んでしまうという一蓮托生の存在であり、そういう意味でも勝利によって自身の有用性を示すという部分があったと推測される。
また究極魔法の一つを取得できるだけの素養があり、マトリフ曰く、「誕生したて(実年齢は1歳前後。六大軍団長で文句なしの最年少である)」でレベルが低く助かったが、氷と炎の呪文を同時に使えるほど成長していたとしたらまず勝てなかっただろうと述べている。氷と炎しか使えないフレイザードにとってその成長は時間の問題であり、魔王の知性をそのまま継承しているフレイザードにとって、究極の魔法メドローアに気づくには何の支障もなかったことだろう。
事実、急激な温度差によって相手の鎧をボロボロにして砕くなど相反する二つの力を併用してより強力な相乗効果を生み出すことには既に気づいており、早い段階で始末できたことは非常に幸運だったと言える。
というか登場時から片手の炎で一人を焼き尽くしてもう片方の手で別の一人を氷漬けにして砕く、という行為をすでにやっているので、オーザム攻略の段階でこれを一人に試せば五指爆炎弾どころか五指消滅弾として光の矢が五連発で飛んできた可能性が高い。
立体物
タカラ(現:タカラトミー)「ダイコロ」にラインナップ。 鎧武装フレイザードもラインナップされている。 ※現在、入手困難
タカラ「ソフトフィギュアシリーズ」にラインナップ。※現在、入手困難
余談
- 実は六大団長の中で唯一武器を持っていない(未使用だがザボエラは杖を所持している)。
- 魔王軍関係者はバーンから何らかの所持品を賜っている(ハドラーは不死身の肉体、ヒュンケルやラーハルトは魔剣と魔槍、そしてミストバーンは……)。
- 同じくハドラーによって生み出されたハドラー親衛騎団と比較された際には「凶暴で栄光だけに執着するクズ野郎」と評され、事実冷酷で狡猾で卑劣な救いようのない外道ではある。
- しかし同じ卑劣漢でもザボエラのように他人を利用して手柄だけを掠め取ろうとするような狡すっからい真似はせず、曲がりなりにも弱肉強食の矜持を掲げ、自ら前線で戦い、不器用で荒々しい口調ではあるが自身が倒す相手には一人の戦士として敬意を払って倒している。
- この部分については創造主であるハドラーと共通と言え(マトリフが言うには「禁呪法で生み出された者は作った者の精神的影響をモロに受ける」ので悪役らしい性格ながらも体を張って闘う姿勢を見せたのも必然だったのかもしれない)、仮に終盤以降におけるハドラーに造られたのであれば「フレイザードも親衛騎団やバルトスのような人格であったのでは?」という考察も少なからずある。
- ハドラー自身は、誰であろうと平気で傷付ける薄情なフレイザードと違い情があるところもあったが、その情により情愛にうつつを抜かしてアバンに自分の玉座への門を通らせたバルトスの裏切りを見逃さず処刑した過去があり、フレイザードの容赦のなさはこの反省が大きく反映されたものと言えよう。
- 「勝負の前に相手の戦闘力を削ぎ有利になる」「過去の栄光を捨て、生命力を消費してでも勝利を求める」「今の肉体を捨て、より強い肉体を得る」「ミストバーンに用済みの道具として処分される」。これらはすべて後のハドラーがやった・やられたことである。
- 「漁夫の利を得てヒュンケルの抹殺を目論む」「勝利によって得られるもののために今の大事な物を捨てる」「マァムの憐憫を一蹴する」「反撃を許さぬ縦横無尽の超スピード戦法」。これらはすべて後のアルビナスがやったことである(彼女の場合はバーンに助命を請うためにハドラーの命令に背こうとした)。
- のちの展開を考えると、彼が鎧武装に宿る姿はミストバーンの正体の伏線と言えなくもない。
- ちなみに三条のインタビューによれば「フレイザードは残された炎の身体を全消費して魔炎気に転生させた」とのこと。
- 『ドラゴンクエストビルダーズ』の「第3章 マイラ・ガライヤ編」のボスで、ようがんまじんとひょうがまじんが合体した姿であるがったいまじんの姿が、炎と氷の左右非対称の姿であることからフレイザードにしか見えないと話題になった。
- アニメ(1991年版)でフレイザードを演じていた山口健氏は『ドラゴンクエスト 列伝 ロトの紋章』のドラマCDでりゅうおうを演じている。
- フレイザードがマァムの足首を掴んで襲い掛かるシーンは、作中でも屈指の読者サービスのため、pixivではこれをネタにしたイラストが多数存在する。1991年のアニメ版では忠実に再現されているが、2020年版では規制の関係で残念な結果となった。
- 初めて見るはずである魔弾銃の構造を一目で理解するのは流石に不自然だったのか、2020年版ではマァムがポップに説明する形になっていた。
- ゼルダの伝説時のオカリナにおいてよく似た特徴をもキャラクターツインローバが登場した。
- ライトノベル「風の聖痕」に登場する敵ガイアは「勝つために相手の戦闘能力を落とす(あるものによって魔法を封じる)」「無数の岩石を攻撃手段とする」「戦うのが好きじゃなくて勝つのが好きなんじゃないか?と主人公に突っ込まれる」などなどフレイザードのパロディとも言える人物となっている。ちなみに相棒には水と氷の術の使い手がいる。
- 発想の由来は三条が『ドラゴンクエストⅡ』でフレイムとブリザードに苦杯を嘗めさせられ、この2体が合体したモンスターがいたらと考えたため。氷炎魔団自体もフレイザードの設定に合わせて考えられた(2020年のジャンプフェスタにて)。
- 2020年アニメ版では現代のコンプライアンス(放送時間が朝になり、視聴年齢層が下がったことも一因だが)に従って描写やセリフの改変が散見されるがフレイザードでは顕著であり、記事内のセリフや描写もだいぶ変更されている。が、フレイザードの凶悪さがマイルドになったわけでは無く、しっかりと悪辣なキャラクターとして描かれている。これらに関しては1991年版も同様で、物騒な台詞が改変されている。
- 後に「コンプライアンスを守るフレイザード」がネタにされた。
- 2020年版のフレイザードを演じた奈良徹氏は並々ならぬ熱量でこの役を演じきり、迫力のある悪役っぷりを視聴者に見せつけた。演じる際も「フレイザードは岩石生命体なので肺呼吸をしないだろうから、一息に台詞を吐く」ことに拘ったとのこと。また、現代のコンプライアンスによって改変された台詞でもフレイザードの残虐性を出せるように頑張ったとのこと。
- なお奈良氏はのちにドラゴンクエストモンスターズ3でエクサ・アリーナの司会者であるほねリーダーを演じる。
- オフィシャルファンブックのインタビューにて原作者の三条は「フレイザードは純度の高い悪党で痛快なキャラだった」「フレイザードとの戦いは正悪両陣営の中間決戦と捉えていた」と語っており、だからこそやっつけて気持ちいいキャラにしたと語っている。
- 勇者アバンと獄炎の魔王では彼に似たグランナードが登場した。同じハドラーによって造られた岩石生命体かつ互いが誕生した時のハドラーの精神状態がそう違いがない(グランナードはハドラーとアバンの最終決戦直前に、フレイザードは最終決戦直後から十数年間の眠りについたハドラーが目覚めた直後に生み出した)ため、似ているのも無理はないと言える。
関連イラスト
原作準拠
マァム絡み
関連タグ
ドラゴンクエスト ダイの大冒険 フレイム(DQ) ブリザード(DQ) ようがんまじん
関連・一部類似キャラ
ドラゴンクエストシリーズ
- フェンブレン:『ダイの大冒険』で後に登場したハドラー親衛騎団の一人。フレイザードと同じく残虐性・功名心をハドラーから受け継いでいる。ただしこちらは仲間を想い普段は足並みを合わせるように配慮し卑怯な作戦を好まない側面なども持つなどどちらかといえば魔王時代のハドラーに近い。
- 獣王グノン:同じくドラゴンクエストを元にした漫画の敵キャラクター。勝利に固執する軍人的思考の持ち主(ただし卑劣ではない)。
- にじくじゃく:冷気を操るホークブリザードと炎を吐くひくいどりの組み合わせで生まれる虹色の孔雀。氷と炎が合わさった結果、究極の魔法を覚える孔雀が生まれるとはメドローアを意識した部分もあったのだろう。余談だが、2020年版ダイの大冒険のオープニングにも登場した。
- がったいまじん:『ドラゴンクエストビルダーズ」に登場するようがんまじんとひょうがまじんが合体した姿。ただし色はフレイザードと逆。
- 爆弾岩:原作と旧アニメでフレイザードの配下として登場。後に奥義の使用で核をメガンテで吹き飛ばされないようにフレイザードの意志で爆弾岩を撤退させている。新アニメでは出番カットされた。
- ドルマゲス:主人公を慕う姫に呪いをかけた男。それを解くために彼と戦うこととなる。
- 暗黒の魔人:『ドラゴンクエストⅧ』に登場するボス。岩石の集合体が意思を持って人型を象ったもので、鎧武装のように全身を鎧に包んでいる。最初の退場者となったフレイザードとは逆に、こちらは最後の刺客となる。『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2』ではあまりにも強過ぎたため弱体化された。