「・・・悲しいなぁ。」
解説
「悲しいなあ」が口癖の、道化師のような風体の不気味な男。
トロデーン城に代々封じられてきた杖を奪い、呪いによって城中の人々を茨に、トロデを魔物に、ミーティア姫を馬の姿に変えてしまった、『ドラゴンクエストⅧ』における全ての元凶である。
元々は、七賢者の一人マスター・コゾの末裔であるマスター・ライラスのもとで魔法の修行をしていた青年であったが、成果をあげることができず人々から馬鹿にされた過去を持つ。
そして修行に耐えきれず逃亡、自分を馬鹿にしてきた人々に復讐するために道化師としてトロデーン城に赴いたのだという。
師であったライラスをはじめに、その後各地を放浪し規則性のない謎の連続殺人を繰り返していった。
呪いをかけられたトロデとミーティア、それに仕える主人公はもちろんのこと、ゼシカにとっても兄サーベルトの仇であり、ククールにとっても尊敬するオディロ院長の仇となる。そのためストーリーの前半はこいつを追うことが目的である(ヤンガスだけは、ドルマゲスとは特に因縁がない。実際そのことに若干引け目を感じていることを言及する場面がある)。
後に『杖』に封印されていたある存在によって操られていたことが判明する。
ラスボスではないが、主人公達の当面の目的はドルマゲスを倒すことであるため長きに渡ってストーリーに絡む宿敵である。
過去
2015年度にリメイクされた3DS版では、彼の修行時代やマスター・ライラス殺害の真相が明らかになった。
数年間ライラスに師事していたが、魔法は一切教えて貰えないどころか文献を読むことすら禁じられ、召使い同然のようにこき使われていた。次第にライラスの扱いに耐えられなくなり、ある日留守番の最中文献を盗み読みしていたことを見咎められ、動画のサムネにもあるように「これなら犬でも飼っていた方がマシだ!」と侮辱的な暴言を吐かれたことをきっかけに飛び出してしまう。そして文献で発見したトロデーン王家に伝わる伝説の杖を奪い、その足でライラスを殺害してしまう。
態度こそ横柄であったもののライラスは根は弟子思いの優しい性根を持っており、魔法の才能がないドルマゲスのために、それを克服する薬を作っていた。
しかし不器用な性格が災いしそれをドルマゲス本人には伝えていなかった。薬が完成するとともにそのことを伝え暴言を吐いたことを謝罪するも時すでに遅く、ドルマゲスが杖を奪った後だった。
彼の口癖である「悲しいなぁ」という台詞はライラス殺害直後に誕生(一言目は本当に悲しそうな口調に聞こえる)しており、これがラプソーンによるものなのかドルマゲス自身の本心であるのかは定かではないが、師匠とのすれ違いの果てに、本当に悲しい結末を迎える事となってしまった。
余談であるが、一時的に杖に操られたゼシカは操られている間の記憶があった事から、ファンからはドルマゲスもライラス殺害時を含め意識が残ったまま操られていた可能性が指摘されている。
つまり、手にかける前に師匠の真意を知り、自身の愚かさを痛感しながらラプソーンに操られた可能性が高い。
…とここまで聞くと可哀相にも思えるが杖を盗んだ直後は魔方陣の中にいたため、ラプソーンに操られていなかった。つまりトロデとミーティアを魔物と馬の姿に変えたのは他ならぬドルマゲス本人である。しかもこの時、ドルマゲスは姿が変わった二人を見て「もっと凄い力が出せると思ったのに…。」と言っており最悪二人が死んでも構わないような口ぶりだった(寧ろ直前のやり取りを見るに口封じのために殺害するつもりだった可能性さえある)。
このように一見、同情を誘うがドルマゲス本人が善良だったかと言われれば否であり、仮にラプソーンに操られていなかったとしてもロクな事にはならなかったと思われる。悲しいなぁ。
また、オリジナル版では「魔術のウデはさっぱりなのにプライドばかり高いしょーもない男」とトラペッタの町の老人に評されている(このセリフはリメイクでもそのまま)他、杖を盗んだ動機が「馬鹿にしてきた人々への復讐のため」とされていたが、リメイク版では魔法を使えるようになりたがっていた動機含めこの辺りは掘り下げられることはなかった。
各形態
第一形態
「みんな この私に殺されてしまうのですから!」
道化師のような格好をしている初期の状態。『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』にもこの姿で登場している。
戦闘開始と同時に3体に分身する。分身は通常攻撃と怪しい瞳とかまいたちを使う。時々笑っているだけで何もしてこないこともある。因みに分身よりバリエーションが多い中央が本物。
行動時に何故かベントインの音声が鳴る。
3DS版の追加ダンジョン『追憶の回廊』では、強化版の追憶のドルマゲスとして再登場。こちらでは「つうこんのいちげき」を使う最もHPが多い中央が本体。しかし、左右の分身の行動パターンがまるで異なっており、本体が使用するパワーアップした「無数のムチ」や「ガレキ投げ」を使う以外に、左の分身が「ザオリク」、右の分身が「ベホマラー」を使用と、過去作のデスタムーア最終形態の両手のように、それぞれが個別の役割を有している。
- 使用技
通常攻撃、かまいたち、しんくうは、あやしいひとみ、いてつくはどう、ベホマラー、無数のムチ、ガレキ投げ、高らかに笑う(無駄行動)、分身を作る、
つうこんのいちげき(3DS版・追憶の回廊)、ザオリク(3DS版・追憶の回廊)
第二形態
「この虫けらどもめ! 二度とうろちょろできないようバラバラに引き裂いてくれるわっ!」
主人公達に呪いをかけようとしたが無力化され、追い込まれたドルマゲスが最後の手段として杖を体内に取り込み変身した姿で、大きな翼を生やしたような魔人の姿をしている。この形態から毎ターン必ず2回行動してくるようになる。
『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー』以降のドラゴンクエストモンスターズシリーズや『ドラゴンクエストモンスターバトルロードⅡレジェンド』、『ドラゴンクエストⅨ』にもこの姿で登場している。
3DS版の追加ダンジョン『追憶の回廊』では、第一形態と同じく強化版が登場するもののさすがに第一形態からの連戦にはならない。新たに「イオナズン」の呪文を使い、「はげしいほのお」がダメージが大幅に上がった特殊仕様の「しゃくねつ」に変わっている。また、専用特技である超高速連打と「フェザースコール」のダメージが格段に上がっており、更に行動妨害の「おたけび」が命中率上昇かつ「マジックバリア」で緩和不能という厄介な仕様変更がなされている。
しかし、呪文のダメージは通常通りなのでこの時点ではむしろサービス行動に近く、逆に特技を連発されると最後の試練並に難敵と化する。
あんなに望んでた呪文がサービス行動とは…
- 使用技
通常攻撃、マヒャド、ベギラゴン、はげしいほのお、いてつくはどう、おたけび、超高速連打、フェザースコール、しゃくねつ(3DS版・追憶の回廊)、イオナズン(3DS版・追憶の回廊)
担当声優
- 子安武人:ニンテンドー3DS版『ドラゴンクエストⅧ』
- 同氏は2020年版アニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』でミストバーン及び真・大魔王バーンを演じている。
余談
『ドラゴンクエストⅢ』から数百年後を描いた漫画『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』には、ドルマゲスとよく似た立場の強敵「剣王サーバイン」が登場する。
トルネコの大冒険二作目ではパン屋の青年が登場するが、こちらの師匠は生前に殴るなどしごいてたものの青年に技術を身に着けさせることはできたようで、自分の墓に刻んだ魔法のパンのレシピをトルネコの手助けで探し当てた青年は無事にパン屋を開業することができている。
関連タグ
バルザック(DQ):ドラゴンクエストⅣに登場した悪役。欲に目がくらんで進化の秘宝を手に入れるため封印を検討していた師匠を殺害して娘たちのモンバーバラの姉妹と因縁ができ、その後魔物化して勇者一行と戦うことになった悪役。こちらはエドガンの性格に問題は見当たらないため、ドルマゲスより動機がさらに悪辣。