概要
正式タイトルは『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』。
エニックス(現在のスクウェア・エニックス)のコミック誌、月刊少年ガンガンに連載されており『ドラゴンクエストⅢ』を題材にした漫画である。作者は藤原カムイ。少年ガンガン黎明期の主力作品でありCDドラマや劇場版も公開されている。
2004年~2020年までヤングガンガン誌にて、続編『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 〜紋章を継ぐ者達へ〜』が連載された。
本作はゲーム・ドラゴンクエストの「ロトシリーズ」とされている『Ⅲ』→『Ⅰ』→『Ⅱ』と続く時系列の中で、『Ⅲ』→『Ⅰ』の間に位置する物語として設定されている。
また、連載の半ば以降には毎号の扉絵で「登場するアイテムや呪文は、ゲームとは別物である」という断り書きが添えられるようになった。
…のだが、後年になってゲームの方に色々な要素が取り入れられている。
ストーリー
大魔王ゾーマが倒れ、世界に平和が訪れてから数年が経ったある日、勇者ロトの子であるローランとカーメンが地下世界アレフガルドから帰還する。両者は主を失った竜の女王の城とネクロゴンドに王国を建国し、『ロトの紋章』(ロトのしるし)を二つに分け、己たちの証しとした。
そして、勇者の旅の仲間であった3人のケンオウ(剣王・拳王・賢王)たちも各地に散り、ゾーマの残した最期の予言にあった『闇』の襲来に備えるべく、自らの技の伝承に従事していく。
それから100年後、世界は異魔神と呼ばれる闇の存在に脅かされようとしていた。カーメン王国の王子・アルスは、誕生したその日に魔王軍によって故郷を奪われ、父母と離ればなれになってしまう。そして10年後、バハラタ辺境の仙人の隠れ里で成長を遂げたアルスは、やがて世界を救う自らの使命と運命にその身を投じていくこととなる…。
登場人物
ロトの末裔
本作の主人公。カーメン王国の王子として生を受けるが、間もなく竜王が城を襲いカーメン王国は滅亡。タルキンやルナフレアの手によりイシスへ逃げ延び、彼らの庇護のもと成長する。10歳を迎えたある日、聖域の結界が破られたことを期に勇者として旅立つ。
勇者ロトの血を引くローラン王国の王子。少々不愛想な性格で、正論を言って相手を怒らせてしまうが、彼なりの不器用な気遣いを見せることもある。
当初は後述のジャガンという呪われた名を名乗っていた。アランを名乗り、勇者としての使命に目覚める経緯は物語後半で描かれる。
地下世界アレフガルドの勇者で、死産とされていたロトの娘フローラの子孫。闇のオーブを守り続けてきた。穏やかで冷静な人物だが全てを1人で背負いこんでしまう所がある。中性的な感じで作中でも性別については言及されなかったが実は…。
仲間たち
パーティメンバー
6代目剣王で、アルスと共に育った幼馴染で親友。3歳年上の兄貴分でもある。お調子者だが友情に厚くパーティのムードメーカー。初期は短髪だったが後半は長髪になっている。
5代目拳王で、真面目で礼儀正しく気の強さと優しさを併せ持つ強い女性。唯一の弱点は蛇。幼い頃故郷を滅ぼされて一族の仇を討つ為、祖父と大道芸をしながら世界中を旅していた。
2代目賢王で本名ノロップ。初代賢王であるカダルと血の繋がりがないが外見や性格が似ている。カダルと比べるとやや幼く感傷的な性格。遊び人だったがのちに賢者へ転職する(遊び人→賢者の設定は『ドラゴンクエストⅢ』の転職システムを倣ったもの)。
サポートキャラ
カーメン騎士団長ボルゴイの娘で、カーメン流二刀剣術の使い手。アルスを城から逃がした人物の1人。アルスとキラにとっては(最初の)剣術の師匠であり、姉のような存在。
カーメン王国の大神官で、ルナフレアと共にアルスを城から逃がした人物の1人。アルスの親代わりとなり育てたことから、彼を本当の孫のような存在に感じている。少々スケべなのが玉に瑕。
仙人の里に住む妖精。喜怒哀楽が激しく感情豊かで勇敢な性格。アルスの事が好きで旅に同行する。非力ながらその小ささと飛行能力を駆使して様々なサポートを行う。完全版にてとある人物の化身という事が明らかになる。
ジパング勢
- イヨ:ジパング国の若き女王でアルスに対して憧れに似た好意を抱く。
- イズナ:イヨの婚約者でアルスの事を認めつつも嫉妬心や敵愾心がある。
- リハク:錬金術師で勇者ロトに王者の剣を作った錬金術師の子孫。某軍師ではない。
他味方キャラ
- ルイーダ:ルイーダの酒場を経営する姉御肌な女性。
- タオ導師:仙人の里の長老で1万年以上生きている。ある意味全ての元凶。
- ボルゴイ:元カーメン騎士団長でルナフレアの父。
- ギラン:イシスの砂海を仕切る砂船乗りでキラの養父。
- ファン:拳王の里の生き残りでヤオの祖父。
- 海王リヴァイアサン:初代海王で七つの海を治める王者。
- 海王II世シーザリオン:2代目海王であり先代海王リヴァイアサンの生まれ変わりでもある。
- 精霊ルビス:善の神と呼ぶべき存在で異魔神をオメガルーラで宇宙へ追放した。
勇者ロトと仲間たち
- アレル:ロトの称号を得た勇者。アルス・アラン・アステアの祖先にあたる。
- カダル:初代賢王。時の砂の力で若返りを繰り返しており100年後でも生きている。
- フルカス:初代剣王。呪いの力に着目しそれを元にした新たな剣術「幻魔剣」を生み出す。
- フォン:初代拳王。紅一点で生き物の気の流れを読むのが得意。気を操る技術「波動拳」を編み出した。
魔王軍
- 異魔神:本作のラスボスで現代に蘇った太古の魔神。
- 冥王ゴルゴナ:四魔王の一人で妖(ファントム)兵団を率いており異魔神の側近。
- 獣王グノン:四魔王軍の一人で動物系のモンスターからなる獣(ビースト)兵団を率いる。
- リルパ:ローラン城に住む雌のリリパットで異魔神のやり方には疑念を持っている。
『ドラゴンクエスト』に登場する竜王の若き日の姿。竜族を統括し普段は人間の姿をしている魔王で、竜(ドラゴン)兵団を指揮する。「竜の女王」の遺児であり、本来は世界を守護する竜神であるが、異魔神に呪われた名前をつけられ魔王とされた。地上世界ではローランやカーメン、地下世界ではラダトームを陥落させた。竜の女王の杖から流れ込んでくる記憶により自分の出生の秘密と異魔神の真実を知り、全てを悟った後はアステアと対峙し表舞台から一旦姿を消す。
アランにつけられた呪われた名前であり、魔王軍の英才教育により鬼(デーモン)兵団を率いる「魔人王ジャガン」となる。その際に、父・ローラン4世を自らの手にかけた事で身に纏っていたロトの武具を手にしたが、それらは父の血と異魔神の血の呪いによって強化され赤色に変化した。これによりロトの力と魔人の力を併せ持ち、ライデイン以上の魔法エビルデインを習得する。しかし魔人の血に目覚めてもロトの血は失われることなく、二つの血のせめぎあいに苦悩している。
他敵キャラ
- サーバイン:魔剣ネクロスを使用する剣王で、拳王の里・剣王の里双方を壊滅させた張本人。
- デルス:竜王の配下で「変わり身の魔物」や「影の化身」の異名を持つ悪魔型モンスター。
- オモカネ:ジパングに住む鬼面道士でアルス達を騙しヤマタノオロチを復活させる。
コラボ
2017年9月7日から『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』のイベントで初の登場。異魔神、ティーエ、獣王グノン、冥王ゴルゴナを仲間にできる。また黒い隼の剣、ロトの紋章などのアイテムもモンスター専用アイテムとしてクリア条件や福引きで入手可能である。
2018年8月上旬から『星のドラゴンクエスト』で魔王軍侵攻イベント及びストーリーモードのイベントが登場し、アバターをアルス、キラ、ヤオ、ポロンへと変えられる(後半ではジャガン、アステアの服も追加)。
敵では血塗られたロトの鎧のジャガンや、魔剣ネクロス装備のサーバイン、ヤマタノオロチ・強が相手になる。武装に於いては賢王のローブや杖、拳王の服などオリジナルが展開される。同年11月では緊急襲来イベントでジャガンとヤマタノオロチ・強と戦う。
その1年後である19年6月上旬より復刻開催。上記の装備に加えイヨ、イズナの装備、すれ違い冒険者では全国各地でロトの紋章のコラボ限定の地図の配布、新たに原作のストーリーに準じたクエストなどの新要素が追加。
2022年11月22日には『FFBE幻影戦争』とコラボ決定。
ゲーム・ドラゴンクエストへの影響
主人公・アルスの名前が、のちに『ドラゴンクエストⅦ』の主人公のデフォルト名に設定されている。また例えば「マダンテ」のように、後のゲーム要素に技や呪文の設定などが反映されている部分もある。
関連イラスト
関連タグ
同じくドラゴンクエストを冠とした漫画:ドラゴンクエスト ダイの大冒険
他作品のその後を描いた漫画:ゼルダの伝説 リルトの誓い