概要
母親はドニの領主の屋敷に仕えるメイドだったが、領主に手をつけられてマルチェロを出産。領主と妻との間には子どもがいなかったことから、マルチェロは跡継ぎとして育てられた。
しかし後に領主の妻はククールを産み、邪魔者となったマルチェロは廃嫡され母親ともども屋敷を追われた。追い出されてすぐに母親は死に、マルチェロはオディロに引き取られ修道院で育つ事となった。
- 2015年にリメイクされた3DS版では若干設定が変わっており、領主が正妻と結婚する前に交際していた平民の恋人との間に生まれた子供となっている。結婚後に母親共々追放された(母親はその後死去)が、長く後継ぎの子供が生まれなかったためにマルチェロは再度養子として迎え入れられる話があがったものの、その矢先にククールが誕生したために結局はご破算となり、彼は二度に亘って父親に捨てられる事となった。
修道院で暮らすようになってから養父・オディロの影響もあってか、ごく普通の心優しい人間として育っていたが、ある日孤児のククールが修道院へやってくる。その素性を知らない間は寄る辺を失った彼を優しく慰めていたが、自分と母が居場所を失う原因となった子どもであると知るや態度を一変させ、ククールを罵りその場を去った。これ以降、マルチェロはククールを恨み続ける。そして、ふたたび居場所を奪われるのではないかという不安感はマルチェロの人格形成に大きな影を落とした。
ドルマゲスの襲撃によってオディロ院長を亡くした後、マルチェロは秘めた野心を現実のものにすべく、力を求めて暴走を始める。敵討ちを口実にククールを修道院から追い出したあとは、修道院長と騎士団長を兼任する。次期法皇の座を狙うニノ大司教に賄賂を渡して取り入り、手駒となることで法皇の警護役を任されるまでに出世した。そしてそのニノすら主人公一行もろとも排除しようとした。
マルチェロは『杖』を手に入れラプソーンに支配されかかったが、意志の強さでこれをはねのけ逆に『杖』の力を制御し利用した。最後の賢者の末裔であり養父オディロの親友でもあった法皇を殺害して、次の法皇に就任した。
聖地ゴルドでの法皇就任時の演説では、「王の子が王になり良家のものだけが法王になるように、『生まれた身分や血筋に縛られる社会のあり方を否定し実力のある者こそが覇権を握るべきである』として無能な王族どもを排除しそれに従わない者たちを殺す」と宣言した。
ラプソーンの肉体が復活し、聖地ゴルドが崩壊して転落しそうになるが、ククールの助けによって一命を取り留める。
『オレが誰か知ってからは、手のひらを返すように冷たくなったけど、それでも…………それでもオレは。忘れたことはなかったよ。』
あまりにも酷すぎる境遇によって絆を引き裂かれ憎み合う仲にならざるを得なくなっても、ククールは修道院にやって来たばかりのあの日、自分に優しく接してくれたマルチェロの姿を決して忘れなかった。
弟からの想いを聞いたマルチェロは、去り際に「……いつか……私を助けた…こと……後悔…するぞ……」とククールに告げ、怪我も癒さないまま聖堂騎士団長の指輪を渡しその場を去っていく。(曰く『もう無縁になってしまった』からとのこと)
その後の消息はPS2版、スマートフォン版では全く明かされなかった。
その所業から煉獄島送りになった可能性が高い(パルミドを訪れ、ククールと会話をすると・・・)。仮に流刑を免れたとしても法皇殺しの罪や聖地崩壊と暗黒神の復活を招いた張本人という弁解しがたい所業ゆえに、有力者などの保護なしで今後表社会で生き抜くことは難しいだろう……。
その後、3DS版リメイクにて彼が生存していることが判明し、追加された追加ボスとの戦いでは再びプレイヤーの前に姿を現し、ゲストとして戦闘に加勢する。それまでの出来事からか騎士団長の服を脱ぎ捨て、上下とも黒とブラウンを基調とした私服姿になっている。
どうやら行く宛もなくさまよっているようで、聖堂騎士団長の指輪を「もう私には無縁の物」だと言って渡したのも『自分はもう表社会では生きていけない』と悟ったからだった模様。
戦闘後ではパーティにククールがいると専用の会話が発生し、穏やかな笑顔を見せて去っていくという希望ある幕引きとなっている。(パーティメンバーにククールがいない場合「あいつ(ククール)に言っておけ。これであの時の借りは無しだ。」と、少しだけセリフが変わる)。
その後今まで彼に好印象を抱けなかったミーティア姫から「自分のわがままだけど、あの2人はたった2人の兄弟だから仲良くなって欲しい」と再評価を受けており、更正の余地を見せた。
『杖』を手にしながら、主人公たちに倒されるまでラプソーンの支配を受けなかった唯一の人物(犬もいるので生物というべきか)だが、結局は最後の賢者の末裔だった法皇を殺すことで『杖』の目的を果たしてしまった。操られなかったのはその強固な精神力以外に、ファンからは法皇殺害という利害の一致も絡んでいたためとも推察される事もある。
力を求めて手にした『杖』が、かつてオディロを殺害せしめたものであるとわかっていたのかは不明。
トラペッタ広場にいる青年は彼についての事はよく知らないようだが、オークニスのバーテン等は彼の事を「きな臭い事で有名」と嫌っている模様。
他作品では、「いただきストリートポータブル」にプレイヤーキャラとして登場した。
戦闘
戦闘では攻撃技はかまいたち、グランドクロス、メラゾーマを使用し、補助系ではベホイミと凍てつく波動などを使用する。単体攻撃が多いが威力は高めで、特に唯一の全体攻撃であるグランドクロスが危険。回復で使うベホイミは特に驚異ではないが、3DS版では削除されて代わりにザラキを使うようになり、危険度が上がっている。
3DS版での追加ダンジョン『追憶の回廊』において、強化版である追憶のマルチェロとして再度立ちはだかる。かまいたちの代わりに真空波、ザラキの代わりに命中率が上昇したザラキーマ、更に痛恨の一撃まで使う。また、即死呪文に加えて異常なまでの命中率を誇る特殊仕様のマホトーンでこちらの回復手段を封じるイヤミ……嫌らしい妨害まで行なうようになった。
ジャハガロス戦では、NPCとして一時的に仲間として戦う。使う呪文や特技は、ザラキと凍てつく波動を使わない以外はリメイク前のボス戦時と全く同じ。つまり、彼の強さは杖の力でなくほぼ自身の実力であった事が判明した。
余談であるが、グランドクロスはリメイク前はマルチェロと弟のククールだけが使う固有技であったが、海外版と3DS版ではククールがこれの代わりに「天国への階段」という技を使うようになったため、マルチェロ専用技となっている。
ネタ
髪の生え際がM字に深く切れ込んでいるため、ハゲの一歩手前であるとしてネタにされやすい。
DQ8までのドラクエの仕様上仕方のないことであるが、敵として対峙すると「マルチェロ 1匹」という表記にされてしまう。この時のマルチェロは仕様上モンスター扱いで、倒した後はモンスター図鑑にも載っている。つまり、マルチェロは人間ではないのかもしれない…。
上述のようにM字ハゲな所やプライドの高い所が「ドラゴンボール」のベジータと似ており、魔術をはねつけ操られなかったところや、何気にラスボス復活の元凶になってしまったのも似ている。ついでに父親が色々やらかしたせいで散々な目に遭ってるのも似てる。(ブロリー映画三部作、GTより)
そのためかどうかは不明だが、内部データの判断力(「ばか」「ひと」「かみ」の三段階。「かみ」はオークキングがいい例。ただし「ばか」だからこそ危険な敵になるケースも少なくない)が「ばか」に設定されてしまっている。哀れ…
……が、前述のNPC参加時はメラゾーマの威力が200超えなので、呪文の威力が賢さ依存である事を考えると相当な数値である事が窺える。(十八番のグランドクロスのダメージが劣っているのは、賢さの数値が反映されない特技、かつジャハガロスがバギ属性に対し弱耐性を持っているため)
関連タグ
ピサロ、ホメロス(DQ11):良く悪くもそっくりさん。ホメロスに関しては人間として生きているが社会から死んだマルチェロとは対照的に社会から生きているが人間として死んだと言う対照的な末路を辿っている。
ラーハルト:ダイの大冒険の登場人物。父親が魔族というだけで「魔族の子」として人間たちに迫害され、母親と共につらい幼少期を過ごした。一度死亡するが後に復活を果たし、卑劣な敵によって窮地に陥った味方の前に駆け付ける。また主人公の父親は彼にとって義理の父親でもあるため、主人公の義理の「兄」と言えなくもない(実際の関係は主従だが)。「愛人の子」というだけで実の父親に差別され、母親と共につらい日々を過ごしたマルチェロとよく似ている。
大魔王バーン:ダイの大冒険の登場人物。神々に差別されて魔界に追放されたことで憎悪の炎を燃やし、神々だけではなくその恩恵を受けた人間たちまで憎むようになる。実の父親に捨てられ、自分の代わりに恩恵を受けた弟を憎むマルチェロとよく似ている。