伝説、開幕
解説
時系列は『ダイの大冒険』本編から十六年前、魔王ハドラーが世界を震撼させていた頃が舞台。
後に勇者の家庭教師となるアバンの、原作では断片的にしか描写されなかった在りし日の活躍を描く。
既に語られた数々の顛末や経緯は全く変わらないが、逆に語られなかった部分は大いに設定やキャラが盛り込まれ、ダイ大時代とはかなり印象が異なる世界観を構築している。
第1話は単行本13巻(文庫版及び新装彩録版は8巻)に収録された外伝エピソード『勇者アバン』のリメイクとなっている。展開はほぼ同じだが、2020年のアニメ版同様に近年の社会情勢上問題になりそうな一部台詞は訂正されている。
連載開始当初は作品タイトルのとおり、“勇者アバン”と仲間たちの旅路から、“魔王ハドラー”との激戦の結末・エピローグまでを制作予定であり、第1話から第44話を経て無事に完遂。
だが想定を上回る支持を得ていたことから、後の世を救う弟子たちを育成するため旅するアバンを描いた第二部【先生編】として第45話以降も継続する事が決まり、それ以前の物語は第一部【勇者編】として位置づけられた。
作風
ゲームとしてのドラゴンクエストの文脈を色濃く再現した作風となっており、アバンたち一行はレベルアップのために積極的に各地を転戦し、モンスターと戦い、使える呪文や持てる装備も限られた中でバフ系の呪文も積極的に活用するなど、ダイ大本編以上に「原作ゲームの内容を強く描写したコミック作品」となっているのも特徴である。
一方、アバン自身のズバ抜けた要領の良さから、物語の進行ペースはかなり早く、それ自体が魔王軍を後手に回らせる戦術としても機能していた。
登場人物
勇者アバン一行
本作のメインキャラクターで、魔王ハドラー討伐に挑む勇者。
アバンの相棒。カール王国騎士団の騎士団長であるが、魔王討伐に挑むアバンに同行する。
ネイル村で僧侶として活躍している女性。アバン達の魔王討伐の旅に同行する。
ヨミカイン遺跡で本の中に封印されていた自称大賢者。スケベおやじ。
ロモスの山奥に住む老人。細い見た目に反して優れた身体能力を持つ。
アバンの教え子たち
アバンの最初の教え子。
魔王軍
多くの怪物達を従える魔族の王。世界支配を目論む。
ハドラーに仕える鬼面道士。デルムリン島で戦力となるモンスター達の育成をハドラーから命じられる。ハドラー四天王に就任したてで最近名前を授けられたばかりである。
ハドラーに仕える地獄の騎士。ハドラー四天王の一人で、ハドラーの間へ続く地獄門を死守している。
ハドラーに仕える亜人面樹。ハドラー四天王の一人で、狡猾な野心家である。
ハドラーに仕えるデストロール。ハドラー四天王の一人で、文武両道の戦士。
ハドラーが禁呪法で造り出した岩石生命体。血の気があり、荒々しい性格の持ち主。
ベルクス
魔の武器を得物とする獣面の戦士たち。主なメンバーは8人で魔王ハドラーが倒された後の地上に現れ、様々な暗躍を行う。先生編における敵。
豹の顔をした謎の剣豪。ハドラー討伐後のアバンの前に現れ、彼に対し勝負を挑む。
両手斧を振るう犀の面の戦士。クロコダインに戦いを挑み、彼の斧を砕き傷を負わせる。
十字槍を持つ鳥の面の戦士。
その他
カール王国の王女、病に伏せてしまった父に代わって騎士団の指揮を執る。
- アリアム
レイラの父。ネイル村の神父。
コバルトの息子。父から武術の指導を受けていた。
- コバルト
カール王国の先代騎士団長。ロカと息子に武術の指導を施す。
地上に隠れ住む魔族の老人。絶大な魔力を持っていて、ハドラーから何度かスカウトを受けているのだが・・・?
ザボエラの息子。超魔生物学を研究している。
ウルス湾の海底宮殿の主である人魚。海洋の魔物達からなる一軍を配下に置き、心身共に強い男を好む。
- ジニュアールI世
アバンの祖父。カール王国の学者。あまりにズバ抜けた知識と先見の明を以って国と民を守っていたのだが、逆に人々から気味悪がられてしまった。既に故人。
サババに住む闇商人兼義賊。かつてマトリフと同じ師匠の下で修行してしまったがすぐに脱落し今に至る。兄弟弟子としてまぞっほとも面識がある。
幻の賢者バルゴートの娘で、隠れ里ギュータの現頭首。体技と呪文を極めた女性。
ギュータに住む少女で、カノンの孫娘。父は元剣士でロカを、母はレイラのバギ系呪文を鍛えた。チョコマ自身もマトリフから教えを受ける。
初代ギュータの頭首。大賢者と呼ばれていた男だが、既に故人。
- パプニカ王
パプニカ王国を治める王。近々子を授かるとの噂がある。
アバンの祖父の代からジニュアール家に仕える執事。
パプニカ王国を支える戦士。
- テムジン
パプニカ王を支える家臣。
ハドラーの人間界侵攻を見ていた謎の存在。アバンとの戦いで撤退したハドラーに声をかける。ハドラーとの戦いで「凍れる時間の秘法」を利用したアバンにも注目すると同時に、警戒対象と認識する。
ローブを纏った謎の人物。死の大地で主に声をかけられた地上の魔王を見送っていた。日蝕時には、ある儀式を執り行っていた。
黒い仮面の謎の人物。ハドラーとアバンとの戦いの最中、魔界の神の所に姿を現し勝敗を占おうとする。
パプニカ王国に現れた謎の殺戮機械。
- アルキード王
アルキード王国を治める王。世界各地の魔王軍の進行が沈静化していった事から娘と共に魔王の気配が消えた事を察知し、安堵していた。
アルキード王の娘。父と共に魔王の気配が消えた事に安堵していた。
世界の均衡を保つ神の使い。時の竜の騎士は、地上の魔王の封印を感じ取った後、力の均衡を崩そうとする魔界の者を討伐するべく魔界に出発した。
鰐頭の獣人。剛力無双と名高い荒武者で、劇中時期では暴れ修行をしながら勢力を拡大していたらしい。
ザボエラに雇われ凍結状態のハドラーの身体をサババの地下壕から奪還した。
幽霊型の魔物からなる強奪集団・幽霊騎士団(ゴーストナイツ)の一員であるヘルゴーストの変異種。凍れる時間の秘法から解放される直前のアバンとマトリフを襲撃する。
幽霊騎士団の団長を務める暗黒の騎士。名をあげるためにハドラーが活動を再会する前にアバンを倒そうと動き出す。
第二部
ロカの後輩。コバルトの次代のカール騎士団長。
ベンガーナ王国の宮廷鍛冶師だったが、魔王討伐後の国政に立腹し辞職する。
ジャンクの妻。宮仕えを辞した夫を伴い故郷のランカークスに帰ることに。新たな生命を身ごもっている。
チュゴナの里に住む少女。
経緯
2020年のアニメ放映に合わせて企画が始動した。
Vジャン2020年11月号に序章を掲載、12月号より本格的に連載を開始した。2022年3月19日からはジャンプ+でも連載されている(毎週土曜日更新。2022年8月20日更新分でVジャンプの掲載ペースに追いついたため、以降は毎月21日に更新)。
作画担当の芝田優作の父は、東映動画(現:東映アニメーション)所属のアニメーターの芝田浩樹で、1991年版のアニメ制作の一翼を担い活躍していた。
企画会議の際は幻に終わった続編の「魔界編」を描く案も出ていたが、「2020年から放送を始めるアニメからダイに触れることになる新しい読者へのネタバレにならないようにしたい」という三条の意見から、勇者アバンの若かりし頃を描くことになったという。
書籍情報
当初はVジャンプ連載ということもありそれほど注目されていなかったが、原作者である三条自身が手がけた丁寧なシナリオや、詳細に描かれていくアバン達の過去、本編ではチョイ役だった特定のキャラクターの再登場等で人気を集めていき、単行本第1巻が発売された際には全国各地で品切れが続出し、プレミア化する事態が発生するほどの人気を巻き起こした(程なく重版および電子版が配信された)。売上は10巻発売時点で130万部。
関連イラスト
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外部リンク
ジャンプ+での連載※(第1話・第2話と最新話のみ無料掲載)