ガンガディア
がんがでぃあ
『迎え撃つ!我が生命と・・・・・・知性の全てを賭けて!』
所属 | ハドラー軍 |
---|---|
階級 | ハドラー四天王 |
種族 | デストロール |
得意呪文 | イオラ等 |
趣味 | 読書、トレーニング |
種族はデストロールという青い肌をしたオリジナルのトロル系モンスターで、アバン曰く幻と言われる程の希少な突然変異種らしい。
特徴的な模様のような髭に加え、筋骨隆々ながらもスリムな体格、そして眼鏡に袈裟というまるで僧侶か何かのような、舌をだらりと出し皮一枚をまとう程度が主なトロル族としては異例とも言えるインテリ系の外見・性格をしており、その優秀な頭脳と慧眼で魔王軍の参謀を務めている。
なおトロル族の象徴のようなこん棒は相変わらず持っているが、呪文と合わせて使うこともあるなどその扱い方は決して野蛮なばかりではない。
肥満かつ頭の悪い者ばかりで知られるトロル族のイメージから外れまくったその在り方は、主のハドラーも「粗暴なトロル一族の異端児だな、お前は…」と称する程。
ちなみにこの体格は彼の鍛錬の賜物で、デストロールという種族全てが彼のような体格というわけではない。彼の発言からして本来の体格は通常のトロル族と変わりないようで、違いは肌の色のみである模様。
配下の魔物も頭が良い者を重用している一方、断じて武力を蔑んでいる訳でもなく、「頭脳」と「力」の両方あってこそという考えであり、キギロによると武闘派でもあるらしい。
下記のアバンの動向の推測に対し「私でもそうする」と闘志を露わにして肉体を隆起させる辺り、戦いに対する欲求も確かに持ち合わせるともいえる。
そのあたりはやはり肉弾戦を主とするトロルの血というべきか。
他にも自身の最も嫌う同族であるトロル族も部下におり、私情を持ち込み過ぎない一面もある。
その知性から種の異なる人間の立場での主張を「一定の理がある」と考慮できる一方で、後述のコンプレックスを刺激する「デカブツ」などの蔑称に対しては一瞬で沸騰する程の怒りを見せる。
が、冷静な時に認めた相手ならは「デカブツのトロルはどうすると思う?」と、嫌ってるはずのデカブツを自虐とジョークを交えて使うなどの一面を見せた。
その知性から、好む好まないに関わらず合理的な発想や判断に至る事が出来、気に入らない手段であろうとも組織や主君のために敢えて手を染められると言う、合理主義の持ち主。
感情表現を言語化する時に、ストレートな表現が多く、人のようにオブラートに包むことはあまりない。悪口に関しては、流石に相手の前で漏らして不必要に摩擦を生じさせる様な事はなく、でも折を見て愚痴を漏らすなど、TPOは弁えている。周囲の存在が魔族だけなので、人間の様に見栄を張ると言った体裁の概念が希薄なためと思われる(彼が多用する『憧れる』と言う言葉の使い方を見ると、それが顕著に表れている)。
マトリフとは因縁を積み重ねて互いにリスペクトし合う関係であり、その故もあって敵キャラでありながらも読者からの高い人気を獲得している。
作者の三条陸氏もコミックス8巻にて「見事に独自の個性を発揮し『勇者アバン』の顔役として定着してくれました。魔軍司令時代のハドラーと違って中間管理職としても有能なので(笑)書いてて何度も助けられました。」とコメントした。
連戦とはいえ間違いなく人類の上位であったアバン一行をパワーと魔法の二つで圧倒した実力者。その力はマトリフが途中から参戦しなければ間違いなく彼らを撃破していたであろうと言われた程である。
また、その知性から下手に強力な火力に頼らず、連射性や不必要に周囲を傷付けないよう火力を抑えた呪文など、ケースバイケースに対応できる柔軟性も持っている。
- 棍棒
- 樫の木を加工して作られた打撃武器。巨漢なトロル族が扱う超大型の棍棒で、持ち前の怪力をもって片手で軽々と振り回し強烈な一撃を繰り出すことができる。
- 格闘
- 己が鍛え上げた身体能力から繰り出される武術。しかし魔法と比べるとあまり使いたがらない。トベルーラやルーラと併用して使うとかなり有効ではあるので不本意ながら魔法使いとしてではなく、魔王の幹部としての行動を優先した。
- 氷系呪文(ヒャダルコ)
- 凍てつく吹雪を発生させる攻撃呪文。
- 飛翔呪文(トベルーラ)
- 魔法力を放出することで空中を自由自在に移動できる呪文。術者の魔法力がある限りどこまでも飛翔することができる他、攻撃呪文などと同時に発動させることが可能。
- 瞬間移動呪文(ルーラ)
- 自身が行った事がある場所へ一瞬で移動できる呪文。目的地をイメージするのがコツだが、術者の印象に強く残っている場所があればそちらが優先される。
- キメラの翼を使っていた当初は覚えていなかったがウロド平原での戦いのときに習得しており、これでマトリフに奇襲を仕掛けて大ダメージを与えた。
- キメラのつばさ
- 雷に撃たれたキメラの風切り羽。瞬間移動呪文(ルーラ)と同じ効果を持つ道具で、目的地へと瞬時に移動できる。
- 魔導書
- ヨミカイン図書館に保管されていた一冊。よく目を通しているのか、しおりが挟められていた。魔導書を片手で持って読みながら魔法を発動しているシーン(本を持っていない方の手が何かに変化している場面)がある。
また、ウロド平原での戦いの後にはマトリフが見せた火炎呪文と氷結呪文の合成による対消滅の再現を試みたが、合成の条件である完全同威力での呪文を作り出すことができず、1年の間に何百回と試しても成功しなかったらしい。
それぞれの使い手のモンスターとの連携で試していた可能性もあるが、もしかしたら2つの呪文を同時に使用する技術も習得していたかもしれない。
なお、「異なる呪文を同時に扱う」ことはあのバーンが完全な状態でも出来ない(バーンは莫大な魔力のお陰で溜めやラグが極端に少ないだけで、魔法そのものは2つ同時に扱えない)高等テクニックである。
アバンの今後の動向と意図を「城の防衛をしながらでは、短期間に己の技量を上げることはできない。世界各地に赴いて魔物達と戦いながら、ハドラー様を傷つけた自らの技を極めようとするでしょう」と読み、ハドラーに報告。
その後部下のエビルマージに占領させた古代遺跡「ヨミカイン図書館」の知識をアバン達が得ようとしている事を知り、自身も赴く。
そして彼らに敗北し燃え尽きそうになっていた部下を、迂闊にも自らの名前と立場を説明するという愚を行ってしまった事もあり粛清した。
そのまま一行を追い詰め、加勢したマトリフのベタンで地下に落とされるも、ダメージは軽微だった。
しかし図書館の知識がアバンに渡ることを警戒し、ヨミカイン遺跡を崩壊させる。その後は自分用に見つけた魔法の本と共に地底魔城に帰還した。
今でこそ魔王軍四天王の一角であり、参謀の座にあるガンガディア。しかしここに至るまでの道は決して平坦だったわけではない。
その自らの中に眠っていた知力を開花させようと決意したきっかけは、自分たちトロル一族が「樽のような身体で涎を垂らしながら、原始的な武器を振り回して暴力を振るうことしか能がない」というレッテルに対して強い怒りを抱いた事が引き金であった。
そこから樽のような身体を絞り込んで筋骨隆々の身体に鍛えあげ、次に勉学に打ち込み知識を育てていき、衣服も原始的な服装から人間の武僧のように袈裟のような衣服を纏って清潔感が溢れる恰好に変更した事で現在に至る。
また勉学に打ち込んだ効果で魔法を習得することに成功し、一族に対するレッテルを覆さんばかりに「武術と魔法を使うことができるトロル」として魔王軍の中で名を広め活躍、幹部への道を進んでいった。
これらの経緯から、ヨミカイン図書館を「自分の知識を高めてくれる憩いの場所」と深く愛していたのだが、上記の通り大局のためなら破棄する決断も厭わなかった。
港町サババでは、ギガンテスとトロル達を引き連れて登場。町の外側から攻め込み、ハドラーの為に勇者の退路を断つ。
そしてロカとマトリフと対峙し、後者と争う。マトリフの冷静な頭脳を生かした魔法戦に翻弄されるも彼に対し強い憧れと敬意を抱くようになる。
単独行動に出たり、一心不乱に力を蓄えているハドラーに代わり、魔王軍の指揮をとる。
現在の魔王軍の状況は、モンスター育成のためにデルムリン島に赴いているブラス、ハドラーの近衛の為離れられないバルトス、侵略のためになかなか連絡が取れない遊撃要員キギロと他の幹部がそれぞれ事情を抱えている故に魔王軍の指揮をほぼ一人でこなしており、中々に苦労していた。
そんな最中であっても勇者一味を倒すために製作したあるモノをパプニカ王国に送り込み、勇者一味の動きを読んでいた。
勇者との決闘では、知恵と呪文でマトリフと勝負に挑むが、トロル族の身体能力を活かした格闘で重傷を与え追い詰める。
しかし、向こうの自爆覚悟の禁じ手で魔物の軍勢を壊滅寸前まで追いやられ、自身も地底魔城へルーラで逃げ返らなければ消滅していた。
以降ハドラーの気配が消えた事で、軍の活動を休止し彼の捜索に当たらざるを得ない羽目に。成果に繋がらないまま一年近くが経ってしまうも、ある日一人の戦士が凍てついた魔王を救出してきてくれた。
彼の功績と飾らない人柄に心から感謝・敬いの念を抱いたが、逆に直後やってきた救出の依頼主の傲慢な態度にはバルトス共々嫌悪を露わにしていた。
「知力さえ高ければ良いというものでもないのだな…」「全く!憧れない……!」
その後何とか原因(呪法の正体)を突き止めたが、具体的な解呪方が見つからず悩んでいた所、突然左手が勝手にペンを取って紙に何かを描いていく。紙には何かの魔法陣のようなものが描かれていて、これに魔王復活の望みを賭けて挑むのであった。
なお、彼は文献からある程度呪法のおおまかな原理を理解し、陰ながら手助けをしてくれた魔界の神の使いが授けたヒントで解呪法に辿り着くなど、手に入れた知識から必要な解答に迫る発想力も持ち合わせている事も見受けられる。
その後すぐ地底魔城へ乗り込んで来た勇者に対し、未だ封印の悪影響が抜けきらないハドラーに『この場を動かないで下さい』と進言。
魔王が勇者と戦う事になっても、自分を含めた配下達で勇者一行を疲弊・戦力低下させる計略を伝え、『迎え撃つ・・・我が生命と知性の全てを賭けて・・・!!』と信念を胸に戦場へ赴いた。
ハドラー軍
自分が仕える主である魔王。
自分と同格であるハドラー軍の四天王。
ヨミカイン魔導図書館の管理人を務める部下。
アバン一行との交戦の最中自分が『憩いの場』『知識の泉』と称する程にお気に入りであった図書館の本に火を点ける失態を犯したことから、粛清した。
アバン一行
勇者パーティーのリーダーである勇者。
アバンの仲間である戦士と女僧侶。
ヨミカイン遺跡内にあるヨミカイン魔導図書館にて遭遇し、交戦したがアバンを含めた三人を相手取っても全く苦戦しなかった。
ヨミカイン魔導図書館の『罠の本』に封じ込まれていたが、ロカの協力で解放された大魔導士。
アバン達に加勢したことから交戦するが、ベタンで圧倒されたことから「舐めてかかってはいけない強敵」として認識。
サババの港町で交戦した際に呪文だけでなく『体格差を覆す程の知略に優れている』ということから憧れと敬意の感情を向けるようになり、ガンガディアはマトリフを『自分自身の手で打ち勝つべき相手』として固執するようになる。
関連ドラクエタグ
ボストロール:元となったモンスターで、Ⅲから登場する常連モンスター。1991年版・2020年版の双方のアニメでも登場している。ちなみにⅢのボストロールは見た目とは違い知略を持って国を滅ぼそうとした頭脳派の魔物。
ジャック将軍:ドラゴンクエストヒーローズ2に登場した、ツェザール王子の右腕を務めるトロル。ガンガディア同様、卓越した頭脳と冷静な判断力を持つが、こちらは原作のトロルそのままの体型である。
関連同作者タグ
グリニデ:原作を担当した三条氏の作品に登場する、インテリかつ武闘派の敵。気にしているところを突かれると激昂してしまうなど共通点もある(ガンガディアはグリニデほどキレやすくないが)。
他関連タグ
呂蒙:かつては粗暴で猪突猛進だったが、学問を学び智勇兼備の名将に成長した中国の三国時代の武将。
カレルレン:武芸一辺倒の荒くれ者だったが賢者メルキオールに師事し、運命すら覆すほどの頭脳を得る。
【警告】これより先、この男の未来が記載されているため閲覧に注意されたし
立ちはだかる者 ガンガディア
闘技場にて、マトリフとの一騎打ちに挑む。
ヨミカイン魔導図書館で回収した魔導書を展開し、自身の腕を竜に変化させる呪文「ドラ」、頭部を竜に変化させ息吹を使えるようにする「ドゴラム」、そして火竜に変身する火竜変化呪文で自らを火竜と化し、アバン達を先に行かせたマトリフと激闘を繰り広げる。
この呪文は、強力だけどそれ故に火力と肉体の強化から力任せな戦法で、余計なことを考えずに相手を叩き潰せばいいという、知性に憧れたガンガディアが求めたものとは真逆。だが、主君のため、勝利のため、信条を捨てた覚悟から来る最適な戦略だった。
更に強化された身体能力と炎の息吹で満身創痍にまで一気に追い詰めた(炎の息吹は魔法ではないため以前のように同規模の氷系呪文で対消滅も起こせず、火竜には大抵の魔法が通じないため、非力なマトリフはアバンが残した盾での防戦一方でメドローアを使う隙が無かった)。
とどめを刺すべく激しい炎の息吹を出そうとしたが、あらかじめ放っていた小規模の火炎呪文と氷系呪文で作ったメドローアをフェイントとしたマトリフの計略にかかり、咄嗟に空中に飛び上がるも、その動揺と勝利のために切り捨てていた敵の行動の分析から来る隙を突いたマトリフ本命のメドローアを喰らう。
それすら致命傷だけは避けたかにみえたが、そうなることを予測していたマトリフは火竜の火炎器官を狙ってメドローアを放っていた。火炎器官の爆発で今度こそ致命傷を負い敗北、火竜変化呪文が解除された。
自身の矜持を貫き通したマトリフを称え、燃えかけていた魔導書を彼に託すと
『敵に奪われるのを恐れ、あの図書館を沈めてしまった事は心残りなんだ・・・あんなに素晴らしい知の泉を・・・・』と未来の魔法使い・僧侶達に未来永劫智慧を授け続けてくれる宝物を知性を重んじた自分が手にかけてしまった事を懺悔した。
その姿を見たマトリフは、師匠以外の誰にも負けない才ゆえに張り合える相手もいなかった自分の過去を打ち明け、『おまえさんは、初めて出会った、オレの血を沸かせてくれる素晴らしいライバルだったぜ、ガンガディア・・・!』と賞賛した。
それを聞き、
『・・・そうか』
『そちらもすでに知っていることかと思うが・・・』
『あなたに評価されると————』
『最高に嬉しい・・・・・・』
満足そうな表情を浮かべながら、静かに眠りについた。
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