「…蜘蛛の巣で踠く昆虫のように罠に填まって狼狽する相手を見るのは最高さ…!一途に努力してきた奴ほどその表情が楽しめる…一度それを味わってしまうと、他の殺し方なんてバカらしくなってしまうんだよ。そんな相手にスウッととどめを刺してやる時、はじめて心の底から思えるんだよねェ…」
「ボクは死神なんだってね…!!」
「審判(ジャッジマン)とグルっていうのは…一番恐ろしい罠(トラップ)の一つだよねェ」
プロフィール
概要
黒い燕尾服と笑みを浮かべた仮面を身に着けた道化師のような姿をした大魔王バーンの側近の一人。冷酷なサディストであり、その悪辣なキャラクターから少なからぬインパクトを読者に与えた。通称は「死神キルバーン」。
使い魔である一つ目ピエロのピロロを従え、大魔宮に仕掛けられた死の罠で侵入者を追い詰める死神。
バーンの意に沿わない邪魔者や、魔王軍団内部で不始末をしでかした者を排除する暗殺者である。
その存在はハドラーからも恐れられていた。
バーンの指示で動くのが主だが、部下と言うと少し語弊がある。
というのも「キルバーン」という名前は「KILL VEARN」(バーンを殺せ)という意味のコードネームであり、本来の名前ではない。
彼はバーンと長年覇を競っていたライバルである冥竜王ヴェルザーによって派遣された協力者でもあり、隙あらばバーンの抹殺を遂行する刺客なのである。
バーンはそのことを見抜いた上で飼うのも一興と思って、協力者に迎えたのだ。
オフィシャルファンブックには「冥竜王ヴェルザーが遣わせた切り札」と語られている。また協力者に加わった時期も魔王軍結成前(数百年前)とのこと。
人物像
飄々としてはいるが非常に残酷な性格をしており、弱者を卑劣な手段で嬲り殺すことが大好きなサディストである。
その残酷さはバーンでさえ、「残酷さだけは余も及ばない。おそらく魔界一だろうな」と評するほど。
ただし、バーンの興味の方向が相手の絶望ではなく自分の強さに対する優越感なので、個々の相手の絶望を煽る手腕はキルバーンが勝る。
更に一見ネタバレのような話や情報を漏らしながらも、それで敵の興味を惹きつけ自分のペースに持ち込むしたたかさを持っており、死神の笛の音を活かすために雑談という形で交戦中ながら互いに手出しをしない空気を作ったり、アバンとの決闘では「らしくない」ジャッジを「デザインが気に入った」「何がいつ役に立つかわからない」と妨害する仕掛けから眼を逸らす等その裏の真意を巧みに隠している。
ザボエラ等と異なり高い実力がありながら、好き好んで卑劣な戦いをするあたり、”死神”を自称するに相応しい食えない存在である。
強敵そうな雰囲気と大がかりな仕掛けを使うが、異名に反して劇中では誰も殺せていない。
これは彼の腕前が未熟なのではなく、むしろそれ以外で彼の姿を見た標的はすべて始末されているからである。実際、魔王軍の中でもそれまで彼の姿を見た者がいなかった。
そもそも、物語全体を通してまともに死んだ名前ありの味方キャラは、バランとハドラーくらいのもので作風と対象年齢故に成果が出せなかったというべきであろう。
また、最初にポップを死の大地に誘い込んだ時も長々と話をせず(ただし、必要以上に手出しせずに時間掛けることは、死神の笛を聴かせる上での戦略なので、無駄だったとは言い難い)に即座に攻撃しておけばダイの救援が間に合わずにポップを始末できていただろうし、アバンに対しても亜空間に連れ込まずにそのまま不意打ちで攻撃していれば間違いなく始末できていただろうことから、残酷さは彼にとっての隙にもなっている。
洞察力も特筆すべきものがあり、ポップの可能性を見抜いて真っ先に始末しようとする、ダイに対して「これ以上彼に戦闘を経験させるべきではない」とバーンに忠告するなど、敵側視点においてダイ一行の戦力を最も正確に評価していた。
同じ大魔王バーンの側近であるミストバーンとは親友同士。両者は性格や嗜好等が正反対であり、本来このような性格はミストバーンが嫌うタイプなのだが、バーンに対して臆さぬばかりか堂々と「キルバーン(=バーンを殺せ)」と名乗る度胸から、互いに実力を認め合い愛称で呼びあう仲になっている。
お互いに大きな秘密を抱えており、そこに踏み込まないでいたのも仲が続いた要因であろう。
バーンに対してもその器の大きさから好意を持っており、義理ではあるが一応の忠誠心は持っている。
逆にハドラーとの相性は最悪。
失態続きで保身を考えていたハドラーからすればキルバーンが現れる=大魔王が自分を斬り捨てようとしているという不安をかき立てる要素しかなく、キルバーンもそんなハドラーを「小心者」と呼んで嘲笑っていた。
ハドラーが保身を捨てた後もキルバーンに対しては「おまえがオレに塩を送ること自体信じられない」「相変わらず油断ならん奴」「死神のおこぼれで(バランに)勝ちたくない」と言う等、一貫してキルバーンのことは煙たがっていた。
しかし当のキルバーンは、ハドラーは自分が処刑されることを恐れているが故に、死神としてのキルバーンに最も強い恐怖心を抱いていたことから、むしろ『最高のリアクションをしてくれる観客』という意味でかなり好感をもっていた。(キルバーンはポップやハドラー等、自分好みの標的は『くん』付けで呼ぶ癖がある)。
アニメでは1991年版と2020年版だと中の人だけでなく演技も異なり、1991年アニメ版では邪悪な笑みの奥に潜む冷酷なる暗殺者を彷彿させる雰囲気を、2020年アニメ版では陽気な雰囲気の裏に狂気を抱く道化師を彷彿させる雰囲気を持たせている。
特に1991年版では初登場時に「~だ」と命令口調でハドラーに話すシーンがある。
アニメ版(1991、2020年)では喋る際に口が動かないという表現がされており、不気味さを醸し出している(原作で台詞を発するシーンでは、わずかにだが口が閉じたり開いたりしているのが窺える)。
本編での活躍
「…グッドイブニーング!鬼岩城のみなさん…!!」
ハドラーからは戦績が優れていなかったこともあり処刑しに来たのかと恐れられたが、実際は鬼岩城の居場所を知る裏切り者がいるので移転をするようバーンから命じられただけであった。当然ハドラーが失敗続きなのは知っており、ハドラーに「バーン様はとても寛大なお方だが限度がある」と警告している。
竜の騎士なのではとダイに興味を持ったキルバーンは、超竜軍団から借りたヒドラとドラゴン達を引き連れてダイ達が訪れたベンガーナ王国を襲撃。ダイによってヒドラとドラゴン達は倒されるが、救われた人々はダイに感謝せず逆に恐れて敬遠していた。そんな人間達を醜い生き物と軽蔑・揶揄しながらダイの前に姿を現す。この経緯もあり当初は超竜軍団の軍団長と勘違いされた。あくまでも実力を確かめさせてもらっただけと言い残して消えていった。ここで超竜軍団から竜を借りたのは、後に明かされた彼の出自が「竜の軍団」と相性が良くてもおかしくない事も関係しているのかもしれない(キルバーンは基本、単独行動であり、モンスターを率いたのは作中でこれ以外、ほとんどない)。
その後はバーンにダイが竜の騎士であるだけでなくバランの息子である事実も伝え、結果的にハドラーを窮地に追い込んだ。
ミストバーンがハドラーの超魔生物への改造の間の時間稼ぎとしてサミットが行われているパプニカ王国に鬼岩城で進攻した際には鬼岩城を失った事で激昂し、バーンの許可無く正体を晒そうとしたミストバーンを迎えに来る。そして当初から目を付けていたポップを死の大地へ誘き出し、忘れがちであった本来の仕事を実行。その仕事とは
「フフフフフ…キミも薄々気付いているだろう? ボクのこのファッション…"死神"という異名。そして今までの言動を見ていれば…ア・ン・サ・ツだよ…!!」
ポップに対して死神の笛でじわじわと痛めつけて窮地に追い込むが、ダイに阻止されてしまう。そのダイが超魔生物として復活したハドラーに敗れた後、今度こそポップを仕留めようとするが、クロコダインに邪魔されて失敗。一度狙った獲物を二度逃すのは生まれて初めてであり、死神としてのプライドが傷つけられたのを根を持ったキルバーンは、今後もポップを徹底的に狙うようになる。
その後、大魔王バーンは「もうバランは余のために人間の命を奪わないだろう」と判断。暗殺依頼を受けたキルバーンはバランの元へ現れ、冥土の土産にバーンの目的が地上を破壊して魔界を浮上させることだと明かす。死神の笛でバランの感覚を奪ったと見て仕掛けるもまったく効いておらず、一瞬で胴体を切り捨てられ敗北する。だがピロロが使用した不思議な粉の効果で瞬く間に復活を果たす。
ハドラーが離反した際は加勢しようとしたアルビナスの背後を取り動きを封じたが、「妙な真似をすればあなたも黒焦げになる」と相討ち覚悟の脅しを受け「人形ごときが」と毒づきながらも静観に徹する。
最終決戦ではハドラーとダイの戦いが終わると「ダイヤの9」を発動させ双方の始末を目論んだが、ポップの奮闘と、密かに復活し駆け付けたアバンの活躍によって失敗に終わる。
すぐさまアバンに危険を感じ、姿を隠して始末しようとするもハドラーに心臓を貫かれて倒れる。……
という演技で死んだふりをしてから再度アバンに襲い掛かるも、殺気を感じそれを見越していたアバンの策によりゴールドフェザーで動きを封じられた上に「笑いの仮面」を割られる。
【憤怒の死神】
屈辱に塗れながら撤退した後、「怒りの仮面」を身に着け三度アバンと対峙。「ジャッジ」を用いて亜空間に引きずり込み、決闘という罠を仕掛ける。
当初は互角の「決闘」を演じていたが、密かに仕掛けた13本の刃ファントムレイザーでアバンを包囲して一気に優位に立つ。
追い詰められたアバンからメガンテを仕掛けられるが、ここで最後の罠が発動。アバンの背後からジャッジに羽交い絞めにさせてメガンテを直撃させた。
そして自分だけ亜空間から脱出し「復讐完了」を宣言するのだった。
だがしかし、またしてもアバンの策(合流呪文)と「奇跡」によって失敗に終わる。キルバーンの後を追って亜空間から舞い戻ったアバンに対し、今度こそ「決闘」を行うハメに。
キルバーン「なぜっ!!? 何故生きていられる!!? ジャッジの自己犠牲呪文をくらって…!!!」
アバン「こうして生き残ったからには残る生命も、すべておまえにぶつけるのみだっ!! いくぞっ!!! キルバーン!!!」
キルバーン(こっ…この死神と呼ばれたボクが……今、初めて怖いっ! 恐ろしい!!)
キルバーン(すべての罠を出し尽くしたというのに!! 何故、こいつは…生きていられるんだ!!!)
アバンとて相当なダメージを負い満身創痍だったが、それを感じさせない猛攻によって形勢は瞬く間に逆転。命を懸けて戦う姿に死神は精神的にも追い詰められる。
そこでキルバーンは自らの腕を切り落とし、血液に着火させ大火球を生み出す奥の手「バーニングクリメイション」を構える。アバンもまた回避も迎撃も不可能と見てアバンストラッシュを構えた。
キルバーン「……アバンストラッシュか…! だが、恐るるに足らず! この一発に太刀打ちなどできる筈がない!!」
アバン「…よく言う! 生まれて初めて真剣勝負をするような男がっ…!!」
キルバーン「許さんぞっ、侮辱はっ!!! ボクはっ…あらゆる者の生と死を統括できるっ…死の神なんだああっ!!!!」
怒りと共にバーニングクリメイションを放ち、炎に包まれるアバンを見てキルバーンは哄笑を上げる。
直後、炎の中から飛び出したアバンに驚愕し、接近を許してしまう。
キルバーン「まっ…まさっ…かァッ!!!」
アバン「…やはり、やり慣れない事はするものではなかったな!! さらばだ死神!!」
アバン「アバンストラッシュ!!!!!」
勝負がついたその時、アバンの衣服に付いていた灰がある人物の姿を象る。それはまぎれもなくハドラーその人であった。ハドラーの意思は死してなお灰に宿り、密かにアバンをメガンテやバーニングクリメイションから守っていたのだ。
キルバーンはハドラーが起こした奇跡を「超魔生物細胞は魔炎気を発する。それが灰となり、若干高熱を遮る役目を果たしたに過ぎない」と否定しながらも立ち上がろうとする。
だがアバンストラッシュを受けた際、バーニングクリメイションの一部がキルバーンに燃え移り、全身に流れるマグマの血液に着火させてしまう。策士が策に溺れた瞬間だった。
しかしピロロから必死に頭を下げられ、アバンはフェザーを使ってキルバーンの炎を鎮火させた。助けられたキルバーンはお礼をすると言うが、アバンは「100%信用していない。おまえほど非道で美点の見つからない敵には、出会った事がないからだ」とその場を去ろうとする。
キルバーン「……酷いな。そういわず、受け取ってくれたまえよ…君にも大好評だった、この…! ファントムレイザーを!!!!」
アバン「…言ったはずだ。100%こうなる事はわかっていた、と。だから私は、もうすでに、おまえに一つの罠を仕掛けてある」
アバン「せっかく拾った生命を失いたくなかったら…その場を動かない事だ」
キルバーン「このボクに、逆に、罠だとっ……!!? 笑わせるなぁあッ!!!!」
激昂してアバンに襲い掛かるキルバーンだが、彼は指一本アバンに触れることは叶わなかった。
なぜなら事前にアバンが仕掛けておいた「ファントムレイザー」の一本によって首をはねられたからである。
ピロロ「………ダメだ。もう……直らないっ…」
アバン「いかに、不死身でも首がちぎれて生きていられる生物はいない。敗者は首をはねられる………か」
アバン「………残酷だが…彼が決めたルールの通りだ……!」
ピロロ「………………ちくしょう………! ちくしょおぉ~~~~~~~~ッ!!!!」
死神キルバーンは死んだ。残された使い魔も一人ではどうすることもできない。
そう考えたアバンはポップ達と合流するべく、今度こそ立ち去って行った。
勇者アバンと獄炎の魔王
前日譚である勇者アバンにも登場。アバンとハドラーの最終決戦をバーンとミストバーンと共に観戦する。本人は魔族の中でも高い才能と実力を持つハドラーにアバンが勝てるはずがないと踏んでいたが…?
ハドラーがバーンによって命を救われた直後に初めて謁見した際には、直に姿こそ現さなかったが死神の笛の音を響かせてバーンから紹介を受けており、キルバーンが本編に初めて登場した際に、ハドラーが彼の事を既に知っていた伏線にもなっている。
漫画版クロスブレイド
性格や口調が原作と異なり、余裕のない振る舞いを多く見せる。
3巻にて初登場しマトリフの命を狙っていた。その一環としギズモ4兄弟の妹が病気で苦しんでいることに目を付け、治療する代わりにマトリフを罠のある場所まで誘い出すように命じる。しかしヒートギズモのギーイチが主人公ユウキと仲良くなってしまったことで話が進まず、マトリフが外出中だったこともあり失敗する。
ギーイチからユウキの話を聞いた後は、マトリフを始末するより楽そうだということで標的を変更。時空の武術大会第2回戦にギーイチと一緒に出場しユウキを始末させようとする。だが事情を察したユウキは一切攻撃しようとせず、むしろギーイチの攻撃が兄弟たちに当たるのを体を張って防いでいた。改心したギーイチは負けを認め、キルバーンは役に立たない玩具を処刑しようとする。直後、怒れるユウキの鉄拳に横っ面を殴り飛ばされ、誰かのために頑張れるユウキの力に脅威を感じ撤退した。
6巻ではバーンに挑むバランに対し、卑怯にもミストバーンと共に背後から攻撃を仕掛けて負傷させる。
倒れたバランの姿をダイに見せて嘲りの言葉を掛ける。
キルバーン「ハハハ!!! どうだい!!! ダイ!!! こんな情けない姿の父を見る気分は!!! 幻滅したかい!!?」
ダイ「ふざけるなっっっ!!! 情けない…!? 幻滅……!? どんな姿だろうと…俺のっ…俺のっ…大切な人だっっっ!!!」
バランはバーンにトドメを刺されそうになるが、ダイはバーンの闘気弾を防ぎ仲間たちと共にバーンと対峙。その様を見たバランは竜魔人となって復活し、ダイも同じく竜の牙を用いて変身させる。
そして親子で放たれたドルオーラがバーンに直撃するもキルバーンとミストバーンの3人がかりで耐え抜いた(この時、意外にもバーンを守るようにミストバーンと一緒に正面に立っている)。
無茶をしたことでダイもバランも余力が残っていなかったが、バーンは「満足した」と言い残して姿を消し、キルバーンたちもそれに従った。
担当声優
1991年放送のアニメ版でキルバーンを演じたのは田中秀幸氏で、ダイの師であるアバンも演じている。そのため、物語の最後までアニメ化されていたならば田中秀幸VS田中秀幸の一人二役の戦いを見ることができたはずだった。
秀幸氏の役者としての力量により、温かみのあるアバンと比べるとこちらは無機質で抑揚のない声であり演じ分けができているのは流石である。そのため声が同じでもアバンとキルバーンが同一人物だと勘違いされない演出となっている。
2020年版では吉野裕行氏が演じているが、こちらでは秀幸氏の無機質な演技からは一転して陽気さと胡散臭さを前面に押し出した演技がされている…
のだが、前情報なしの視聴者は勿論、担当声優の情報を知っているファンですら「知っていると余計混乱する」とまで言わしめるほど氏の普段の声質からかけ離れた演技がなされている。
なお、演技自体は「雰囲気に合っている」と概ね好評。
また、吉野氏が演じているキャラは実は彼だけでなく…
戦闘スタイル
武器や道具を用いたトラップで術中に陥れることを得意とする。死神の笛を使い相手の五感を奪う特殊能力を持ち、トランプを模した罠を多数持つ。
しかも自身の身体に流れる血液は、魔界のマグマと同じ成分であり、迂闊に斬りつければ武器が破損する。例としてドラゴンの皮膚も貫くドラゴンキラーは、キルバーンの胸に突き刺さっただけであっという間に溶解してしまい、オリハルコン製の真魔剛竜剣ですら血液に含まれている強い酸により腐食して切れ味が鈍ってしまっている。
また、ある理由のため刃物で突き刺されたり胴切りにされたとしても平気で立ち上がれる。
むろん、死んだフリなどをして相手を騙す手法としても最適。
その他、壁の中に姿を隠したり、透明になることもできる。
以下は彼の武器について解説。
- 死神の笛
- 血液
- キルバーンの血液。魔界のマグマと同じ成分で、超高熱と強酸を含んでおり武器にでも付着しようものなら、腐食は免れない。ドラゴンキラーを腐食させ、自己修復能力を持つ真魔剛竜剣の切れ味をも鈍らせた。
- その高熱自体も十分武器として機能し、体が破損しても平気という特性を活かし自ら片腕を切り落とし、肉体分の血液を一気に炎上させて相手に放つ「バーニングクリメイション」に仕立て上げる。
- キル・トラップ
- トランプのカードに対応した数がある幾多の魔法トラップ。大魔宮各所に仕掛けられている。
- 劇中で使用したのは、魔法以外の干渉を受け付けない特性をもち(闘気技や物理攻撃は通じない)、魔界最強の炎からなる8本の火柱を標的の周囲に召喚し包み込んで焼き尽くす「ダイヤの9」。その炎はポップ程の魔法の使い手でも押さえ込んでおくのが精一杯で、完全に吹き飛ばすことはできなかったほど(メドローアでも一部をごく短時間吹き飛ばしただけ)。キルバーン曰く「自信作」。
- 非常に強力だが、相手が接近すれば自動的に発動するというものではく、術者が実行命令を下さねば発動しないため、使用の際にはキルバーンは常にトラップを監視せねばならないという欠点がある。
- 鋼鉄の剣
- 通常は死神として暗殺の仕事をする彼が、相手と真っ向勝負をする際に使用する、タネも仕掛けもないオーソドックスな剣。死神の笛を使いこなす戦闘力を持っている彼がデリケートではない普通の武器を使えば、当然無類の強さを発揮する。アバンとの一騎打ちでは先制攻撃で痛手を負わせ、その後も互角に渡り合う腕前を持つ。
- このように通常の鍛え方をしていればまともに戦っても無敵の強さになれる素質があるが、彼のモットーは「相手を罠にかけて倒すことこそが死神としての最高の瞬間」というものであり、「弱さ故にに卑怯だったザボエラ」とは一味違う「十分強いにもかかわらず卑怯を好む」というスキのない人物像を証明する武器とも言えよう。
- ジャッジ
- 魔界での決闘を行う際に使われてきた、由緒ある審判マシーン。手には大鎌を持っており、これを用いて対象者を亜空間という決闘場に引きずり込む。正確かつ公平な審判が可能で、最終的に敗者とみなした側の首を即座にはねるようプログラムされている。そして生き残った者だけが亜空間から脱出できる。
- 判定はリアルタイムでボイス付きにて行われ、攻撃時のダメージ量などが通知される。これはゲームにおける「数値によるダメージ表示という命のやりとりのデジタル管理」をストーリーに取り込んだ場面とも言える。
- 問題は、キルバーンの性格。これまでの挿話を読んでいただければわかるように、彼は正々堂々の勝負を仕掛けながら罠にはめる型。このマシーンを使ったのはデザインが気に入った(死神である自分のスタイルに酷似する)からだが、密かに改造を施しており、いざという時には審判の仕事を放棄し、相手を巻き込み自己犠牲呪文を唱えるようプログラムを書き換えている。
- ファントムレイザー
- 上記の剣を使った真っ向勝負の最中に仕掛けた狡猾な罠。あたかも真剣勝負をするように見せかけておき、実際それができる腕前を持つ故に、完成するまで相手に悟られることすらなかった。
- その効果は「設置した者にしか場所が分からない透明な刃を空中に設置する」というものだが、彼が所有するのは13本。巧妙に、相手を取り囲むように少しずつ設置すれば、やがて相手は取り囲む見えない刃にズタズタに切り裂かれる。並の剣なら真っ二つに折る硬度を持ち、破壊も困難。
- 使用後もピロロが新たに全補給してくれるなど、リソース管理も抜かりない。
- ただしこれにも欠点はある。一つは広い戦場だと効果を発揮し辛いこと。もう一つは「一度使用してからの補給後は最初に使った刃の位置をキルバーン自身も知覚できなくなる」ことで、万が一この刃を相手に奪われ設置し直されると、逆に自分が気づかず罠にはまるリスクが生じうる。(「自分だけ認識出来る何かの策がある」のではなく「自分で仕掛けたから場所を知っている」だけであり、仕掛けた本人にも実は見えていないし感知も出来て居ない)
- 任意で頭部から一斉に発射、手動で一つずつセットすることができる。
- 物体透過
- 壁や地面を水面のようにして入り込む能力。偵察や暗殺向けの能力だが、ダイには見破られた。
- 影の手
- 自身の影を動かして物体をつかみ引き寄せる。劇中では死んだ振りと併用して使われた。
その他所持品
- 笑いの仮面:初登場から身に付けていた仮面。不気味な笑みを浮かべた顔をモチーフにしており、バーンパレスでアバンに割られてしまい憤慨した。彼をよく知るピロロ曰く『お気に入りの仮面』だったらしい。
- 怒りの仮面:アバンとの再戦時に身につけた仮面。 本人曰く「今の気分にぴったりの物が見つかった」とのこと。この仮面を身に付けてからというもの彼に正々堂々の勝負(という新たな罠)を仕掛けるようになる。作画を担当した稲田曰く「三条から仮面のデザインラフを見せてもらったけど、よくわからなかったので描くのが大変だった」とのこと。三条は稲田に形状を説明するため、粘土細工の仮面まで作ったらしい。
- カード:ジャッジの決闘の際にアバンに投げつける形で使用。フェザーと相殺したことから何かしらの攻撃力を持っているようである。トランプカードは占いや魔法トラップとの連動など出番が各所にある。生涯占いを外した事は一度も無い。ジョーカーにはピロロが描かれおり、決闘を始める際にはこれを一種の「果たし状」代わりとしてアバンに投げ渡した。
- バーンの鍵:鬼岩城を起動させるための鍵。必要に応じて大魔王から貸し与えられる形で使用する。
呪文
- 瞬間移動呪文(ルーラ)
- 行ったことがある場所ならどこへでも一瞬で移動できる呪文。目的地をイメージするのがコツ。
- 飛翔呪文(トベルーラ)
- 魔法力を放出する事で空中を自由自在に動き回ることができる呪文。魔法力がある限り飛翔し続ける。
- 透明化呪文(レムオル)
- 一定時間、自身の姿を視えなくする呪文。人間族に対しては効果があるが、怪物(モンスター)達には見破れてしまう。
関連イラスト
余談
週刊少年ジャンプ平成4年45号で発表された2回目のキャラクター人気投票ではダイ側に付いたキャラを除いた魔王軍の中では唯一10位以内にランクインしており、それなりに高い人気を得ていた(ちなみに9位はレオナ。11位のラーハルトとは100票近く差をつけていた)。
「今後はボクを"魔王軍人気NO.1"って呼んでね」
「レックス・ハドラー」氏というハドラーという名前が実在していたことに原作者の三条陸氏は大変驚いたというのは有名な話だが、実はキルバーンにも「ケヴィン・キルバーン」氏というアイルランドのサッカー選手が実在する。
人物関係
ヴェルザー陣営(仮)
キルバーンの真の主。
行動を共にするひとつめピエロで、キルバーンの使い魔。
戦闘能力はキルバーンに遠く及ばないが、万一キルバーンが倒された際にはキルバーンの屍に不思議な粉をかけて復活させる重要な役目を担っている。
魔王軍
ヴェルザーの命を受けてキルバーンが仕える事になった魔界の神を自称する魔族。
自分と同じくバーンの名を冠する魔王軍の幹部。
性格は正反対ながらも、気の合う間柄のようである。
敵対者
魔王軍が敵対するアバンの使徒に属する魔法使い。
ポップのようなムードメーカーは『勇者パーティーでも真っ先に排除すべき存在』と認識しており、前述のキル・トラップ【ダイヤの9】でダイにはルーラで逃げられるものの、ポップは仕留められると思った際には特に悔しがらないどころか、ピロロと一緒に祝杯を挙げるほどだった。
前述のポップを含めた五人のアバンの使徒の師である勇者。
キル・トラップ【ダイヤの9】を解除されてポップを救われた上に、呪法の罠で拘束された上にお気に入りの仮面をカチ割られたことにより自尊心を傷つけ怒りに震わせた、文字通りの不倶戴天の存在として、自らの手で始末することに固執するようになる。
ちなみに前述の通り1991年版のアニメではキルバーンはアバンと中の人が同じでである(1991年アニメ版ではポップとミストバーンまでも中の人が同じ)。
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【警告】これより先、死神の正体に触れる内容が記載されているため閲覧には注意されたし
「少々お待ちを。女王様。ボクにも一言、祝福の言葉を言わせて下さいよ・・・」
首を切り落とされ、命を落としたはずだが、キルバーンは生きていた。己の首を腕に抱えながら。そして、彼は勇者達にこう告げる。
「『首がちぎれて生きていられる生物はいない』…か…キミのセリフだったねえ。たしかにそうかもしれない」
「…生物だったら……ね」
「ボクの身体が生物で無いとしたらどうかね。機械仕掛けの人形か何かで、それを操っている奴が他にいるとしたら………」
アバン「そ…そうだッ! 今の言葉は死神に言ったものでは無いっ!! 今の言葉をっ…あの時、聞いていたのはっ…!!!!」