概要
地上界の中心に位置する最大の大陸『ギルドメイン大陸』の中央部に存在している。
その地理的位置から世界の交易の中心地。そのため武力、経済力とも世界トップクラスで、世界で唯一デパートが存在する。デパートにはエレベーターまでが備え付けられており、丁寧に案内表示板まで整備されていることから、非常に多くの人々が往来していることをうかがわせる。
新たな武器を求めてやってきたダイ一行を狙った超竜軍団の襲撃を受け、多大な被害を受ける。
更にその数日後、竜騎衆の空戦騎ガルダンディーとスカイドラゴンのルードによってまたしても市街は壊滅的な被害を受けた(直接的な描写があるのは原作のみ。2020年のアニメ版では臭わす程度の描写があるがカットされている)。
それでも軍や国家に致命的なダメージは受けていなかったため(世界最大の軍艦等虎の子の戦力は無傷のままだった)自国の武力に自信を持っていたが、リンガイア王国の生き残りであるバウスン将軍から「無事だったのは、ベンガーナを担当していた魔王軍の軍団が本腰ではなかったから」と評されている(彼が戦っていたのはバラン率いる超竜軍団である)。
関連人物
クルテマッカⅦ世
国王。42歳。一人称は「ワシ」。
強大な軍事国家の主というだけあって自信家であり、当初は自国の財力・軍事力を鼻にかけてレオナ姫ら他国の代表との協調に反発するなど反りが合わなかったが、自国の力に驕ったために各国首脳を危機に陥らせてしまったことを詫びるなど頑迷な人物ではない。
実際、竜の騎士が想定外規格外の戦力であるだけで人間世界最大の武力を保持しているのは事実であり、サミットの際も鼻にはかけていたが、ベンガーナの武力で魔王軍の侵略を退けた場合の世界の覇権や外交上の優位を持ち出さず、とにかく最強の戦力である自国の主導のもとに世界の脅威を退けようと言う意見自体には嘘偽りなく、態度に難があっただけで問題には真面目に取り組んでいる。
鬼岩城を撃破したダイの活躍を目の当たりにして感動し、以後は強力な支援者となった。腹の据わったところがあり、一度信を置いた相手はとことん信じぬく。
「賭けに勝つコツは、最後まで勝利を疑わないこと」という持論を持ち、それによって代々の財産をさらに大きくしてきたという。大魔王バーンから世界各国の鏡に己の勝利宣言のような血文字のメッセージが送られてきた時にも、ダイ達に全てを賭けていた彼は動揺を見せなかった。
家族は、妻・息子1人・娘1人がいる。
CV:山本兼平
戦車(馬で牽く装甲付き砲車)部隊隊長。24歳。
自国の軍隊、特に自身が率いる戦車部隊には絶対の自信を持っている。当然のことながら砲術や馬術に優れるが、戦士として剣にも覚えがあるようで、最終決戦では剣を携え魔王軍の魔物達と戦っている(戦車部隊は魔王軍との戦いで既に大ダメージを受けている上、最終決戦は狭い谷に隠れて待ち伏せて光の魔法陣を発動させるという魔王軍の不意を突く作戦だったため、大砲や馬などは使用できず、戦士や魔法使いが中心になる戦いであった)。
デバートのオークションにおいて、ドラゴンキラーを落札した商人。戦いができるわけではなく、財テクのためであったという、商人らしいエピソードにして、商業都市の側面を見せた。
本人はわりとがめつい人物らしく、超竜軍団にベンガーナが襲われた際、「商品」であるドラゴンキラーを手放すリスクをおそれ、装備できる者に貸そうという発想はなかった。
母子
幼い少女と母親。超竜軍団にベンガーナが襲われて命の危機となるもダイに救われる。だが、娘は人間離れした戦いをしたダイを恐れて泣き喚いた。「等身大ではない存在を受け入れることができない人々もいる」というシビアな現実の描写である。
大臣
本編の十数年前を舞台にした外伝でのベンガーナの大臣。アバンの活躍でハドラーが打ち破られた際はベンガーナの被害が少なかったことをいい事に軍拡を行い他国を相手に優位に立とうとしたためジャンクの怒りを買ってぶん殴られてしまった。尚、この時代のベンガーナは兵器はともかく、精強な戦士、魔法使い等の人材が碌にいなかったらしく(王宮付きの戦士が大臣を殴ったジャンクを咎め挑むも、本職は鍛冶屋でしかないジャンクに剣を折られて忽ち無力化されてしまっている程)、それもあって勇者一行の最終決戦への助力として諸国が精鋭を派遣している中、まるで貢献できておらず、それも又、ジャンクに非難されている。ここから、どう変遷を経たかは不明ながら、本編の時代のベンガーナは(魔王軍に対抗するためでもあったが)最新の兵器・軍備を潤沢に有しており、一方でアキームのように戦士として精強な人物もある程度は擁するようになっていた。
元住民
CV:稲田恵司
かつて王宮に使えていた腕利きの鍛冶屋。威張り腐った大臣を殴ってベンガーナを出奔。妻の故郷であるランカークス村にて武器屋の店主となり、妻スティーヌとの間に一人息子ポップをもうける。
民が恐怖したものとは、何か?
超竜軍団に襲われた際、人間離れした戦いを見せたダイだが、人々の中には救ってくれたお礼よりも先に「人並みはずれたバケモノ」として彼を認識してしまった結果、ダイを恐れるという結果をもたらした。
というのもダイが紋章の力を発動させてからの戦闘が、ヒドラの首を一つ引きちぎることから始まり、ドラゴンを容易く投げ飛ばして爆裂呪文(イオラ)で二体まとめて倒し、瓦礫を容易く砕いたうえ、氷系呪文(ヒャダイン)で首を二つ凍てつかせた後、蹴り技で追い打ちをいれて蹴り飛ばし、ドラゴンキラーを装備してヒドラの急所を突き電撃呪文(ライデイン)を発動させて倒す
という事を単身で複数の竜を撃退する姿を目の当たりにしてしまったからだった。
また、この時のダイは、武器が砕けて素手でなんとかする必要があった状況のためか、ダイのアクションシーンでは泥臭さやヒロイックなものとは掛け離れており、言葉を選ばなければ残虐ファイトに近く、他の戦闘シーンでこの時だけは浮いている。
仮にだが、ダイがドラゴンの返り血まみれで全身朱色の姿で戦いを終えて人々の元へ駆けつけていれば、ダイを恐れた人々の心境は読者やダイ自身も察することが出来ただろうし、ダークファンタジー系の作品でなら描かれていただろう(竜闘気は全身で発して覆うので、返り血を浴びずに済んだが、逆にここで超然とした強者を美化して省みないで済むようにしたことでダイの突き当たる問題に焦点を当てることに功を成している)。
本作が「勇者とは必ずしも英雄として認識されるものではない」ということを明らかにしたと同時に、「一部の人々の畏怖」を「主人公に対して」向けられたシーン。今でこそありうる展開ながらも、当時は(ましてドラクエを題材にした作品として)極めて珍しいものだった。
何よりダイにとって堪えたのは、ダイに畏怖したのが大人達だけではなく自分が助けた幼い少女にまで「お兄ちゃん、怖い!」と拒絶されてしまったことである。ダイを人々が怖れたのは決して愚かな民衆の集団心理ではなく人ならざる者を怖れる正当な人間の本能であったかもしれないのだ…。
ダイ自身もこの一件と、それに続く父の過去を知った事で、それまで抱いていた「勇者」に対する価値観を大きく変化させる結果になった。
そして、最終決戦でも大魔王バーンがこうした負の側面を否定できぬ正論として説いており、それに対するダイが下した"決断"は今でも語り草である。
ベンガーナに対する評価
ベンガーナ来訪当初の楽しい買い物イベントは『ダイの大冒険』の中では数少ない一息付ける一幕でありながら、その後ダイが民衆に怖れられるという鬱展開はベンガーナ住民が一部の読者達に嫌われている要因である事は確かである。
連載当時は本誌でも主観的な解説が存在した時代であり(例えば呪文を吸収して上乗せするオリジナル呪文「集束呪文(マホプラウス)」が、使い手がザボエラだった事だけを理由に「卑怯」と書かれていたほど)、もしもダイの大冒険という作品が例えば2010年代に始まった作品だったとしたら、ベンガーナはどのような評価を受けていただろう?
品物
物資が豊かなベンガーナでは、良質な武具や道具が揃っている。ここでは、登場した品物を紹介する。一部は2020年のアニメ版で追加されたもの。
【武器】
【防具】
- 力の盾
- 美しい細工が施された盾。魔法石が填め込まれている。
- うろこの盾
- うろこを張り付けられた盾。比較的軽量のため身体能力が低いものでも扱える。
- 騎士の鎧
- 全身を包む白銀色に輝く鎧。優れた防御力を誇る。
- 踊り子の服
- 踊り子用の露出度が高いセクシーな衣装。
- アブない水着
- 露出度が高い水着。
- 派手な服
- フリンジやファー、宝石がついた派手な衣服。
- ぬいぐるみ
- 猫の姿をした愛らしいぬいぐるみ。着込むことで猫の姿になることができる。
- 天使のローブ
- 天使の羽で織られたローブ。即死呪文から身を守ってくれる効果を持つ。
- 天使のレオタード
- 天使が身に纏っていたとされる神秘のレオタード。即死呪文から身を守ってくれる効果を持つ
- 旅人の服
- 冒険に挑む旅人の為に丈夫な布で製作された衣服。
- 絹のエプロン
- 丈夫な絹で製作されたエプロン。
- 布の服
- 一般的に普及している衣服。 職業によって仕様が異なるものも存在する。
小話
原作者の三条陸氏によれば、日本列島をモデルにしたダイ大世界の大阪に相当する位置の国であることから、商業の発展した国という設定になり、国名も関西弁の「でんがな(ですよ)」をもじったものらしい(ちなみに東の隣国の「テラン王国」は古くからの寺社が多くある奈良にあたる位置のため「寺」かららしい)。
2020年版では、時勢を反映したのか、デパートでスライムの形をしたスラまんやスラタピドリンクが販売されている。
なお、当時クロコダインがロモス王国、ヒュンケルがパプニカ王国、フレイザードがオーザム王国、バランがリンガイア王国、ミストバーンがカール王国を担当していたため、ベンガーナ王国を担当していたのはザボエラになる。
もっとも、ザボエラはクロコダインなどに取り入ってダイを倒す手柄を手に入れる事に熱を入れていたのでバウスン将軍の「無事だったのは、ベンガーナを担当していた魔王軍の軍団が本腰ではなかったから」は正しい。ベンガーナもリンガイア同様に超竜軍団の襲撃を受けてはいるが、前述のように超竜軍団の目的はベンガーナ攻略ではなかったため、襲撃は散発的であった。
また、物語が進むにつれて判明したことだが大魔王は地上界の完全消滅をなすため黒の核晶を地上各地に仕掛けることを密かに計画していた。そのため、六星魔法陣を成す核晶の設置予定地の周辺(オーザム、リンガイア、ロモス、パプニカ、カールが該当)、更には魔王軍の機密保持のために拠点や総本部である鬼岩城やバーンパレスの潜伏地近辺(オーザム、リンガイア、カールが該当)を最優先に攻略させていた傾向がうかがえる。ギルドメイン大陸中央部に位置するベンガーナ(およびテラン)はこのいずれでもなかったため、魔王軍のターゲットとしての優先度は低かったとみなせる。
関連タグ
ハーメルンのバイオリン弾き:ドラゴンクエストの販売元であるエニックスから出版されていた少年ガンガンで連載されていた漫画。作中に母子同様にハーメルの強さを恐れて泣き喚いた少年とその母親が登場した。だが、少年はハーメルのバイオリンに感動してちゃんと彼に謝っている(もっともハーメルの怒りは収まらず、裸踊りをさせられたのだが…)。