概要
人が集団でいる時に生じやすい心理的傾向のこと。「群集心理」とも。
単独でいる時の「個人心理」とは異なる部分も多く、そういった集団でいる際の思考の特性や、それによる集団の性質を分析して理解し、集団を纏め上げたり理解したりする事に活かす「集団心理学」という学問がある。
代表的な傾向
集団心理は良い傾向と悪い傾向があるが、世間では概ね悪い傾向が強く出る。
- 思考が単純になる:物事の判断を他人に委ねがちになり、結果として自我や責任感が希薄になる。
- 空気に流されやすくなる:他人の恐怖や興奮が伝染する。事故や事件の際、集団でパニックを起こすメカニズムがこれ。
- モラルが低下する:責任の所在を個人ではなく集団に帰結させる(=犯人が曖昧になる)ため、悪ふざけや犯罪に走りやすくなる。
- 匿名性が強くなる:上と同じ理由で、個人なら批判や嘲笑が怖くて出来ない事でも集団なら出来るようになる。善悪どちらの面も持つ。
- 態度が肥大化する:集団になると強くなったような錯覚に陥り、態度が大きくなり口調や姿勢が強気になる。
- 感情の起伏が激しくなる:感情が熱しやすくも冷めやすくもなる。
感情的・刹那的な悪ふざけにはこれらのメカニズムが絡んでいる。
野球チームが優勝した際に集団で川に飛び込んだり、都心のハロウィンでバカ騒ぎした挙句に軽トラックを横転させたり。
ただ、これらの例はまだ可愛い方で、最悪の場合、感情を暴走させて無計画な殺人に発展するケースもある。
人間は学校や社会で必ず団体行動を取るため、誰でも無意識に集団心理に陥ったことがあるはずである。
協調性はもちろん大切だが、同様にアイデンティティも大切である。
集団心理で取り返しのつかないミスを起こさないためにも、状況に応じて対応を集団に帰属すべきか、独立すべきかを考える必要がある。