「…遅ればせながら自己紹介させていただきましょう」
「我らは魔軍司令ハドラー様の忠実なる下僕…死の大地を守護するハドラー新衛騎団!!」
「私はその行動を統括する女王(クイーン)…アルビナス!!!」
CV:田村ゆかり(2020年アニメ版)
概要
超魔生物ハドラーによってオリハルコン製の駒から生み出されたハドラー親衛騎団の一人。クイーンの能力を持ち親衛騎団のリーダー格を務める。 司る魔法は閃熱(ギラ)系呪文。
立場上、親衛騎達の纏め役に回ることが多く血気盛んなヒムの扱いにはかなり苦労しているが、なんだかんだで息が合っている。
駒としてハドラーの命令を忠実に果たしつつも、ハドラーに対する儚い想いを胸の内に秘め、女性らしい情愛をマァムからも指摘されるが、頑なに否定し続けていた。
また、他の親衛騎団員が余命幾許もないハドラーの戦う意思を尊重する中、ただ一人、結果的に意思に逆らうも、ハドラーが生き続ける事を強く願っていた。
故に、要注意人物と認識していたヒュンケルやバランを独断で始末しようとしたり、ハドラーが大魔王バーンに反旗を翻した後も、バーンに懇願し延命をと考える等独走することもしばしばあった。
人物・性格
ハドラーの心中にある「情愛」を色濃く受け継いでいる。物腰や言葉遣いは丁寧。女王らしく冷静かつ厳しい性格で非常にプライドが高く、その傲慢さ故に敵を侮り、不覚を取る事も多い。だが基本は慎重で深追いはせず、普段は命令違反になるようなことはしない。特に熱くなりすぎて目的を忘れそうになるヒムを諫めることも。
味方であってもザボエラの様な下衆や、生温い態度をとる敵に対しても嫌悪感を感じるが、自身もハドラーの為なら彼の意に反する卑怯な手段を取る事も厭わない。徹底して「ハドラー様のために」を遵守している。
2020年版では無表情で抑揚のない低い声で喋るキャラになっており、原作で微笑していたシーンは無表情になっていたり、目を見開いて驚愕するシーンも平静を装う程度のものに変えられている。
戦歴
対魔王軍前線基地の港町サババを他の親衛騎団と共に襲撃。ヒムに挑んだノヴァをニードルサウザンドで撃墜した。ダイ一行が全員揃った所で、親衛騎団としての名乗りを丁寧に上げた後にヒュンケルと対決。
スピードで圧倒するも、余裕を見せたところにヒュンケルの一閃を頭飾りに受ける。
ダイとの連携でヒムに虚空閃を繰り出そうとするヒュンケルに対し毒針を吹き、片腕に毒を与えヒムの核への直撃を阻止。
その後メドローアでブロックを戦闘不能にされ、打倒アバンの使徒に拘るヒムを引き止める中、ハドラーの命令を受け一時撤退。
撤退後、死の大地の守護を命じられるが、ダイの為に捨石になろうと突き進むバランとそれを引き止めようとするヒュンケルの一騎打ちに割って入り、両者纏めて始末しようとする。だが咄嗟にヒュンケルが無刀陣の標的を彼女に切り替えた事で右肩を抉り取られる。改めてヒュンケルの恐ろしさを痛感し、再起不能のダメージを与えたことに安堵する。
ハドラーがダイ・バラン親子と戦っている最中は、フェンブレン以外の手勢を率いて囮役として地上でポップ、マァム、クロコダインらと交戦。戦力的に優位だったが、再起不能だったはずのヒュンケルが復活したことで戦局を覆され、「本当に人間なのかあの男!?」と驚愕する。
ポップと空中戦をしていたような描写があるが、黒の核晶の爆発に巻き込まれたことで決着はつかずじまいとなる(「ような」と書いている通り戦闘描写自体はなかった)。アニメ版ではトベルーラで移動するポップを追うシーンが追加されたが戦闘行為はなかった。
ハドラーがバーンに反旗を翻した際はミストバーンの闘魔滅砕陣を躱すもキルバーンに核に鎌を突きつけられ動きを封じられる。しかしアルビナスもまた少しでもキルバーンが動けば一瞬で黒焦げにすると脅して膠着状態に持ち込んだ。その後、ブロックの犠牲によってハドラー達と共にバーンパレスから脱出する。
女王の出陣、愛の超激突
「…全力で戦う時の私の姿をお見せしましょう…!!!」
ハドラーがバーンパレスでアバンの使徒の前へ立ちはだかった際、ルーラでマァムを連れ去り一対一の戦闘を繰り広げる。本来はマァムとレオナを相手取るはずだったが、レオナに関してはゴメちゃんの妨害があったため失敗に終わった。
ハドラーの覚悟を知ったマァムは、アルビナスが捨て石になるつもりで戦おうとしていると考え、お互いを思い合う気持ちは自分たちと同じだとして手を差しのべる。しかしアルビナスは「虫唾の走る良い子ちゃん」と一蹴し、ダイを含むアバンの使徒を自分一人で全滅させ、その功績を以ってバーンにハドラーの助命を請おうと考えている事を明かす。
「私は最初から〝捨て石〟なんかになるつもりはない! 逆に…私がハドラー様を救うつもりでいるのです…!!」
「この私が一人であなたを倒し、ヒュンケル、ポップを倒し、…そして勇者ダイをも始末する…!!!」
「そのうえでバーン様に懇願するのです! …ハドラー様を救ってほしいと!!!」
「…私に同情してくれるのなら…手間をかけさせずに一瞬で死んでください。お優しいマァムさん…!!」
ハドラーの命を救う為なら、裏切り者として殺されても構わないという覚悟を証明するように超スピードで動ける正体を現しマァムを圧倒する。マァムが魔甲拳を持ち出し、体の一部を砕かれて必殺技を凌ぎ切られるが、持ち前の超速をフルに活かしたヒット・アンド・アウェイを繰り返し優位に立つ。
「………嫌だこと。己の力量も読めない弱者は…!! そんな武装をした程度で勝ったつもりでいるなんて…!!」
しかし、「クイーンは動かぬのが定石」との言葉を思い出したマァムが仰向けになった真意を読み取れず、トドメを刺す直前、マァムが砕いた装甲の破片を全身に被弾し大ダメージを負う。執念で襲い掛かるも速度は半減しており、最期は武神流猛虎破砕拳を受けて核を貫かれ、敗北。
「あなたのほうが強かった…力だけでなく〝誰かのために〟という気持ちも……」
「…残念です。無念ですよ」
「やはり…作られた駒である私では〝想い〟の強さで人間にはかなわないのでしょうかねえ…」
「さあ、お離れなさい。そして私の代わりに見届けて…あの方の…最後の雄姿を…」
彼女を雑魚と侮っていた事や想いの強さの違いを認め、無念を漏らしつつ、ハドラーの勇姿を代わりに見届けて欲しいと願い爆散した。
主(ハドラー)の駒としての立場に終始拘り、女としての己の存在を否定し続けてはいたが、その儚くも熱き想い・慕情は紛れもなく女性としての「愛」そのものであった。殺らなければ殺られる宿命とはいえ、死ぬには余りにも惜し過ぎるアルビナスの最期をマァムは大変悼んでいた。
ハドラーも彼女の死を知った時「オレには愛などという事はよくわからんが、アルビナスの死を知った時、オレの心は空虚になった」(コンビニコミックより)と語った。このことからハドラーが持つ「無自覚の愛」を受け継いでいたことが窺える。新アニメ版では、ヒム達の修復を頼む際にハドラーから「お前の傷もだ」と気遣われるシーンが追加されており、アルビナスにとってはハドラーは基本的には上司という認識だったのだろうが父親のような存在でもあったのだろう。
能力
ニードルサウザンド
ギラ系呪文を操る能力を有し、ベギラゴン級のギラのエネルギーを全身から針のように放射する。
通常形態でのほぼ唯一の攻撃だが、突撃してきた相手にカウンターとして浴びせることで、回避困難な迎撃技となる。2020年版では光の針が相手を貫き、衣服を焼くという描写がされた。
毒針
口の中に仕込まれた毒針で、相手に吹きかけて突き刺し、食らった相手を麻痺状態にしてしまう。ヒュンケルの虚空閃を妨害する際に使用。
形態変形
普段は肩からストールを羽織ったような円筒状のボディーをしているが、その下に女性的な肉体を隠している。
通常形態では専守防衛のため、ほとんど動けないが、戦闘形態となった場合には親衛騎団において最速の女戦士となる。攻撃はもっぱら徒手空拳で、奇しくもマァム同様に武闘家タイプの戦闘スタイルをとる。
通常形態は防御力と再生力に突出している一方、自発的な攻撃が苦手。スピードに優れているが接近戦を行う描写がなく、遠距離攻撃が主体。
戦闘形態は打って変わって圧倒的スピードを用い、近距離の格闘戦から遠距離攻撃までこなす万能型。しかし防御力や再生力は格段に落ちてしまう。
2020年版では、原作ではヒムしか見せていなかった巨大駒形態からの変形も行っている。
サウザンドボール
「ニードルサウザンド」のエネルギーをボール状に圧縮して放つエネルギー弾。
本来拡散されていたエネルギーが一個に集約されるため、一発の威力はニードルサウザンドの比ではない。
戦法
上述の通り、ヒットアンドアウェイを活かした超スピードの連続攻撃を主体とする。縦横無尽に駆け抜け、マァムの全周囲を包囲する形で攻撃しては離れるを繰り返す。その戦い方は後にヒュンケル戦でヒムが語った「勝てたとしてもやらなかった」戦い方であり、皮肉にもこれに頼ったアルビナスは敗北することとなった。
小話
その最期ゆえ「愛に生きた」印象の強いアルビナスではあるが、意外にも細かい部分でフレイザードと共通点が多い。たとえば、
「漁夫の利を得てヒュンケルの抹殺を目論む(どちらも手段は高熱を利用している。しかし抹殺に失敗した上に抹殺対象がクロコダインに説得されてダイの仲間になるなど裏目に出ている)」
「マァムの優しさと憐れみを一蹴する」
「反撃も許さぬヒットアンドアウェイの戦法で縦横無尽に駆け、一方的に攻め立てる(皮肉にもこれを破ったのは弾岩爆花散と同じコンセプトの反撃)」
「求めるもののために今大事にしているものを手放す(フレイザードは栄光のために暴魔のメダルを捨て、アルビナスはハドラーの延命のために忠義に背いた)」
などなど。
一番フレイザードに精神面が近いような描写がされているのはフェンブレンであるが、その次はアルビナスと言ってよいのかもしれない。
マァムとの戦いの敗因もフレイザードと同じく「劣勢を受け入れられず冷静さを失った結果、無謀な突撃をしたことで奥義を喰らった」ことである。
勇者アバンと獄炎の魔王の特別編の4コマ漫画ではイケイケで青かった頃(本人は恥ずかしがっている)のハドラーを見て「そこがいい!」という感想を抱いてる。
関連タグ
妖魔将軍メネロ:劇場版のオリジナルキャラクター。冒頭でマァム&レオナと戦い勝利している。アルビナスとは逆に「自分を女として見ており、敵対者とは言え相手が女性なら愛や献身という感情に理解を示す」タイプ。主人にも女性として見られている(「“女”は怖い」とコメントされている)。類似点としては「連載当時の魔王軍では唯一の女性」「(ハドラーの影武者である)主人の副官」「戦闘時に真の姿を現す(二つの姿を持つ)」「普段はクールで余裕を見せているが実は激情的」などがある。
本条鎌足:十本刀の一人。「主君に女としての愛を抱く(ただし生物学上女性ではない)」「主君の命令は絶対であり違反者は許さない」「恋する乙女であるヒロインと死闘を繰り広げる」「縦横無尽の連続攻撃で圧倒するが飛び道具(散弾)で破られ、最期は必殺技によって撃砕される」「普段は使わないが針を隠し持っている(毒の有無は不明)」など類似点が多い。また本物の女には勝てないことにコンプレックスを感じており、これはアルビナスが最後に漏らした「作られた駒である私では~」という台詞に通じるものがある。相違点として、アルビナスは仲間になることなく退場したが、鎌足はその後も生き続け主人公たちの仲間となっている。
乙和瓢湖:六人の同志の一人。「メンバーの女性的ポジション(飽くまで外見的な意味で)」「矢を飛ばしたり、毒の煙を撒く暗器を持つ(アルビナスも口から毒針を放つ)」「普段は奇抜な襟飾りだが実は自由自在に動く刃となる(少し苦しいがストール解放後のアルビナスも縦横無尽の猛攻を披露する)」「ヒムと類似点の多い仲間との掛け合いが多め」など類似点がある。
レーギャルン:中の人&女性敵幹部繋がり。仲間になりそうでならない点も共通。
ルールー・アムール:中の人&人外繋がり。こちらはアンドロイドで、少女の容姿&人格。また、こちらは敵のち味方にて戦闘の際に変身する。⇒ダイキュア